想定場面や課題
新しいサービスを立ち上げたり、これまでに例のない施策に取り組んだりする際、多くの企業はゼロベースでの検討を迫られる。施策の成果が読みにくく、仮説と検証を繰り返す必要があるため、手探りの状態でスタートすることが多い。このような不確実性の高い状況では、どうしても「何をやるか」から考えてしまい、自社の視点に偏った施策設計になりがち。特に、「とりあえずやってみる」という発想だけで進めてしまうと、本来届けるべきターゲット像があいまいになり、成果につながらないケースが増えてしまう。前例がないからこそ、大胆な発想が求められる一方で、その根拠が弱いために説得力のあるプランを立てにくいというジレンマも生じやすい。実際、「やってみないとわからない」と試行錯誤を続けた結果、社内での評価が定まらず、途中で立ち消えになってしまう施策も少なくない。
解決策
こうした状況を突破するためには、施策のアイデアから出発するのではなく、顧客の行動プロセスから逆算するアプローチが有効。たとえば、これまで広告や展示会などの施策で顧客獲得をしていたが、新たにコンテンツSEO施策に取り組むとき、検索キーワードを考える前に、既存顧客がどのような流れで自社を知り、問い合わせや契約に至ったのかを丁寧に振り返る。 1. 顧客はどのような状況に置かれていたか2. どんな課題や悩みを抱えていたか3. 何を調べ、どのような情報に触れたのか4. どのような情報ニーズを持っていたか5. どのように自社サービスを認知し、何に興味を持ったか6. 最終的にどのようなきっかけで意思決定をしたのか この一連の行動を具体的に可視化していく。これにより、仮に新しい施策であっても、顧客がたどる可能性のある接点や思考を手がかりに、現実性のある施策を描くことができる。これは、施策の前例があるなしにかかわらず、既存顧客の行動に着目することで得られるヒントになる。ある企業では、コンテンツSEOでリード獲得を狙うにあたって、経験が浅くキーワード選定に迷っていたが、既存顧客の行動プロセスを起点に分析したことで、ニーズに即したキーワードを抽出できた。やみくもに施策を広げたり、施策の幅を狭めることなく、必要なテーマに絞った打ち手を展開できたことで、必要なキーワードに絞った施策に注力でき、想定以上のリード獲得につながった。このアプローチは、自分たちの思いつきや、自分たちが思い描く顧客像ではなく、実際に受注に至った顧客に基づいた判断を可能にするため、経験のない施策であっても、成果につながりやすくなる。