想定場面や課題
BtoCブランドとして一定の知名度を持つサービスが、新たにBtoB領域への展開を試みる際、最初に直面するのは「見込み顧客が検索してくれない」という課題だ。よくあるのが、BtoCの知名度があることで「とりあえずブランド名を入れたキーワードで集客できるのではないか」という考え方。しかし、BtoCブランドで一定の知名度があるサービスの場合、ブランド名を含む検索の多くが一般消費者によるもので、法人担当者の検討につながる検索とは性質が異なる。そのため、BtoCの認知をそのままBtoBの集客に転用しようとしても、検索意図の違いによって成果に結びつかないことが多い。BtoCブランドのBtoBへの展開では、法人向けの検索ボリュームがもともと少ない中で、「どのキーワードなら検討フェーズの法人担当者に届くのか」を見極める力と、効率的にリソースを投下する体制構築が重要になる。
解決策
前提として、すでにBtoCとしてのブランド認知があり、指名検索の中から法人層を見極められる状態であること。この土台があることで、検索行動を起点にした法人向けコンテンツの展開が可能となる。この手法を成功させるには、検索意図が検討フェーズに近いキーワードを見極め、リソースを集中投下してスピーディーに実行することにある。競合が少ない領域において、質の高い記事を優先的に展開できれば、効率的にリードを創出できる。特に注目すべきは、「◯◯(社名やサービス名) 広告」「◯◯ 集客」といったキーワードだ。これらは導入や運用の検討段階にある法人担当者が検索している可能性が高い。ただし、検索結果にBtoC向けの情報が多く含まれている場合、そのキーワードは法人ニーズとはズレていると判断できる。こうした精査を経て、BtoB向けに有効なキーワードを絞り込んだら、検索意図の深さをもとに優先順位をつける。比較検討や意思決定段階にあるワードから着手することで、少ない工数で成果につながる構造をつくりやすい。コンテンツ制作においては、社内と外部の役割分担が重要になる。自社独自の考えや主張を反映する記事は社内で制作し、機能説明や導入手順といった汎用的な内容は外部ライターを活用する。これにより、負担を抑えながら、質と量の両面で安定した運用体制を築ける。また、導入企業の事例を一次情報として活用することで、コンテンツに信頼性と説得力が加わり、SEOだけでなくCVR向上にも寄与するケースがある。自社に蓄積されたナレッジや資料を一次情報として活用することも、成果に直結する有効な手段となる。このように、BtoCで培った認知を足がかりに、法人ニーズを的確に捉えたキーワード選定と迅速な実行体制を構築することで、SEOと認知施策のバランスをとりながら、BtoBへの展開を実現することができる。