最小限から始める、ブランドガイドラインの整え方

藤牧 篤

藤牧

Design Director / Project Manager

想定場面や課題

ブランドガイドラインの構築プロジェクトが始まると、多くのチームは「最初から完璧なものを作ろう」としてしまう。理想的な完成形を目指すあまり、時間や工数を大きく割いてしまい、結果として運用にたどり着く前に立ち止まってしまうケースも少なくない。

さらに、実際には初期段階で必要のない項目まで詳細に盛り込んでしまい、実務とのバランスが取れなくなる問題もある。ガイドラインは組織全体が同じ認識でブランドを扱うための共通言語であり、全体設計においては「今、本当に必要とされているかどうか」という視点を持たないと、一貫性を保った運用は難しくなる。

限られたリソースの中でガイドラインを整えるには、何を優先すべきか、その判断基準と設計の順序が極めて重要になる。

解決策

ガイドラインを現実的かつ効果的に構築するには、最初から全体像を網羅しようとするのではなく、今必要なものから順に組み立てていく方法が適している。初期の段階では、ロゴ・カラー・タイポグラフィといった、使用頻度の高いベーシックな要素が必要になる。

これらはあらゆるビジュアル表現の基盤となるため、他の要素よりも優先的に規定する必要がある。

次は、直近のブランド展開で発生するであろう「判断に迷いそうな場面」。例えば、ビジュアル素材の扱いは、同じ写真を使うにしてもトリミングの仕方や情報の組み合わせによって印象が大きく変わる。

そのため、扱いに個人差が出やすい部分については、あらかじめ判断基準を明文化しておくことが望ましい。こうした点は、デザイナーだけでなく他部門の関係者が判断する可能性があるため、具体的な「いい例・悪い例」を示すことが有効になる。

このとき重要なのは、遠い将来の理想状態を思い描くのではなく、「次の展開で何が必要か」「どこでつまずく可能性があるか」といった少し先の未来を見据えること。たとえば、1ヶ月後にSNS投稿を始める予定があるなら、その投稿フォーマットやアイキャッチのルールを先に整える。

このように、近い将来の実務から逆算して優先順位をつけることで、無理なく実用性の高いガイドラインが作れるようになる。また、整備するだけでなく、誰が見てもわかりやすい形にしておくこと。

実際の運用者は必ずしもデザインに精通しているとは限らないため、判断に迷いやすい項目こそ、言葉と視覚の両方で補完しながら構成することが求められる。段階的に整備することで、初期フェーズの負担を抑えながら、事業やサービスの成長に応じて項目を追加していく柔軟な体制が整う。

著者

藤牧 篤

藤牧 篤

Design Director / Project Manager

デザイナーからクリエイティブディレクター、マネージャーを歴任。2024年9月よりKAAANに参画。事業開発を中心にプロダクト設計、ブランド構築、インターフェイスデザインなど、クリエイティブ領域を幅広く担当。

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