
BtoBコンテンツマーケティングとは?成果を出す戦略と実践手法
デジタルマーケティングの浸透により、BtoB企業においてもコンテンツマーケティングへの取り組みが広がっています。広告費の高騰やサードパーティCookieの規制強化を背景に、自社でコンテンツを発信しリードを獲得する手法への注目が高まっています。
一方で、以下のような声も増えています。
- コンテンツマーケティングを始めたいが、何から手をつけていいかわからない
- 記事を公開しているが、リード獲得につながっていない
- 社内にコンテンツ制作のリソースやノウハウがない
そこで本記事では、BtoBマーケティングの知見を活かして、コンテンツマーケティングの基本的な考え方から戦略設計、実践ステップ、成果を最大化するためのポイントまでを解説します。
目次
BtoBコンテンツマーケティングとは
BtoBコンテンツマーケティングを実践するにあたり、まずはその定義と役割を正しく理解することが重要です。コンテンツマーケティングは単なる「記事制作」ではなく、見込み顧客とのコミュニケーションを生み出すための手法と捉える必要があります。
コンテンツマーケティングの定義と役割
コンテンツマーケティングとは、「ユーザーが興味を持つ情報」をもとに「企業が得たい成果」をコンテンツを通じて獲得するコミュニケーション施策です。商品やサービスを一方的に売り込むのではなく、見込み客にとって価値のある情報を提供し続けることで、問い合わせや資料請求といった成果につなげることを目的としています。
ここで重要なのは、コンテンツそのものに価値があるのではなく、コンテンツを通じて生まれるコミュニケーションに価値があるという視点です。どれだけ丁寧に文章を作り込んでも、読み手の視点に立っていなければ、信頼や想起にはつながりません。
コンテンツマーケティングの役割は、主に以下の4つに分類できます。
リード獲得 検索エンジンやSNSからの流入を通じて、サービスに興味を持つ見込み顧客の情報を獲得します。特にBtoB企業では、資料ダウンロードや問い合わせといったコンバージョンを獲得するための重要な施策です。
認知拡大 サービス名や会社名を知らない潜在顧客に対して、課題解決に役立つコンテンツを発信することで、自社の存在を知ってもらうきっかけを作ります。
ブランディング 「この領域といえばA社」というように、自社の専門性や強みをコンテンツを通じて発信し、ユーザーの中でのポジショニングを確立します。
態度変容の促進 認知から関心、比較検討、購買へと、ユーザーの心理状態を段階的に変化させることで、最終的な成果につなげます。
BtoBにおける特性と重要性
BtoBコンテンツマーケティングには、BtoCとは異なる特性があります。この違いを理解しておくことで、より効果的な施策設計が可能になります。
意思決定者が複数である BtoB商材の購買には、担当者だけでなく上長や経営層、関連部門など複数の意思決定者が関与します。そのため、コンテンツは社内で共有・回覧されることを前提に、論理的で説得力のある内容が求められます。
検討期間が長い 商材単価が高く、導入による影響範囲も大きいため、購買までの検討期間が長期化する傾向があります。認知してからすぐに購入に至ることは少なく、情報収集や他社比較に時間をかけるのが一般的です。
購買プロセスが複雑である 社内での稟議や予算確保、複数部門との調整など、購買までのプロセスが複雑です。そのため、各段階で適切な情報を提供し、意思決定を支援するコンテンツが必要になります。
こうした特性から、BtoBにおけるコンテンツマーケティングは「リード獲得」だけでなく、獲得したリードを「育成(ナーチャリング)」し、商談化・受注へとつなげるまでの一連のプロセスを設計することが重要になります。コンテンツマーケティング単体ですべてを解決するのではなく、営業部門との連携を前提とした施策設計が求められます。
オウンドメディアやコンテンツSEOとの違い
コンテンツマーケティングに関連する用語として、「オウンドメディア」「コンテンツSEO」がよく使われます。これらは混同されやすいため、違いを整理しておきましょう。
オウンドメディア 自社で運営するWebメディアやブログを指します。コンテンツマーケティングを実践するための「場所(器)」として位置づけられます。店舗経営に例えると、オウンドメディアは「店舗」そのものであり、その中に蓄積されるコンテンツが「販売員」に相当します。
