メディア反響を市場開拓に活かす4ステップ
東山 博行
Marketing Director / Consultant
想定場面や課題
製品を一般向けに販売したが、思ったように売れなかった。そんなとき、たまたまメディアに取り上げられたことがきっかけで、当初とは違う層から注目が集まることがある。例えば、価格や機能が合わなかった一般消費者ではなく、企業や専門職などの別の層から「自分たちの課題を解決できるかもしれない」と反応があったケース。
このような予期せぬ反響は、うまく活用すれば新しい市場を広げるチャンスになる。しかし多くの場合、企業は当初のターゲットにこだわってしまい、せっかくの反響を活かしきれないまま終わってしまう。重要なのは、メディアでどう紹介されたかを分析し、「どんな人が、どんな文脈で興味を持ったのか」を見極めること。
そのうえで、価値の伝え方や販路を見直せば、思いがけないターゲット層に対して、新しいアプローチが可能になる。
解決策
偶発的なメディア露出を「一時的な話題」で終わらせず、新しい市場開拓のチャンスに変えるために、有効だったのが次の4ステップ。
1. 誰が反応したかを分析する
まず、メディア掲載後に増えた問い合わせやSNSでの言及から、「どんな人が、どんな課題を感じて反応したのか」を整理する。
・問い合わせ内容や職種、業界
・SNSで語られている文脈
・当初の想定ターゲットとの違い
2. 新たな市場の仮説を立てる
得られた反応から、「新しい市場として成立しそうか」を判断する。
・製品がその層の課題をどう解決できるか
・一時的ではなく継続的なニーズがあるか
・競合状況はどうか(他社が参入しているか)
3. 訴求内容を最適化する
新しいターゲット層に刺さるよう、価値の伝え方を変える。
・どの機能を前面に出すかを調整する
・「どんな場面で使えるか」を具体的に示すことで、自分ごと化しやすくする
・実際の活用例や数字を加え、納得感を高める
4. プロモーション戦略を見直す
届けたい人に届くチャネルとメッセージを設計し直す。
・業界専門メディアやBtoB展示会を活用
・メッセージは、当初のターゲットとは異なる切り口で
このように、「思いがけないメディア反響」から出発し、ユーザー分析→市場仮説→価値の再設計→戦略の調整を順に進めることで、新たなターゲット層に向けた事業展開が可能になる。重要なのは、偶発的な露出を「戦略の起点」に変える視点だ。

