WebマーケティングにおけるSEOの役割とは?成果を出すための実践ポイントを解説

WebマーケティングにおけるSEOの役割とは?成果を出すための実践ポイントを解説

デジタルマーケティングの重要性が高まる中、多くの企業がWebを活用した集客に注力するようになりました。その中でもSEO(検索エンジン最適化)は、中長期的な集客基盤を構築するための重要な施策として位置づけられています。

一方で、以下のような声も増えています。

  • SEOとWebマーケティングの関係性がよく分からない
  • Web広告やSNSとSEOをどう使い分ければよいのか判断できない
  • SEOに取り組んでいるが、思うような成果が出ていない

そこで本記事では、WebマーケティングにおけるSEOの役割と位置づけを明確にし、他施策との使い分けや成果を出すための実践ポイントについて解説します。

WebマーケティングとSEOの関係性

WebマーケティングとSEOは、しばしば同じ文脈で語られることがありますが、両者は異なる概念です。まずは、それぞれの定義と関係性を整理しておきましょう。

Webマーケティングの全体像と4つのフェーズ

Webマーケティングとは、Webを活用して商品やサービスの認知を広げ、見込み客を獲得し、最終的な購買や契約につなげる一連の活動を指します。オフラインのマーケティング活動と異なり、ユーザーの行動をデータとして把握しやすく、施策の効果測定や改善を迅速に行えることが特徴です。

Webマーケティングは一般的に、以下の4つのフェーズで構成されます。

1. コンテンツ制作フェーズ

Webサイトやブログ記事、ランディングページなど、ユーザーに提供する情報を作成する段階です。ユーザーのニーズに応えるコンテンツを用意することで、その後の集客やコンバージョンにつなげる土台を作ります。

2. 集客フェーズ

作成したコンテンツにユーザーを呼び込む段階です。SEO、Web広告、SNS、メールマーケティングなど、さまざまな手法を組み合わせてターゲットユーザーとの接点を作ります。

3. 接客フェーズ

サイトに訪れたユーザーに対して、適切な情報提供や導線設計を通じて購買意欲を高める段階です。サイト内の回遊設計、CTA(行動喚起)の最適化、フォームの改善などが含まれます。

4. 再訪問フェーズ

一度サイトを訪れたユーザーに再度アプローチし、継続的な関係を構築する段階です。メールマガジン、リターゲティング広告、SNSでのエンゲージメントなどを通じて、リピート訪問や購買を促進します。

これら4つのフェーズは独立しているわけではなく、相互に連携しながら全体として成果を生み出します。各フェーズにおいて適切な施策を実行し、PDCAサイクルを回していくことがWebマーケティング成功の鍵となります。

SEOはWebマーケティングの「集客」を担う

SEO(Search Engine Optimization)とは、日本語で「検索エンジン最適化」と訳されます。Googleなどの検索エンジンで特定のキーワードを検索した際に、自社のWebサイトを上位に表示させるための施策全般を指します。

前述のWebマーケティングの4つのフェーズの中で、SEOが主に担うのは「集客フェーズ」です。検索エンジンをタッチポイントとして、見込み客が自社サイトに訪れるきっかけを作ります。

SEOの仕組みを簡単に説明すると、以下のような流れになります。

  1. ユーザーが検索エンジンで特定のキーワードを入力する
  2. 検索エンジンがインデックス(登録)されているWebページの中から、そのキーワードに最も関連性が高く、ユーザーにとって有益と判断したページを上位に表示する
  3. ユーザーは上位に表示されたページをクリックしてサイトに訪問する

つまり、SEOとは「ユーザーの検索意図に合致した質の高いコンテンツを作成し、検索エンジンに適切に評価してもらうための施策」といえます。

ここで重要なのは、SEOは「集客」の一手段であり、Webマーケティングのすべてではないということです。SEOで集客できても、サイト内の導線設計が不十分であればコンバージョンにはつながりません。逆に、どれだけ優れたサイトを用意しても、SEOが機能していなければユーザーを呼び込むことができません。