コンテンツSEO 検索エンジンからの流入を目的としたコンテンツマーケティング手法です。ユーザーが検索しそうなキーワードを起点にコンテンツを制作し、検索上位表示を狙います。コンテンツマーケティングの一手法として位置づけられ、リード獲得につながりやすいターゲットを効率的に集客できるというメリットがあります。
コンテンツマーケティング コンテンツを活用した包括的なマーケティング活動を指します。オウンドメディアでの記事発信、ホワイトペーパーの提供、メルマガ配信、動画コンテンツなど、様々な手法を含む上位概念です。
これらの関係性を理解した上で、自社の目的に合った施策を選択することが重要です。「オウンドメディアを立ち上げること」や「SEO記事を書くこと」を目的にするのではなく、事業目標から逆算してコンテンツマーケティング全体を設計する視点を持つことが成功の鍵となります。
BtoBコンテンツマーケティングで活用される手法
BtoBコンテンツマーケティングでは、目的やターゲットに応じて複数の手法を組み合わせて活用します。ここでは代表的な4つの手法について、それぞれの特徴と活用のポイントを解説します。
SEOコンテンツ(検索流入の獲得)
SEOコンテンツとは、検索エンジンからの流入を目的として制作するコンテンツです。ユーザーが検索しそうなキーワードを起点に、そのニーズを満たす記事を制作し、検索結果での上位表示を狙います。
SEOコンテンツの特徴
検索をタッチポイントとするため、ユーザーの態度をある程度コントロールしやすいという特徴があります。例えば、「会計ソフト 比較」というキーワードで検索するユーザーは、すでに導入を検討している段階にいると推測できます。このように、キーワード設計によってターゲットの検討度合いを絞り込むことが可能です。
また、一度検索上位を獲得すれば継続的に流入が発生するため、広告のように配信を止めれば流入がゼロになることはありません。コンテンツ自体が資産として機能し、長期的なROI向上に貢献します。
活用のポイント
SEOコンテンツで成果を出すためには、いくつかの重要なポイントがあります。
まず、ユーザーニーズの深掘りが不可欠です。「ユーザーは何が知りたくて、何に悩み、なぜ検索したのか」を徹底して考え抜く必要があります。検索結果を眺めて上位記事を模倣するだけでは、似たようなコンテンツの量産に終わってしまいます。
また、成果が出るまでに時間がかかることを理解しておく必要があります。コンテンツが検索エンジンに評価されるまでには半年から1年程度かかることが一般的です。中長期的な視点で取り組み、継続的にコンテンツを改善していく姿勢が求められます。
検索順位1位を獲得した場合のクリック率は平均で40%程度といわれていますが、10位では1.6%程度まで低下します。この差は30倍近くにもなるため、上位表示を獲得するための戦略的な取り組みが重要です。
ホワイトペーパー(リード獲得の要)
ホワイトペーパーとは、見込み顧客にとって役立つ情報をまとめたダウンロード資料です。情報提供の代わりに、会社名やメールアドレスなどの個人情報を入力してもらうことで、リード情報を獲得します。
ホワイトペーパーの特徴
BtoCよりも購買意思決定までに多くの工程が必要なBtoBでは、気軽に情報を収集できるホワイトペーパーが特に有効です。サービスを本格検討していない潜在層にもダウンロードしてもらえる可能性があり、幅広いリードを獲得しやすくなります。
ホワイトペーパーは、リード獲得だけでなくリード育成やクロージングにも効果を発揮します。検討段階に応じて異なる種類のホワイトペーパーを用意し、段階的に購買意欲を高めていくことが可能です。
ホワイトペーパーの種類
ホワイトペーパーには、主に以下のような種類があります。
- ノウハウ・ハウツー系:課題解決の方法やベストプラクティスを解説
- 調査レポート系:市場動向や業界トレンドに関する独自調査の結果
- 導入事例系:実際の顧客の課題と解決方法、成果を紹介
- 比較・チェックリスト系:製品選定の基準や確認項目を整理
- セミナー資料系:過去のセミナーやウェビナーの内容を資料化
リード獲得数を増やしたい場合は、ノウハウ系や調査レポート系が効果的です。一方、商談化につなげたい場合は、導入事例系や比較系が有効です。目的に応じて使い分けることが重要です。
