「この製品、もっと売れると思ったのに」新しくBtoB向けに開発した製品を提案しても、「初期費用が高くて導入しづらい」「効果がわからないから今は見送りたい」と断られる。価格を下げると利益が出にくくなり、他社との競争でも優位に立てない。こうしたジレンマに悩む企業は少なくない。製品の質には自信があるのに、なかなか導入してもらえない。その背景には、「効果があるか確信が持てない」「失敗できない」というBtoBならではの心理的なハードルがある。特に法人の場合、ひとつの導入が大きな決裁につながるため、意思決定に慎重になる。興味はあっても、使ってみないことには本当に良いかどうか判断できない。このような状況では、価格を下げるのではなく、「試してから決められる安心感」を提供することが効果的。導入のハードルを下げることで、企業が一歩を踏み出しやすくなる。
BtoB製品が売れない理由は、価格よりも「本当に使えるのか不安」という心理にある。その不安を減らし、気軽に試してもらえる仕組みをつくることが重要になる。 1. 導入方法を柔軟にする・レンタル:無料や低コストで短期間だけ使えるようにして、体験のハードルを下げる・サブスク:月額課金にして初期費用を抑え、「まず試してみよう」と思える形にする・リース:長期利用を前提にしつつ、終了後にそのまま買い取れる選択肢を用意することで、導入の心理的な負担を減らす 2. 実際に使ってもらう機会をつくる・展示会やショールーム:製品を直接触れる場を設け、「イメージがわかない」を防ぐ・現場でのデモやワークショップ:ターゲット企業の環境で使ってもらい、「自社での使い方」をリアルに体感してもらう このとき、「何を評価してもらうか(目的)」と、導入すれば「何が分かるようになるか、または、できるになるか(ゴール)」を明確に提示することが重要。 たとえば「業務時間がどれだけ削減できるかが分かる」といった価値の実感ポイントを伝えることで、体験が意味のあるものになり、商談化にもつながりやすくなる。また、機能は本質的な価値が伝わる範囲に限定し、過度な制限は避ける。フル機能開放はせずとも、価値が体感できるコア機能+必要に応じたサポートを提供することで、トライアルの質を保ちながら導入判断を後押しできる。 3. 成功事例やデータで後押しする他社の導入事例や業界別の活用シーンを紹介し、自社にも応用できると感じてもらう。たとえば、類似業界・企業規模・課題別に複数パターンを用意すると、ユーザーが「自分ごと化」しやすい。また、担当者の実名コメントがあれば信頼感が一気に高まる(可能なら写真付き)。さらに、ROIなどの定量的な効果を提示し、費用対効果が見込める安心感を与える。特に、「導入前→導入後」の比較があると説得力が増す。くわえて、数値だけでなく、どう評価したか(測定方法や期間)も簡潔に補足すると信ぴょう性が高まる。例:「業務時間が月20時間削減(1部署あたり)/導入3ヶ月で初期費用を回収」 他にも、「導入の決め手」や「最初に不安だった点」も合わせて記載すると効果的。 導入を迷っているユーザーが、同じ不安を持っていた事例を目にすると、共感されやすく、次のアクションを促しやすい。 BtoBの導入では、「リスクを避けたい」という心理が意思決定を左右することが多い。価格を下げるよりも、「安心して試せる環境」を整えることが、導入の後押しにつながる。試してもらえれば良さが伝わると確信しているなら、その一歩を踏み出してもらうための仕組みづくりが、製品の広がりを支える鍵になる。