コンテンツ制作で「今月は〇本記事を公開/リライトしよう」と行動量をKPIに掲げる手法はよく見られる。行動量をKPIにするのは、すでに勝ちパターンがわかっている場合や、質が高いコンテンツを制作できる体制が整っている状態で効果を発揮する場合が多いのだが、オウンドメディアの立ち上げフェーズで同様の目標を掲げ、成果に結びつかず、苦労するケースが少なくない。特に、チーム内にノウハウが蓄積されておらず、勝ちパターンが確立されていない状況では、行動量のみに注力すると、作業自体が目的化し、質を求めるのではなく量を求め、結果としてクオリティが低下することがある。いくら量をこなしてもコンテンツの質が上がらず、成果に繋がらない。成果が出ないからさらに量を増やす…と、負のループに陥ってしまう。
こういった状況に陥らないために、立ち上げフェーズなど、勝ちパターンがまだ確立されていない場合には、「対策キーワードで3位以上を獲得する記事を1本作成する」や「リライトで順位が上がった事例を3本作る」といった具体的かつ質にフォーカスした目標を設定すると良い。この段階で重要なのは、数をこなすことではなく、指針となるコンテンツを生み出すことにある。また、コンテンツの質以外でも意識したい目標は、「個人目標ではなくチーム全体で取り組む」目標にすることと、「1〜2ヶ月以内で達成可能」な目標であることの2つ。なぜ、個人目標ではなくチーム全体で取り組む目標にするかというと、チームで目標に向けて活動することで、達成した際にチームの結束力が強固になるから。個人作業が中心になる行動量を追求するフェーズでは、個人の作業量や成果が可視化される。そうなると、お互いの作業が他人事になったり、成果が出なかった時に個人を攻撃しやすい構造になってしまい、自分に割り当てられたタスクさえやっていれば、チームの目標は追わない状態になる可能性が高い。そうなる前の初期の段階にチームで目標を追求し、結束力が強いチームになれれば、行動量が必要なフェーズでも成果を出しやすい体制となる。2つ目は、1~2ヶ月以内に達成可能な短期的な目標を設定すること。勝ちパターンが見えていない状況では、長期的な目標を追い続けることが心理的な不安を招く可能性がある。そのため、早期に小さな成功体験を積むことが、チーム全体の士気を高める鍵となる。モデルケースとなるコンテンツが完成したら、その成功事例を型化し、次の段階へと進む。この型化されたモデルがあれば、一定の品質が担保され、次に行動量をKPIに据えたフェーズにスムーズに移行できる。この段階では、型に沿って効率的に量をこなすことで、コンテンツ制作の生産性を最大化させることが可能となる。