活用のポイント
ホワイトペーパーを効果的に活用するためには、ダウンロードのハードルを下げることが重要です。入力項目は必要最小限にとどめ、フォームの離脱を防ぎます。また、一目でダウンロードしたくなるようなタイトルや表紙デザインの工夫も必要です。
SEOコンテンツとホワイトペーパーを連携させることで、より効果的なリード獲得が可能になります。検索流入で集めた読者に対して、記事の内容に関連するホワイトペーパーを案内することで、自然な流れでリード獲得へとつなげられます。
メルマガ(リードナーチャリング)
メルマガ(メールマガジン)は、獲得したリードに対して継続的に情報を配信し、購買意欲を高めていくナーチャリング施策です。リード獲得後、すぐに商談化するケースは少ないため、メルマガを通じて関係性を維持・強化していくことが重要です。
メルマガの特徴
メルマガは、リードのメールアドレスさえあれば実施できる、比較的取り組みやすい施策です。同じ内容を一斉に配信するだけでなく、顧客の属性や興味関心に応じてセグメント配信することで、より効果的なコミュニケーションが可能になります。
また、開封率やクリック率などの指標を計測できるため、どのような内容が読者に響いているかを分析し、改善につなげることができます。
活用のポイント
メルマガで成果を出すためには、読者にとって価値のある情報を継続的に提供することが重要です。自社の宣伝ばかりになってしまうと、読者は離れてしまいます。業界動向やノウハウ、成功事例など、読者の役に立つ情報を中心に構成しましょう。
配信頻度も重要なポイントです。頻度が高すぎると読者の負担になり、低すぎると存在を忘れられてしまいます。週1回から月2回程度を目安に、読者の反応を見ながら調整していくことをおすすめします。
また、メルマガからホワイトペーパーのダウンロードやセミナーへの参加を案内することで、さらに詳しい情報を求めるリードを特定し、営業へのトスアップにつなげることができます。
導入事例・成功事例(信頼構築)
導入事例や成功事例は、実際の顧客がどのような課題を抱え、どのように解決し、どのような成果を得たかを紹介するコンテンツです。BtoB購買において「本当に効果があるのか」という不安を解消し、信頼構築に大きく貢献します。
導入事例の特徴
導入事例は、検討段階が進んだユーザーに対して特に効果を発揮します。サービスの機能や特徴だけでは伝わりにくい「実際に使ったらどうなるのか」という疑問に、具体的なストーリーで答えることができます。
また、同業種や類似課題を持つ企業の事例を見ることで、「自社でも同じような成果が期待できるかもしれない」という期待感を醸成できます。
活用のポイント
導入事例を効果的に活用するためには、具体的な数字を示すことが重要です。「リード獲得数が増加した」という抽象的な表現よりも、「リード獲得数が月10件から500件に増加した」という具体的な数字の方が、読者にインパクトを与えられます。
また、事例は様々なタッチポイントで活用できます。Webサイトへの掲載はもちろん、営業資料への組み込み、メルマガでの配信、ホワイトペーパー化など、複数のチャネルで展開することで、コンテンツの価値を最大化できます。
成果を出すための戦略設計
コンテンツマーケティングで成果を出すためには、施策を始める前の戦略設計が極めて重要です。「とりあえず記事を書く」「SEO対策をする」といった施策ありきの発想では、期待した成果を得ることは難しいでしょう。ここでは、成果につながる戦略設計の方法を解説します。
目的と課題の明確化
コンテンツマーケティングに取り組む前に、まず自社が抱えている課題と、コンテンツマーケティングで何を達成したいのかを明確にする必要があります。
課題の整理
コンテンツマーケティングで解決すべき課題を整理するには、現状の事業課題を洗い出すことから始めます。例えば、以下のような観点で考えてみましょう。
- リード獲得に課題がある:問い合わせ数が少ない、広告のCPAが高騰している
- 売上に課題がある:商談化率が低い、受注率が伸びない
- 認知に課題がある:指名検索が少ない、市場での認知度が低い
課題を整理したら、その課題がコンテンツマーケティングで解決できるものかどうかを判断します。コンテンツマーケティングは万能ではなく、すべての課題を解決できるわけではありません。例えば、サービス自体の競争力に問題がある場合や、営業プロセスに課題がある場合は、コンテンツマーケティング以外のアプローチが必要になることもあります。