SEOはWebマーケティングを構成する重要なピースの一つであり、他の施策と連携させることで初めて大きな成果を生み出すことができます。

SEOとコンテンツマーケティングの違い

SEOと混同されやすい概念として「コンテンツマーケティング」があります。両者は密接に関連していますが、その範囲と目的には違いがあります。

コンテンツマーケティングとは

コンテンツマーケティングとは、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを継続的に発信することで、見込み客との関係を構築し、最終的に自社の商品やサービスの購入・利用につなげるマーケティング手法です。

コンテンツマーケティングが扱う「タッチポイント」は検索エンジンに限りません。SNS、メールマガジン、動画プラットフォーム、ホワイトペーパー、ウェビナーなど、多様なチャネルを通じてコンテンツを届けることができます。

SEOとコンテンツマーケティングの関係

SEOは、コンテンツマーケティングの一手法として位置づけられます。特に「コンテンツSEO」と呼ばれる手法は、検索をタッチポイントとしたコンテンツマーケティングそのものです。

両者の関係を整理すると以下のようになります。

項目 SEO コンテンツマーケティング
主なタッチポイント 検索エンジン 検索、SNS、メール、動画など多様
主な目的 検索上位表示による集客 見込み客との関係構築、態度変容
評価指標 検索順位、流入数 PV、エンゲージメント、CV数など
範囲 コンテンツマーケティングの一部 SEOを含む広い概念

コンテンツマーケティングの中で検索エンジンからの流入を重視する場合、SEOの知識と実践が不可欠になります。一方、SNSでの拡散やメールでの配信を主軸に置く場合は、SEOとは異なるアプローチが求められます。

自社のマーケティング戦略において、どのタッチポイントを重視するかによって、SEOに注力すべきかどうかの判断が変わってきます。

SEOがWebマーケティングで重要視される理由

数あるWebマーケティング施策の中で、なぜSEOが重要視されるのでしょうか。その理由を3つの観点から解説します。

継続的な集客効果が見込める

SEOの最大の特徴は、一度検索上位を獲得すれば、継続的にユーザーを集客できることです。

Web広告の場合、広告費を投下している間は集客できますが、予算が尽きれば流入は途絶えます。一方、SEOで上位表示を獲得したページは、その順位を維持している限り、追加のコストをかけずにユーザーを集客し続けることができます。

検索エンジンは24時間365日稼働しており、ユーザーは自分のタイミングで情報を検索します。つまり、上位表示されているページは、担当者が休んでいる間も、営業時間外も、見込み客を集め続けてくれる「営業マン」のような存在になります。

もちろん、上位表示を維持するためには継続的なコンテンツのメンテナンスが必要です。検索エンジンのアルゴリズムは常に進化しており、競合も対策を強化しています。しかし、広告のように「止めたら終わり」ではなく、一定の労力で長期的な効果を得られる点がSEOの大きな強みです。

広告費を抑えながら費用対効果を高められる

多くの企業がWebマーケティングの課題として挙げるのが「広告費の高騰」です。特にリスティング広告は、競合が増えるほど入札単価が上昇し、CPA(顧客獲得単価)が悪化する傾向にあります。

SEOは、この課題に対する有効な解決策となります。SEOで検索上位を獲得すれば、広告費をかけずに同じキーワードで集客できるようになります。もちろん、SEOにもコンテンツ制作やサイト改善のコストはかかりますが、一度作成したコンテンツは長期間にわたって効果を発揮するため、中長期的に見れば費用対効果は高くなります。

実際に、SEOに注力した企業では以下のような成果が報告されています。

  • リスティング広告のCPAが高騰していた状況から、SEOによる自然検索流入を増やすことで、全体の広告費を大幅に削減
  • 検索経由のリード獲得を増やすことで、広告に頼らない集客基盤を構築

ただし、SEOは即効性のある施策ではありません。成果が出るまでに時間がかかるため、広告とSEOを並行して進め、徐々にSEOの比重を高めていくアプローチが現実的です。

