カスタマージャーニーマップは、顧客の購買行動プロセスを可視化するための重要なツールで、多くのマーケターが一度は作成したことがあると思う。しかし、活用が不十分だったり、形骸化してしまうケースがよく見受けられる。カスタマージャーニーマップが形骸化してしまう理由は、大きく3つ。まず、カスタマージャーニーマップの作成そのものが目的化してしまう場合。フレームワークに当てはめることが優先され、その後にどのように活用するかが曖昧になりがち。重要なのは、作成後に具体的なアクションに結びつけること。次に完成度が低いマップも課題となる。フレームワークは万能ではなく、効果的に活用するためのセンスや経験が必要。また、対象とするターゲットの詳細な理解や情報の正確な定義も必要となる。単に形だけで終わらせず、ターゲットの行動や心理を深く掘り下げることが重要。3つ目は、カスタマージャーニーマップに対する理解不足が問題の一因。カスタマージャーニーに必要な態度(プロセスごとの状態)、態度変容や刺激とは何なのか、この基本的な概念を抑えてるだけでも理解が一気に深まり、効果的なジャーニーマップの作成につながる。例えば、Googleで「カスタマージャーニーマップ」と調べると、「認知→興味関心→情報収集→比較検討→購入」という態度のプロセスが描かれた画像がヒットする。多くの人は、このフレームワークをそのまま使って情報整理をしようとする。しかし、実際は業界や購入するサービス、プロダクトによって態度の内容は常に変化する。変化する顧客のニーズや状況に応じて、情報を柔軟に整理する必要がある。この最も重要なポイントが押さえられていないことでカスタマージャーニーマップが形骸化する。
例えば、BtoB支援会社の事例では、顧客が特定の課題を抱えていない場合、どれだけ認知を広げても購買プロセスは進まない。そのため、プロセスを「課題認知→解決策模索→解決策選定→アプローチ→商談→発注」といった形でカスタマイズする必要がある。また、企業認知から商談に至るプロセスをブランディングやPR活動を通じて変化させることも考えられる。タッチポイントの整理も、カスタマージャーニーマップの有効な活用方法の一つ。例えば、コンテンツSEO施策を行う場合は、タッチポイントをキーワードに設定することで、マーケティング全体の流れを把握しやすくなる。マーケティング施策の見直しを行う際には、現状施策項目を当てはめて全体像を把握することも有効だ。さらに、異なるターゲットグループから共通項を見つけるために、ターゲットA、B、Cといった具合に分けて考え、共通点を抽出することで、新たなコンセプトを生み出すことも可能。例えば、「状況」という項目を設けることで、訴求をよりシャープにすることができる。カスタマージャーニーマップを効果的に活用するためには、必要な情報を得る目的に応じて柔軟に内容を構築することが重要。これにより、形骸化せず、顧客の行動やニーズにしっかりと対応した価値あるツールとして活用できるようになる。