変化のスピードが速い業界では、新サービスの登場や入れ替わり、トレンドの変化が頻繁に起こる。こうした場面で重要になるのが、「市場の変化をどれだけ早く察知できるか」ということ。変化に気づくのが遅れると、検索結果での表示順位が下がったり、競合にユーザーを奪われたりと、事業に大きな影響を与える。しかし現場では、「何を見れば変化に気づけるのか」「どの情報を参考にすべきか」が分からず、判断に迷うケースが多い。結果として、気づいたときには後手に回ってしまい、競合他社に市場シェアを奪われ、事業が停滞するリスクもある。
具体的には、変化の兆しを素早くつかみ、検証をしていく、という大きく2段階になる。まず、変化の兆しを素早くつかむには、検索ボリュームの推移を待つのではなく、「初期症状」を捉えることがカギになる。まず、Google検索のサジェストワードや関連ワード、検索結果画面の構成を定期的にチェックする。たとえば、検索結果にSNSやニュースの枠が目立つようになったら、そのトピックの注目度が上がっているサインといえる。次に、SNSやニュースサイトなどリアルタイム性の高い情報源を活用し、市場のトレンドの変化や、それに対するユーザーの反応を時系列で追う。特定のアカウントやメディアをフォローしたり、SNSやニュースサイトなどでキーワード検索し、最新順でポストを見る。コメントや引用リポストの傾向も、関心の深まりを示すヒントになる。これらのリアルタイムな情報源を活用することで、従来の検索ボリュームデータでは捉えきれない変化の「初期症状」を察知できる。これらの変化を観察したうえで、検証を行う。検証は、以下の4ステップで対応していくと良い。1. どんなニーズの変化が起きているか仮説を立てるたとえば、大手ECサイトの例だとわかりやすい。セール前は、「目玉商品」や「お得な買い回り情報を知りたい」と思うが、セール中になると「今日、割引率が高い商品」や「売れ筋ランキング」を知りたいなど、タイミングによってユーザーのニーズは変化する。ユーザーの視点に立って、どのようなニーズの変化が起きているのか推察し、仮説を立てる。2. 検証方法を決める検証方法を決める基準は、できるだけシンプルで簡単、テンプレ化できること。そうすることで、次のステップが最小限のリソースで実行できる。3. 量産して検証するまずは小さく多く、クオリティよりもスピードと数を重視。1件でも多く、検証結果を得ることで、次のステップで行う分析がしやすく、分析の精度も高くなりやすい。4. 分析と調整を続ける事前に立てた仮説が正しかったのか、それとも違ったのか。違っていた場合は、何が違っていたのかを、得られたデータから考察し、次の仮説を立て、さらに実行する。このサイクルを高速でまわすことで、変化の早い市場でも、変化の予兆を察知して他社より早く動けるようになる。特に大切なのは、「完璧な情報を集めてから動く」ではなく、「動きながら変化を見て、すばやく調整していく」こと。初期症状に反応し、検証で得られた結果から学びを得るサイクルを高速で回すことが成功へのカギとなる。