技術系メーカーのtoC戦略が響かず、toB展開も足踏み状態 ターゲットの業界選定と販売モデルも見直し、月30件超のリード獲得

著者: 株式会社KAAAN 東山 博行

背景

先進的な自動化技術の開発・製造を行う企業では、製品ローンチ直後から広告展開に課題を抱えていた。当初は家庭向けのtoCをターゲットにした戦略を展開していたが、高額な本体価格に加え、継続的な利用料が必要な価格設計が、消費者にとって大きな障壁となっていた。 さらに、製品の利用イメージも伝わりにくく、購入検討に至る顧客は限定的だった。 販促強化策としてポップアップ展示やYouTube広告などを実施したものの、製品認知や販売数の大幅な向上にはつながらず、厳しい状況が続いた。 そんな中、toBへの活路も模索し始めており、飲食店での活用訴求も試みたが、業界特有のニーズに適応しきれず、大きな成果は出せなかった。 その後、テレビ番組で製品が取り上げられたことで、福祉施設向けなど業務用途での可能性に注目が集まった。これを契機に法人市場への本格参入を決定。業務効率化や人手不足解消といった法人課題に応える価値訴求へと戦略を転換し、新たなマーケティングプロジェクトが始動した。

STEP1

当初のtoC向け戦略では、価格や製品特性、訴求内容がターゲットと合致せず成果を出せていなかったが、テレビ露出を機に、法人市場を主軸とした戦略に転換することを決定。自動化機能や業務効率化効果といった製品の強みに着目し、福祉・物流・施設管理など、導入が直接的な業務改善につながる分野を中心にターゲットを深掘りし、業界を選定した。 各業界への具体的な活用提案を通じて、toC向けで課題となっていた「使い方がわかりづらい」という問題を解消。業界ごとの具体的な課題解決に焦点を当てた、訴求力のあるメッセージへと再構築した。 家庭用としての汎用的な価値提案から、業界特化型の具体的な価値提案への転換が、成功への第一歩となった。この過程で重要だったのは、各業界の実態を深く理解することだった。机上の想定ではなく、実際の現場ニーズを把握することで、製品の価値を最大限に引き出す提案が可能となった。

STEP2

新たなターゲット層として、物流・介護・福祉施設など、慢性的な人手不足と業務効率向上を両立するニーズを持つ領域に注目。toC向けでは「生活が変わる」といった抽象的な価値訴求が中心だったが、法人市場では、業務課題を具体的にどうやって解決するか、という直接的な提案によって導入ハードルを下げる取り組みを行った。 製品のメリットである高い自動化精度や作業負荷軽減効果を強調しながら、業界課題に即した訴求を展開。たとえば、福祉施設向けには「夜間巡回の負担軽減」、物流倉庫向けには「ピッキング作業の効率化」といった、現場の言葉で価値を伝えることを徹底した。技術的な優位性をアピールするのではなく、各業界が抱える具体的な課題にどう応えるかを明確に示すことで、製品への理解と興味を大幅に向上させることができた。

STEP3

従来の購入モデルでは初期費用が導入の障壁となっていたため、法人顧客がスモールスタートしやすい選択肢として、継続課金型のレンタルプランを構想。新たなターゲット層とニーズに対応するため、販売方式の見直しを提案した。 この新しいモデルは、初期投資のハードルを大幅に下げることで、「まずは試してみたい」という企業のニーズに応えることができた。プロジェクト離脱後にこのプランが導入され、試験導入のハードルを下げつつ、継続収益型のモデルとして定着した。 広告戦略も法人向けに最適化。業界専門媒体への出稿、ウェビナーの開催、導入事例の積極的な発信など、B2B市場に適した施策を展開。ROIを重視した戦略的な運用により、効率的なリード獲得を実現した。

結果

人向けマーケティングへの転換により、成果は複数の面で得られた。まず、月数件だった問い合わせ数は、月30件超にまで増加。広告戦略の見直し、導入ハードルの低減、業界ニーズとの整合性が、問い合わせ数の向上につながった。 営業部門では明確なターゲットとニーズに基づく戦略設計が可能となり、営業体制の強化につながった。商談の質も向上し、成約率の改善も見られた。最終的には、インハウスによる小規模運用体制へ移行しつつ、さらなる市場拡張に向けた基盤を構築した。 このプロジェクトから得られた最大の学びは、優れた技術も適切な市場と提供方法なしには価値を生まないということだった。toC市場での苦戦は、より大きな可能性を秘めたtoB市場への扉を開くきっかけとなった。製品の市場浸透とブランド価値向上に寄与し、今後の成長に向けた足掛かりを得る結果となった。
タグ: 市場選定, 広告改善

技術系メーカーのtoC戦略が響かず、toB展開も足踏み状態

ターゲットの業界選定と販売モデルも見直し、月30件超のリード獲得

本ケーススタディスタディは、実際にあった事例をもとに組み立てられていますが、匿名性、NDA上の問題により、こちら側が提供した内容、かつ詳細データを掲載しないことを前提にし、意図がずれないように変更されております。また、数値データなどは、誇張がないよう低く掲載されていますので、実際のデータとは異なることがあります。

