伝わるサイト設計は、文脈と情報配置の順序設計から始まる

想定場面や課題

Webサイトを運営していると、「アクセスはあるのに成果につながらない」「回遊性が低く、すぐに離脱される」といった悩みを抱えることがある。こうした課題の背景には、ユーザーの行動とサイト構造のズレがあるケースが多い。たとえば、「この順番で見てほしい」という意図で構成したページでも、実際にはその通りに読まれていなかったり、重要な情報が埋もれていたりすることがある。よくある原因のひとつが、ナビゲーションやコンテンツの配置が、ユーザーの行動に合っていないこと。企業が伝えたい情報と、ユーザーが知りたい情報のタイミングがずれていると、ユーザーは迷いやすくなる。さらに、部署ごとにコンテンツが独立して作られていたり、更新のタイミングが合っていなかったりすると、ページ全体の流れがバラバラになり、回遊しづらいサイトになってしまう。このように、情報の見せ方や構成がユーザー目線で設計されていないと、せっかくのコンテンツが届かず、サイト全体の成果に悪影響を及ぼす。伝えたいことが伝わらないままでは、ブランドの価値も十分に伝わらず、大きな機会損失につながるおそれがある。

解決策

この課題を解決するには、Webサイトは情報の置き場ではなく、ブランドの戦略やメッセージをユーザーに届けるための流れを作るツールであることを再認識する。そのうえで、ナビゲーションやコンテンツの順序は、ブランドの目的や伝えたい内容に応じて調整する必要がある。たとえば、ブランドの認知拡大を優先するフェーズでは、トップページに理念やブランドの世界観を伝えるコンテンツを配置する。一方、商品購入を促したいフェーズでは、すぐに商品情報や購入導線へ誘導できる設計にする、など。このように、方針と大まかな手段が決まれば、ナビゲーションにも反映させ、ユーザーが最小限のクリックで必要な情報にたどり着けるようにする。単に情報を並べるだけでなく、「どういう順番で、どの情報を見せたいのか」というコンテンツの文脈を設計することが重要になる。ブランド側が何を伝えたいのかによって、ナビゲーションの項目は検討できると良い。たとえば、 ・どんな考え方で製品作りをしているのか、理念や品質について知ってもらう・どんな想いで、どんな製品を作っているのかを、具体的な製品を通して知ってもらう・その製品をどこで触れることができるのか、接点を知ってもらう というように、情報の理解がしやすくユーザー行動とも重なる流れを作り出していくことが伝わりやすさにもなってくる。伝えたいことが伝えられるサイト設計は、技術や装飾だけでなく、構造や文脈、情報提供の順番を整理して設計し直すことから始まる。

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UX , コミュニケーション設計 , サイト制作