オウンドメディアの企画段階で、見た目の美しさや著名人の起用など、予算をかけた施策が提案されることがある。しかし、見栄えの良さと実際のパフォーマンスはまったく別物である。特に大手企業では、ブランド価値向上を重視するあまり、集客やCVといった具体的な成果指標が軽視されがちだ。 業界で話題になる成功事例も、実際の数値を詳しく検証すると、投資対効果が見合わないケースは珍しくない。このような失敗に陥らないためには、企画の初期段階で「この方向性では期待する成果が出ない」という兆候を的確に察知すること。 データ検証を待っていては手遅れになる場合も多く、経験に基づく直感的な判断力が求められる。成果の出ないプロジェクトを早期に軌道修正するためには、表面的な企画内容ではなく、根本的な設計思想を見抜く視点が不可欠だ。

メディアの成功可能性を事前に判断するには、コンテンツを誰に・どこで・どう届けて成果につなげるかを前提にしたチャネル設計の有無を確認することがもっとも重要である。既存メディアであれば、記事タイトル、カテゴリ構成、文体、更新頻度などを5分程度で読み解くことで、設計意図の有無が判断できる。 たとえば、検索流入を狙う設計なら、キーワードの網羅性や競合比較が不可欠であり、SNS流入を前提とする場合は、話題性や見出し構成に工夫が必要となる。しかし、成果の出ない企画ではこうしたチャネル設計が欠落しており、読者の印象論のみに依拠しているケースが多い。 企画段階で「ユーザーにどう思ってもらいたいか」という視点のみで進行し、「どうやって人を呼ぶか」という根本的な議論がなされていないからだ。こうした兆候を発見した際には、仮説ベースの指摘に留まらず、定量的な裏付けとともに関係者に説明する。 CVRや競合比較などとの数値を提示することで、感覚論ではなく、再現性のある議論を可能にする。成果を出すためには、勇気を持って根本的な問題提起を行うことが重要である。