背景

先進的な自動化技術の開発・製造を行う企業では、製品ローンチ直後から広告展開に課題を抱えていた。当初は家庭向けのtoCをターゲットにした戦略を展開していたが、高額な本体価格に加え、継続的な利用料が必要な価格設計が、消費者にとって大きな障壁となっていた。 さらに、製品の利用イメージも伝わりにくく、購入検討に至る顧客は限定的だった。販促強化策としてポップアップ展示やYouTube広告などを実施したものの、製品認知や販売数の大幅な向上にはつながらず、厳しい状況が続いた。 そんな中、toBへの活路も模索し始めており、飲食店での活用訴求も試みたが、業界特有のニーズに適応しきれず、大きな成果は出せなかった。その後、テレビ番組で製品が取り上げられたことで、福祉施設向けなど業務用途での可能性に注目が集まった。これを契機に法人市場への本格参入を決定。業務効率化や人手不足解消といった法人課題に応える価値訴求へと戦略を転換し、新たなマーケティングプロジェクトが始動した。

具体的なプロセス

STEP 1

toCからtoBへの転換とターゲット再設定

当初のtoC向け戦略では、価格や製品特性、訴求内容がターゲットと合致せず成果を出せていなかったが、テレビ露出を機に、法人市場を主軸とした戦略に転換することを決定。自動化機能や業務効率化効果といった製品の強みに着目し、福祉・物流・施設管理など、導入が直接的な業務改善につながる分野を中心にターゲットを深掘りし、業界を選定した。各業界への具体的な活用提案を通じて、toC向けで課題となっていた「使い方がわかりづらい」という問題を解消。業界ごとの具体的な課題解決に焦点を当てた、訴求力のあるメッセージへと再構築した。家庭用としての汎用的な価値提案から、業界特化型の具体的な価値提案への転換が、成功への第一歩となった。この過程で重要だったのは、各業界の実態を深く理解することだった。机上の想定ではなく、実際の現場ニーズを把握することで、製品の価値を最大限に引き出す提案が可能となった。

詳細アドバイス
メディア反響を市場開拓に活かす4ステップ
toCからtoBへ、新ターゲットに刺さる広告の作り方
STEP 2

業界ごとのニーズ整理と訴求軸の最適化

新たなターゲット層として、物流・介護・福祉施設など、慢性的な人手不足と業務効率向上を両立するニーズを持つ領域に注目。toC向けでは「生活が変わる」といった抽象的な価値訴求が中心だったが、法人市場では、業務課題を具体的にどうやって解決するか、という直接的な提案によって導入ハードルを下げる取り組みを行った。製品のメリットである高い自動化精度や作業負荷軽減効果を強調しながら、業界課題に即した訴求を展開。たとえば、福祉施設向けには「夜間巡回の負担軽減」、物流倉庫向けには「ピッキング作業の効率化」といった、現場の言葉で価値を伝えることを徹底した。技術的な優位性をアピールするのではなく、各業界が抱える具体的な課題にどう応えるかを明確に示すことで、製品への理解と興味を大幅に向上させることができた。

詳細アドバイス
売れない商材は「誰に売るか」から再定義する
予想外の注目をマーケティングのチャンスに変える考え方
STEP 3

導入障壁の低減と継続収益モデルの確立

従来の購入モデルでは初期費用が導入の障壁となっていたため、法人顧客がスモールスタートしやすい選択肢として、継続課金型のレンタルプランを構想。新たなターゲット層とニーズに対応するため、販売方式の見直しを提案した。この新しいモデルは、初期投資のハードルを大幅に下げることで、「まずは試してみたい」という企業のニーズに応えることができた。プロジェクト離脱後にこのプランが導入され、試験導入のハードルを下げつつ、継続収益型のモデルとして定着した。広告戦略も法人向けに最適化。業界専門媒体への出稿、ウェビナーの開催、導入事例の積極的な発信など、B2B市場に適した施策を展開。ROIを重視した戦略的な運用により、効率的なリード獲得を実現した。

詳細アドバイス
toB向け商材のサービス導入の不安を取り除く4つのアプローチ
試せる仕組みでBtoB製品の導入率を上げる

結果または成果

ToB主軸への転換でリード獲得数30件超、戦略的運用体制を構築

人向けマーケティングへの転換により、成果は複数の面で得られた。まず、月数件だった問い合わせ数は、月30件超にまで増加。広告戦略の見直し、導入ハードルの低減、業界ニーズとの整合性が、問い合わせ数の向上につながった。営業部門では明確なターゲットとニーズに基づく戦略設計が可能となり、営業体制の強化につながった。商談の質も向上し、成約率の改善も見られた。最終的には、インハウスによる小規模運用体制へ移行しつつ、さらなる市場拡張に向けた基盤を構築した。このプロジェクトから得られた最大の学びは、優れた技術も適切な市場と提供方法なしには価値を生まないということだった。toC市場での苦戦は、より大きな可能性を秘めたtoB市場への扉を開くきっかけとなった。製品の市場浸透とブランド価値向上に寄与し、今後の成長に向けた足掛かりを得る結果となった。

シェア

企業

株式会社KAAAN

純広告・記事広告 , コンテンツマーケティング , マーケティング戦略

プロセスでなく、成果を、事業成長を提供

KAAANは、漠然とした企業、事業の業績やマーケティングの課題に対して、現状を把握し、診断し、今、やるべきことを明確化。ゴールに向けて伴走し、業績向上・成果最大化を請負うマーケティングエージェンシーです。

著者

東山 博行

Marketing Director / Consultant

1986年生まれ。広告代理店で金融比較サイトメディアのディレクション・運用、金融クライアント中心に営業・運用担当者としてアフィリエイトからディスプレイ領域までWEBプロモーション全体の改善に貢献。2019年4月にMOLTSに参画、2023年9月にKAAAN(旧KOEDO)を設立し取締役に就任。リスティング、ディスプレイ、SNS広告の運用・コンサルティングを中心にマーケティングを支援する。