成長期のライフスタイルメディアが、収益性が低く事業継続の危機 売上700万へ大幅に向上させ、メディアの収益化とマネタイズ体制を確立

著者: 株式会社KAAAN 岸 晃

背景

デジタルサービスを展開する企業が運営するキュレーションメディアは、立ち上げから1年余りで60万MAUを達成し、順調にユーザーを拡大していた。一方で、親会社からはメディア規模に対して収益が伴っていないとの指摘があり、収益化が急務となっていた。 当時はメディア規模拡大を優先して運用していたが、今回提示された撤退基準は高く、事業単体としての収益性が求められる状況だった。運営チームは収益化の本格化を決断し、まずは単月売上700万円の達成を目標に設定。開始時点では月間200万円前後と、目標達成には大きなギャップがあった。 課題の本質は、収益化への取り組み不足とメディア運営・マネタイズの知見不足にあった。社内には成功事例も前例もなく、収益化のノウハウも蓄積されていなかったため、ゼロベースで仕組みを構築する必要があった。

STEP1

メディアの収益化に向け、まずは社内の既存メディア担当者へのヒアリングと、競合メディアのビジネスモデル調査から開始。当時はまだサービスとしての規模が小さかったこともあり、情報交換を目的としてメディアの担当者と会い、ヒアリングを実施。 また、さまざまな交流会に参加したり、知り合いを通じてメディア担当者のネットワークを広げたりして、キュレーションメディアの収益化について詳しく調査した。調査の結果、各メディアの売上構造やマネタイズ手法を把握し、ネットワーク広告、アフィリエイト広告、純広告の3つが主要な収益手段であると整理した。 特にネットワーク広告においては、複数の広告システム業者と接続し、単価の高い業者にインプレッションを配分することで、収益最大化を図るモデルが有効であると理解。また、グルメやお出かけ系コンテンツはアフィリエイト単価が低く、純広告を回すにはメディア規模が足りないなど、領域ごとの収益性の特性も明らかになった。

STEP2

収益モデルと自社メディアの相性がもっとも良く、効果が見込めるネットワーク広告に注力すべく、専任のマネタイズ担当者を配置し、業者開拓と広告枠の最適化を進行。複数業者と接続し、業者間で単価を競わせるために、パフォーマンスをもとにインプレッションを振り分ける仕組みを作ることで、単価の引き上げを狙った。 また、ユーザー属性と記事テーマ別に収益性の高い構成を分析。たとえば、高級旅館やホテルを扱う記事では、文字量を抑えたリッチな広告クリエイティブのほうが成果が良いなど、仮説検証を繰り返して最適化を図った。

STEP3

続いて、アフィリエイト導入を強化。さまざまな商材を調査する中で、特定の商材カテゴリーは極端に単価が低く、別のカテゴリーは単価が高いが、大手企業が注力していたため競争が激しいことが判明。一方で、成長期にある新しいサービス領域では条件が緩く、広告出稿も活発だったため取り組みやすかった。 具体的には、人気のあるエリアの観光記事にアフィリエイトリンクを設置し、売上を伸長。CVが大きく増加し、プロジェクト全体の収益を牽引した。 一方で、準広告やタイアップはメディア規模の制約から優先度を下げ、広告収益とアフィリエイトの最適配分を意識して展開した。

結果

目標としていた単月売上700万円を達成。他メディアでも未到達だった水準を実現したことで、社内におけるマネタイズモデルの確立につながった。 施策の再現性が評価され、以降のメディア展開における共通指針として社内展開されたことも大きな成果だった。収益を最大化するだけでなく、ユーザー体験やブランドとのバランスをどう取るかという観点での知見も蓄積され、今後の中長期戦略の土台にもなった。 振り返りとして、一部の領域に特化したことで得られた成果は大きかったが、その一方で、より広範なアフィリエイト領域へのチャレンジや、中長期でのユーザー関係構築も視野に入れた施策設計もあればより良い成果が得られていたと捉えている。
タグ: 収益効率, 広告改善, 施策ヒント

成長期のライフスタイルメディアが、収益性が低く事業継続の危機

売上700万へ大幅に向上させ、メディアの収益化とマネタイズ体制を確立

本ケーススタディスタディは、実際にあった事例をもとに組み立てられていますが、匿名性、NDA上の問題により、こちら側が提供した内容、かつ詳細データを掲載しないことを前提にし、意図がずれないように変更されております。また、数値データなどは、誇張がないよう低く掲載されていますので、実際のデータとは異なることがあります。

背景

デジタルサービスを展開する企業が運営するキュレーションメディアは、立ち上げから1年余りで60万MAUを達成し、順調にユーザーを拡大していた。一方で、親会社からはメディア規模に対して収益が伴っていないとの指摘があり、収益化が急務となっていた。当時はメディア規模拡大を優先して運用していたが、今回提示された撤退基準は高く、事業単体としての収益性が求められる状況だった。運営チームは収益化の本格化を決断し、まずは単月売上700万円の達成を目標に設定。開始時点では月間200万円前後と、目標達成には大きなギャップがあった。課題の本質は、収益化への取り組み不足とメディア運営・マネタイズの知見不足にあった。社内には成功事例も前例もなく、収益化のノウハウも蓄積されていなかったため、ゼロベースで仕組みを構築する必要があった。