コンテンツが資産として蓄積される

SEOのために作成したコンテンツは、企業の「資産」として蓄積されていきます。

Web広告の出稿費用は、広告が表示されている期間の「消費」であり、終了すれば何も残りません。一方、SEOのために作成した記事やページは、サイト上に残り続け、継続的に価値を生み出す可能性があります。

質の高いコンテンツを継続的に発信することで、以下のような複合的な効果が期待できます。

サイト全体の評価向上

検索エンジンは、サイト全体の品質も評価要因としています。良質なコンテンツが増えることで、サイト全体の評価が向上し、新しく公開するコンテンツも上位表示されやすくなる好循環が生まれます。

ブランディング効果

特定の分野で多くの記事が上位表示されることで、その分野における専門性や権威性の認知が高まります。「この分野といえばこの会社」というポジションを確立することで、ブランディングにもつながります。

営業活動の効率化

SEOで獲得したリードは、すでに情報収集を行い、自社サービスに関心を持っている状態です。そのため、営業担当者がゼロから説明する必要がなく、商談の効率化につながります。

ただし、すべてのコンテンツが資産になるわけではありません。低品質なコンテンツを量産しても、検索順位は上がらず、むしろサイト全体の評価を下げる可能性があります。「コンテンツは資産になる」という言葉は、あくまで「質の高いコンテンツ」が前提であることを忘れてはなりません。

事例に学ぶ:SEOを含む包括的なマーケティング戦略の重要性

ここで、SEOをWebマーケティング全体の中で位置づけることの重要性を示す事例をご紹介します。

ある業務支援系クラウドサービス企業では、リファラル依存による案件獲得が主軸となっており、新規顧客の獲得が頭打ちになっていました。事業拡大に向けてより多くの企業にサービスを届ける必要がある中、デジタルマーケティングの活用が不可欠でしたが、組織内には専門知識を持つ人材がおらず、何から始めるべきか指針が不足していました。

この企業が最初に取り組んだのは、「誰に、何を、どのように届けるべきか」という基本戦略の整理でした。ターゲットとなる顧客を特定し、提供価値を明確にした上で、デジタルマーケティングを推進するための戦略基盤を構築しました。

全体戦略を立てた上で、各施策の優先順位を検討した結果、まずサービスサイトの改修から着手することになりました。なぜなら、サービスサイトは全チャネルの受け皿となっており、ここでリードの取りこぼしが起きてしまうと、SEOを含む他の施策を行っても成果につながらない可能性があったためです。サイト改修の後に、リードの母数を最大化するためのデジタル広告やコンテンツSEOに着手する方針としました。

また、施策実行のスピードを重視し、必要なスキルセットを棚卸して迅速に体制を構築しました。

この取り組みの結果、約1年で国内市場No.1のシェアを獲得するに至りました。

この事例から学べるのは、SEOは単独で成果を出すものではなく、Webマーケティング全体の戦略の中で適切に位置づけることで大きな効果を発揮するということです。また、SEOに取り組む前に、まずサービスサイトなどの「受け皿」を整えておくことが成果を最大化するポイントとなります。

SEOのメリット・デメリットと他施策との比較

SEOを自社のWebマーケティング戦略に組み込むかどうかを判断するには、メリットだけでなくデメリットも正しく理解し、他施策との違いを把握しておく必要があります。

SEOの強み:中長期的な集客基盤の構築

SEOの強みを改めて整理すると、以下のようになります。

1. 高いコンバージョン率が見込める

検索ユーザーは、特定のキーワードを入力して能動的に情報を探しています。つまり、ニーズが顕在化している状態です。広告やSNSで偶然目にしたユーザーと比較して、購買意欲が高く、コンバージョンにつながりやすい傾向があります。

2. 特定の課題を持つユーザーにアプローチできる

検索キーワードは、ユーザーの抱える課題やニーズを反映しています。「〇〇 比較」「〇〇 おすすめ」といったキーワードで検索するユーザーは、まさに商品やサービスの導入を検討している段階にあります。SEOでこれらのキーワードで上位表示できれば、購買意欲の高いユーザーを効率的に集客できます。

