IT支援企業、属人的なマーケティング活動で目標未達が続く 徹底したオウンドメディア戦略で、3ヶ月でリード数130%増を達成

著者: 株式会社KAAAN 岸 晃

背景

BtoB向け事業の立ち上げ・グロース支援を手がける企業は、リード獲得を目的としたオウンドメディアを長年運用していた。安定した流入とCVの仕組みが機能していたが、検索エンジンのアルゴリズム変更の影響と見られるトラフィックの減少が続き、徐々に問い合わせ数も減少。これまで順調に機能していたリード獲得の仕組みが崩れ始めていた。 内部体制を確認すると、コンテンツ制作体制が属人的であったことから、施策の継続的な改善や知見の蓄積がされていなかった。担当者の退職が続く中で、誰が見ても判断できる指標や方針がない状態になっており、数値を正しく計測できていないため、どの記事にどれだけの価値があるのか、何を強化すべきかの判断もつかない状況だった。 期末に向けてリード獲得数を伸ばす必要があったが、残された期間は限られた時間。この短期間での成果創出が求められる中、メディアの再設計と組織体制の立て直しを並行して行うという困難なプロジェクトが始動した。属人的な運用から脱却し、持続可能な成長基盤を構築することが急務となっていた。

STEP1

現状を正しく理解し、改善への道筋を立てるため、まず取り組んだのは既存記事のパフォーマンスの可視化だった。セッション数、CTR、CVR、CV数といった指標を全記事に対して整理し、それぞれの強み・弱みを詳細に分類。膨大な記事の中から、改善による効果が期待できる記事を科学的に選別する作業を進めた。 分析の結果、CV数やCVRが高い「優良記事」と、流入はあるがCVにつながっていない「伸びしろ記事」の存在が明確になった。興味深いことに、優良記事の多くは3年以上前に書かれた古い記事で、最近は注目されていないものだった。一方で、最近力を入れていた記事群は、アクセスは多いもののCVにはつながっていないという皮肉な結果が判明した。 この発見により、チームの意識が大きく変化し、改善への明確な方向性が見えてきた。短期間で成果を出すため、対象記事の優先順位を明確にし、改善アプローチを定めた。限られた時間で最大の成果を出すために、戦略的な選択と集中を行うことが重要だった。

STEP2

改善対象が定まった後は、より良い記事を制作するために顧客理解の解像度を上げる取り組みを開始した。リライト対象の記事に対して、誰に・どんな課題に向けて書くべきかを再設計するため、セールス担当者への徹底的なヒアリングを実施。商談の現場で実際に聞かれる悩みや、よくある質問を詳細に収集した。 過去の問い合わせ内容からも、どんな業種・規模の企業から、どんな課題感で問い合わせが来ていたかを分析。ユーザー視点から「本当に知りたい情報」に近づけるよう、コンテンツの切り口を大幅に見直した。ライター同士でのレビューやフィードバックも取り入れながら、リライトの質を高めていった。 この過程で判明したのは、これまでの記事が制作者の想像で書かれたものが多く、実際の顧客ニーズとのズレが大きいという事実だった。理想論ではなく、現場のリアルな課題解決に焦点を当てた内容へとシフトすることで、記事の価値を大幅に向上させることができた。

STEP3

CV数を伸ばすためには、CVの最終地点である問い合わせフォームの課題を解決する必要があった。これまでのページは、単にフォームがあるだけで、ユーザーに問い合わせるメリットや問い合わせ後の流れが伝わっていなかった。せっかく記事で興味を持ってもらっても、最後の一歩で逃している状況だった。 そこで、CTA設計を全面的に見直し、開発実績の提示や対応可能なサービス範囲、問い合わせ後の具体的な流れを明記。ユーザーの不安を取り除き、アクションへの心理的ハードルを下げることで、遷移後のCVR向上を狙った。フォーム周りの情報設計を改善することで、ユーザーが安心して問い合わせできる環境を整えた。 同時に、記事からフォームへの導線も最適化。記事の内容と関連性の高いCTAを設置し、自然な流れで問い合わせにつながるよう設計を見直した。これらの改善により、記事への流入からCVまでの一連の流れがスムーズになった。

