マーケティング戦略立案の進め方|フレームワークと実行手順を解説
寺倉 大史
Director
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デジタル技術の進展により、マーケティング活動の選択肢は大きく広がりました。Web広告、SNS、オウンドメディア、MAツールなど、多様な手法を組み合わせることで、効率的に顧客へアプローチできる環境が整っています。
一方で、以下のような声も増えています。
- 施策を実行しているが、全体の方向性が定まらず成果が見えにくい
- フレームワークは知っているが、自社の状況にどう適用すればよいかわからない
- 経営層や関連部門との合意形成がうまくいかず、戦略が実行に移せない
そこで本記事では、弊社がこれまで支援してきた知見を活かして、マーケティング戦略立案の具体的な進め方を解説します。環境分析から基本戦略の策定、実行計画の立て方まで、実務で使えるステップとフレームワークの活用方法をご紹介します。
目次
マーケティング戦略立案とは
マーケティング戦略立案の定義と、なぜ戦略立案が必要なのかを整理します。
マーケティング戦略の定義と役割
マーケティング戦略とは、「誰に、何を、どのような対価のもとで、どのように提供していくか」を決めることを指します。
市場や顧客のニーズ分析に基づき、どのような顧客をターゲットとし、どのような価値をどう提供するかを考える総合的な活動と言えます。
マーケティング戦略は経営戦略と密接に関係しています。経営戦略が企業全体の方向性を示すものであるのに対し、マーケティング戦略はその経営戦略を実現するための具体的な市場アプローチを定めるものです。
経営戦略に紐づけて策定することで、限られた経営資源の中で優先課題を見極め、効率的に成果を生み出すことが可能になります。
マーケティング戦略の役割は、市場を創造し、製品および企業を成長させていくことにあります。単なる営業活動ではなく、市場調査から商品開発、プロモーション、販売まで、一連のプロセス全体を統合的に設計する必要があります。
戦略が明確になることで、各部門が共通の目標に向かって協力できる体制が整い、組織全体のマーケティング活動が効果的に機能するようになります。
戦略立案が必要な理由
マーケティング戦略の立案が必要な理由は、大きく3つあります。
第一に、情報流通の多様化により、消費者ニーズが細分化している現状があります。インターネットやSNSの普及により、顧客は自ら情報を収集し、比較検討する力を持つようになりました。
企業側も多様なチャネルを通じて情報を発信できるようになった一方で、顧客ひとりひとりのニーズや購買行動は複雑化しています。こうした環境下では、場当たり的な施策では効果が薄く、戦略的なアプローチが不可欠と言えます。
第二に、経営資源の効率的活用が求められています。企業が使える予算や人材には限りがあります。
マーケティング戦略がない場合、施策が場当たり的になり、成果評価も困難になり、結果として予算を浪費してしまう可能性があります。戦略を立案することで、どこにリソースを集中すべきかが明確になり、投資対効果を最大化できるようになります。
第三に、根拠のある意思決定が可能になることです。マーケティング戦略立案では、市場分析や競合分析を通じて客観的なデータに基づいた判断を行います。
これにより、経営層への説明や社内調整がスムーズになり、関連部門との協力体制も構築しやすくなります。データに裏付けられた戦略は、組織全体の納得感を生み、実行段階での推進力につながるでしょう。
マーケティング戦略立案の全体プロセス
マーケティング戦略立案は、段階的なプロセスを踏むことで、網羅的かつ実効性のある戦略を構築できます。
立案プロセスの全体像
マーケティング戦略立案のプロセスは、大きく4つの段階に分けられます。
第一段階は環境分析です。市場の動向、競合の状況、自社の強みや弱みを把握します。この段階では、3C分析、PEST分析、SWOT分析などのフレームワークを活用し、客観的なデータに基づいて現状を整理します。
環境分析を通じて、市場機会や脅威を発見し、戦略の方向性を見出すことができます。
第二段階は基本戦略の策定です。環境分析で得た情報をもとに、どの市場に参入するか、どのような顧客をターゲットにするか、競合とどう差別化するかを決定します。
ここではSTP分析を用いて、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングを明確にします。
