進行中の施策や確定済みの施策において、まずは実行を優先し、その後に設計を考えるケースが散見される。この手法が成功する場合もあるが、大半は失敗に終わる。例えば、オウンドメディアを立ち上げ、「とにかく記事を増やせば成果が出る」と考え、毎月20本の記事を作成するなど、成果を期待しながらも計画性なくコンテンツを発信し続けるケースがある。しかし、1年後に振り返ると、記事数は増え、PVはのびたが、コンバージョン(リード獲得)につながらず、売上にも影響がない。結果として「オウンドメディアは意味がない」と経営層が判断し、最終的にはオウンドメディアの運用自体を見直す、あるいは撤退する。こういった例の大半は、運用当初からKPIの設定や目的の整理を行わなかったため、無駄な運用コストがかさんでいる。さらに、目標数値や目的が不明確であるために効果検証が困難なり、結果として改善の方向性も不透明になる。これはオウンドメディアに限らず、あらゆる施策に共通する課題だ。施策の実施自体は重要だが、適切な戦略設計がないまま進めると、後から修正が必要となり、非効率なプロセスが発生する。大切なのは、「やりたい施策」をするのではなく、「やるべき施策」を目的に合わせて落とし込み、KPIまたは成果を明確に設定すること。
具体的には、カスタマージャーニーマップを活用し、プロジェクトの全体像を整理する。現行施策と新たに検討される施策がターゲットのどのフェーズに影響を与えるのかを可視化すると効果的。その上で、不足している施策はないか、やるべき施策は何かを明確にする。そうすると、一連の流れの中でその施策が持つべきKPIの設定が可能となる。加えて、施策ごとのパフォーマンスを仮説立てし、過去のデータや他社事例を分析することで、費用対効果の高い施策を選定できる。これにより、単なる実行ベースの施策ではなく、明確な根拠に基づく施策展開へと移行しやすくなる。初期段階からこのプロセスを確立することは容易ではない。しかし、十分な戦略設計をした上で施策を実行すれば、目的や意義が不明確になったり、コストやリソースの浪費の防止につながる。