オウンドメディアは意味がない?成果が出ない原因と改善策を解説
デジタルマーケティングにおいて、オウンドメディアは重要な施策として多くの企業が取り組んできました。広告に依存しない集客基盤として、また自社の専門性を発信する場として、その価値は広く認められています。
一方で、以下のような声も増えています。
- オウンドメディアを運用しているが、期待した成果が出ていない
- 投資に見合うリターンが得られず、継続すべきか判断に迷っている
- 社内からは「意味がない」と言われ、予算や体制の確保に苦労している
そこで本記事では、オウンドメディアが「意味がない」と言われる背景から、成果が出ない具体的な原因、継続判断の基準、そして成果を出すための運用ポイントまで、実践的な視点で解説します。
目次
オウンドメディアが「意味ない」と言われる背景
「オウンドメディアは意味がない」という声が聞かれるようになった背景には、いくつかの構造的な変化があります。まずは、なぜこのような評価が広がっているのかを理解することが、正しい判断への第一歩となります。
SNS全盛時代における位置づけの変化
ソーシャルメディアが生活のインフラとして定着した現在、情報発信の主戦場は大きく変化しています。
かつては自社サイトに集客して情報を届けるモデルが主流でしたが、今やユーザーはSNS上で情報を消費し、わざわざ企業のWebサイトを訪れる必要性が薄れているのではないかという指摘があります。
この変化により、「オウンドメディアを作っても、そもそも誰も来てくれない」という状況が生まれやすくなっています。
特に、SNSでの情報拡散を前提としたコンテンツ設計を行わないまま、従来型のSEO中心のアプローチだけを続けていると、思うような成果が得られないケースが増えています。
ただし、これはオウンドメディア自体が不要になったということではありません。
SNSは情報の流通速度が速い一方で、過去のコンテンツが埋もれやすく、資産として蓄積しにくいという特性があります。検索エンジンを通じた持続的な集客や、自社の専門性を体系的に示すという点では、依然としてオウンドメディアには固有の価値があります。
重要なのは、SNSとオウンドメディアを対立的に捉えるのではなく、それぞれの特性を理解した上で、相互に補完し合う形で活用することです。SNSで認知を獲得し、オウンドメディアで深い理解を促す、といった連携が効果的な場合もあります。
成果が見えにくい構造的な問題
オウンドメディアの運用において、成果の可視化は大きな課題です。特にBtoB領域では、コンテンツを見たユーザーがすぐにコンバージョンするわけではなく、認知から検討、商談、成約まで長い期間がかかります。
この「成果が出るまでに時間がかかる」という特性が、社内での評価を難しくしています。
広告であれば、投下した費用に対するリターンを比較的短期間で測定できますが、オウンドメディアは半年から1年、場合によってはそれ以上の期間をかけて成果が表れてきます。
多くの企業では、短期的な売上目標に追われているため、即効性のある施策に予算が優先的に配分されがちです。その結果、オウンドメディアは「コストはかかるが、成果が見えない」という評価を受けやすく、「意味がない」という結論に至ってしまいます。
しかし、これは成果が出ていないのではなく、成果を正しく測定・評価できていないケースが少なくありません。直接的なコンバージョンだけでなく、間接的な貢献も含めた評価の仕組みを構築することが重要です。
例えば、オウンドメディアで自社を認知したユーザーが、後日別のチャネル(広告や営業活動)を通じてコンバージョンするケースは多くあります。このようなアシスト効果を計測できる仕組みがなければ、オウンドメディアの真の価値を把握することはできません。
競争激化による難易度の上昇
オウンドメディアの手法が一般化し、多くの企業が参入したことで、競争環境は大きく変化しています。
検索結果の上位を獲得するためには、以前よりも高い品質のコンテンツと、専門性の裏付けが必要になっています。
特に、大手企業がコンテンツマーケティングに本格参入したことで、資金力や人的リソースで劣る中小企業にとっては、同じ土俵で戦うことが難しくなっています。「記事を書けば検索順位が上がる」という単純な図式は、もはや成り立たなくなっています。
