「私のAI部下」を見せ合いっこしたら、レベルの違いを見せつけられた話。

齊藤 麻子(まこりーぬ)

齊藤 麻子(まこりーぬ)

Media Planner / Editor

こんにちは、KAAANのまこりーぬです。

みなさんは、「AI部下」「AIアシスタント」 を抱えていらっしゃいますでしょうか。

私も最近、自分の「AI部下」を作りました。

議事録を投げるとタスクに落とし込んでくれて、「今日はこれとこれをやってください」とリマインドしてくれる。たとえば毎朝、こんな感じで今日やることを並べてくれます。

▲私のAI部下からの朝のリマインド

ここでふと気になりました。

みんな、「AI部下」に何をやらせて、どう育てているんだろう?

そこで今回、AIをかなり積極的に使い倒していると噂の上司にお願いして、お互いのAI部下を見せ合いっこしてみることに。

──結果、設計の発想がまるで違っていた。

上司の「AI部下」は、何をしてくれるのか、どうやって育てているのか。そして私はそこから何を学んだのか。順番に残しておきます。

上司の「AI部下」は、こんなことをやってくれる

上司は、1年前くらいからAIを触り始め、AIベースのプロジェクトに取り組み続けている人です。恐ろしい成果をあげていて……話を聞くだけでゾッとします。

そんな上司の常時15〜20本走っているプロジェクトを裏で支えているのが、この「AI部下」とのことでした。

「私のこと、そしてプロジェクトのことを全部理解してくれていて、それはもう愛してやまない存在です」

しかも、人間の部下にはないメリットがある、と上司は続けます。AM3時からでも動き続けてくれて、過去の発言は全部覚えていて、「すみません忘れてました」がない。日々のフィードバックも自動で記録して、どんどん学んでいく。

実際にダッシュボードを見せてもらったところ、AI部下はこんな構造になっていました。

▲上司のAI部下「SEN」

左側のメニューには「レビュー待ち」「確認依頼」「提案」「タスク」「ブレイン」「編集室」「プロジェクト」が並びます。プロジェクトを1つ開くと、そのなかが「いま」「概要」「議事録」「修正指示書」「連絡」「知見」「FB」「データ」と細かくタブで切られている。あるクライアントのページでは、修正指示書が2件、議事録が5件、フィードバックが17件、知見が1件……と、過去の積み重ねがそのまま蓄積されていました。

具体的に何をしてくれているのか、整理すると大きく3つあります。

1. 全プロジェクトのミーティングを自動で集めて、振り分けてくれる。

前日にあったミーティングの議事録や発言記録を、AI部下が勝手に集めてくる。それぞれについて「このプロジェクトはいまこういうフェーズで、進捗はこう変わって、こういうタスクが出ています」と案をくれます。

上司は毎朝、それらの提案に対して正しいコンテキストになるようにフィードバックをし、問題がなくなった時点で振り分けを実行。こうして進捗・知見・フィードバックをどんどん蓄積していくのだそうです。

ちなみに、どのプロジェクトにも属さないミーティングがあれば「これ、どう振り分けたらいいですか?」と上司に確認してくれるとのこと。まるで人間のようですね。

2. コンテキストを理解し、精度の高い修正提案を作ってくれる。

たとえば、あるクライアントへのLPプレゼンが終わって、相手からフィードバックをもらったあと。本来であれば、自分でメモを起こし、修正方針を整理し、デザイナーやエンジニアに展開する作業が発生します。

そこを、AI部下がやってくれる。

過去のミーティングで誰が何を言ったか、どんな仮説で進んできたか、AI部下はずっと覚えている。だから、フィードバックを反映した精度の高い修正提案を、上司がゼロから考え直さなくても出せる状態になっているのです。

「 "AIによる修正提案の精度がどうやったら高くなるのか" は、めちゃくちゃこだわって設計してきました」と上司は話します。コンテキストをどう残し、どう読み込ませるか。その設計に、一番時間をかけてきたといいます。

3. 聞いてもいないのに、「これやっておきましょうか?」と提案してくる。

最近、とあるプロジェクトに新しいメンバーが途中参画したそうです。新メンバーはプロジェクトの背景もコンテキストも知りません。

そんなとき、上司自身は特に何の指示も出していなかったのに、AI部下がいきなりこんな提案を出してきたといいます。

「この方、プロジェクトのことをまだ理解されていないと思うので、これまでの経緯をまとめたレポートを作りしましょうか?」

これまで歩んできたプロジェクトの道のりをぜんぶ理解しているからこそ、人間が指示する前に「これやっておきましょうか?」と動ける。

……ここまで聞いて、私は自分のAI活用との設計の違いを、強く意識しました。

どうやって育てたのか

「なんでこんなことができるんですか」と深堀りしたところ、育成のポイントは大きく2つありました。

① プロジェクトのコンテキストを深く読み込ませる

ひとつ目は、それぞれのミーティングやプロジェクトを「点」ではなく「文脈の連続」として読み込ませている、という点です。

「1個のミーティングファイルだけで企画案を作ろうとしたら、内容が薄くなるんですよ。前後の文脈を辿らないと、 "結局なにを言いたかったのか" が掴めない」と上司は言います。

