さまざまなプロダクトやサービスを改善するには、特徴を的確に把握し、それを反映した設計を行うことが重要。特徴を理解せずに設計を進めると、ユーザーの期待とずれた機能やコンテンツが生まれ、結果としてエンゲージメントやコンバージョンの低下を招くだけでなく、購買行動や購買意欲の減退を引き起こし、場合によっては改善前よりも悪化する可能性がある。特に高価格帯の商品や専門性の高いサービスでは、単なる情報提供ではなく、適切なナビゲーションや意思決定のサポートが求められる。例えば、高級オーディオ機器を販売するECサイトでは、製品スペックの羅列だけではユーザーに響かない。購入の背景には「音質の向上」や「インテリアとの調和」といった目的がある。こうした目的を持つユーザーは、価格の高さや専門性の高さから、慎重に比較・検討する傾向が強く購入までに時間を要する。そのため、使用シーンの紹介や競合製品との比較、具体的な活用イメージの提示、適切な情報や意思決定をサポートする機能を提供することが求められる。
課題を解決するには、ユーザーの意思決定プロセスを理解し、必要な情報を適切なタイミング、形で提供することが重要。そのための情報設計には、「直接的な視点」「間接的な視点」「俯瞰的な視点」の3つの視点で捉えると良い。直接的な視点では、製品の質感や触り心地、利用や購入の価格帯、ラインナップされている製品数などの属性的な側面を確認する。これらの属性がなぜそのようになっているのかを深掘ることで、クライアントや製品自体の特徴が浮かび上がる。間接的な視点では、ユーザーがどのような場面で製品を必要とするのか、検討段階でどのような気持ちや行動をとるのかを把握する。ユーザーのタイプやこだわり、導入時の感情や理由、解決できる問題などを分析することで、ユーザー環境から製品のあり方を見極めることができる。購入検討の場面では、後押しする機能や比較検討しやすい要素、メリットを伝える情報が重要になる。俯瞰的な視点では、直接的な視点と間接的な視点を照らし合わせ、整合性を確認しながら、訴求すべき特徴やサポートすべきポイントを明確にする。ユーザーニーズと製品属性の関係を分析し、問題を特定した上で、関係性を深めるために必要な機能やコンテンツ、提供すべきサポートの方向性を導き出す。これらの視点を組み合わせることで、ユーザーにとって適切な情報提供が可能となり、エンゲージメントの向上や最終的なCVの増加につながる。