結果

制作フローの変更や問い合わせフォームの見直しなどを行った結果、プロジェクト開始から約3ヶ月で、月次の問い合わせ数は目標を達成。さらに5ヶ月後には、問い合わせ数はプロジェクト開始前の約2倍に到達し、過去最高の月間リード数を記録した。当初の目標である130%増を大きく上回る成果を実現することができた。 制作体制についても、従来の属人的な運用から、メンバー全員が数値をもとに判断・改善を行える体制へと移行。チーム内にノウハウが蓄積されはじめ、自律的に改善を繰り返せる状態が整った。データドリブンな運用文化が定着し、継続的な成長を支える基盤が構築された。 このプロジェクトから得られた最大の学びは、短期的な数値改善だけでなく、組織の運用力そのものを大きく底上げできたことだった。困難な状況を乗り越える過程で、チーム全体が成長し、持続可能な成功体制を確立。属人的な勘に頼っていた運用が、科学的なアプローチへと生まれ変わり、今後の成長を支える強固な基盤となった。
タグ: 顧客理解, コンテンツ制作, 組織最適化

IT支援企業、属人的なマーケティング活動で目標未達が続く

徹底したオウンドメディア戦略で、3ヶ月でリード数130%増を達成

本ケーススタディスタディは、実際にあった事例をもとに組み立てられていますが、匿名性、NDA上の問題により、こちら側が提供した内容、かつ詳細データを掲載しないことを前提にし、意図がずれないように変更されております。また、数値データなどは、誇張がないよう低く掲載されていますので、実際のデータとは異なることがあります。

背景

BtoB向け事業の立ち上げ・グロース支援を手がける企業は、リード獲得を目的としたオウンドメディアを長年運用していた。安定した流入とCVの仕組みが機能していたが、検索エンジンのアルゴリズム変更の影響と見られるトラフィックの減少が続き、徐々に問い合わせ数も減少。これまで順調に機能していたリード獲得の仕組みが崩れ始めていた。内部体制を確認すると、コンテンツ制作体制が属人的であったことから、施策の継続的な改善や知見の蓄積がされていなかった。担当者の退職が続く中で、誰が見ても判断できる指標や方針がない状態になっており、数値を正しく計測できていないため、どの記事にどれだけの価値があるのか、何を強化すべきかの判断もつかない状況だった。期末に向けてリード獲得数を伸ばす必要があったが、残された期間は限られた時間。この短期間での成果創出が求められる中、メディアの再設計と組織体制の立て直しを並行して行うという困難なプロジェクトが始動した。属人的な運用から脱却し、持続可能な成長基盤を構築することが急務となっていた。

補足要件

  • 期末まで3ヶ月というきわめて短い期間での成果創出が必須条件
  • 属人的な運用から脱却し、誰でも判断できる仕組みの構築が急務
  • 成果測定の基準がなく、改善の方向性すら見えない状態からのスタート

具体的なプロセス

STEP 1

記事群のパフォーマンスを洗い出し、優先順位を明確化

現状を正しく理解し、改善への道筋を立てるため、まず取り組んだのは既存記事のパフォーマンスの可視化だった。セッション数、CTR、CVR、CV数といった指標を全記事に対して整理し、それぞれの強み・弱みを詳細に分類。膨大な記事の中から、改善による効果が期待できる記事を科学的に選別する作業を進めた。分析の結果、CV数やCVRが高い「優良記事」と、流入はあるがCVにつながっていない「伸びしろ記事」の存在が明確になった。興味深いことに、優良記事の多くは3年以上前に書かれた古い記事で、最近は注目されていないものだった。一方で、最近力を入れていた記事群は、アクセスは多いもののCVにはつながっていないという皮肉な結果が判明した。この発見により、チームの意識が大きく変化し、改善への明確な方向性が見えてきた。短期間で成果を出すため、対象記事の優先順位を明確にし、改善アプローチを定めた。限られた時間で最大の成果を出すために、戦略的な選択と集中を行うことが重要だった。

詳細アドバイス
数値をもとに意思決定と自律的な行動ができる運用体制を構築する
コンテンツSEOの制作は、仮説を言語化し記録・共有して再現性を高める
立ち上げ期は行動量ではなく質にフォーカスして取り組むことが鍵
「自分たちの主張だらけ」になりがちなCTAを、どう変えるか?
「順位改善」と「CVR改善」はあえて別々に実施する
リライトの優先順位は、記事タイプを分類してから実行する
STEP 2