目的の設定
課題が明確になったら、コンテンツマーケティングで達成したい目的を設定します。目的は具体的かつ測定可能なものにすることが重要です。
例えば、「認知を高める」という抽象的な目的ではなく、「月間の指名検索数を現状の2倍にする」という具体的な目標を設定します。「リード獲得を増やす」ではなく、「月間の資料ダウンロード数を100件にする」といった形です。
目的を明確にすることで、どのようなコンテンツを、どのチャネルで、どのくらいの頻度で発信すべきかが見えてきます。
ペルソナとカスタマージャーニーの設計
コンテンツマーケティングで成果を出すためには、「誰に」「どのような情報を」「いつ」届けるかを設計する必要があります。そのために有効なのが、ペルソナとカスタマージャーニーの設計です。
ペルソナの設計
ペルソナとは、自社製品・サービスのターゲットとなる架空の人物像を、具体的なイメージに落とし込んだものです。年齢や職業といった基本的な属性だけでなく、抱えている課題、情報収集の方法、意思決定における役割まで詳細に設定します。
BtoBの場合は、個人のペルソナだけでなく、所属する企業の業種や規模、組織構造なども設定しておく必要があります。また、購買に関与する複数の担当者(推進者、決裁者、影響者など)それぞれのペルソナを設定することで、より精緻なコミュニケーション設計が可能になります。
ペルソナを設定する際には、自社の希望や憶測ではなく、実際の顧客へのヒアリングやCRMデータの分析など、事実に基づいた情報を重視することが重要です。
カスタマージャーニーの設計
カスタマージャーニーとは、見込み客が購入や登録に至るまでのプロセス(旅)を可視化したものです。横軸に購買心理の段階(認知、興味・関心、比較・検討、購入など)、縦軸に顧客の行動、接点、思考、課題感、対応策を設定し、一枚絵にまとめます。
カスタマージャーニーを作成することで、各段階のユーザーが何を求めているのか、どのタッチポイントでどのようなコンテンツを提供すべきかが明確になります。
例えば、「認知」段階のユーザーには業界トレンドや課題解決のノウハウを、「比較検討」段階のユーザーには製品比較や導入事例を提供するといった形で、段階に応じたコンテンツを設計できます。
KPI設計と効果測定の方法
コンテンツマーケティングの成果を正しく測定し、改善につなげるためには、適切なKPI設計が不可欠です。
KGIとKPIの設定
まず、最終目標となるKGI(重要目標達成指標)を設定します。これは先ほど設定した目的を数値化したものです。例えば、「年間リード獲得数1,500件」「月間商談化数50件」といった形になります。
次に、KGI達成に向けた中間指標としてKPI(重要業績評価指標)を設定します。KPIは、KGI達成までのプロセスを分解し、各段階で追うべき指標を明確にしたものです。
コンテンツマーケティングにおける一般的なKPI例を挙げると、以下のようになります。
- 集客段階:対策キーワードの検索順位、表示回数、クリック数、セッション数
- エンゲージメント段階:ページ滞在時間、直帰率、回遊率
- 成果獲得段階:CV数、CVR、資料ダウンロード数、問い合わせ数
- 商談化段階:商談化数、商談化率、受注数、受注率
KPIツリーの作成
KGIからKPIへの分解を可視化するために、KPIツリーを作成することをおすすめします。KPIツリーとは、最終目標となるKGI達成に必要な要素を、樹形図で可視化したフレームワークです。
例えば、「月間問い合わせ数100件」というKGIを分解すると、以下のようになります。
問い合わせ数 = サイト訪問数 x 問い合わせページ遷移率 x フォーム入力完了率
サイト訪問数 = 検索流入 + 広告流入 + SNS流入 + その他
このように分解することで、どの指標を改善すれば目標達成に近づくのかが明確になり、具体的な施策につなげやすくなります。
効果測定のポイント
効果測定において重要なのは、見るべき指標を絞ることです。あらゆる指標を追いかけようとすると、かえって何が重要なのか見えにくくなります。
また、コンテンツマーケティングは成果が出るまでに時間がかかる施策であることを理解し、短期的な数字に一喜一憂しないことも大切です。月次や四半期での振り返りを継続的に行い、中長期的なトレンドを把握することが重要です。
