事業終了の危機でも、個人の知見をチームに還元し、成果を出し続ける方法

想定場面や課題

サービスの存続が危ぶまれるような状況で、限られたメンバーとリソースで成果を出し続ける必要がある。そんなとき、トップダウンではなく、現場の知見や気づきをどうチーム全体で活かしていくかが問われる。実際、組織規模が100人から10人へと大幅に縮小した場面では、従来のヒエラルキー型マネジメントでは立ち行かなくなった経験がある。しかも、日々の状況が変化するなかで「判断を遅らせないこと」も重要になる。どのメンバーが何を考え、どんな気づきを持っているのか、それをいかに素早く可視化し、次のアクションにつなげるかが、危機的状況を突破できるかどうかの分岐点になる。このとき、チームが直面する課題は、「知見が個人にとどまってしまうこと」「方向転換が遅れること」「そもそも危機感の共有があいまいになること」。急激に人数が減った分、全員が自分の頭で考え、チーム全体に貢献する必要があるからこそ、知見をオープンに共有する仕組みが欠かせない。

解決策

こうした状況では、「日報」と「朝会」を軸にした、日次の振り返りと共有の仕組みが一助になる。メンバー全員が同じフォーマットで日報を書き、マネージャーは必ず目を通してフィードバックをする。気になる点があればコメントや質問を通じて、気づきの質を深掘りする。日報のフォーマットには、タスクの進捗や予算に対する達成率に加えて、担当キーワードの順位変動とそれに対する仮説、ネクストアクションまで記載するようにする。この運用を続けると、各メンバーの気づきがチームの共通言語となり、意思決定がより早くなる。さらに朝会では、前日の気づきをメンバー全員で共有する。うまくいったこと、うまくいかなかったこと、その両方をオープンに語り、必要に応じて方針を即日で転換する。たとえば「昨日の仮説は外れていたから、今日は別の手を打とう」といった判断が、その場で行われる。これにより、PDCAが高速で回るようになり、判断と行動が遅れなくなる。ポイントは、誰かの成功だけを称えるのではなく、失敗や違和感も含めて「共有する価値のある知見」として扱うこと。こうすることで、全員がチームの一員として頭を使い、行動を振り返る文化が育つ。サービスの存続が危ぶまれる危機的な場面で、メンバーに負担やプレッシャーがかかる状況こそ、チームの知恵を最大限に活かすチャンスでもある。日報と朝会というシンプルな仕組みを徹底するだけで、チームの意思決定と行動の質は驚くほど変わっていく。

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