第三段階は具体的施策の決定です。基本戦略を実際のマーケティング活動に落とし込むため、マーケティングミックスを設計します。4P分析や4C分析を活用し、商品、価格、流通、プロモーションの各要素を具体的に決めていきます。
第四段階は実行と測定です。立案した戦略を実際に実行し、KPIを設定して定期的にモニタリングします。PDCAサイクルを回しながら、継続的に改善していくことが重要です。
これらの4段階は相互に関連しており、後の段階で得られた気づきを前の段階にフィードバックすることも必要です。戦略立案は一度で完結するものではなく、市場環境の変化に応じて柔軟に見直していくプロセスであると言えます。
プロセスごとの目的と成果物
各プロセスの目的と、そこから得られる成果物を整理します。
環境分析フェーズの目的は、市場機会の発見です。外部環境と内部環境を多角的に分析することで、自社が参入すべき市場や、競合に対する優位性を見出します。
このフェーズの成果物は、市場の現状をまとめた分析レポートや、機会と脅威を整理したSWOT分析表などです。これらの資料は、経営層への報告や社内での合意形成に活用できます。
基本戦略策定フェーズの目的は、ターゲットとポジショニングの明確化です。どの顧客に対してどのような価値を提供するかを定義することで、マーケティング活動の方向性が定まります。
成果物としては、ペルソナ設定、ターゲット顧客の定義、ポジショニングマップ、カスタマージャーニーマップなどがあります。これらは施策立案の基礎資料となります。
具体的施策決定フェーズの目的は、マーケティングミックスの設計です。基本戦略を実行可能な施策に落とし込み、各施策の優先順位や実施タイミングを決定します。
成果物は、施策一覧表、予算配分計画、実行スケジュールなどです。このフェーズでは、実行可能性を重視し、リソースとのバランスを考慮した計画を立てることが重要です。
実行・測定フェーズの目的は、PDCAサイクルの確立です。施策を実行しながら効果を測定し、改善を繰り返すことで、戦略の精度を高めていきます。
成果物は、KPIダッシュボード、効果測定レポート、改善提案書などです。継続的なモニタリングと改善のサイクルを回すことで、持続的な成果を生み出す体制が整います。
環境分析で使うフレームワークと活用方法
環境分析では、複数のフレームワークを組み合わせて使うことで、市場や競合、自社の状況を多角的に把握できます。
3C分析とは
3C分析は、顧客、競合、自社の3つの要素を分析するフレームワークです。Customer(顧客)では、市場規模や顧客ニーズ、購買行動などを把握します。
Competitor(競合)では、競合他社の戦略や強み・弱み、市場シェアなどを分析します。Company(自社)では、自社の経営資源やブランド力、技術力などを評価します。
3C分析により、市場、競合、自社を抜け漏れなく把握し、戦略立案の土台を作ることができます。
3C分析の実務での活用手順
実務での活用手順としては、まず顧客分析から始めることが効果的です。市場のニーズや顧客の課題を明確にすることで、自社が提供すべき価値が見えてきます。
次に競合分析を行い、競合がどのような戦略で市場に臨んでいるかを理解します。最後に自社分析を行い、競合と比較して自社の強みや弱みを明確にします。
この順序で分析を進めることで、市場での自社の立ち位置を客観的に把握できるようになります。
PEST分析とは
PEST分析は、世の中全体のマクロ環境を把握するためのフレームワークです。Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つの観点から、自社のビジネスに影響を与える外部要因を分析します。
法規制の変化、経済動向、社会トレンド、技術革新などを整理することで、市場環境の変化を予測し、戦略に反映させることができます。
PEST分析を実施する際は、自社の事業に影響が大きい要因から優先的に分析することが重要です。すべての要素を網羅的に調べるのではなく、事業戦略に直結する要因に絞って深く分析することで、実効性のある戦略立案につながります。
SWOT分析の実践方法
SWOT分析は、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つの象限で自社を取り巻く環境を整理するフレームワークです。