要は、AIが推論できる幅を、自分の頭の使い方に近づけるように設計している。 自由に発想させると点だけ拾ってくるから、自分の思考プロセスに沿って絞らせていく、と。

実は、ここに至るまで上司も試行錯誤を重ねていました。最初はプロジェクトごとに専用のダッシュボードを立てて、それぞれにAIエージェントを作成していたそうです。

プロジェクト別に専用AIを立てれば、それぞれの解像度は上がります。ですが、「全プロジェクトを横断しないといま自分がどれだけ忙しいのかが読めない」「AI部下が15人いて、マネジメントコストが高い」状態になってしまったのだといいます。

そこで方針を切り替え、プロジェクトごとのコンテキストを深く把握できる1人のAI部下に集約した そうです。

② 「自分の脳みそ」そのものをインストールしている

ふたつ目は、AI部下のなかに「自分の脳みそ」そのものが入っている、という話です。

ただ過去の発言を読み込ませているだけではなく、脳科学をベースに頭の中にある情報を構造化して蓄積している のだといいます。意思決定するときの判断の癖、情報を処理する順番、過去の発言から抽出される価値観。そういった「脳の動き方」そのものをドキュメントに落として、AI部下に読み込ませている。

また、AI部下は "いま" 興味関心があることもリアルタイムで握っているとのこと。

たとえば最近、上司はあるプロジェクトでAIを活用した取り組みが上手く回り始めていて、「この成功体験を、もっと横展開したい」と燃えています。そんなリアルタイムの熱量も、AI部下にはちゃんと伝わっているんです。

過去のコンテキストだけでなく、いま自分が何に熱中しているかまで理解しているから、AI部下は先回りして提案を出してこれる、ということでした。

「他者」ではなく、「自分」を再現する

ここまで聞いて、私は自分が何をやらかしていたかにようやく気づきました。

私のAI部下は、議事録を投げればタスクに落としてくれます。朝にリマインドもしてくれる。便利ではある。

ですが、それぞれが「点」で完結していた んです。

議事録1つ、チャット1日分、タスク1個。投げては受け取り、また投げる。Claudeのセッションは毎回切れるのに、過去のコンテキストを渡し直す習慣もない。何かの情報を取りに行くときも、「時系列で繋いで見にいく」という発想が、私には抜けていました。プロジェクト同士の繋がりも、過去の発言の積み重ねも、AI部下は何も知らない状態のまま。

もうひとつ、気づいたことがあります。私のやり方は、自分とは別の、優秀なアシスタント(他者)を作るような感覚 でした。

「他者の再現って、難しいんですよ。ただ情報を集めて格納するだけじゃ無理で。いま私が何を思っているのかを、コンテキストを含めて全部インプットする必要がありますからね」

……上司の「AI部下」を支えていたのは、結局のところインプットでした。

ミーティングやプロジェクトを横断的に読み込ませる。自分の脳の動き方をドキュメントに落として渡す。今リアルタイムで熱中していることまで載せていく。

取材を通してずっと感じていたのは、上司が「アウトプットの精度を上げる」ために、どれだけ「インプットの設計」に時間を割いているか、ということでした。

AIのアウトプットの質は、インプットの質で決まる。

この本質に、改めて気づかされました。

さいごに:自分を再現すべく、徹底的に。

これから私が手をつけるのは、まずこの2つ。

ひとつ目は、「日々の自分の言動を、AI部下にインプットし続ける」こと。今日考えたこと、今日もらったフィードバック、いま手応えを感じている企画。それを毎日、AI部下に渡し続ける。

ふたつ目は、ミーティングやプロジェクトを「横断」で渡せる設計に切り替えること。議事録を1本ずつ点で渡す運用をやめ、Claudeのセッションが切れても時系列のコンテキストが途切れない状態を作る。

……ちなみに、取材の終盤に私はふとこんな質問をしました。

「自分を再現することにフォーカスしすぎると、逆にAIの可能性を狭めてしまうことはないんですか?」と。

上司の答えはこうでした。

結局、自分のパフォーマンス以上のものはAIからは出ないんですよ。だからやっぱり、成果を上げるためには自分の地力を上げにいくしかないんです」

この一言が、ずっと頭に残っています。

AIはあくまで、自分のバリューを高めるための道具。AIを使って、自力を上げる。 それを忘れないようにしたいと思います。

この記事は、社内の知見や実績データを活用し、ユーザーにとって利便性の高いコンテンツを生み出すよう設計されたAIを活用して制作し、マーケターがレビュー・監修した後に公開しています。KAAANは、AIと人の共創によって高品質なコンテンツを効率的に制作しています。

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齊藤 麻子(まこりーぬ)

齊藤 麻子(まこりーぬ)

Media Planner / Editor

業界歴10年以上。LIGブログ編集長などを経て、2026年5月よりKAAANにジョイン。AI Drivenな自社広報・メディアプランニングを担う。著書『デジタルマーケの成果を最大化するWebライティング』(日本実業出版社)

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