3. 顧客理解が深まる

SEOに取り組む過程で、「ユーザーはどのようなキーワードで検索するのか」「何を知りたいのか」「どのような課題を抱えているのか」を深く分析することになります。この分析を通じて得られる顧客理解は、マーケティング活動全体に活かすことができます。

4. SNSとの相乗効果が生まれる

質の高いコンテンツはSNSでシェアされやすく、被リンク獲得にもつながります。被リンクはSEO評価を高める要因の一つであり、SEOとSNSの好循環が生まれる可能性があります。

SEOの弱み:成果が出るまでに時間がかかる

一方で、SEOには以下のような弱みやリスクがあります。

1. 効果が出るまでに時間がかかる

SEOは即効性のある施策ではありません。新しいサイトやドメインの場合、検索エンジンに認識され、評価されるまでに時間がかかります。一般的には、本格的に成果が出始めるまでに半年から1年程度かかることも珍しくありません。

2. アルゴリズム変更のリスク

検索エンジンのアルゴリズムは定期的に更新されます。大きなアップデートがあると、それまで上位表示されていたページの順位が急落することもあります。SEOだけに依存すると、このリスクに対して脆弱な状態になります。

3. 不特定多数へのアプローチが難しい

SEOは「検索するユーザー」を対象とするため、そもそも検索行動を取らない層にはアプローチできません。新しいカテゴリの商品やサービスで、まだ検索需要が存在しない場合、SEOの効果は限定的になります。

4. 継続的なメンテナンスが必要

一度上位表示を獲得しても、そのまま放置していると徐々に順位が下がる可能性があります。競合のコンテンツが充実してきたり、情報が古くなったりすることで、相対的な評価が下がるためです。継続的なリライトやコンテンツの追加が必要です。

事例に学ぶ:PV重視からCV重視への転換

SEOのメリット・デメリットを理解する上で参考になる事例をご紹介します。

あるビジネスサービス業界の大手企業では、オウンドメディアを立ち上げ、業界キーワードの獲得に注力していました。記事制作を推進した結果、PVは順調に増加しましたが、本来の目標であるリード獲得にはつながらないという課題に直面しました。

データ分析を進める中で、「PV重視のキーワード選定」と「CV導線が設計されていないコンテンツ」という2つの問題が明らかになりました。検索流入は増えているものの、訪問者のニーズと自社サービスとのマッチングが不十分だったのです。

この企業が行ったのは、オウンドメディア運用の根本的な見直しでした。まず、ターゲット商材を明確にし、そこからキーワードを再設計。そのキーワードに対応したコンテンツ運用という順序に切り替えました。

また、従来は全ての記事に「お問い合わせ」のCTAを設置していましたが、検索キーワードごとにユーザーのニーズやモチベーションが異なることに着目。記事ごとにCVポイントとなるコンテンツ(お役立ち資料、調査レポートなど)とCTAパターンを精査し、記事訪問からフォーム完了まで一連のコミュニケーションとしてつながる導線設計を行いました。

この方針転換の結果、半期で約100件程度だったリード件数は、1年で約1,000件と10倍に拡大しました。

この事例から得られる教訓は、SEOは「PVを増やすこと」が目的ではなく、「成果につながる集客を実現すること」が目的であるということです。SEOのメリットを最大化するためには、単に検索順位を上げることだけでなく、訪問者をコンバージョンに導くための設計が不可欠です。

Web広告・SNS・メルマガとの違いと使い分け

SEOと他のWebマーケティング施策を比較し、それぞれの特徴と使い分けのポイントを整理します。

Web広告との比較

項目 SEO Web広告
即効性 低い(半年〜1年) 高い(即日〜)
費用 初期投資+メンテナンス 継続的な出稿費用
コントロール性 低い(順位は保証されない) 高い(予算で調整可能)
継続性 高い(上位維持で持続) 低い(停止で終了)
信頼性 高い(広告表示なし) やや低い(広告と認識される)