補足要件

  • ブランド毀損を避けつつ、広告収益とユーザー体験の両立が大きな課題だった

具体的なプロセス

STEP 1

市場調査と収益手段の整理

メディアの収益化に向け、まずは社内の既存メディア担当者へのヒアリングと、競合メディアのビジネスモデル調査から開始。当時はまだサービスとしての規模が小さかったこともあり、情報交換を目的としてメディアの担当者と会い、ヒアリングを実施。また、さまざまな交流会に参加したり、知り合いを通じてメディア担当者のネットワークを広げたりして、キュレーションメディアの収益化について詳しく調査した。調査の結果、各メディアの売上構造やマネタイズ手法を把握し、ネットワーク広告、アフィリエイト広告、純広告の3つが主要な収益手段であると整理した。特にネットワーク広告においては、複数の広告システム業者と接続し、単価の高い業者にインプレッションを配分することで、収益最大化を図るモデルが有効であると理解。また、グルメやお出かけ系コンテンツはアフィリエイト単価が低く、純広告を回すにはメディア規模が足りないなど、領域ごとの収益性の特性も明らかになった。

詳細アドバイス
デジタルメディア収益化の初期に効く、成功事例の読み解き方
デジタルメディアの収益化は、いきなり複数手法をやらないのが鉄則
STEP 2

運用体制の強化と広告効果の改善

収益モデルと自社メディアの相性がもっとも良く、効果が見込めるネットワーク広告に注力すべく、専任のマネタイズ担当者を配置し、業者開拓と広告枠の最適化を進行。複数業者と接続し、業者間で単価を競わせるために、パフォーマンスをもとにインプレッションを振り分ける仕組みを作ることで、単価の引き上げを狙った。また、ユーザー属性と記事テーマ別に収益性の高い構成を分析。たとえば、高級旅館やホテルを扱う記事では、文字量を抑えたリッチな広告クリエイティブのほうが成果が良いなど、仮説検証を繰り返して最適化を図った。

詳細アドバイス
アフィリエイトは、メディアの特性を踏まえて商材を選ぶ
広告収益とユーザー体験を両立する仕組みづくり
STEP 3

アフィリエイト強化と収益の最大化

続いて、アフィリエイト導入を強化。さまざまな商材を調査する中で、特定の商材カテゴリーは極端に単価が低く、別のカテゴリーは単価が高いが、大手企業が注力していたため競争が激しいことが判明。一方で、成長期にある新しいサービス領域では条件が緩く、広告出稿も活発だったため取り組みやすかった。具体的には、人気のあるエリアの観光記事にアフィリエイトリンクを設置し、売上を伸長。CVが大きく増加し、プロジェクト全体の収益を牽引した。一方で、準広告やタイアップはメディア規模の制約から優先度を下げ、広告収益とアフィリエイトの最適配分を意識して展開した。

詳細アドバイス
商業メディアの収益化モデルを横展開するときに、注意すべきこと
ネットワーク広告は、日次の細かなモニタリング勝負を分ける

結果または成果

単月売上700万円達成、マネタイズ・収益化モデルとして社内展開へ

目標としていた単月売上700万円を達成。他メディアでも未到達だった水準を実現したことで、社内におけるマネタイズモデルの確立につながった。施策の再現性が評価され、以降のメディア展開における共通指針として社内展開されたことも大きな成果だった。収益を最大化するだけでなく、ユーザー体験やブランドとのバランスをどう取るかという観点での知見も蓄積され、今後の中長期戦略の土台にもなった。振り返りとして、一部の領域に特化したことで得られた成果は大きかったが、その一方で、より広範なアフィリエイト領域へのチャレンジや、中長期でのユーザー関係構築も視野に入れた施策設計もあればより良い成果が得られていたと捉えている。

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企業

株式会社KAAAN

純広告・記事広告 , コンテンツマーケティング , マーケティング戦略

プロセスでなく、成果を、事業成長を提供

KAAANは、漠然とした企業、事業の業績やマーケティングの課題に対して、現状を把握し、診断し、今、やるべきことを明確化。ゴールに向けて伴走し、業績向上・成果最大化を請負うマーケティングエージェンシーです。

著者

岸 晃

Marketing Director / Consultant

1994年、東京生まれ。2018年にグリー株式会社に新卒入社、SEO中心にBtoCメディアのリリースからグロース、約100名のマネジメント、組織開発、ビジネス開発など総合的な事業作りに携わる。2024年3月にTHE MOLTSに参画し、現在はSEOやコンテンツマーケティングを軸としたメディア・サービスのグロース支援、インハウス運用支援を行う。