認知段階に応じたタッチポイント設計で、差別化と体験の一貫性を生む方法

想定場面や課題

新サービスを立ち上げる際、Webサイトや営業資料、展示会といったタッチポイントを複数設けることは一般的だが、それぞれの役割が曖昧になりがちである。特に競合の多い市場では、接点ごとに明確な差別化が求められるにもかかわらず、同じような内容や表現が繰り返されてしまうことが多い。その結果、接点の特性が活かされず、ユーザーの認知や興味を段階的に育てていくことが難しくなる。また、社内やクライアント、外部パートナーなど関係者が多いプロジェクトでは、各接点の目的や訴求内容の認識がずれたまま進行し、一貫性のないコミュニケーションに陥るリスクもある。とりわけ、サービスが無名の状態から立ち上げる局面では、最初の接触体験において何を伝えるか、その後の段階でどこまで踏み込むか、といった設計が極めて重要になる。ただ接点を揃えるだけでなく、それぞれがユーザーの認知段階において、どのような意味を持ち、どんな価値を届けるべきかを整理・共有する必要がある。

解決策

こうした課題に対して有効なのが、認知段階を軸にタッチポイントを設計するアプローチである。サービスが無名の場合は、その状態からスタートすることを前提に、カスタマージャーニーを描き、ユーザーの接点ごとの心理状態を想定しながら役割を整理していく。このとき起点となるのは、ブランドやサービスがどのようなポジションにあり、ユーザーからどの程度認知されているのか、という客観的な見立てである。認知初期の接点では、競合との差別化や情緒的な印象づけを重視する。展示会のように限られた時間で注意を引く場では、強いビジュアルとキャッチーな訴求が効果的。反対に、商談のような場面では、ユーザーが導入を検討する段階にあるため、具体的な機能や導入後のメリットを伝える内容が求められる。そのため、接点がユーザーの認知段階のどこに位置するのかを踏まえ、「情緒的価値から機能的価値へ」というストーリーの中で役割を定義することがポイントになる。また、この設計はプロジェクトメンバー全員が共有できる状態であることが不可欠である。ステークホルダーが多い場合、都度新しい資料を用意するのではなく、初期設計から進行中の変更履歴までを一貫して記録・更新し続けるドキュメントを用意する。これにより、進行中の意思決定が過去の設計意図と乖離しないように調整できる。ドキュメントは使い捨ての資料ではなく、継続的にアップデートされる「共有資産」として機能させることが重要である。こうした可視化と共有の仕組みによって、接点ごとの訴求内容とタイミングが最適化され、サービス全体のコミュニケーションに一貫性が生まれる。

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