顧客の声に立ち戻り、記事の設計をアップデート

改善対象が定まった後は、より良い記事を制作するために顧客理解の解像度を上げる取り組みを開始した。リライト対象の記事に対して、誰に・どんな課題に向けて書くべきかを再設計するため、セールス担当者への徹底的なヒアリングを実施。商談の現場で実際に聞かれる悩みや、よくある質問を詳細に収集した。過去の問い合わせ内容からも、どんな業種・規模の企業から、どんな課題感で問い合わせが来ていたかを分析。ユーザー視点から「本当に知りたい情報」に近づけるよう、コンテンツの切り口を大幅に見直した。ライター同士でのレビューやフィードバックも取り入れながら、リライトの質を高めていった。この過程で判明したのは、これまでの記事が制作者の想像で書かれたものが多く、実際の顧客ニーズとのズレが大きいという事実だった。理想論ではなく、現場のリアルな課題解決に焦点を当てた内容へとシフトすることで、記事の価値を大幅に向上させることができた。

詳細アドバイス
成果を上げるために見込み顧客の情報に多く触れる環境を作る
意味のあるユーザーヒアリングを実施するための3つのポイント
STEP 3

CVR改善を意識し、導線・訴求も合わせて最適化

CV数を伸ばすためには、CVの最終地点である問い合わせフォームの課題を解決する必要があった。これまでのページは、単にフォームがあるだけで、ユーザーに問い合わせるメリットや問い合わせ後の流れが伝わっていなかった。せっかく記事で興味を持ってもらっても、最後の一歩で逃している状況だった。そこで、CTA設計を全面的に見直し、開発実績の提示や対応可能なサービス範囲、問い合わせ後の具体的な流れを明記。ユーザーの不安を取り除き、アクションへの心理的ハードルを下げることで、遷移後のCVR向上を狙った。フォーム周りの情報設計を改善することで、ユーザーが安心して問い合わせできる環境を整えた。同時に、記事からフォームへの導線も最適化。記事の内容と関連性の高いCTAを設置し、自然な流れで問い合わせにつながるよう設計を見直した。これらの改善により、記事への流入からCVまでの一連の流れがスムーズになった。

詳細アドバイス
「最後のひと押し」は実績を定量的かつ具体的に掲載すること

結果または成果

5ヶ月間で新規リード数を2倍に増加、過去最高の問い合わせ数を達成

制作フローの変更や問い合わせフォームの見直しなどを行った結果、プロジェクト開始から約3ヶ月で、月次の問い合わせ数は目標を達成。さらに5ヶ月後には、問い合わせ数はプロジェクト開始前の約2倍に到達し、過去最高の月間リード数を記録した。当初の目標である130%増を大きく上回る成果を実現することができた。制作体制についても、従来の属人的な運用から、メンバー全員が数値をもとに判断・改善を行える体制へと移行。チーム内にノウハウが蓄積されはじめ、自律的に改善を繰り返せる状態が整った。データドリブンな運用文化が定着し、継続的な成長を支える基盤が構築された。このプロジェクトから得られた最大の学びは、短期的な数値改善だけでなく、組織の運用力そのものを大きく底上げできたことだった。困難な状況を乗り越える過程で、チーム全体が成長し、持続可能な成功体制を確立。属人的な勘に頼っていた運用が、科学的なアプローチへと生まれ変わり、今後の成長を支える強固な基盤となった。

シェア

企業

株式会社KAAAN

純広告・記事広告 , コンテンツマーケティング , マーケティング戦略

プロセスでなく、成果を、事業成長を提供

KAAANは、漠然とした企業、事業の業績やマーケティングの課題に対して、現状を把握し、診断し、今、やるべきことを明確化。ゴールに向けて伴走し、業績向上・成果最大化を請負うマーケティングエージェンシーです。

著者

岸 晃

Marketing Director / Consultant

1994年、東京生まれ。2018年にグリー株式会社に新卒入社、SEO中心にBtoCメディアのリリースからグロース、約100名のマネジメント、組織開発、ビジネス開発など総合的な事業作りに携わる。2024年3月にTHE MOLTSに参画し、現在はSEOやコンテンツマーケティングを軸としたメディア・サービスのグロース支援、インハウス運用支援を行う。