また、検索エンジンのアルゴリズムも年々進化しており、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の重要性が増しています。実際に事業を行っている企業だからこそ発信できる一次情報や、専門家としての知見がなければ、検索上位を獲得することは困難です。
このような環境の変化を踏まえず、旧来の手法で運用を続けていると、「頑張っても成果が出ない」という状況に陥りやすくなります。競争環境を正しく認識し、自社の強みを活かした戦略を設計することが、これまで以上に重要になっています。
オウンドメディアが成果を出せない8つの原因
オウンドメディアで成果が出ないケースには、いくつかの共通したパターンがあります。自社の状況と照らし合わせ、該当する項目がないか確認してみてください。
目的と成果指標が曖昧なまま始めている
「競合がやっているから」「流行っているから」という理由で、目的が曖昧なままオウンドメディアを始めてしまうケースは少なくありません。何のためにオウンドメディアを運用するのか、どのような状態になれば成果と言えるのかが定義されていなければ、正しい評価はできません。
オウンドメディアの目的は、企業によって異なります。リード獲得を増やしたいのか、サービスの認知度を上げたいのか、採用力を強化したいのか。目的によって、追うべき指標も変わってきます。
例えば、リード獲得が目的であれば「問い合わせ数」「資料請求数」が成果指標となり、認知拡大が目的であれば「新規ユーザー数」「指名検索数」が指標となります。この定義がないまま「PVが伸びない」「成果が出ない」と嘆いても、改善の方向性を見出すことはできません。
支援事例でも、最初に「何のためにオウンドメディアを運用するのか」という目的の明確化から始めることで、その後の戦略設計や運用がスムーズに進むケースを多く見てきました。目的と成果指標の定義は、オウンドメディア運用の出発点として欠かせません。
また、目的が複数ある場合は、同時並行で追いかけるのではなく、フェーズを分けて優先順位をつけることが重要です。立ち上げ期は認知獲得、成長期はリード獲得、成熟期は収益化といったように、段階的に目的を進化させていくアプローチが効果的です。
短期的な成果を期待しすぎている
オウンドメディアは、成果が出るまでに時間がかかる施策です。特に検索エンジン経由の集客を主軸にする場合、最低でも半年から1年程度は成果が出始めるまでに時間を要します。
この特性を理解せず、3ヶ月や半年で「成果が出ない」と判断してしまうのは、正しい評価とは言えません。「オウンドメディアを立ち上げてからすぐに結果が出る」という誤った期待が、「意味がない」という結論につながっています。
検索エンジンがコンテンツを評価し、検索順位に反映されるまでには一定の期間が必要です。また、蓄積されたコンテンツが相互にリンクし、サイト全体の評価が高まることで、個々のコンテンツの順位も上がりやすくなります。この「資産化」の効果は、継続的な運用によって初めて得られるものです。
短期的な視点で投資対効果を判断するのではなく、中長期的な視点でオウンドメディアを「育てる」という意識が必要です。成功事例として挙げられるオウンドメディアの多くは、3年以上運用を継続しているものがほとんどです。
ただし、「時間がかかる」ということは「何も成果が見えない」ということではありません。検索順位の変動、セッション数の推移、コンテンツへの反応など、成長の兆しを示す指標は存在します。これらの中間指標を追いながら、長期的な成果に向けて進んでいるかを確認することが重要です。
運用体制が整っていない
「担当者が通常業務と兼務しており、コンテンツ制作に時間を割けない」「記事の品質を担保できる編集者がいない」など、運用体制の不備も成果が出ない大きな要因です。
オウンドメディアの運用には、戦略設計、キーワード選定、コンテンツ企画、執筆、編集、公開、分析、改善といった多くの工程があります。これらを片手間で行うことは難しく、専任または一定の工数を確保した担当者が必要です。
ある企業では、社内にコンテンツ制作体制が整っていたことで、外部に依存せず効率的なリード獲得体制を構築することができました。最初は最重要な3つのキーワードに絞り込み、スモールスタートで成功体験を作ることで、運用を加速させていったのです。
