生成AIで業務を自動化する際、定型と非定型を分けて考える理由

生成AIで業務を自動化する際、定型と非定型を分けて考える理由

生成AIを使って業務を自動化しようとしたとき、不思議なことに気づきました。

同じように「AIに任せよう」と思って取り組んでも、スムーズに自動化できるものと、何度やってもうまくいかないものがある。最初は「プロンプトの書き方が悪いのかな」とか「ツールの選び方を間違えたのかな」と思っていたのですが、どうもそういう問題ではないようでした。

たとえば、データを集計してレポートのフォーマットに落とし込む作業は、一度仕組みを作ってしまえば、あとは勝手に回ってくれます。一方で、そのレポートに「考察」を入れようとすると、途端にうまくいかなくなる。AIが出してくる考察は、なんというか、刺さらないんですよね。

この違いは何なのか。いろいろ試行錯誤するなかで、私たちはひとつの答えにたどり着きました。

それが「定型業務」と「非定型業務」という分け方です。

定型業務と非定型業務という考え方

定型業務というのは、決まったやり方がある業務のことです。手順が明確で、言われた通りにやればできる。誰がやっても同じ結果になる。そういう業務です。

たとえば、毎月の売上データをスプレッドシートに入力する作業。請求書を決まったフォーマットで発行する作業。定例レポートの数値部分を更新する作業。これらは、やり方さえ決まっていれば、誰でも(AIでも)同じようにできます。

一方、非定型業務というのは、属人的な判断が求められる業務です。状況によって対応が変わる。過去の経験や知見がないと、適切な判断ができない。そういう業務です。

たとえば、レポートを見て「今月はこういう傾向があるから、来月はこう動くべきだ」と考察を入れる作業。クライアントの課題をヒアリングして、最適な提案を組み立てる作業。コンテンツの企画を立てて、どういう切り口で書くかを決める作業。これらは、その人が持っている知見や経験によって、アウトプットの質が大きく変わります。

この2つを分けて考えるだけで、AIの使いどころがクリアになりました。

定型業務の自動化は「再現」

定型業務をAIで自動化するのは、比較的シンプルです。

なぜなら、定型業務の自動化というのは、本質的には「再現」だからです。決まったインプットに対して、決まったアウトプットを出す。その繰り返しを、人間の代わりにAIにやってもらう。

N8nやZapierのようなノーコードツールは、まさにこの定型業務の自動化に強いです。「Aが起きたらBをする」というルールを設定しておけば、あとは自動で回り続ける。

たとえば、Slackに投稿された内容を自動でNotionに転記する。フォームから送られてきた問い合わせを、自動でスプレッドシートに記録する。毎週月曜日に、先週のデータを集計してレポートを作成する。

こういった作業は、一度フローを組んでしまえば、ほぼ人の手を介さずに回すことができます。限りない再現が可能なんです。

ただし、ここで注意が必要なのは、「定型業務の自動化」と「非定型業務の自動化」を同じように考えてしまうと、うまくいかないということです。

非定型業務の自動化には「知見」が必要

非定型業務をAIで自動化しようとすると、途端に難しくなります。

私たちがよく感じるのは、AI単体で作らせたレポートや提案って、なんか刺さらないんですよね。文章としては整っているし、間違ったことは言っていない。でも、クライアントの心に響くかというと、そうでもない。

これは、AIが「知見」を持っていないからだと私たちは考えています。

たとえば、「この業界では、こういう施策がトレンドになっている」とか「このクライアントは、前回こういうフィードバックをくれた」とか「この数字の動き方は、過去の経験からすると要注意だ」とか。そういった、積み重ねてきた経験や知見があって初めて、刺さるアウトプットが生まれます。

非定型業務をAIで扱おうと思ったら、プロンプトチェーンを組んだり、過去の知見をデータとして蓄積したりする必要があります。つまり、AIに「知見」を持たせる仕組みを作らないといけない。

