業務支援系クラウドサービス企業が、デジタルマーケティングに苦戦
マーケティング組織を再構築し、1年で国内シェアNo.1を獲得
永田 さおり
Growth Architect
背景
業務支援系クラウドサービス企業では、リファラル依存による案件獲得が主軸となっており、新規顧客の獲得が頭打ちになっていた。事業拡大に向けてより多くの企業にサービスを届ける必要がある中、デジタルマーケティングの活用が不可欠だったが、組織内には専門知識を持つ人材がおらず、何から始めるべきか指針が不足していた。
さらに、事業を加速させるためには、早い段階で実効性のあるマーケティング体制を整えることが求められた。課題解決のため、社内の人脈を活用してデジタルマーケティングに精通した外部パートナーが参画。
パートナーと協力し、「誰に、何を、どのように届けるべきか」という基本戦略を整理。ターゲットとなる顧客を特定し、提供価値を明確にした上で、デジタルマーケティングを推進するための戦略基盤を構築した。これにより、顧客獲得に向けた初期準備が整った。
しかし、整理した情報を具体的な施策へと展開する段階で新たな課題が発生。実施計画や運用ノウハウの不足により、マーケティング施策の具体化ができず、専門的な支援が必要となり、さらなる外部の協力が必要に。
今後は、整理した情報を基に施策を立案・実行し、結果を検証しながら戦略を最適化するサイクルを確立することが求められる。また、内部リソースのスキル向上やマーケティング体制の強化を図り、持続可能な成長を目指す必要もあった。
具体的なプロセス
STEP
1
事実に基づく情報整理とターゲットを定義
どのようなターゲットが実際の顧客になるのか、それらを明確にするために、直近で商談が進んでいる案件にフォーカスを当て、これまでの全商談データを元に定性分析を実施。分析からなぜ受注に至ったのかはもちろん、反対に、なぜ失注になったかなどを具体的に情報収集し、原因と傾向を分析した。
商談データで得られた内容をもとに訴求すべきターゲット像を再定義。また、既存のターゲット像との違いも整理し、方針の修正が必要と判断。
STEP
2
成果ファーストの戦略を再設計し、施策の方針を固める
調査をもと明らかになった訴求すべきターゲット像をもとに、新たなカスタマージャーニーなどを再作成。それと同時に各チャネルの課題、課題に対する解決方法を整理、全体戦略に落とし込んだ。解決すべき課題が多い中、短期で成果を出すためにどうすれば良いかという視点で、各施策の優先順位を決定。
各施策の中で全チャネルの受け皿となっているサービスサイトが成果へのインパクトが大きい、かつ他の施策を行なってもサービスサイトでリードの取りこぼしが起きてしまうと他の施策を行なっても成果につながらない可能性があったため、サービスサイトの改修から着手することに。
次にリードの母数を最大化するため、デジタル広告やコンテンツSEOに着手する方針に。
STEP
3
体制構築をしながら施策をスピーディーに実行
全体戦略、施策立案、実行施策が決定したが、それを実行するための体制やリソースがなかった。そのため、施策実行に必要なスキルセットを棚卸し、業務委託をアサインしスピーディーに体制を構築。
Jカーブの事業成長を実現するために、施策実行のスピードを常に意識。また、ベンチャー企業特有のやるべきことが多い、かつ優先順位の変更が常に発生することを念頭におき、スピードを落とさないように柔軟に対応。
結果または成果
マーケティング組織を立ち上げ、約1年で国内市場No.1のシェアを獲得
当時、マーケティングのノウハウがまったくなく、何から始めればいいかわからない状態から、ターゲットの言語化と見直しを実施し、訴求内容や実行施策を決定できた。また施策を実行するための体制構築も行い、売れ続ける仕組みを早期に構築できたことで、約1年で国内市場No.1のシェアを獲得できた。
国内での販売体制が構築できたことにより、今後はグローバル展開も視野にいれさらなる事業展開を考えている。

