マーケティングチームが「新規リード数の増加」や「問い合わせ数の増加」を目標に掲げる場合、問い合わせ件数を把握することはできていても、その内訳や顧客属性、具体的な問い合わせ内容、見込み顧客がどのような課題を持っているかを十分に把握できていないケースがよくある。また、見込み顧客の生の声を日常的に収集し、それをもとにアクションを取る習慣が根付いていない場合も少なくない。見込み顧客について深く理解し、それをコンテンツ制作や施策改善に反映できれば、成果につながる質の高いコンテンツが生まれる。つまり、顧客の声を日常的に収集する仕組みを作ることが、マーケティングチームの活動を次のレベルに引き上げるカギとなる。
具体的には、HubspotなどのCRMツールとSlackを連携させ、サイトから問い合わせが発生した際に、自動的にSlackの指定したチャンネルに問い合わせ内容が通知される仕組みを構築するのがおすすめ。この仕組みによって、「会社名」や「問い合わせ内容の詳細」などの情報がリアルタイムで共有されるため、どのような見込み顧客がどのような目的で接触しているのかをチーム全体で把握しやすくなる。ただし、こうした仕組みを導入するだけでは効果は限定的。問い合わせ情報を活用し、チーム内で積極的にコミュニケーションを促進することが重要になる。例えば、Slack上や定例ミーティングで「この会社からこういった問い合わせがあったが、今の施策やコンテンツでどのような対応や改善に役立ちそうか」といった議題を設定する。こうした議論を通じて、顧客の課題やニーズへの理解が深まり、コンテンツのターゲット設定やリライト、CTA改善などの施策がより精度の高いものになる。さらに、チームメンバー間で顧客の声を共有することで、議論の軸が明確になり、施策実行までのプロセスが効率化される。例えば、「この記事は、この前の問い合わせの人が抱えていた課題を解決する内容にしよう」といった具合に、具体的な顧客をイメージしながら施策を進められるため、より効果的な成果を期待できる。問い合わせが少ないプロジェクトの場合、この仕組みは特に効果を発揮する。少数の問い合わせであっても、リアルタイムで把握し、チーム全体で「問い合わせが増えている」と実感することで、モチベーションの向上につながる。これにより、チームの雰囲気が良くなり、自然と行動量が増えるという好循環が生まれる。このように問い合わせ内容を単なるデータとして蓄積するのではなく、チーム全体で共有し、それをもとに議論や改善を進めることで成果を上げるマーケティングチームをつくる大きなステップとなる。
ただし、この方法は問い合わせ数が月に数件から数十件程度のプロジェクトに適している。一方で、月に100件以上の問い合わせが発生するプロジェクトでは情報が過剰になり、対応が難しくなる可能性がある。そのため、運用規模に応じて適切な方法を選択することが大切。