Webサイトを運用していると、「アクセスが伸びない」「思ったようにページを見てもらえない」「サイト内を回ってもらえない」といった問題に直面することがある。こうした課題の多くは、サイト内の動線=ナビゲーションの作り方や、コンテンツの見せ方に原因がある。たとえば、「どんな流れで、どの情報を、どんな文脈で見てもらいたいか」が決まっていないと、ユーザーが混乱しやすくなる。また、ナビゲーションとコンテンツのつながりがわかりにくい場合も、ユーザーが必要な情報にたどり着けなくなってしまう。このような状態を放置していると、伝えたい情報が埋もれてしまったり、ユーザーが途中で離れてしまったりする。Webサイトは、ただ情報を並べる場所ではなく、「どう伝えるか」を設計することでようやく使える場所となる。しかし、設計者が想定したユーザーの行動と、実際の行動にズレがあると、どんなに良いコンテンツがあっても、情報がうまく伝わらないまま終わってしまう。
この課題を解決するためには、「コンテンツをどんな順番で見せたいのか」と「どうナビゲーションで導くのか」、「実際にユーザーはどのような行動をとるのか」をセットで考える必要がある。まずは、今のブランドの状況に合わせて「伝えたいことの優先順位」を決める。たとえば、新商品を知ってほしいフェーズであれば、商品情報がメニューの先頭に並ぶなどが考えられる。逆に、ブランドの考え方を伝えたい場合は、企業理念やストーリーを前に出すなど、優先順位にあわせて、メニューの並び順やボタンの配置、ナビゲーションも調整する。ユーザーが最初に目にする場所には、いちばん伝えたい情報を置くのが基本。次に、ユーザーの実際の行動を観察し、「どこで迷っているか」「どこで離脱しているか」を見つけることで、改善すべきポイントが明確になる。ユーザビリティの改善は、見た目や技術だけの話ではなく、「ユーザーの動きに合わせて構造を作り直す」こと。そうすることで、ユーザーがサイト内をスムーズに回遊できるようになり、より多くのコンテンツに触れてもらえるようになる。これらの積み重ねが、結果としてブランドの価値を高めていくことにもつながる。