大手デジタルサービス企業における、SEO施策の経験不足問題
ポータルサイトの戦略設計とコンテンツSEO改善により、リード獲得数が約4倍に

田島 光太郎
Marketing Planner / Consultant
背景
国内の大手デジタル企業では、コミュニケーション基盤や情報サービスを活用し、ビジネス領域全般における支援サービスを多角的に展開している。
自社プロラットフォームを活用したBtoB向けサービスのインバウンドマーケティングの総リード数を最大化する必要があったが、保有しているポータルサイトが最低限のマーケティング機能を備えておらず、一般キーワードどころか指名キーワードでさえ検索上位を獲得できていなかった。
今回のプロジェクトでは、プラットフォームを基盤としたBtoB向けサービスにおいて、オンライン上でのリード獲得体制の強化を共通ミッションとした。
補足要件
- マーケティング機能に特化したリニューアル設計を実施
- コーポレート機能と住み分けた明確なサイト設計が必要だった
- 短期での成果創出が必須であり、施策優先順位の見極めが求められた
具体的なプロセス
STEP
1
戦略設計とサイト構造の明確化
最短で最大の成果を得るため、サービスとターゲットの構造を徹底的に理解し、それに基づいてキーワード設計とサイト全体の構造設計を行い、リード獲得のプロセスと、コミュニケーション設計を実施した。
提供しているサービスと類似する競合他社が少ない領域であったため、一般的な施策の模倣は難しく、ゼロベースでの戦略立案が求められた。そのため、自社サービスの特性やターゲットを徹底的に理解。
サイトの役割を明確に整理し、必要な導線と情報設計を定義した。
STEP
2
サイトリニューアルとSEO設計の最適化
SEOの効果を最大化するために、課題となる箇所の解消と最適化をする必要があったため、STEP1の設計をもとに、ポータルサイトのリニューアルを実施。SEOの課題を洗い出し、構造・導線・コンテンツ配置を再設計した。リード獲得に特化したマーケティングサイトとして再構成し、CVに直結する導線設計を整備した。
今回、リニューアルにあたり、コーポレート機能はスコープ外とし、マーケティング機能に集中。あくまでマーケティング機能のスコープであるリード獲得に絞り設計を行った。
STEP
3
コンテンツSEO体制の立ち上げとナレッジの統一
リード獲得を最大化するために定めたキーワードで、検索順位の上位を獲得するために、コンテンツSEOに着手。しかし、コンテンツSEOの強化を行うメンバーのリテラシーや経験値が不足していたため、方針や制作の考え方を丁寧にすり合わせ、ノウハウを統一、共通認識を醸成。
手を動かしながら知識を定着させる運用スタイルで、チーム全体のコンテンツSEOスキルの底上げを図った。
結果または成果
開始1年でリード数約4倍、コンテンツ制作の体制基盤も整備
プロジェクト開始から1年で、リード獲得数は開始前比で約4倍に成長。ポータルサイトのCV導線が整備されたことで、オフラインやWeb広告など他チャネルで接点を持ったユーザーが自然検索で再訪し、問い合わせへとつながる循環が確立された。
このプロジェクトでは、サービスとターゲットへの深い理解にもとづく戦略設計、コンテンツSEOを軸とした構造・導線・コンテンツの再設計、全体での知識共有とメンバー育成による実行体制の強化という、基本をとにかく徹底したことにある。
また、オフラインのイベントや展示会、Web広告など、コンテンツSEOだけでなく、あらゆるタッチポイントで総合的にマーケティングを展開したことで、そこで認知をしたユーザーがキーワード検索を行い、CVRに最適化されたリード獲得の導線を行ったポータルサイトに訪れ、リードが生まれていくという、好循環を創出。
この取り組みを契機に、インバウンドマーケティングの推進が全社的に加速し、今後のBtoB施策における重要な基盤となった。

