コンテンツSEOを始める際、「誰に、何のために届けるのか」を明確にせず進めてしまい、成果につながらないケースは少なくない。見込み顧客の像があいまいなままでは、どんな内容が必要か、どの順番で届けるべきかが整理できず、時間と労力をかけても成果の出ないコンテンツになってしまう。特に、「資料ダウンロード」「お問い合わせ」「商談」などの最終的なアクションにユーザーがどうたどり着くのかが見えていないと、設計の基準がなくなる。その結果、ユーザーの関心や段階に合っていない情報ばかりが並び、せっかく検索から流入しても、途中で離脱されてしまう。こうした状態を防ぐためには、成果につながるユーザー像と、その人がどう動いて商談や成約に至るのかを、あらかじめ描き出しておく必要がある。それが、コンテンツSEOを単なる情報発信ではなく、事業成果に貢献する施策として成立させる第一歩となる。
今回の課題については、まずは、実際の受注データをもとに「誰に向けて発信するのか」を具体化する。たとえば以下のような情報を営業データから整理する。 ・成約した企業の業種や規模 ・担当者の役職や立場 ・決裁に関する条件(予算や権限) ・商談につながりやすい課題やニーズこれらはSFAやMAツールのデータだけでなく、商談の録画や営業担当者のヒアリングからも取得できる。実際の顧客像をもとにターゲットを定義することで、自分たちの想像やデータだけでは見えにくいリアルな検討背景を踏まえた設計が可能になる。次に、ターゲットとなるユーザーが、どんなプロセスで成約に至るのかを言語化する。よくある「認知→比較→検討→決定」といった型ではなく、自社の実情に即したユーザーカスタマージャーニーを描くことが大切。そのうえで、各フェーズでユーザーが検索するキーワードや、態度が変化するきっかけ(トリガー)を整理していく。このカスタマージャーニーとキーワードをセットで考えておくことで、コンテンツの構成やCTAも自然に決まりやすくなる。さらに、フェーズごとの情報設計が明確になるため、SEOだけでなく全体のUX改善にも寄与する。重要なのは、最初から完璧なターゲット像やカスタマージャーニーをつくろうとしないこと。運用を通じて、実際に獲得できた顧客とのギャップを見つけ、修正していくことが必要だ。そのためにも、マーケティング部門だけで完結せず、営業やインサイドセールスと連携しながら設計・改善を行う体制が求められる。また、分析の出発点となる情報の質が、成果に直結する。そのため、SFAに入力されるデータが少ない・不正確といった問題があれば、入力ルールの見直しや習慣づけもあわせて行う必要がある。ターゲットとカスタマージャーニーを見える化し、運用しながらアップデートしていく。これが、コンテンツSEOで成果を出すための実践的なアプローチになる。