ブランド価値を高めるために、点で終わらせないブランド接点のつなぎ方

想定場面や課題

ブランドとユーザーの接点は、ブランドサイトやECサイト、SNS、商品パッケージなど多岐にわたるが、接点ごとの目的や伝えるべき情報が共有されず、全体として統一感のないブランド体験になっているケースがある。この課題は、各タッチポイントが、部署ごとに役割・分担されていることで、それぞれバラバラに運用されていることが主な要因となる。たとえば、商品パッケージではキャンペーン情報を伝えているのに、Webサイトでは同じ情報が見つからなかったり、SNSで話題にしていた新商品の詳細がブランドサイトに載っていなかったりと、ユーザーが混乱する状況が起きがちだ。また、商品展開のスピードに運用が追いついていなかったり、コンテンツを作る人手や時間が足りなかったりする実務的な問題もある。こうした運用を続けていると、ユーザーにとってわかりにくい・使いにくいブランドになってしまい、期待される体験が提供できなくなる。結果として、ブランドイメージの低下や、せっかくの関心を購買や継続利用につなげられないなど、機会損失を招くリスクが高まる。

解決策

この課題を解決するには、、自社がユーザーと接点を持っているタッチポイントをすべて洗い出し、どんな役割を持たせているのか、そして本来どんな役割を担うべきかを整理することからはじめる。この整理を行うことで、必要だがつくれていない接点も見えてくる。現在の接点と追加で必要な接点も含めて全体像を描く。そのうえで、各タッチポイントがどう連携すれば、ユーザーにとって価値のある体験になるかを考える。たとえば、商品パッケージからブランドサイトへの誘導、ブランドサイトからECサイトへの遷移、SNSでの話題化からコンテンツへの接続など、接点をつなぐ流れを意識的に設計する。このとき重要なのが、「自社の事情」ではなく、「ユーザーの体験」を軸に考えること。ブランドサイトとECを別々にするか統合するかといった判断も、管理のしやすさではなく、「ユーザーにとってどちらがわかりやすく、使いやすいか」を基準に判断する。次に、連携を形にするための運用体制を整える。最初からすべてを完璧にする必要はないが、最低限の連携ルールを持つだけでも情報の重複を防げたり、素材の再利用でコンテンツ制作を効率化できたりと、多くのメリットがある。ブランド体験を一貫させることで、ユーザーの信頼や愛着が生まれやすくなり、結果的に購入や継続的な利用につながる。個々の接点を強化するだけでなく、それらをつなげていく視点が、ブランド運用には欠かせない。

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