事例に学ぶBtoBコンテンツマーケティングのポイント
コンテンツマーケティングで成果を出している企業には、いくつかの共通点があります。ここでは、弊社が支援してきた企業の取り組みから得られた知見をもとに、成果を出すためのポイントを解説します。
PV重視からCV重視への転換
ある企業では、オウンドメディアを立ち上げ、業界キーワードの獲得に注力していました。検索流入を増やすことを目的に記事制作を推進した結果、PVは順調に増加しました。しかし、本来の目標であるリード獲得にはなかなかつながりませんでした。
データ分析を進める過程で、「PV重視のキーワード選定」と「CV無視の作りっぱなしコンテンツ」という課題が明らかになりました。
そこでこの企業は、オウンドメディアの運用方針を根本から見直しました。具体的には、ターゲット商材を定め、その商材に関連するキーワードを選定し、そのためのコンテンツ運用という順序に転換しました。成果から逆算した設計・運用へのシフトです。
記事制作においても、制作チームと品質チェックチームを分け、それぞれが役割に徹する体制を構築しました。高品質な記事を継続的に生み出すため、学習と効率化を繰り返し、数ヶ月でコンテンツSEOの運用体制が確立されました。
この取り組みの結果、1年でリード獲得数が約10倍に拡大しました。オウンドメディアは広告に次ぐリード獲得チャネルとして社内でも認知され、さらなる投資が決定したということです。
この事例から学べるポイントは、PVを追うのではなく、CVから逆算してコンテンツを設計するという考え方です。流入数が増えても、それがリード獲得につながらなければ事業への貢献は限定的です。最終的な成果を意識した戦略設計が重要です。
ユーザーニーズに合わせたCTA最適化
先ほどの企業では、CV導線の最適化にも取り組みました。立ち上げ当初は、どの記事にも「お問い合わせ」のCTAが設置されていましたが、問い合わせはほとんど発生していませんでした。
原因を分析したところ、検索エンジンから訪問するユーザーのニーズやモチベーションと、訴求内容がマッチしていないことがわかりました。例えば、「〇〇とは」という入門的なキーワードで流入したユーザーに「今すぐお問い合わせ」を促しても、まだその段階にはないわけです。
そこで、記事それぞれに対して、CVポイントとなるコンテンツと、そのコンテンツに誘導するためのCTAパターンを精査しました。「お問い合わせ」だけでなく、「お役立ち資料」や「調査レポート」のダウンロードなど、ユーザーの検討段階に合わせた複数のCVポイントを用意しました。
記事訪問からフォーム完了まで、一連のコミュニケーションとしてつながるよう導線設計を行い、CTAのクリックやCVの発生状況を見ながら、地道なチューニングを繰り返しました。
この事例から学べるポイントは、ユーザーの検討段階に合わせて訴求内容を変えるという考え方です。すべての訪問者に同じCTAを見せるのではなく、ニーズやモチベーションに応じた適切な提案を行うことで、CVRを向上させることができます。
成果から逆算した設計思考
成果を出している企業に共通するのは、「何をやるか」ではなく「何を得たいか」から逆算して施策を設計している点です。
よくある失敗パターンとして、「オウンドメディアを立ち上げたい」「SEO対策をしたい」という手法ありきの発想があります。しかし、これでは「なぜそれをやるのか」「どのような成果を期待しているのか」が曖昧なまま進んでしまい、結果として期待した効果が得られないケースが多くなります。
成功している企業は、まず「年間でどれくらいのリードを獲得したいのか」「そのリードからどれくらいの商談・受注を生み出したいのか」という最終ゴールを明確にします。そこから逆算して、必要なセッション数、CVR、コンテンツ本数などを試算し、現実的な計画を立てています。
また、計画を立てる際には、競合状況やキーワードの難易度も考慮しています。「検索ボリュームが大きいから」という理由だけでキーワードを選ぶのではなく、「自社が勝てる可能性があるか」「CVにつながりやすいか」という観点から優先順位をつけています。
この「成果から逆算する」という思考は、コンテンツマーケティングに限らず、あらゆるマーケティング施策に応用できる重要な考え方です。
BtoBコンテンツマーケティングの実践ステップ
