初期フェーズのカオスな状況を整理し、プロトタイプ開発を推進していく方法

想定場面や課題

新規事業やプロジェクトを立ち上げる初期フェーズでは、「みんなが言っていることが少しずつ違う」「何を軸に進めればいいかが決まらない」といった混乱が起きがち。その原因のひとつは、関係者が持っている情報が断片的で、全体像を共有できていないこと。ビジョンや目的がふわっとしている状態では、方向性の判断がブレやすく、意思決定が遅れたり、途中で意見がぶつかって進まなくなるケースもある。このような状況で必要なのは、点在する情報を一度整理し、共通認識をつくること。プロジェクトの「核」を早めに具体化しておくことで、関係者同士の目線がそろい、施策の実行にスムーズに移行できるようになる。そのための進め方には、大きく分けて「リード型アプローチ」と「共創型アプローチ」、そして、この2つのハイブリッド型の3つがある。

解決策

プロジェクトの初期フェーズでカオス化しないようにするために、3つの進め方、それぞれの特性を理解したうえで、状況に応じて使い分けることが必要になる。1. リード型アプローチ:推進役がモデルを示す方法リード型アプローチでは、プロジェクトの推進役(ビジネスオーナー、サービスデザイナー、事業責任者、プロダクトマネージャーなどプロジェクトの幹部以上)が中心となり、情報を整理しながら方向性のたたき台を作る。たとえば「どんな課題を解決するのか」「どのような機能が必要か」「どこから手をつけるか」といったポイントを仮説としてまとめ、簡易的な設計案やプロトタイプに落とし込む。それをもとに関係者と議論を重ねながら、合意形成を図っていく。このアプローチは、初動が速く、ブレない軸をつくりやすいのがメリット。一方で、推進役の視点に偏ると、関係者の納得感を得にくくなり、あとのフェーズで意見の相違が生じやすくなる。そのため、初期の段階で作成した設計案やプロトタイプ、仮説を絶対視するのではなく、フィードバックを柔軟に取り入れながらアップデートしていく姿勢が重要になる。 2. 共創型アプローチ:みんなでモデルをつくる方法共創型アプローチでは、関係者全員で意見を出し合いながら方向性を決めていく。よく使われるのがワークショップ形式。進め方としては、まず「発散フェーズ」で参加者から多様な視点のアイデアや課題を引き出す。そのうえで「収束フェーズ」でそれらの情報を整理し、優先順位や注力ポイントを明確にしていく。最後に、具体的なサービス設計案やプロトタイプを作成し、関係者のフィードバックを受けながらブラッシュアップしていく。この方法のメリットは、関係者全員の理解度や納得感が高まりやすく、初期から一体感のあるプロジェクト運営ができること。ただし、議論が広がりすぎると方向性が定まらなくなるため、進行役となるファシリテーターのスキルが問われる。 3. 状況に応じて組み合わせるのが効果的実際の現場では、リード型と共創型のどちらか一方に絞る必要はない。たとえば、最初はリード型で大まかな方向性を固め、次に共創型で関係者の視点を取り入れて精度を高めていく。といったように、フェーズに応じて組み合わせることで、スピードと納得感の両方を担保できる。断片的な情報が飛び交う立ち上げ期こそ、整理と具体化の進め方がプロジェクトの成否を左右する。状況に合ったアプローチを選び、共通の土台をつくることが、次のアクションを加速させる第一歩になる。

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