BtoB領域におけるブランド設計では、「自社の強みをどう打ち出すか」「競合とどう差別化するか」が避けて通れない課題になる。特に、技術力や機能性だけでは差がつきにくく、ユーザーから選ばれる理由を明確にできないケースは多い。たとえば「高性能な技術」や「業務効率化の実現」といった表層的な訴求にとどまると、競合との違いがあいまいになりがち。顧客にとっても、「なぜこのサービスを選ぶべきか」の判断がつきにくくなる。こうした状況を打開するには、ブランドの価値をより立体的に捉え直す視点が必要になる。技術やスペックだけでなく、「業務」「業種」「社会」の3つのレイヤーで整理することで、自社が市場や社会に対してどのような意義を持つのかが明確になる。
ブランドの訴求力を高め、選ばれる商品、企業となるためには、「業務」「業種」「社会」の3つの視点を理解する。そのうえで、情報を整理し、機能訴求にとどまらないブランド表現の軸を見つけることが重要になる。 1. 業務レベル ユーザーが日々の業務の中で感じるメリットに注目する。・どの業務がどのように効率化されるか ・導入のしやすさや運用負荷の軽減 ・他社と比べた時の現場目線での優位性 2. 業種レベル 業界特有の課題への対応力や、業界内での位置づけを整理する。・業界特有の課題にどれだけ寄り添っているか ・業界の常識を変えるような取り組みがあるか ・他業種への転用が可能か、その際の強みは何か 3. 社会レベル 企業活動が社会や未来にどうつながるかという視点で、情緒的な価値を言語化する。・社会課題の解決にどう貢献しているか ・業界や地域にどんな未来をもたらそうとしているか たとえば、ドローンを活用した保守点検サービスの場合、次のように捉え直せる。業務レベル: 少人数で短期間に作業を完了し、人手不足や危険作業の課題を軽減業種レベル: 点検業務の効率化は他社も実施しているが、他業種への応用可能性が高い社会レベル: 危険労働の削減や働き方の変革といった社会的意義がある このように視点を分けて整理することで、「単に機能が優れているから選ばれる」のではなく、「このブランドだからこそ価値がある」と感じてもらえる伝え方ができるようになる。特に社会レベルの整理は、ブランドに情緒的な意味づけを加えるうえで有効であり、共感や信頼の獲得にもつながりやすい。情報を整理する際は、自社だけの視点にとどまらず、業界構造や社会の変化まで視野を広げることがポイント。そうすることで、戦略的なブランド設計ができ、最終的には選ばれ続けるブランドへと成長できる。