生成AIをマーケティングで活用する際、大半は完全自動化を目指さない理由
生成AIを使えば、マーケティング業務を自動化できる。
そう期待して取り組み始めました。レポート作成、コンテンツ制作、市場調査、広告のクリエイティブ。いろいろな業務をAIに任せようとしました。
結論から言うと、私たちは完全自動化を目指すのをやめました。
理由はシンプルです。マーケティングの業務の大半は、完全自動化に向いていないからです。
マーケターの業務の大半は非定型業務
マーケティングの仕事は、対象が「人」で、ゴールが「成果」です。
人の気持ちは論理だけでは動かない。同じ条件でも、タイミングや文脈で反応が変わる。去年うまくいった施策が、今年は通用しないこともある。
これが非定型業務の特徴です。決まったやり方がない。状況によって最適解が変わる。属人的な判断が求められる。
AIに任せてみると、この特性がはっきりします。
たとえば、レポートを作らせてみる。数字を集計するところまでは問題ない。でも、考察を入れようとすると、なんというか、刺さらないんですよね。
文章としては整っている。間違ったことは言っていない。でも、クライアントの心に響くかというと、そうでもない。
それは、AIが「知見」を持っていないからです。この業界のトレンド、このクライアントの過去のフィードバック、この数字の動き方の経験則。そういったものがないと、刺さるアウトプットにはならない。私たちはそう考えています。
炎上や成果の責任をAIは負えない
もうひとつ、根本的な問題があります。
AIのアウトプットで何か問題が起きたとき、責任を取るのは人間です。
炎上したコンテンツを公開してしまった。成果が出ない施策を実行してしまった。そのとき、「AIがそう言ったから」は通用しません。
マーケティングは、企業の顔として発信する仕事です。ブランドイメージに直結する。一度失った信頼を取り戻すのは、とても大変です。
だから、人間のチェックが必要なんです。
AIを使うことで効率は上がる。でも、最終的な判断と責任は、人間が持つ。この構造は変えられないと私たちは考えています。
どれだけ大変でも、非定型業務にはレビューを入れる
「レビューを省略すれば、もっと効率化できるのでは?」
そう思ったこともあります。でも、やってみると、かえって手戻りが増えました。
AIのアウトプットには、微妙なズレがあります。方向性は合っているけど、細部がちょっと違う。そのまま出してしまうと、クライアントから指摘が入って、結局やり直しになる。
最初にレビューを入れておけば、30分で済んだ修正が、後から気づくと3時間かかる。そういうことが何度もありました。
だから私たちは、どれだけ大変でも、非定型業務にはレビューを入れる、というルールを作りました。
レビューを省略するのは、定型業務だけ。非定型業務は、必ず人の目を通す。これを徹底しています。
レビューを資産にして、時間を短縮する
「でも、レビューの時間がかかりすぎて、効率化の意味がないのでは?」
その懸念はもっともです。
私たちがやっているのは、レビューを資産として残すことです。
具体的には、レビューで指摘した内容を、プロンプトに反映していきます。「こういう表現は使わない」「こういう切り口で書く」「こういうデータを必ず入れる」。フィードバックをプロンプトに組み込んでいく。
そうすると、同じ指摘を何度もしなくて済むようになります。AIのアウトプットの精度が上がるので、レビューにかかる時間も短くなる。
レビューの回数は減らない。でも、1回あたりの時間は短くなっていく。これが、私たちが目指している状態です。
最後に
生成AIをマーケティングで活用する際、私たちは完全自動化を目指していません。
マーケターの業務の大半は非定型業務で、対象が人、ゴールが成果だから。炎上や成果の責任を、AIは負えないから。同じ条件でも、同じアンサーにならないから。
だから、どれだけ大変でも、非定型業務にはレビューを入れる。そして、レビューを資産として残し、時間を短縮していく。
完全自動化ではなく、人とAIの協働。それが、マーケティングにおけるAI活用の現実的な形だと私たちは考えています。
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