参考:オウンドメディアで月100件超のリード創出、広告・営業コストゼロへ
逆に、体制が整わないまま始めてしまうと、更新頻度が低下し、コンテンツの質も安定せず、成果につながりません。運用体制の構築にあたっては、自社でどこまでを担当し、どこを外部に委託するかを明確にすることが重要です。
すべてを内製化する必要はありませんが、少なくとも戦略や方向性の判断、最終的な品質管理は社内で行える体制を整えることが望ましいでしょう。また、運用を開始する前に、最低でも半年から1年は継続できるリソースを確保しておくことも重要です。
コンテンツに独自性がない
他社のコンテンツを参考にしすぎた結果、どこにでもある一般的な情報の寄せ集めになってしまうケースがあります。「競合ばかり見て、読者を見ていない」という状態です。
検索結果の上位に表示されているコンテンツを分析することは重要ですが、それをそのまま真似しても、二番煎じにしかなりません。検索エンジンは、ユーザーにとって価値のある独自の情報を評価する傾向にあります。
「良いコンテンツ」の条件は、少なくとも「読み手の悩みや課題が解決されること」、そして「その企業だからこそ発信する価値があるもの」です。
自社の事業を通じて得られた知見や、顧客との対話から得られた気づき、専門家としての見解など、他社では発信できない情報こそが、コンテンツの独自性を生み出します。
ある飲料メーカーのオウンドメディア立ち上げ事例では、SEOに詳しいライターではなく、その製品を日常的に楽しむ愛好家をコンテンツ制作者としてアサインしました。
嗜好品特有の主観的な価値観を活かし、読み手の共感を得る自然な語りを重視した結果、他社では真似できない独自性のあるコンテンツが生まれました。
また、コンテンツの独自性を高めるためには、「自分たちのメディアが消えたら誰かが困るか」という自問を習慣化することも有効です。代替可能な情報しか発信していないのであれば、そのメディアの存在価値は薄いと言わざるを得ません。
キーワード設計が不適切
検索ボリュームが大きく、競合性の高いキーワードばかりを狙っていては、検索上位を獲得することは困難です。大手企業や専門メディアが上位を占めているキーワードで、後発のオウンドメディアが勝つことは現実的ではありません。
効果的なキーワード設計には、自社のターゲットとなるユーザーが実際に検索するキーワードを特定し、その中から競争に勝てる見込みのあるものを選定する作業が必要です。
ある企業では、検索ボリュームではなく、サービスの検討段階で検索されるキーワードに絞り込みました。
業界特有の専門用語や機器名称との掛け合わせキーワードを設計し、多岐にわたるサービスの中から最初は最重要な3つに狙いを定めることで、スモールスタートながら確実に成果を積み上げていきました。
参考:オウンドメディアで月100件超のリード創出、広告・営業コストゼロへ
「全方位的なものをやっても意味がない」という考え方は、特にBtoB領域で重要です。PVは稼げても誰も買わない、という状況を避けるためには、量よりも「濃さ」を重視したキーワード設計が求められます。
また、キーワード設計においては、検索意図を正しく理解することも重要です。同じキーワードでも、情報収集段階なのか、比較検討段階なのか、購入決定段階なのかによって、提供すべきコンテンツの内容は異なります。ユーザーの検索意図に合致したコンテンツを提供できているか、定期的に見直すことが必要です。
費用対効果を可視化できていない
オウンドメディアの貢献度を数値で示せていないと、社内で「意味のない投資」と判断されてしまいます。特に、直接的なコンバージョンだけで成果を判断している場合、オウンドメディアの価値を過小評価してしまう可能性があります。
実際には、オウンドメディアを通じて自社を認知したユーザーが、後日別のチャネルから問い合わせてくるケースも多くあります。この間接的な貢献を計測できていないと、オウンドメディアの本当の価値が見えなくなります。
成果と結びつけないとオウンドメディアをやる意味はなく、貢献度を見える化しないと、成果を出しているのに評価されないという事態に陥ります。社内での評価を得るためにも、直接的な成果だけでなく、間接的な貢献も含めた評価の仕組みを構築することが重要です。