強みと弱みは内部環境、機会と脅威は外部環境を表しており、内外の要因を統合的に分析できる点が特徴です。
SWOT分析の実施方法
SWOT分析の実践方法としては、まず3C分析やPEST分析で得た情報を整理することから始めます。自社の強みには、競合と比較して優位性のある技術力、ブランド力、顧客基盤などを記載します。
弱みには、リソース不足や認知度の低さなど、改善が必要な点を挙げます。機会には、市場の成長トレンドや規制緩和など、自社にとってプラスとなる外部要因を記載します。
脅威には、競合の参入や市場の縮小など、自社にとってマイナスとなる外部要因を挙げます。
戦略オプションの導出
SWOT分析から戦略オプションを導出する際は、4つの象限を組み合わせて考えることが効果的です。強みと機会を組み合わせれば、積極的な攻めの戦略が見えてきます。
弱みと機会を組み合わせれば、弱みを改善して機会を掴む戦略が導かれます。強みと脅威を組み合わせれば、脅威を強みで乗り越える戦略を考えられます。
弱みと脅威を組み合わせれば、最悪のシナリオを回避するための防衛策を検討できます。
SWOT分析の成功事例
弊社の支援事例では、ある企業がデジタルマーケティングの知見不足という課題を抱えていました。環境分析を通じて、ターゲットとなる顧客を特定し、提供価値を明確にすることで、戦略基盤を構築しました。
その後、成果を重視した視点で各施策の優先順位を決定し、短期間で結果を出すアプローチを採用しました。具体的には、全チャネルの受け皿となるサービスサイトの改修を最優先で実施し、その後にデジタル広告やコンテンツSEOに着手する方針としました。
この戦略により、リード獲得の基盤を整え、約1年で国内市場でトップシェアを獲得する成果につながりました。
参考:オウンドメディア立ち上げと運用体制構築により、CV100件獲得・広告費50%削減
基本戦略の策定|STPとマーケティングミックス
環境分析で得た情報をもとに、基本戦略を策定します。ここではSTP分析とマーケティングミックスを活用します。
STP分析による市場選定
STP分析は、Segmentation(市場細分化)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の3つのステップで構成されるフレームワークです。
この分析により、「顧客が誰か」と「自社や自社製品をどのように見てもらいたいか」を定めることができます。
セグメンテーションの進め方
セグメンテーションでは、市場を細分化する基準を設定します。BtoB企業であれば、業種、企業規模、地域などで分類できます。
BtoC企業であれば、年齢、性別、ライフスタイル、価値観などで分類することが一般的です。重要なのは、自社のビジネスに適した軸で市場を切り分けることです。
細分化しすぎると施策が複雑になり、大まかすぎるとターゲットが不明確になるため、適切な粒度で分類することが求められます。
ターゲティングの実施
ターゲティングでは、細分化した市場のうち、どの市場に参入するかを選択します。市場の魅力度と自社の強みを照らし合わせ、最も成果が見込めるセグメントを選定します。
市場規模が大きく成長性があり、かつ自社の強みを活かせる市場が理想的です。複数のセグメントを同時に狙う場合は、優先順位を明確にし、リソースを集中させることが重要です。
ポジショニングの決定
ポジショニングでは、選定したターゲット市場において、競合とどう差別化するかを決定します。ポジショニングマップを作成し、競合他社がどの位置にいるかを可視化することで、自社が取るべきポジションが明確になります。
顧客が重視する軸を2つ選び、縦軸と横軸に配置して、自社と競合の位置関係を整理します。競合が少ないポジション、あるいは顧客ニーズが高いにもかかわらず競合が対応していないポジションを見つけることが、差別化戦略の鍵となります。
4P/4Cによる具体的施策の決定
マーケティングミックスでは、4P分析と4C分析を活用して具体的な施策を決定します。
4P分析の構成要素
4P分析は、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション)の4つの要素から構成されます。
製品では、どのような商品やサービスを提供するか、その特徴や品質、ラインナップを決めます。価格では、どのような価格設定にするか、割引やキャンペーンをどう設計するかを検討します。
