レジャーや飲食、趣味などの領域において、大手がすでに確立した市場へ後発として参入する場合、限られたリソースの中でどう差別化するかが大きな課題となる。ブランド力や予算、制作体制では到底かなわない状況下で、戦う土俵の選び方を誤ると、初期のユーザー獲得すら難しくなる。 こうした状況下で解決策の1つとなるのが、トレンド性の高いキーワードの中から大手がまだ強くない領域を見つけ出し、そのテーマにおいて先行者優位を取る手法だ。特に、大手企業の組織規模が大きくなるにつれて意思決定プロセスが複雑化し、トレンドへの対応スピードが遅くなる傾向があるため、この特性を逆手に取った先行者優位の手法が効果的である。 ただし、いち早くトレンドをキャッチし、コンテンツ化していく体制を構築しなければならない。

一部の領域で先行者優位の手法をとる場合は、まず、競合分析を通じて大手が手薄な領域を特定することが重要だ。具体的には、トレンド性の高いキーワードで大手企業が上位表示されていない領域を見つけ、そこを主戦場として選定する。 実際にこの手法を実行した際、キーワードツールではなく、Instagramで投稿数を直接調査するなど、肌感覚でのトレンド把握を重視。新大久保や表参道など、若年層に人気のスポットを重点的に調べ、実際に大手が上位表示されていないトピックを特定した。 また、エリア特化型のコンテンツ制作では、エリアごとに5〜6人ずつの制作チームを編成。それぞれの地域に精通したメンバーが、現地での取材やSNSでの情報収集を通じて、その地域のトレンドやユーザーニーズを継続的に把握する。朝話題になったテーマを夕方には記事化する体制を構築した。 コンテンツ制作の体制は、仮説検証型のスピードを重視したアプローチを採用。あえて明確な基準は設けず、出して反応を見るスタンスを貫いた。順位やトラフィックなどの定量データをもとに、ユーザーニーズや検索意図に合わせて記事内容を当日中にチューニング。スピード感を武器に、細かい修正を重ねることで品質も担保。 このように、大手が苦手とするスピード勝負の土俵で、エリアとトレンドに特化した少数精鋭チームを編成することで、後発でもトラフィックを獲得できる土台を構築できた。後発だからこそ、小回りが利く体制と素早い意思決定を活かし、手薄な領域を的確に突いていくことで、競合との明確な差別化を実現できる。