「日報をAIに丸投げすると思考力が育たない」という議論に対する私の考え方
寺倉 大史
Director
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「AIに丸投げ」か、それ以外か。
東洋経済に「日報をAIに丸投げした新人の1年後の悲惨な末路」という記事が出ていました。新入社員10名中8名がChatGPTで日報を作成していて、2年目の研修では「思考力が驚くほど薄い」状態だったという話です。
記事の結論は「AIに丸投げするのではなく、使い方を考える必要がある」というもの。この指摘自体はその通りだと思います。
ただ、僕は少し違う考え方もあるのではないかと思ったりします。
そもそも日報は何のためにあるのか
日報の目的は「思考力を育てる」ことなのか?
確かにそれもありますし、正しく書き手の状態を把握することも、フィードバックを通じて教育することも多くあるかなと。ただ、AIがここまで進んだ時代だからこそ、日報はその人の記録を蓄積するためにあると考えてもいいのではと思ったりします。どんな仕事をして、どこで詰まって、何を学んだか。その記録です。
日報が溜まっていくと、それはその人の文脈や成長、失敗が正しくわかるデータになります。
たとえば、「この人はいつも見積もりのところで詰まるな」「このパターンの案件では成果を出しやすいな」といった傾向が見えてくる。詰まったときにどう解消したかもわかる。
このデータがあれば、新人教育にも活かせます。「先輩たちはこういうところで詰まって、こうやって乗り越えた」という実例が蓄積されているわけです。マネジャーがいつもフィードバックしている内容をまとめれば、教育カリキュラムを作ることもできる。
これがAIを活用した日報の一つの価値だと思っています。
そう考えると、AIでハイクオリティな日報が出力できたら、それでいいのではないか。その子の学びを知りたいなら、AIで書いた日報からでも十分わかる。むしろ、フォーマットが整った日報の方が、後からデータとして活用しやすい。
僕が大事だと思っているのは、日報を「書かせる」ことより「思考とAI活用のレビューをする」ことの方です。ハイクオリティな日報に対して「ここがいい」「ここは違う」とフィードバックしてあげれば、何がいいのか悪いのかがわかる。それが育成だと思っています。
「相手に手で書かせる」ことに価値を置くより、「自身のレビューの質を上げる」ことに時間を使った方がいい。
「本気で自動化する」という問いを立ててみる
記事では「AIに任せると自分の頭で考えなくなる」という懸念が書かれています。
この懸念はわかります。ただ、日報を15分かけて手で書いている間に、世界は動いている。「自分の頭で考える時間」に価値を置きすぎると、スピードが落ちることがあります。
「クオリティが低い日報をAIで作る」——これは確かに丸投げです。
でも、逆の問いを立ててみたらどうなるか。
「全てAIでやるには?」「1分もかからず終わらせるには?」
この問いに本気で向き合おうとすると、けっこう色々なことを考えないといけなくなります。
たとえば、日報を1分で終わらせようと思ったら、まず材料を集める必要があります。今日やったタスク、Slackでのやりとり、ミーティングのメモ。これらを自動で集める仕組みを考えないといけない。
次に、集めた材料をどうやって日報の形にするか。AIへの指示を順番につなげて、「まず今日のタスクを整理して」「次に学びを抽出して」「最後に日報の形式にまとめて」と、一連の流れを設計する必要があります。さらに、これを毎日自動で動かすには、ちょっとしたツールを作る必要も出てくる。
これ、AIの基本的な使い方が全部詰まっています。
「クオリティの高い日報を1分で終わらせるには?」という問いに本気で取り組んだら、データの集め方、AIへの指示の出し方、作業の分解の仕方、仕組みの作り方…AIを使いこなすための基本が全部学べる。
「手で書け」と言うより、「本気で自動化してみたら?」という問いを授けた方が、考えも学習も、何がいいか悪いかも、基本的なことが身につくのではないかと思っています。
最後に
丸投げと、本気の自動化は、全然違うものです。
本気で自動化しようとする過程で、データの集め方、AIへの指示の組み方、ツールの作り方を考えることになる。その過程で、AIの使い方は自然と身についていきます。
新人に日報を書かせるとき、「手で書け」と言うか、「1分で終わらせるにはどうする?」と問いを授けるか。
どちらが学びになるかは、試してみる価値があると思います。
この記事は、社内の知見や実績データを活用し、ユーザーにとって利便性の高いコンテンツを生み出すよう設計されたAIを活用して制作し、マーケターがレビュー・監修した後に公開しています。KAAANは、AIと人の共創によって高品質なコンテンツを効率的に制作しています。
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寺倉 大史
Director
業界歴10年以上。マーケティング全体の戦略、プランニング、PM、組織開発など幅広く累計100社以上を支援。藍染職人、株式会社LIG執行役員を経て、デジタルマーケティングカンパニー『MOLTS』を設立。
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寺倉 大史
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業界歴10年以上。マーケティング全体の戦略、プランニング、PM、組織開発など幅広く累計100社以上を支援。藍染職人、株式会社LIG執行役員を経て、デジタルマーケティングカンパニー『MOLTS』を設立。
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