流通では、どのチャネルを通じて顧客に届けるか、販売方法や流通経路を決定します。プロモーションでは、どのような手段で顧客に情報を届けるか、広告やPR、販促活動の内容を設計します。
4C分析と顧客視点
4C分析は、顧客視点でマーケティングミックスを捉えるフレームワークです。Customer Value(顧客にとっての価値)、Cost(顧客の負担)、Convenience(顧客の利便性)、Communication(顧客とのコミュニケーション)の4つの要素で構成されます。
4P分析が企業視点であるのに対し、4C分析は顧客視点であり、両方の視点を融合させることで、顧客にとって魅力的で、かつ企業にとって実行可能な施策を設計できます。
4Pと4Cの統合的活用
実務では、4Pと4Cを組み合わせて施策を決定することが効果的です。たとえば、製品を設計する際には、企業が提供したい機能だけでなく、顧客が求める価値を明確にすることで、市場に受け入れられる商品を開発できます。
価格設定では、企業の利益だけでなく、顧客が感じるコスト負担を考慮することで、適正な価格帯を設定できます。流通やプロモーションについても同様に、企業の都合だけでなく、顧客の利便性や情報収集の方法を考慮することが重要です。
マーケティングミックスの成功事例
弊社の支援事例では、ある企業がカスタマージャーニーマップを活用して、ターゲットの行動や心理状態に応じた施策と訴求を切り分けました。態度ごとに正しいKPIを振り分けることで、施策を「やりたいこと」から「やるべきこと」へと転換し、訴求とKPIが明確化された戦略を構築しました。
このアプローチにより、新しいブランドを立ち上げ、潜在層のターゲット獲得に成功しました。ターゲットのニーズを深く理解し、既存の延長線上ではないアプローチを採用したことで、これまで獲得できなかった層へのリーチが可能になったのです。
参考:段階的アプローチと差別化戦略で、売上目標363%を達成
実行計画の立て方と効果測定
戦略を立案した後は、実行計画を立て、効果を測定しながら継続的に改善していくことが重要です。
KPIの設定方法
KPI(Key Performance Indicator)は、戦略の進捗を測るための重要な指標です。KPIを適切に設定することで、施策の効果を定量的に把握し、改善のための判断を迅速に行えるようになります。
KGIとKPIの関係性
KPIを設定する際は、まずKGI(Key Goal Indicator)を明確にすることが重要です。KGIは最終的な目標を示す指標であり、売上高、利益、市場シェアなどが該当します。
KPIはKGIを達成するための中間指標であり、リード数、案件化率、CVRなどが該当します。KGIとKPIの関係性を明確にすることで、各施策が最終目標にどう貢献するかが見えてきます。
施策ごとのKPI設定
各施策に対する適切なKPIを設定する際は、施策の目的に応じて指標を選ぶことが重要です。たとえば、認知拡大を目的とする施策であれば、リーチ数やインプレッション数が適切なKPIとなります。
リード獲得を目的とする施策であれば、リード数やCPAが指標となります。商談化を目的とする施策であれば、案件化率や商談数が指標となります。
施策の目的とKPIが一致していないと、効果測定が適切に行えず、改善の方向性も見えにくくなります。
測定可能な指標の選定
測定可能な指標を選定することも重要です。定性的な目標だけでは進捗が把握しにくく、改善アクションも取りにくくなります。
可能な限り数値で測定できる指標を設定し、データに基づいた判断ができる体制を整えることが求められます。
実行計画とスケジュール管理
実行計画を立てる際は、優先順位の決定が重要です。すべての施策を同時に実行することは現実的ではなく、限られたリソースの中で、どの施策から着手するかを決める必要があります。
優先順位決定の基準
優先順位を決定する基準としては、成果へのインパクトと実行の容易さを考慮することが効果的です。成果へのインパクトが大きく、かつ実行が比較的容易な施策から着手することで、早期に成果を実感でき、組織全体のモチベーション向上にもつながります。
逆に、成果へのインパクトが大きくても実行が困難な施策は、準備期間を設けて段階的に進めることが適切でしょう。
リソース配分の考え方
リソース配分の考え方も重要です。予算、人材、時間といったリソースをどの施策にどの程度配分するかを決める際は、各施策のROIを試算し、投資対効果が高い施策に重点的にリソースを割り当てることが基本となります。