これは、ノーコードツールでフローを組むのとは、まったく違う作業です。手間も時間もかかる。だから、非定型業務を「AIでできるでしょ」と軽く考えてしまうと、期待した結果が出なくて困ることになります。

ごっちゃにすると何が起きるか

定型業務と非定型業務をごっちゃにして考えると、どうなるか。

よくあるのが、「記事を公開する」という業務を例にした話です。

記事を公開する作業自体は、定型業務です。CMSにログインして、タイトルと本文を入力して、公開ボタンを押す。これは手順が決まっているので、自動化できます。

でも、「どんな記事を書くか」を決める作業は、非定型業務です。読者が何を求めているか、どんな切り口なら響くか、競合と差別化するにはどうするか。これは、知見や経験がないと判断できません。

この2つを分けずに「記事作成を自動化しよう」と考えてしまうと、混乱します。公開作業の自動化はすぐできるのに、企画や執筆の自動化がなかなかうまくいかない。「AIって使えないな」と思ってしまう。

でも実際には、AIが使えないのではなくて、定型と非定型を分けて考えていなかっただけなんです。

もうひとつよくあるのが、非定型業務を定型業務として展開してしまうパターンです。

たとえば、ある人が自分の知見を活かして作ったプロンプトがあったとします。そのプロンプトを使えば、いい感じのアウトプットが出る。「これ、みんなで使おう」と思って、チームに展開する。

でも、そのプロンプトがうまく機能していたのは、作った人の知見がベースにあったからです。その知見を持っていない人が同じプロンプトを使っても、同じ結果は出ません。なぜなら、そもそもプロンプトに投げるインプットの質が違うから。

非定型業務には、属人的な要素が必ず含まれています。それを無視して「誰でもできる定型業務」として展開しようとすると、失敗します。

業務を分けて考えるだけで、プロジェクトが加速する

面白いのは、この「定型と非定型を分けて考える」というのは、AIを使うかどうかに関係なく、有効だということです。

自分たちの業務を棚卸しして、「これは定型業務だな」「これは非定型業務だな」と仕分けてみる。それだけで、何に時間をかけるべきかが見えてきます。

定型業務は、できるだけ効率化する。ツールを使う、テンプレートを作る、手順を簡略化する。あるいは、誰かに任せる。

非定型業務は、質を上げることに集中する。知見を蓄積する、フィードバックを受ける、試行錯誤を重ねる。ここに時間を使うことで、アウトプットの価値が上がります。

この仕分けができていないと、本来時間をかけるべき非定型業務に十分な時間が取れず、定型業務に追われ続けることになります。

AIの活用を考えるときも同じです。まず、自分たちの業務を定型と非定型に分ける。定型業務は、ツールやAIで自動化できないか考える。非定型業務は、AIに「知見」を持たせる仕組みを作れないか考える。

このように段階を踏んで考えることで、「AIで何ができるか」「何に時間をかけるべきか」が明確になります。

最後に

生成AIで業務を自動化しようとしたとき、うまくいくものといかないものがある。その違いは、定型業務か非定型業務かにあります。

定型業務は「再現」なので、比較的シンプルに自動化できる。非定型業務は「知見」が必要なので、仕組みを作るのに手間がかかる。

この2つをごっちゃにして考えると、混乱します。分けて考えることで、AIの使いどころがクリアになる。

そして、この考え方はAIを使わなくても有効です。業務を定型と非定型に分けて考えるだけで、何に時間をかけるべきかが見えてきます。

まずは、自分たちの業務を棚卸ししてみてください。「これは定型業務だな」「これは非定型業務だな」と仕分けてみる。それだけで、プロジェクトの進め方が変わってくると私たちは考えています。

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AIの考え方

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AI

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著者

寺倉 大史

寺倉 大史

Director

業界歴10年以上。マーケティング全体の戦略、プランニング、PM、組織開発など幅広く累計100社以上を支援。藍染職人、株式会社LIG執行役員を経て、デジタルマーケティングカンパニー『MOLTS』を設立。

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