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潜在課題へのアプローチが、より最適なUI/UXの立案へ

想定場面や課題

プロジェクトが始まる背景には、何らかの課題や困難が存在することが多い。その多くの場合、RFPやヒアリングによって顕在化し、達成すべきゴールが明確になる。これらの情報を基にプロジェクトを進めることで、一定の成果を期待することは可能である。しかし、顕在化した課題だけに焦点を当てると、成果の範囲やインパクトが限定的になることがある。例えば、RFPに基づいて設計された施策では、顕在化した課題の解決には有効だが、潜在的な課題や他部署・他製品との関係性を考慮しない場合、解決の幅が狭くなることが多い。特に、複数の要因が絡む課題では、見過ごされた側面がプロジェクトの成果を阻害する可能性がある。こういった結果を避けるために、プロジェクトの本質的な課題、顕在化した課題に加え、その周辺領域や関係性を徹底的に情報収集する。これにより、顕在化した課題だけでなく、想定外の潜在的課題解決に繋がる場合が多い。このアプローチは、課題ごとにプロジェクトを分割する方法と比較して、予算や期間の効率化が図れ、総合的な費用対効果が高くなる点で優れている。

解決策

解決策として、案件獲得に関わる全ての部門が情報を横断的に共有できる体制を構築することが必要。マーケティング活動が効果を上げられない場合、まずは商談データから商談状況を把握し、顧客ごとのステータスや失注・受注理由を確認する。例えば、競合他社に顧客が流れてしまったケースでは、「なぜ競合を選んだのか」「どのポイントを重視して比較されたのか」を徹底的に掘り下げる必要がある。この分析をもとに、競合と見劣りしないようにサービスの魅力を効果的に訴求できるよう、CTAの改善やサービス資料、Webページの見直しを行うといった施策を実行する。必要に応じて、顧客へのヒアリングを行い、顧客のニーズや決断理由に対する解像度をさらに高めることも有効。例えば、顧客が特定の機能や価格帯に強い関心を示している場合、それに応じたコンテンツや資料を整えることで競争力を向上させることができる。このようなアプローチにおいては、仮説を立てた上で素早く検証を行い、その精度を高めていくことが求められる。迅速な検証と改善の繰り返しが、マーケティング活動を効果的に進化させ、顧客獲得の成果を最大化するための鍵となる。顧客から得られる情報を活用し、横断的なチームワークによって、ターゲットへの適切なアプローチを行う体制を構築することが、長期的な成功につながる。

補足

課題の特定には、視点や視野を変え、多角的に物事を捉えることが重要。この際、以下の3つの視野が有効となる。1つ目は社会的視野。これは製品やサービスが社会や利用者とどのように関わるかを考察する。 2つ目は組織的視野。これは製品やサービスが展開される企業やブランドとの関係性に着目する。 3つ目は当事者的視野。これは製品やサービスが果たすべき目的や目標に焦点を当てる。これら3つの視野が交わる地点に、製品やサービスの存在価値が見出される。例えば、プロダクトブランドの紙カタログを例年通り制作する必要がある場合を考える。「社会的視野」では、コロナ禍以降のオンラインシフトや資材の持続可能性といったトレンドに照らし、本当に紙カタログを配布する必要があるのかが問われる。一方、「組織的視野」では、社内での紙カタログの利用実態をヒアリングや観察を通じて分析する。セールスチームが商談に使用しているケースや、ショールームでの低頻度利用など、配布以外の用途が明らかになる可能性がある。「当事者的視野」では、ブランドサイトの充実や製品情報の網羅性が課題として浮上する。紙カタログは印刷時点で情報が固定されるため、更新が困難であり、情報はどんどん古くなる。その都度印刷していると、結果としてコストの増大につながるリスクがある。これらの視点を総合的に検討することで、課題に応じた新たな解決策を導き出すことが可能となる。例えば、紙カタログをブランドサイトを中心としたオンラインカタログに置き換えるプロジェクトを計画する。この場合、オンラインカタログの整備により、部署間で情報を共有しやすくなる。また、ブランドサイトのデータを流用できるアプリケーションを開発すれば、情報の鮮度を保ちながら、セールスチームがタブレットを用いて商談に活用したり、ユーザーが簡単にダウンロードできる形で提供することもできる。最終的には、利用可能な予算の範囲内で複数の課題を同時に解決し、時代に即した最適な解決策を導き出すことが求められる。このプロセスを通じて、より効率的で価値のあるアウトプットを実現できる。

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