社内のデジタルマーケターに口酸っぱく「専門性を捨てよ」という理由

社内のデジタルマーケターに口酸っぱく「専門性を捨てよ」という理由

社内のデジタルマーケターに、口酸っぱく伝えていることがあります。

「専門性を捨てよ」

SEOが得意だから、SEOだけやる。広告運用が専門だから、広告だけ見る。そういう働き方を変えてほしい、という話をしています。

これは専門性を軽視しているわけではありません。むしろ、専門性を活かすために、専門性に閉じこもらないでほしい、ということなんです。

デジタルマーケターの価値は成果

まず、前提として押さえておきたいことがあります。

デジタルマーケターの価値は、専門スキルそのものにあるのではありません。クライアントのビジネスを成長させること、成果を出すことに価値があります。

SEOの知識がある、広告運用ができる、データ分析ができる。それ自体は手段でしかない。その手段を使って、成果につなげることが求められています。

この前提を念頭に置くと、「専門性を捨てよ」の意味が見えてきます。

AIの恩恵をダイレクトに受け取れない

AI時代になって、特定領域だけを見ていると、成果と時間の両方で限界が出てきました。

たとえば、SEOの専門家がいたとします。AIを使って、キーワード調査が速くなった。コンテンツのドラフトも作れるようになった。個人としては、確かに生産性が上がっている。

でも、プロジェクト全体で見るとどうか。

SEOで上位表示を取っても、LPのコンバージョンが低ければ成果にならない。広告で集客しても、サイトの導線が悪ければ離脱される。メールマーケティングでナーチャリングしても、営業との連携が取れていなければ受注につながらない。

特定領域だけを最適化しても、全体が最適化されていなければ、成果は出ない。AIの恩恵をダイレクトに受け取れないんです。

成果と時間は、特定領域ではなく、全体を見ていく必要があると私たちは考えています。

プロジェクトを遅延させる理由に「人の数」がある

もうひとつ、プロジェクトを遅延させる大きな理由があります。

それは「人の数」です。

専門領域が分かれていると、人が増えます。SEO担当、広告担当、LP担当、メール担当、データ分析担当。それぞれに専門家を置くと、5人のチームになる。

人が増えると、コミュニケーションコストが増えます。

「SEOの施策を変えたので、LPも調整してください」「広告のターゲティングを変えたので、メールの内容も見直してください」「データを見たいので、各担当者から数字をもらってください」

こういったやり取りが増えるほど、プロジェクトは遅延します。

だから、領域を溶かす必要があるんです。

一人が複数の領域をカバーできれば、コミュニケーションコストは下がる。意思決定も速くなる。結果として、プロジェクト全体が加速する。

専門性に閉じこもるのではなく、どんどん領域を溶かしていく。職種の境界をなくしていく。それがAI時代のマーケターに求められることだと私たちは考えています。

AIと組み合わせると、一人でできる範囲が桁違いに広がる

「でも、複数の領域を一人でカバーするのは大変じゃないですか?」

そう思うかもしれません。従来なら、その通りでした。

でも、AIがあれば話が変わります。

SEOのキーワード調査、広告のクリエイティブ作成、LPのコピーライティング、メールの文面作成、データの集計と分析。これらの作業を、AIがサポートしてくれます。

専門領域の「深さ」はAIが補ってくれる。だから、人間は「広さ」を担えるようになる。

一人がSEOも広告もLPもメールもデータ分析も見る。それぞれの専門知識は70点でいい。AIと組み合わせれば、90点のアウトプットが出せる。そして、全体を一人で見ているから、連携の問題は起きない。

これが、AI時代のデジタルマーケターの働き方だと私たちは考えています。

最後に

「専門性を捨てよ」というのは、専門性を否定しているわけではありません。

専門性を活かしながら、領域を広げていく。AIの力を借りて、一人でできる範囲を桁違いに広げていく。そうすることで、より大きな成果を、より速く出せるようになる。

これこそが、デジタルマーケター冥利だと私たちは考えています。

特定の領域だけを見ていた頃よりも、プロジェクト全体を見渡せるようになる。自分の打ち手が、どう成果につながるかが見える。やりがいも、面白さも、格段に上がります。

だから私たちは、社内のデジタルマーケターに言い続けています。

「専門性を捨てよ。領域を溶かせ。AI時代のマーケターは、そうあるべきだ」と。

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AIの考え方

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AI

マーケティング

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著者

寺倉 大史

寺倉 大史

Director

業界歴10年以上。マーケティング全体の戦略、プランニング、PM、組織開発など幅広く累計100社以上を支援。藍染職人、株式会社LIG執行役員を経て、デジタルマーケティングカンパニー『MOLTS』を設立。

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