オウンドメディア運営は、「育てながら作る」チーム構築がカギ
想定場面や課題
オウンドメディアやコンテンツSEOを始める企業がまず直面するのが、人手不足の問題だ。専任の担当者がいなかったり、他業務と兼任していたりすると、どうしてもメディア運営は後回しになってしまう。コンテンツSEOは短期間で成果が出るものではなく、継続的に取り組む必要がある。だからこそ、優先順位が下がりやすく、気づけばコンテンツが止まってしまっていた…という状態に陥る企業も少なくない。さらに、外部ライターを起用しても「とりあえず納品して終わり」という関係にとどまってしまうと、メディア全体の質も上がらず、事業成果につながりにくくなる。メディアが育たないことで、経営層への説明もしにくくなり、投資対効果の面でも課題が生まれてしまう。こうした状況を打開するには、限られたリソースの中でも、継続して運営できるチームづくりが必要になる。
解決策
人的リソース不足に対して、解決策の理想は、専任担当者を立てること。だが、現実として成果が上がっていないオウンドメディアで、専任担当者を立てることは難しい。そのため、外部ライターや委託メンバーを巻き込んでチームを組むのが現実的な方法となる。ただし、ただ人を増やせばいいという話ではない。重要なのは、「チームメンバーが一緒にメディアを育てていく」姿勢を持てるかどうか。外注先として作業だけを依頼するのではなく、メンバー一人ひとりに「このメディアを通じて何を目指すのか」を共有し、自分ごととして関われるようにする必要がある。たとえば、以下の3点をチームで共有するだけでも、取り組みの質は大きく変わる。 ・メディアの目的（なぜこのメディアをやるのか）・各メンバーに期待していること（スキル・役割・将来像）・明確なミッション（やるべきことと成果の基準） 特にライターについては、「とりあえず書ける人」ではなく、「書く力を高めていく人」として育成していく視点が欠かせない。編集者やディレクターとして育っていく土台にもなるからだ。たとえば、記事ごとの検索順位やCV数など、明確な数値目標を設定してフィードバックを行うと、本人の成長も可視化しやすくなる。すると、「この人はディレクター向きかも」「この人は専門特化ライターとして強みを伸ばせそう」といった適性も見えてくる。こうした育成を通じて、将来的にはライター→ディレクター→PMと役割を広げていける体制が整い、チーム全体が自走する状態を目指せる。実際に、元ライターのメンバーが育ち、社内の中心メンバーとして活躍している例もある。「人が足りないからできない」ではなく、「育てながら作る」ことで、リソースが限られていても持続可能なメディア運営は十分実現できる。