ただし、短期的な成果だけでなく、中長期的な成長を見据えた投資も必要です。たとえば、SEOやコンテンツマーケティングは即効性はありませんが、継続的に取り組むことで安定した流入を生み出す資産となります。
現実的なスケジュール設定
実行可能な計画を立てるためには、現実的なスケジュールを設定することが重要です。理想的なスケジュールではなく、実際に実行できるスケジュールを立てることで、計画倒れを防ぐことができます。
また、スケジュールには余裕を持たせ、予期せぬトラブルや市場環境の変化に対応できる柔軟性を持たせることも必要です。
PDCAサイクルでの継続改善
マーケティング戦略は一度立案すれば完了するものではなく、PDCAサイクルを回しながら継続的に改善していくことが重要です。
Plan(計画)段階
Plan(計画)では、仮説を設定し、施策の目標やKPIを明確にします。何を達成したいのか、どのような成果を期待するのかを具体的に定義することで、次のステップでの実行がスムーズになります。
仮説設定の際は、環境分析や過去のデータをもとに、根拠のある仮説を立てることが重要です。
Do(実行)段階
Do(実行)では、計画に基づいて施策を実際に実行します。実行段階では、計画通りに進めることも重要ですが、市場の反応を見ながら柔軟に調整することも必要です。
特に新しい施策を試す場合は、小規模でテストを行い、効果を確認してから本格展開することで、リスクを抑えることができます。
Check(評価)段階
Check(評価)では、設定したKPIをもとに効果を測定し、分析します。目標に対してどの程度達成できたのか、達成できなかった場合はその要因は何かを明らかにします。
データを詳細に分析することで、改善のヒントが見えてきます。また、成功した施策についても、なぜ成功したのかを分析することで、他の施策への応用が可能になります。
Action(改善)段階
Action(改善)では、評価結果をもとに改善アクションを実施します。効果が低かった施策は改善または中止し、効果が高かった施策はさらに強化します。
改善アクションを実施した後は、再びPlanに戻り、新たな仮説を立ててサイクルを回していきます。このサイクルを高速で回すことで、市場環境の変化に迅速に対応し、持続的な成果を生み出すことができます。
よくある課題と対処法
マーケティング戦略の実行段階では、いくつかの典型的な課題が発生します。
戦略と実行のギャップへの対処
第一の課題は、戦略と実行のギャップです。立案した戦略が現場で実行されない、あるいは戦略と異なる施策が実行されてしまうことがあります。
この課題に対しては、戦略立案の段階から現場を巻き込み、実行可能性を考慮した計画を立てることが重要です。また、戦略の意図や背景を現場にしっかりと伝え、納得感を持って実行してもらう体制を作ることも必要です。
部門間の連携不足への対処
第二の課題は、部門間の連携不足です。マーケティング部門、営業部門、開発部門など、複数の部門が関わる場合、情報共有や目標設定のズレが生じることがあります。
この課題に対しては、部門を横断したプロジェクトチームを組成し、共通のKPIや目標を設定することが効果的です。また、定期的なミーティングを開催し、各部門の進捗や課題を共有する場を設けることも重要です。
部門連携改善の成功事例
弊社の支援事例では、ある企業がマーケティング部門と営業部門の間で認識のズレを抱えていました。そこで、ペルソナやカスタマージャーニーを営業も含めて再設計し、組織としての目指すべき方向性を統一させました。
さらに、マーケティング部門が「リード数」だけでなく、インサイドセールスの「案件化数」も指標として持つことで、自部門ではコントロールできない指標を意識させる仕組みを構築しました。
これにより、マーケティング部門は「インサイドセールスが求めているリードがどのようなものなのか」をコミュニケーションする機会が生まれ、リード数だけを追うのではなく、案件化できるようなリードを創出するためのマーケティング活動を主体的に考えられるようになりました。
データ活用基盤の不足への対処
第三の課題は、データ活用基盤の不足です。効果測定や分析を行うためには、適切なデータ収集と管理の仕組みが必要ですが、多くの企業ではデータが散在していたり、計測設定が不十分だったりします。
この課題に対しては、早い段階でデータ基盤を整備し、必要なデータを適切に収集できる体制を作ることが重要です。また、データ分析のスキルを持った人材を育成、または外部から登用することも有効です。