具体的には、アナリティクスツールを活用したアトリビューション分析、営業担当者へのヒアリングによる定性的な効果把握、オウンドメディア経由リードと他チャネル経由リードの商談化率比較などが有効です。
また、社内での定期的な報告も欠かせません。数値の報告だけでなく、その数値が事業にどう貢献しているかをストーリーとして伝えることで、関係者の理解を得やすくなります。
作って終わりになっている
コンテンツは公開して終わりではありません。アクセス解析や検索順位のチェックを行わず、公開したまま放置していては、メディアが成長することはありません。
検索エンジンのアルゴリズムは日々変化しており、ユーザーのニーズも変わっていきます。一度公開したコンテンツでも、定期的に見直し、情報を更新したり、構成を改善したりする「メンテナンス」が必要です。
ある企業では、コアアップデートによる検索順位の低下に直面しましたが、リライトの行動量を一気に増やすことで、検索順位の変動を検証し、改善を進めました。その結果、一部のコンテンツは順位を回復させることができました。
さらに、その企業では検索順位の回復だけでなく、売り方自体の見直しにも着手しました。これまで個別に販売していたサービスを、顧客ニーズに基づいてセット販売に切り替えることで、検索順位が完全に回復しなくても、顧客単価の向上によって全体の収益性を改善することに成功したのです。
参考:販売方法の見直しで、過去最高リード件数とV字回復を実現
「効果が出ないから」とすぐにやめてしまっては意味がありません。メディアを育てるという意識を持ち、継続的に改善を重ねていくことが成功への道筋です。コンテンツのメンテナンスは、新規コンテンツの制作と同等か、それ以上に重要な取り組みです。
自社のビジネスに適さないケースを見極められていない
すべての企業にオウンドメディアが適しているわけではありません。特にBtoB領域では、市場が限定的で方向転換が難しいため、初期の判断が重要になります。
オウンドメディアが有効なのは、デジタルサービスを提供している、全国展開している、市場規模が大きいといったケースです。一方で、アナログサービス中心、地域限定のビジネス、狭い市場では、投資対効果が見合わないことも多いです。
「競合がオウンドメディアを始めたから」という理由で安易に追随するのではなく、自社の事業特性やターゲットに本当に適した施策なのかを見極めることが、失敗を避ける第一歩です。
オウンドメディアを始める前に、以下の点を確認することをお勧めします。ターゲットとなるユーザーが検索行動をとるか、検索で上位表示できる見込みがあるか(競合状況)、継続的に運用できるリソースがあるか、成果が出るまでの期間を待てる予算があるか、といった点です。
これらの条件を満たさない場合は、オウンドメディア以外の施策を優先した方が効果的な場合があります。オウンドメディアはあくまで多くの施策のひとつであり、万能ではないことを認識しておくことが重要です。
オウンドメディアを続けるべきか判断する基準
「このまま続けるべきか、撤退すべきか」という判断に迷っている方に向けて、判断の基準を整理します。
自社のビジネスモデルとの適合性
まず確認すべきは、自社のビジネスモデルとオウンドメディアの相性です。
オウンドメディアが効果を発揮しやすい条件としては、検索エンジンで情報を探すユーザーがターゲットに含まれていること、商材やサービスの検討期間が長く複数回の接触が必要なこと、専門性や独自性を示すことで競合と差別化できること、などが挙げられます。
逆に、即決型の商材や、検索行動をとらないターゲット層、地域密着で商圏が限られているビジネスでは、オウンドメディア以外の施策を優先した方が効果的な場合があります。
オウンドメディアはあくまで多くの施策のひとつであり、自社の事業特性や他のマーケティング施策との関係を考慮した上で取り組むかを判断する必要があります。
また、社内にコンテンツを作れる専門性があるかどうかも重要な判断基準です。自社の事業領域に関する深い知見を持つ人材がいなければ、独自性のあるコンテンツを継続的に生み出すことは困難です。外部のライターに丸投げするだけでは、他社との差別化は難しいでしょう。
投資対効果の正しい測定方法
オウンドメディアの投資対効果を正しく測定するためには、適切な指標設定と計測の仕組みが必要です。