戦略設計ができたら、いよいよ実践フェーズに入ります。ここでは、コンテンツマーケティングを実際に進めていくための具体的なステップを解説します。
戦略策定から体制構築まで
コンテンツマーケティングを継続的に運用していくためには、適切な体制構築が不可欠です。
必要な役割
コンテンツマーケティングを推進するためには、主に以下の役割が必要になります。
- プロジェクトマネージャー:全体の戦略策定、進捗管理、予算管理を担当
- コンテンツディレクター:コンテンツの企画、品質管理、改善施策の立案を担当
- コンテンツ制作者:記事やホワイトペーパーなどの実際の制作を担当
- データ分析担当:アクセス解析、効果測定、レポーティングを担当
すべての役割を別々の人員で担う必要はなく、リソースに応じて兼任することも可能です。ただし、責任の所在を明確にしておくことが重要です。
社内リソースと外注の使い分け
コンテンツ制作をすべて社内で行うか、一部を外部に委託するかは、リソース状況や求める品質によって判断します。
社内制作のメリットは、自社のサービスや業界についての深い知識を活かせることです。一方で、リソース確保が難しい場合や、SEOなどの専門知識が不足している場合は、外部パートナーの活用が有効です。
外部に委託する場合は、戦略設計や品質管理は社内で主導し、実際の制作作業を外注するという形が一般的です。丸投げにするのではなく、外部パートナーと密にコミュニケーションを取りながら進めることが成功のポイントです。
スケジュール設計
コンテンツマーケティングは中長期的な取り組みであるため、無理のないスケジュール設計が重要です。
立ち上げ初期は、戦略策定、体制構築、初期コンテンツ制作に集中します。この期間は成果よりも基盤づくりを優先し、通常3ヶ月から6ヶ月程度を見込みます。
その後、運用フェーズに入り、継続的なコンテンツ公開と改善を行います。成果が見え始めるまでには半年から1年程度かかることを想定し、焦らずに取り組むことが重要です。
コンテンツ制作と運用のポイント
コンテンツ制作においては、品質を担保しながら継続的に発信していくことが重要です。
コンテンツ制作のプロセス
質の高いコンテンツを効率的に制作するためには、以下のようなプロセスを確立することが有効です。
- 企画:ターゲット、キーワード、コンテンツの目的を明確にする
- 構成作成:見出し構成を作成し、何をどの順番で伝えるかを設計する
- 執筆・制作:構成に沿ってコンテンツを制作する
- 編集・校正:品質チェックを行い、必要に応じて修正する
- 公開・配信:適切なタイミングで公開し、必要に応じて配信する
このプロセスをテンプレート化しておくことで、品質のばらつきを抑え、効率的な制作が可能になります。
読者視点を徹底する
コンテンツ制作において最も重要なのは、読者視点を徹底することです。「自社が伝えたいこと」ではなく、「読者が知りたいこと」を起点に設計する必要があります。
よくある失敗として、社内の人物名や専門用語を説明なく使ってしまうケースがあります。初めてその企業を知る読者にとっては、文脈がわからないことで離脱につながります。常に「初めてこの記事を読む人にとってわかりやすいか」という視点でチェックすることが重要です。
また、タイトルや見出しを「すごそうに見せる」ことに注力しすぎると、読者の期待値と実際の内容にギャップが生じ、かえって満足度が下がる可能性があります。実態に即した等身大の表現を心がけることが、長期的な信頼構築につながります。
継続的な公開を維持する
コンテンツマーケティングで成果を出すためには、一定の頻度でコンテンツを公開し続けることが重要です。月に1本公開するよりも、週に1本のペースで継続的に公開する方が、検索エンジンからの評価も高まりやすくなります。
ただし、品質を犠牲にして量を追うのは避けるべきです。低品質なコンテンツを量産すると、サイト全体の評価が下がり、むしろ逆効果になる可能性があります。品質を維持できる範囲で、無理のないペースを設定しましょう。
営業連携と商談化への導線設計
BtoBコンテンツマーケティングにおいて、マーケティング部門と営業部門の連携は成果創出の鍵を握ります。コンテンツで獲得したリードが商談・受注につながって初めて、事業への貢献が実現します。
リードの受け渡し基準の明確化
マーケティングが獲得したリードを、いつ、どのような基準で営業に渡すかを明確にしておく必要があります。
