オウンドメディアを運用してうまくいかない場合、現状の数値状況が可視化されず、目標に対して現在の状況が良いのか悪いのか、どの程度の進捗状況なのかを正しく把握できていないケースが多い。そもそも数値を管理するダッシュボードや管理表がなかったり、それらがあっても見づらかったり、チームで共有されていない、数値を見て次の行動を決定する習慣がないことも多い。このような状況では、さまざまな施策を実行しても、施策の結果が良かったのか悪かったのか正しく評価できないので改善点も不明確なまま進むことになる。その結果、成果に結びつかないばかりか、ノウハウがチーム内に蓄積されないという問題にもつながる。こういった課題を解決するためには、正しく数値を把握して、次の行動を決定する習慣が必要。
現状数値を確認するうえで必要なのは、ゴールに対してモニタリングが必要な情報を洗い出すこと。例えば、対策キーワードの順位、セッション数、クリック数、CTR、CV数、CVRなどをオウンドメディア全体と各記事ごとに可視化する。各指標はゴールによって多少異なるので、ゴールに応じてカスタマイズすることが重要。各数値が何を表すのかは、世の中にたくさんの解説記事があるので、ここでは割愛する。これらの必要な数値を洗い出せたら、最新の情報を常に誰でも確認できるようにGoogleスプレッドシートやダッシュボードなどを使ってわかりやすく作成する。それらを作成したら、定例ミーティングなど、チーム全員が集まる場で必ず確認する。この「全員で数値を見る」習慣が、次の行動を迅速かつ効果的に決める土台となる。数値を確認する際には、まず全体の進捗を把握し、次に個別の詳細データを確認する。大まかな進捗を見ずに細かいデータを追いかけても、全体の良し悪しを正確に判断できないため、「大きな流れを把握したうえで、詳細に目を向ける」という順序を守ることが大切。例えば、今月の目標CV数に対して進捗が60%だとした場合、このペースで最終的に目標達成が見込めるのかを判断する。未達になりそうな場合は、行動量を増やす必要がある。また、どの数値を改善すべきかを特定するために、目標達成を阻害している要因を探る。具体例として、CV数が減少している場合、流入数が減っているのか、CTRが低下しているのか、検索順位が落ちているのかを分析する。そのうえで、たとえば検索順位が原因であれば、どのタイミングで記事をリライトするかを検討し、具体的な行動に移す。これを繰り返すことで、数値に変化があった際に迅速に気づけるようになるだけでなく、変化の理由を考える思考がチーム全体に根付く。さらに、数値を基にした議論が活発化することで、PDCAサイクルの速度が向上し、メディア全体の成果が加速する。結果として、成果を出しやすい運用体制が構築される。