直接的なコンバージョン(問い合わせ、資料請求など)だけでなく、認知獲得の貢献、営業活動の効率化、採用への効果など、多面的な価値を評価することが重要です。
例えば、オウンドメディア経由で獲得したリードと、広告経由で獲得したリードの商談化率や成約率を比較することで、リードの質の違いを可視化できます。また、営業担当者へのヒアリングを通じて、「オウンドメディアの記事が商談で活用されている」といった定性的な効果を把握することも有効です。
ある企業では、オウンドメディアがグロースすることで生まれる多面的な価値を実感しました。取材機会の増加、新サービスの効果的な告知、収益化手法の多様化、専門家からの協力申し出の増加など、様々な好循環が生まれたのです。
参考:オウンドメディア立ち上げと運用体制構築により、CV100件獲得・広告費50%削減
投資対効果は、短期的な数字だけでなく、このような副次的な効果も含めて総合的に判断する必要があります。
オウンドメディアの価値を正しく評価するためには、「成果」と「結果」の違いを理解することも重要です。「成果」は良い結果のことを指し、「結果」はある物事・行為から生じた状態を指します。成果を得た結果として、どのような変化が起きているかを観察することで、オウンドメディアの真の価値が見えてきます。
撤退を検討すべきケースとは
以下のような状況では、オウンドメディアからの撤退や、大幅な方針転換を検討すべきかもしれません。
まず、1年以上運用を継続しても、対策キーワードでの検索順位が全く上がらない場合。コンテンツの質や量に問題がないにもかかわらず、改善の兆しが見えない場合は、競合環境や市場の特性を再評価する必要があります。
次に、オウンドメディアに投下しているリソースを、他の施策に振り向けた方が明らかに効果的と判断できる場合。限られた予算や人員を、より効果の高い施策に集中させることも戦略的な判断です。
また、事業の方向性が大きく変わり、オウンドメディアで発信している内容と事業の提供価値がズレてしまった場合。このような場合は、コンテンツの大幅な見直しや、メディア自体のリニューアルを検討する必要があります。
ただし、撤退の判断は慎重に行う必要があります。蓄積されたコンテンツは資産であり、一度失うと取り戻すことは困難です。撤退を決断する前に、運用方法の改善や、戦略の見直しで状況を改善できる可能性がないか、十分に検討してください。
撤退ではなく「休止」という選択肢もあります。新規コンテンツの制作は止めても、既存コンテンツは公開したまま維持し、最低限のメンテナンスだけを続けるという方法です。将来的に状況が変わった際に、再開しやすくなります。
成果を出すオウンドメディアの運用ポイント
ここからは、オウンドメディアで成果を出すための具体的な運用ポイントを解説します。
目的から逆算した成果指標の設計
オウンドメディアの成功には、明確な目的設定と、それに紐づいた成果指標の設計が不可欠です。
まず、「何のためにオウンドメディアを運用するのか」という目的を定義します。リード獲得、認知拡大、ブランディング、採用力強化など、目的によって追うべき指標は異なります。
次に、その目的を達成するための成果指標(KPI)を設定します。例えば、リード獲得が目的であれば、問い合わせ数、資料ダウンロード数、リードの質(商談化率)などが指標となります。
重要なのは、見るべき指標を絞ることです。指標が多すぎると、どこに注力すべきかが分からなくなります。フェーズに応じて優先すべき指標を決め、そこに集中することが効果的です。
初期段階では検索順位やセッション数など集客に関する指標を、成長期にはコンバージョン数やコンバージョン率を、成熟期には顧客生涯価値への貢献など、より事業に直結した指標を重視するといった具合に、段階的にKPIを変えていくことも有効です。
また、KPIツリーを設計することで、最終目標(KGI)と中間指標(KPI)の関係を明確にできます。例えば、「問い合わせ数の増加」をKGIとした場合、それに影響を与える要素として「セッション数」「CVR」を中間指標として設定し、さらにセッション数に影響を与える「検索順位」「表示回数」を先行指標として設定する、といった具合です。
自社だからこそ発信できるコンテンツの作り方
他社との差別化を図り、検索上位を獲得するためには、自社だからこそ発信できる独自のコンテンツが必要です。