一般的には、リードをスコアリングして購買意欲を判定し、一定のスコアに達したリードを「ホットリード」として営業にトスアップします。スコアリングの基準は、資料ダウンロードの種類、Webサイトの閲覧履歴、メルマガの開封・クリック状況など、複数の行動データを組み合わせて設計します。
マーケティングと営業の目標共有
マーケティング部門がリード数だけを追い、営業部門が商談化率を追うという状態では、部門間に溝が生じやすくなります。
この課題を解決するためには、マーケティング部門も「案件化数」や「商談化率」といった、営業部門の指標を意識することが有効です。自部門だけではコントロールできない指標を敢えて持つことで、「営業が求めているリードはどのようなものか」を考え、より質の高いリード創出に取り組むようになります。
営業へのフィードバックサイクル
獲得したリードがどのような結果になったかを営業からフィードバックしてもらい、コンテンツ施策の改善に活かすサイクルを構築することが重要です。
例えば、「このホワイトペーパーをダウンロードしたリードは商談化しやすい」「この記事から流入したリードはニーズがずれていた」といったフィードバックを得ることで、より成果につながるコンテンツ制作が可能になります。
定期的なミーティングを設け、マーケティングと営業が情報共有する場を持つことをおすすめします。
成果を最大化するために意識すべきこと
コンテンツマーケティングを実践していく中で、成果を最大化するために意識すべきポイントがあります。ここでは、継続的な改善、コンテンツの資産化、外部パートナーとの協業について解説します。
継続的な改善とPDCAの回し方
コンテンツマーケティングは、公開して終わりではありません。継続的に改善を重ねることで、成果を積み上げていくことができます。
リライトによる改善
すでに公開したコンテンツも、定期的に見直してリライト(書き直し)を行うことが重要です。特に以下のような場合は、リライトによる改善効果が期待できます。
- 検索順位が上がりきらない記事:ユーザーニーズの再分析、情報の追加・更新
- 流入はあるがCVにつながらない記事:CTAの見直し、導線の改善
- 古くなった情報を含む記事:最新情報への更新
リライトを行う際は、単に情報を追加するだけでなく、ユーザーの検索意図に立ち返り、本当に求められている情報を提供できているかを見直すことが重要です。
データに基づく改善
改善を行うためには、データに基づいた分析が不可欠です。Google アナリティクスやSearch Consoleなどのツールを活用して、以下のような指標を定期的に確認しましょう。
- 検索順位の推移
- 各ページのセッション数、滞在時間、直帰率
- コンバージョン数、コンバージョン率
- 流入キーワードとそのクリック数
これらのデータを分析することで、どのコンテンツが成果に貢献しているか、どこにボトルネックがあるかが見えてきます。
PDCAサイクルの定着
改善を継続的に行うためには、PDCAサイクルを組織に定着させることが重要です。
- Plan(計画):月次や四半期の目標、施策計画を立てる
- Do(実行):計画に沿ってコンテンツ制作・公開を行う
- Check(評価):KPIの達成状況を確認し、成果を分析する
- Act(改善):分析結果をもとに、次の施策に反映する
このサイクルを回し続けることで、徐々に成果が積み上がっていきます。
コンテンツを「資産」にするための考え方
コンテンツマーケティングの利点として「コンテンツは資産になる」とよく言われます。しかし、この認識には注意が必要です。コンテンツは適切に管理しなければ、資産どころか「負債」になってしまう可能性があります。
コンテンツが負債化するパターン
コンテンツが負債化するパターンには、主に以下のようなものがあります。
- 品質の低さがビジネスの足を引っ張る:不正確な情報や配慮に欠けた表現が、企業の信頼を損なう
- 低品質コンテンツの割合が高いと全体の評価が下がる:サイト全体の検索評価に悪影響を与える
- メンテナンスコストが隠れた負債になる:古い情報の更新や修正に継続的なリソースが必要になる
価値あるコンテンツの条件
コンテンツが資産として機能するためには、2つの条件を満たす必要があります。