Web広告は即効性があり、すぐに成果を確認したい場合や、キャンペーンなど期間限定の施策には適しています。一方、中長期的な視点で費用対効果を高めたい場合はSEOが有効です。

多くの企業では、短期的にはWeb広告で集客しながら、並行してSEOに取り組み、徐々にSEOの比重を高めていくアプローチを採用しています。

SNS運用との比較

項目 SEO SNS運用
ターゲティング キーワードベース 属性・興味関心ベース
ユーザーの状態 ニーズ顕在化 偶然の接触が多い
拡散性 低い 高い
リアルタイム性 低い 高い
ブランディング 専門性の訴求 親しみやすさの訴求

SNSは拡散性が高く、バズることで短期間に大きな認知を獲得できる可能性があります。また、フォロワーとの継続的なコミュニケーションを通じて、ブランドへの親しみや信頼を醸成できます。

一方、SEOは「今すぐ情報を知りたい」というニーズが顕在化したユーザーにアプローチするのに適しています。両者は競合するものではなく、相互補完的に活用することで効果を最大化できます。

メールマーケティングとの比較

メールマガジンやMA(マーケティングオートメーション)を活用したメールマーケティングは、すでに接点を持った見込み客に対するナーチャリング(育成)に効果的です。

SEOが「新規の見込み客を集める」施策であるのに対し、メールマーケティングは「獲得した見込み客を育成し、購買に導く」施策といえます。両者を組み合わせることで、集客からコンバージョンまでの一貫した導線を構築できます。

WebマーケティングでSEOに取り組むべきかの判断軸

SEOはすべての企業に適した施策ではありません。自社の状況や目的に照らして、SEOに取り組むべきかどうかを判断する必要があります。ここでは、その判断軸を3つの観点から解説します。

市場と検索需要が存在するか

SEOで成果を出すための大前提は、「ターゲットとするキーワードで検索するユーザーが存在すること」です。

検索需要を確認するには、Google キーワードプランナーなどのツールを使って、関連キーワードの検索ボリュームを調べます。検索ボリュームがほとんどないキーワードでは、たとえ上位表示されても十分な流入は見込めません。

以下のような場合は、SEOよりも他施策を優先することを検討してもよいでしょう。

  • 新しいカテゴリの商品・サービスで、そもそも検索する人がいない
  • ニッチすぎる市場で、検索ボリュームが極端に少ない
  • 自社サービス名での指名検索が主で、一般的なキーワードでの検索需要がない

一方、自社のサービスに関連するキーワードで一定の検索ボリュームがある場合は、SEOで成果を出せる可能性があります。

検索需要を調べる際は、単にボリュームの大きさだけでなく、「そのキーワードで検索するユーザーが自社のターゲットと合致しているか」も確認することが重要です。ボリュームが大きくても、ターゲット外のユーザーが多ければ、コンバージョンにはつながりません。

中長期的な投資が可能か

前述のとおり、SEOは成果が出るまでに時間がかかる施策です。短期的な売上向上を求められている状況では、SEOだけでは対応が難しいでしょう。

SEOに取り組むかどうかを判断する際は、以下の点を検討してください。

リソースの確保

SEOには、コンテンツ制作、サイト改善、効果測定と改善のためのリソースが必要です。社内で対応する場合は担当者の時間、外部に委託する場合は予算の確保が必要になります。

成果が出るまでの期間

SEOで本格的な成果が出るまでには、半年から1年程度かかることが一般的です。この期間、成果が見えにくい中でも継続的に取り組み続ける覚悟が必要です。

経営陣の理解

SEOの特性を経営陣が理解していないと、「半年経っても成果が出ない」と判断され、途中で施策が打ち切られるリスクがあります。事前に中長期的な視点での評価が必要であることを共有しておくことが重要です。

これらの条件を満たせない場合は、まずはWeb広告など即効性のある施策で成果を出しながら、徐々にSEOへの投資を増やしていくアプローチが現実的です。

SEOが適さないケースとは

SEOが適さない、または優先度を下げるべきケースをいくつか挙げます。

1. すぐに成果が必要な場合

新規事業の立ち上げ直後や、短期的なキャンペーンなど、すぐに集客が必要な場合はSEOでは対応できません。Web広告やSNS広告など、即効性のある施策を優先すべきです。