その核となるのが、社内のプロフェッショナルが持つ「暗黙知」です。暗黙知とは、経験や判断、ノウハウなど、これまで言語化されていなかった知識や情報のことを指します。この暗黙知を形式知化し、コンテンツとして発信することで、他社には真似できない独自性が生まれます。
暗黙知を引き出すためのアプローチとしては、営業担当者や顧客サポートへのインタビュー、顧客からよく聞かれる質問の整理、プロジェクトの成功・失敗事例の振り返り、業界の課題に対する自社の見解の言語化、などが有効です。
ある企業では、AIを活用して社内の非ライターメンバーから暗黙知を引き出す仕組みを構築しました。シニアコンサルタントやプロジェクトマネージャーが、普段思っていることをAIとの対話形式で言語化し、それをコンテンツ化するという手法です。
その結果、コンテンツ制作の量が大幅に増加し、かつ各メンバーの専門性を活かした独自性の高いコンテンツが生まれました。
「思っていることをコンテンツ化するのはハードルが高かったけれど、思っていることがコンテンツ化されること自体はすごく楽しい」という声もあり、コンテンツ制作に対する組織全体の姿勢も変化しました。
さらに、作成されたコンテンツを組織全体で共有し、採用資料、提案書、教育資料へと異なるアウトプットに転用することで、組織全体の暗黙知を利益に変える仕組みも構築されています。これは、オウンドメディアの副次的な価値として見逃せないポイントです。
継続できる運用体制の構築
オウンドメディアは継続が前提の施策です。最初から完璧を目指すのではなく、継続できる体制を構築することが重要です。
週1本の更新が難しければ、月2本から始めても構いません。現実的なペースで継続し、小さな成功体験を積み重ねることで、チームのモチベーションを維持できます。
運用体制を構築する際のポイントとしては、以下が挙げられます。役割と責任の明確化(誰がどの工程を担当するかを明確にする)、制作フローの標準化(企画から公開までのフローを決め、属人化を防ぐ)、品質基準の設定(最低限守るべき品質基準を定め、一定の品質を担保する)、外部リソースの活用(すべてを内製化せず、専門性が必要な部分は外部に委託する)などです。
ある企業では、記事制作フローを複数ステップに分け、構成設計・執筆・監修の役割を外部と社内で明確に分担しました。執筆前の構成案作成は外部チームが担当し、社内の監修を通じて方向性を確認。これにより、初稿段階から品質が担保された記事制作が可能になりました。
参考:1年で8万UU/月を達成、独自コンテンツの制作体制を構築
また、初期段階では数値を追いすぎないことも重要です。経験の浅いメンバーが数値データを見ると、PVの上下に一喜一憂し、本質から離れた表面的な改善に躍起になってしまうことがあります。
初期の3ヶ月程度は基礎の習得に集中し、その後徐々に数値を見ながらの改善に移行するという段階的なアプローチが効果的です。
運用体制においては、「余白」を設計することも重要です。詳細な行動計画を立てすぎると、それに従って動く必要がある人の数が増え、計画変更のハードルが高くなります。運用体制やリソース、予算を整理し、その中で「何を変えられるか」を定義しておくことで、柔軟な対応が可能になります。
社内理解を得るための可視化と報告
オウンドメディアを継続するためには、社内の理解と協力が欠かせません。特に、予算や人員を確保するためには、経営層や関連部門に対して、オウンドメディアの価値を伝える必要があります。
定期的な報告では、数値の報告だけでなく、その数値が事業にどう貢献しているかを説明することが重要です。「PVが増えました」だけでなく、「PVが増えた結果、問い合わせが増え、そのうちの何件が商談につながっています」というように、事業への貢献を可視化します。
また、成功事例を社内で共有することも効果的です。オウンドメディア経由で獲得した顧客の事例や、営業活動で記事が活用された事例など、具体的なストーリーを伝えることで、関係者の理解と協力を得やすくなります。
支援事例では、1つから2つの部署に集中して実行し、大きな成果を実証することで、他部署の自発的な参加を促進したケースがあります。小さく成功して実績で信頼を得ると、「この手段の方が効率的だ」という確信が組織全体に広がり、予算やリソースの確保もスムーズになります。