短期成果と中長期視点のバランス
第四の課題は、短期成果と中長期視点のバランスです。経営層からは短期的な成果を求められる一方で、マーケティング戦略の多くは中長期的な視点で取り組む必要があります。
この課題に対しては、短期的な成果を出せる施策と中長期的な施策を組み合わせて実行することが効果的です。たとえば、Web広告で短期的にリードを獲得しながら、並行してSEOやコンテンツマーケティングに取り組むことで、中長期的な集客基盤を構築できます。
施策評価の視点
複数部門の施策を評価する際は、ある時点での貢献度ではなく、施策単体の成長率で評価することが適切です。施策によって効果の出方やタイミングが大きく異なるためです。
SEOは即効性がなく初期は結果が見えませんが、継続すれば徐々に右肩上がりになり、安定した流入が期待できます。一方、広告運用は配信開始時点で即座にセッション数が上がります。
このように異なる施策を貢献度で比較すれば、広告が優位に見えてしまい、SEOの長期的価値を見落とす可能性があります。各施策の成長率を個別に評価することで、公正な評価が可能になり、予算配分や施策継続の判断が適切に行われるようになります。
戦略立案から実行につながった事例
フレームワークを活用した戦略立案が、実際の事業成果につながった事例を紹介します。
ゼロベースの戦略設計でリード獲得数を約4倍に改善
あるBtoB企業では、競合他社が少ない独自の領域でサービスを展開していたため、一般的な施策の模倣ではなく、ゼロベースでの戦略立案が必要な状況にありました。
ターゲット顧客の特性と自社サービスの強みを丁寧に整理し、サイトの役割と導線を明確化することから着手しました。まず最優先で取り組むべき領域を特定し、リード獲得に直結するキーワードと情報設計を定義した上で、サイト構造の再設計を実施しました。その後、コンテンツSEOに取り組みながら、オフラインイベントやWeb広告など複数チャネルを総合的に組み合わせる施策へと展開しています。
この一連のプロセスにより、プロジェクト開始から約1年でリード獲得数が開始前比で約4倍に成長しました。戦略がなければ「やりたい施策」を積み上げるだけになりかねないところを、ターゲットと自社強みの分析を起点に「やるべき施策」を絞り込んだことが成果につながった要因です。
参考:ポータルサイトの戦略設計とコンテンツSEO改善により、リード獲得数が約4倍に
カスタマージャーニーで施策とKPIを紐づける
戦略立案の実務では、カスタマージャーニーマップを単なる顧客行動の可視化ツールとして終わらせず、施策とKPIの設計に直結させることが重要です。ターゲットの購買プロセスごとに、取るべき訴求軸と適切なKPIを対応させることで、「やりたい施策」ではなく「やるべき施策」として具体化できるようになります。
参考:カスタマージャーニーマップを使えば、施策とKPIは定まる
まとめ
マーケティング戦略立案は、環境分析、基本戦略策定、具体的施策決定、実行・測定の4つのプロセスを段階的に進めることで、実効性のある戦略を構築できます。
環境分析では、3C分析、PEST分析、SWOT分析を活用し、市場、競合、自社の状況を多角的に把握します。基本戦略策定では、STP分析により、ターゲット顧客とポジショニングを明確にします。具体的施策決定では、4P分析と4C分析を組み合わせて、企業視点と顧客視点の両方を融合させた施策を設計します。実行・測定では、KPIを設定し、PDCAサイクルを回しながら継続的に改善していきます。
戦略立案の成功には、経営層や関連部門との合意形成、部門を横断した協力体制、データ活用基盤の整備が不可欠です。また、短期的な成果と中長期的な成長のバランスを取りながら、市場環境の変化に柔軟に対応していくことが求められます。
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著者
寺倉 大史
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業界歴10年以上。マーケティング全体の戦略、プランニング、PM、組織開発など幅広く累計100社以上を支援。藍染職人、株式会社LIG執行役員を経て、デジタルマーケティングカンパニー『MOLTS』を設立。
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