コロナで広告経由の収益が悪化した、国内サービス企業
広告運用の改善で目標売上120%達成、売上数十億円越え
東山 博行
Marketing Director / Consultant
背景
toC、toB 向けに国内サービスを提供している企業は、新型コロナウイルスの流行により利用者数が激減。また、状況を考慮して広告の停止を余儀なくされた。そんな中、需要喚起と売上が減少してしまった事業者への支援として、政府主導の大規模支援事業が実施されることとなった。
売上を回復するために、この支援事業を活用して自社キャンペーンを展開することに。
今回実施するキャンペーンは、従来の季節性需要や定期的なプロモーションだけではなく、感染状況やユーザー心理の変化(不安期、自粛疲れ期など)を考慮した広告プランニング、日々変わる感染状況にスピーディーかつ柔軟に対応できる体制が必要。
さらに、準備期間が短いだけでなく、売上目標は従来のキャンペーンより大幅に上回るため、より高度な戦略が求められた。
そのため、売上目標を達成するための精密なターゲティングやシナリオを含む広告戦略の立案、効果的な施策の実行、感染状況や市場の変化に即応できる柔軟かつ迅速な広告運用体制の構築を目指すこととなった。
具体的なプロセス
STEP
1
予測がつかないながらも見立てをつくり走りだせる環境を作る
本キャンペーンでクライアントが期待していた売上は、直近の実績や過去の売上から考えても到底到達できる規模ではなかった。まず取り組んだことは、過去2年の月別実績を平場期、タイムセール期でまとめた。
そこから、月ごとやタイムセール有無で数値にどう変動があるかをIMP数、CTR、CPC、CVR、コスト、平均売上単価の観点でトレンド係数を策定した。
まったく想定のつかない部分に関しては、過去のサンプルケースをもとに仮あててで作成し、走りだす環境を整え、何度も関係者とすり合わせを重ねていった。これを2週間程度でまとめあげ形にしていった。
STEP
2
旅行におけるペルソナを再定義し、そのターゲティングとコミュニケーションの構築
まずは、旅行の中でも夏休みや冬休み、シルバーウイーク、年末年始、卒業旅行、家族旅行、スキー・スノボ旅行など旅行を細かくカテゴライズした。
そのカテゴライズした旅行からユーザーニーズやターゲットペルソナを定め、十数パターン構築しそれぞれに沿ったクリエイティブコミュニケーションを設計した。
例を挙げると過去の同時期に特定のサービスを利用したことがあるユーザーに対して、キャンペーン×時期訴求のクリエイティブをあてるなどを行った。
STEP
3
環境の変化が目まぐるしい中での投資と対応
緊急事態宣言が発令された地域には、広告の配信停止をする必要があった、また、自社判断のみでなく、政府の決定によって方針が一転することもあったので、常に情報を拾えるようテレビニュースをつけながらの業務を実施していた。
朝に決定したことが、夕方には方針が変わっている、というようなことが多々続いた。
かつ、なかなか情報が上層部から下りてこないケースも多々あったため、連絡を待っての対応ではなく、何かしらの速報が出た場合は機敏に対応。「こういう速報がでこういう方針で対応していくが問題ないか」や、「いま広告投資をしてもおそらく成果につながらないためもともと予算組みしていたところをプールしていくがよいか」など、週次の定例ミーティングとデイリーで常に自主的なコミュニケーションを実施していった。
結果または成果
キャンペーンで目標比120%の売上を達成、中長期先の見込み顧客も獲得
状況の変化や規制の変更が繰り返されたり、第二派、第三派のような流行と終息を繰り返しながら広告配信を行った。予測をたて状況や時期をみながら、需要期に適切な投資を図れたことで、今回のキャンペーンで目標売上を大幅に上回る成果の達成ができた。
一番重要だったポイントは体制を整えスピーディーに行動をうつせた点だと考える。また、今回ペルソナやターゲットを再定義したことで、すぐに購買にはつながらなかったものの、状況改善後にサービス利用を検討してもらえるようなコミュニケーションも取れたので、結果的に将来的な見込み顧客の獲得もできたと考えている。