参考:大手企業オウンドメディアの失敗あるあるを防ぐ、目線合わせの方法
ある企業では、限られた予算の中で信頼できるライターに依頼し、質の高いコンテンツによる「点」を作ることに集中しました。その結果、数ヶ月にわたって継続的なグロースという成果を出し、その証拠をもとに組織全体の予算や体制を再構築することができました。
参考:徹底したオウンドメディア戦略で、3ヶ月でリード数130%増を達成
社内営業を怠らず、地道に理解者を増やしていくことが、オウンドメディアを「意味ある施策」として定着させるための鍵となります。成果にこだわるのであれば、社内人事や組織設計に関する提案まで踏み込むことを躊躇してはならない場合もあります。
支援事例から見るオウンドメディア改善のポイント
「PVは増えているのにリードが獲れない」という状況は、オウンドメディア運用において典型的な行き詰まりのひとつです。集客自体は機能しているにもかかわらず、それが成果につながらない構造的な問題を抱えているケースです。
方針転換が成果を生む:CV特化へのシフト
広告やイベントを通じたリード獲得が通用しなくなり、新たなチャネルを求めてオウンドメディアに注力し始めたあるBtoC/BtoB企業では、立ち上げ当初は業界関連キーワードの獲得とPVの増加を目標に運用を続けていました。
しかし、PVは伸びてもリード獲得にはつながらないという状況が続きました。データ分析を深堀りすると、PV重視のキーワード選定が原因であることが判明。リード獲得に直結するキーワードを改めて設計し直し、コンテンツ制作チームの動き方も大きく変えました。
さらに、各記事のCTAをユーザーのニーズと検索意図に合わせて最適化。「お問い合わせ」一辺倒だった導線を「お役立ち資料」「調査レポートのダウンロード」などに多様化したことで、方針転換から約1年でリード獲得は約10倍にまで拡張しました。
参考:CV特化のオウンドメディアに方針転換、1年で10倍のリード獲得を実現
この事例が示すように、オウンドメディアの成果が出ないときは「何を作るか」よりも「誰のために、何を届け、どう行動を促すか」という設計の見直しが突破口になります。PVという指標に縛られず、事業目標から逆算して運用方針を組み直すことが、オウンドメディアを「意味ある施策」へと変える鍵となります。
まとめ:オウンドメディアを「意味ある施策」にするために
本記事では、オウンドメディアが「意味がない」と言われる背景から、成果が出ない原因、継続判断の基準、そして成果を出すための運用ポイントまで解説してきました。
オウンドメディアが「意味がない」と評価される多くのケースでは、目的や成果指標が曖昧なまま始めている、短期的な成果を期待しすぎている、運用体制が整っていない、コンテンツに独自性がない、といった構造的な問題があります。これらを一つずつ解消していくことで、オウンドメディアは「意味ある施策」へと変わっていきます。
重要なのは、オウンドメディアを単なる「情報発信の場」として捉えるのではなく、「事業課題を解決するための手段」として位置づけることです。目的を明確にし、その達成に向けた戦略を設計し、継続的に運用と改善を重ねていく。この基本に立ち返ることで、オウンドメディアは本来の価値を発揮します。
オウンドメディアの成果は、一朝一夕には出ません。しかし、正しい戦略に基づいて継続すれば、広告に依存しない持続的な集客基盤として、また自社の専門性を示す資産として、大きな価値を生み出すことができます。
中長期的な視点で見ていくオウンドメディアだからこそ、成果と結果を積み重ね続けていけば、マーケティング、売上、利益、組織、カルチャーまで変えていける可能性を持っています。実際に、運用開始から数年で事業の中核を担うまでに成長したオウンドメディアも存在します。
「意味がない」と結論づける前に、まずは本記事で紹介した観点から自社のオウンドメディアを見直してみてください。改善の余地は、必ずあるはずです。
この記事は、社内の知見や実績データを活用し、ユーザーにとって利便性の高いコンテンツを生み出すよう設計されたAIを活用して制作し、マーケターがレビュー・監修した後に公開しています。KAAANは、AIと人の共創によって高品質なコンテンツを効率的に制作しています。
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