オウンドメディアにおいて、CVの増加は主要な目的の一つとなる。しかし、多くのメディアでは、トラフィックの減少をCV減少の直接的な要因と捉え、リライトなどのコンテンツ改善のみで解決を図る傾向がある。確かに、適切なリライトによって検索順位が回復すれば、トラフィックが増加し、CVも増える可能性はある。ただし、トラフィック回復に依存する戦略では、効果が出るまでの時間が長く、短期間でのCV向上にはつながりにくい。そこで、有効な施策として挙げられるのが「CVR改善」である。トラフィックが減少していても、CVRを向上させることで、結果としてCV数の増加が可能となる。CV数が増加すれば、トラフィックが減ったままでも問題はない。リライトをするよりも少ない工数かつ、改善のインパクトが大きくなるため、ゴールがCV数を維持・向上なのであれば、CVR改善に注力する方法も検討して欲しい。
CVR改善には大きく分けて、フォームの改善とLPやサービスページの改善がある。もちろん、企業によって最適なアプローチは異なるが、今回はコンテンツSEOのタッチポイントを軸に考える。まずは、大まかに「記事→フォーム→CV」の各セッション数、遷移数・率を可視化し、どの部分に改善の余地があるかを明確にする。ビジネスモデルによる違いはあるものの、あるオウンドメディアでは、記事からサービスページへの遷移率が10%前後、サービスページからCVへの転換率が20〜30%程度で推移していた。業種や業態によって異なるため、あくまで一例ではあるが、こうした数値を基に、改善の優先順位を決定する。基本的な考え方としては、ゴールに近い箇所から改善を進めることが鉄則となる。例えば、サービスページまで到達したもののCVに至らなかった場合、その原因を探ることで「フォームの設計に課題があるのか」「CTAのメッセージが適切ではないのか」といった仮説を立てられる。一方で、記事からLPやサービスページへの遷移率が低い場合は、記事内の導線や内容の最適化が必要となる。このように、サービス検討まで行ったのになぜCVしなかったのか?はたまた、記事からサービスページで離脱したということは課題の解決策として適切なコミュニケーションができていなかったのか?などの仮説を立て改善を実行する。CVR改善によって、トラフィックの増加がなくてもCV数を伸ばすことが可能となるため、リライトと併せて検討すべき施策といえる。