プロダクトの開発が終盤になる後期フェーズに入ると、いよいよ「完成度の高さ」が求められる段階になる。機能やUIが揃ってきた一方で、デザインに関する判断は後回しにされがちで、最後にまとめて整えようとすると手間や修正コストが膨らんでしまうことが多い。特に問題になるのは、画面ごとの見た目や使い方にばらつきが出ること。たとえばある画面では青を基調とした配色なのに、別の画面では緑がメインになっていたり、ボタンの形や余白が不統一だったりすると、ユーザーは「ちゃんとしたサービスなのか?」と不安を感じる。社内の開発チームにとっても、仕様の違いをその都度確認しなければならず、無駄な調整や手戻りが発生しやすくなる。さらに、あとからブランドイメージを整えようとしても、細かなデザインの積み重ねが障壁になり、大きな負荷になってしまう。プロダクトの価値を正しく伝えるには、使い勝手や見た目に一貫性があることが重要。そのためにも、プロダクトの開発が終盤になる後期フェーズではデザイン面の仕上げにしっかりと向き合う必要がある。
このような課題を避けるには、後期フェーズに入った段階でデザインシステムを本格的にアップデートし、プロダクトとブランド全体に統一感をもたせることが必要となる。以下の3ステップで進めるとスムーズに整備できる。 1. デザインルールの棚卸しと再整理 まず、これまで整えてきた色・フォント・ボタン・アイコンなどのルールを改めて見直す。 全画面をチェックし、ルールに沿っている箇所とそうでない箇所を洗い出す。このタイミングで「統一すべき要素」と「柔軟に許容する要素」を切り分けておくと、ブランドの一貫性を保ちつつ、現実的な調整も可能になる。 2. 新たな仕様・要件の吸収 機能追加やさまざまな業種への対応で発生した新しいUIパターンや例外的な対応も、ガイドラインに反映していく。ボタンのバリエーションや入力フォームの違いが増えている場合は、「どう使い分けるか」を明確にし、開発メンバーやデザイナーが迷わないようにドキュメント化しておく。 3. 表層のデザイン統一でブランドを仕上げる 最後に、ロゴの扱い方、配色バランス、余白やフォントサイズなど、見た目に関わる部分を全体で揃える。特にトップページと管理画面など異なる種類の画面間で視覚的なつながりを持たせることで、ユーザーにとって「このサービスは一貫している」という安心感を与えられる。 このプロセスを通じて、プロダクトの使いやすさだけでなく、ブランドとしての信頼感や印象も高めることができる。これまで積み上げてきた基礎があるからこそ、短期間で統一が図れ、リリース直前の仕上げにも集中できる。