1つ目は、ビジネスの目的に合致していることです。リード獲得を目的としたコンテンツであれば、実際にリード獲得に貢献している必要があります。たとえ多くのアクセスを集めていても、目的に沿った成果が出ていなければ、そのコンテンツの価値は低いと言わざるを得ません。
2つ目は、目的達成に貢献できる品質を持っていることです。ユーザーにとって価値のある情報を、信頼性を担保した形で提供できているかどうかが問われます。
これら2つの条件を満たすコンテンツを継続的に生み出し、適切にメンテナンスしていくことで、初めてコンテンツは資産として機能します。
外部パートナーとの協業のポイント
コンテンツマーケティングを推進する中で、外部パートナーの活用を検討するケースも多いでしょう。戦略設計やコンテンツ制作において、専門的な知見を持つパートナーとの協業は、成果創出を加速させる有効な手段です。
外部パートナー活用の判断軸
外部パートナーを活用すべきかどうかは、以下のような観点で判断します。
- 社内に専門的なノウハウがない場合:SEOやコンテンツ戦略の知見がなく、独学での成功が難しい
- リソースが不足している場合:コンテンツ制作に割ける人員や時間が限られている
- 客観的な視点が必要な場合:社内の考えに縛られず、第三者の視点からの提案を求めたい
特に戦略設計の段階では、多くの支援実績を持つ外部パートナーからの知見が有効です。自社では気づかなかった課題や改善ポイントを指摘してもらえる可能性があります。
パートナー選びのポイント
外部パートナーを選ぶ際には、以下のポイントを確認することが重要です。
まず、過去の実績を確認しましょう。どのような業種・規模の企業を支援し、どのような成果を上げてきたかを具体的に聞くことで、自社への提案内容をイメージしやすくなります。
次に、得意分野を理解しましょう。戦略設計に強い会社、SEOに特化した会社、コンテンツ制作に強い会社など、パートナーによって強みは異なります。自社が求める支援内容に合致しているかを見極めることが重要です。
また、コミュニケーションのスタイルも重要なポイントです。一方的に提案するだけでなく、自社の状況や課題を深く理解しようとする姿勢があるかどうかを確認しましょう。
パートナーとの協業における注意点
外部パートナーを活用する際には、丸投げにならないよう注意が必要です。戦略の方向性や成果の評価は自社が主導し、パートナーはその実現を支援する立場という関係性を保つことが重要です。
また、「安いから」という理由だけでパートナーを選ぶのは避けるべきです。コンテンツの品質はマーケティングの成否を左右する重要な要素であり、質の低いコンテンツを量産しても成果にはつながりません。
パートナーがユーザーニーズの深掘りや正しい情報発信に対してどのような姿勢を持っているか、実際の制作プロセスを確認することをおすすめします。
まとめ
BtoBコンテンツマーケティングは、見込み顧客に価値ある情報を提供し、リード獲得から商談化、受注までを支援するマーケティング手法です。広告に頼らず、継続的にリードを創出できる仕組みを構築できる点が大きなメリットです。
成果を出すためには、施策ありきではなく、事業目標から逆算した戦略設計が不可欠です。目的と課題を明確にし、ペルソナやカスタマージャーニーを設計した上で、適切なKPIを設定して取り組むことが重要です。
実践においては、以下のポイントを押さえることが成果創出につながります。
- PVではなくCVから逆算する:流入数を追うのではなく、最終的なリード獲得・商談化を意識した設計を行う
- ユーザーの検討段階に合わせた訴求:すべての訪問者に同じCTAを見せるのではなく、ニーズやモチベーションに応じた提案を行う
- 成果から逆算した設計思考:「何をやるか」ではなく「何を得たいか」から施策を組み立てる
また、コンテンツマーケティングはマーケティング部門だけで完結するものではありません。営業部門との連携を強化し、リードの質を高め、商談化率を向上させることで、初めて事業への貢献が実現します。
コンテンツマーケティングは成果が出るまでに時間がかかる施策です。短期的な成果を求めるのではなく、中長期的な視点で継続的に取り組み、PDCAを回しながら改善を重ねていくことが成功の鍵となります。
本記事で解説した内容が、BtoBコンテンツマーケティングに取り組む際の参考になれば幸いです。
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