MVVを元に、ブランドの視覚表現を伝わる形に整える方法

想定場面や課題

企業の特徴をビジュアルで表現しようとする場面では、思った以上に多くの迷いや混乱が起きる。よくあるのは、それぞれの要素を別々に考えてしまい、「これはミッションっぽい」「これはビジョンに見える」といった、なんとなくの感覚で表現を進めてしまうケース。その結果、ミッションとビジョンの表現が似通ってしまったり、表現方法のバリエーションにばらつきが出てしまったりして、全体のバランスが崩れることが多い。さらに問題になるのは、抽象的なコンセプトをどのようにビジュアルに落とし込むかという点。実写で撮るのか、イラストで描くのか、映像にするのかといった選択肢に対して、明確な判断基準がないと方向性が定まらず、関係者との合意形成も難しくなる。結果として、単体ではそれぞれ良いビジュアルであっても、ひとつのブランドとして見たときに統一感がなくなり、企業の伝えたい価値や世界観がうまく伝わらないという状態に陥ってしまう。ここで効果的なのがMVV、つまりMission・Vision・Valueを元にしてビジュアルを計画することだ。これは、単なるデザインの話ではなく、企業として何をどう伝えるかという「戦略」の話でもある。

解決策

MVVの視覚表現を的確に設計するためには、まず「ミッション」「ビジョン」「バリュー」それぞれが担う役割を明確に分けて考えること。ミッションは企業が社会に対して果たしたい意義や志を伝えるものであり、全体の世界観や方向性を示す役割を担う。一方でビジョンは、その志がどう実現されていくのかをより具体的な未来像として提示する要素となる。そしてバリューは、その未来に向かう中で社員がどう行動し、サービスや事業がどう機能するかという日々の実践を伝える部分だ。このように役割をあらかじめ整理しておくことで、たとえば、「どれも似たような言葉やビジュアルになってしまった」という事態を防ぎやすくなる。それぞれが別の役割を持っているという前提でビジュアルを考えると、どこで何をどう表現すべきかがはっきりする。さらに、どのような表現手法を選ぶかについては、伝えたい内容の本質とユーザーとの距離感が判断基準になる。たとえば、実際の社員や働き方を通じて変革を伝えるなら実写が向いているし、未来的な技術や概念を表すならイラストやモーショングラフィックといった抽象的な表現が効果的なこともある。インパクトだけでなく、「何をどのように伝えたいか」という軸から表現方法を選ぶことが大切になる。このような役割分担と表現方針が整理されたうえで、MVVのビジュアルを一つひとつ作っていくと、全体としての一貫性や説得力も自然と高まっていく。制作の途中では、参考ビジュアルの共有や仮説の検証なども並行して行うことで、方向性のずれを早い段階で防ぐことができる。ただし、こうしたプロセスを成功させるには、ビジュアルをつくりはじめる前の段階、つまり「MVVをどう伝えたいか」のコンセプト設計がもっとも重要。何をどう差別化したいのか、誰にどう伝えたいのかという問いに対して、チーム全体で納得できる言葉を持っておくことが、後の判断のブレを防いでくれる。ビジュアルの検討を単なるデザイン作業にしないためにも、コンセプト設計→全体設計→表現手法→役割分担という順序でプロジェクトを進めることが、MVVを元にした視覚表現を成功させるための鍵になる。

シェア

このアドバイスが使われたケーススタディ

ケーススタディ
製品・工業・素材BtoB メーカー・セールス

通信大手のドローン事業、既存市場での差別化とブランドイメージ確立に課題

競合との差別化を戦略的に設計し、ブランドイメージの確立と差別化を実現

サイト制作 , イベント・展示会