使いにくさを改善し、プロダクトの質を上げるためにルールを整備する

想定場面や課題

プロダクト開発が進み、機能や業種対応が広がってくる中期フェーズでは、各画面のUIがバラバラになりやすいという課題が生まれやすい。初期段階ではスピードを重視して仮のデザインで進めるケースも多いため、開発が進むにつれて一貫性のないUIが蓄積されてしまう。たとえば、ある画面ではボタンが右下にあり、別の画面では中央にあったり、モーダルウィンドウを使うかどうかの基準があいまいだったりすると、ユーザーは「この画面は前と何が違うのか」と戸惑いがちになる。操作ミスが起きやすくなるだけでなく、「使いにくさ」ばかりが印象に残り、本来検証したい機能の価値が伝わりにくくなる。また、開発側でも問題は大きい。過去に作ったUIとの整合性を取るのに時間がかかったり、「どのボタンが正式な仕様なのか」といった確認が都度発生することで、修正や機能追加のたびに工数が膨らむ。最悪の場合、UIの違和感が原因でユーザーからのフィードバックが本質からズレてしまい、的確な改善が難しくなる。このように、中期フェーズではUIの乱れがユーザー体験だけでなく、開発のスピードや検証の精度にも悪影響を与える可能性がある。

解決策

この問題を解消するには、中期フェーズに入ったタイミングで、簡易的でもよいのでデザインシステムを整備し始めるのが効果的。主要な体験フローを検証する段階で、UIの一貫性も同時に設計しておくことで、検証と開発の質を大きく高めることができる。まずは、カラー、タイポグラフィ、ボタン配置といった基本ルールを明文化する。さらに、モーダル使用や画面遷移のパターンといった、よくある操作に関するガイドラインも加えておくとよい。ルールがあるだけで、ユーザーが画面を移動しても操作感が変わらず、混乱を減らせる。結果として、「使いにくい」と感じる理由がUIにあるのか、それとも業務フローや機能にあるのかが判断しやすくなる。また、開発チームにとっても、コンポーネントやレイアウトの共通化が進むことで、「どのパーツを使うか」「どの設計に従えばいいか」が明確になり、修正や拡張時の迷いや手戻りが減る。新しい機能や画面を追加する際も、既存ルールに従って素早く設計できるため、全体の開発スピードも上がる。プロダクトの完成度は、機能の良し悪しだけでなく、「どう見えるか」「どう使えるか」にも左右される。デザインシステムはそれを支える基盤として、検証の質や改善の方向性を正しく導いてくれる。

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