2. 競合が非常に強い市場

大手企業がすでに強固なSEO基盤を築いている市場では、後発企業がSEOで上位表示を獲得するのは容易ではありません。ドメインの評価や被リンクの差を埋めるには長期間かかるため、他の差別化戦略を検討した方がよい場合もあります。

3. オフライン中心のビジネスモデル

地域密着型のビジネスや、対面での商談が必須の高額商材など、Webからの直接的なコンバージョンが難しいビジネスモデルでは、SEOの優先度は相対的に下がります。ただし、この場合でも認知拡大やブランディング目的でSEOに取り組む意義はあります。

4. コンテンツ制作のリソースがない場合

SEOで成果を出すには、継続的なコンテンツ制作が不可欠です。社内に執筆できる人材がおらず、外部委託の予算も確保できない場合は、まずはリソースの確保から検討する必要があります。

SEOに取り組むかどうかは、「やるべきか、やらないべきか」という二者択一ではありません。自社の状況に合わせて、「どの程度の優先度で、どの程度のリソースを投下するか」を判断することが重要です。

成果を出すためのSEO実践ポイント

SEOに取り組むことを決めたら、具体的にどのような施策を実行すればよいのでしょうか。成果を出すための実践ポイントを解説します。

キーワード選定と検索意図の理解

SEOで成果を出すための最初のステップは、適切なキーワードを選定することです。どのキーワードを狙うかによって、集客できるユーザー層、コンテンツの方向性、最終的な成果が大きく変わります。

キーワード選定の基本的な流れ

  1. 事業目的から成果を定義する まず、SEOで達成したい成果を明確にします。BtoB企業であれば「問い合わせ数」「資料請求数」、EC事業であれば「売上」など、事業に直結する指標を設定します。

  2. マストキーワードを決定する 成果に直結するキーワードを「マストキーワード」として設定します。例えば、勤怠管理システムを提供している企業であれば、「勤怠管理システム 比較」「勤怠管理システム おすすめ」などがマストキーワードになります。

  3. サブキーワードを洗い出す マストキーワードに関連する周辺キーワードを洗い出します。「勤怠管理とは」「勤怠管理 エクセル」など、ユーザーの検索行動を想定してキーワードを網羅します。

  4. 優先順位を決定する 検索ボリューム、競合性、CVへの近さを総合的に判断し、どのキーワードから対策するか優先順位を決めます。限られたリソースを集中投下することで、効率的に成果を出すことができます。

検索意図の理解

キーワードを選定したら、そのキーワードで検索するユーザーの「検索意図」を分析します。検索意図とは、ユーザーが特定のキーワードで検索する際の「目的」や「背景にあるニーズ」を指します。

検索意図は大きく4つに分類されます。

  • ナビゲーショナルクエリ:特定のサイトやページに行きたい(例:「Amazon」「YouTube ログイン」)
  • インフォメーショナルクエリ:情報を知りたい(例:「SEOとは」「確定申告 やり方」)
  • トランザクショナルクエリ:何かをしたい、購入したい(例:「SEOツール 比較」「ホテル 予約」)
  • コマーシャルクエリ:購入前に比較検討したい(例:「SEOツール おすすめ」「CRM 選び方」)

検索意図を正確に把握するには、実際にそのキーワードで検索し、上位表示されているページの内容を確認することが有効です。Googleが「このキーワードにはこのような情報が求められている」と判断している内容を読み取ることができます。

内部対策・外部対策・コンテンツの三本柱

SEO対策は、大きく「内部対策」「外部対策」「コンテンツ」の3つに分類されます。これらを総合的に実施することで、検索順位の向上を目指します。

内部対策

内部対策とは、自社サイト内で行う技術的な最適化を指します。主な施策は以下のとおりです。

  • タイトルタグの最適化:検索結果に表示されるタイトルに、狙うキーワードを含め、ユーザーがクリックしたくなる文言にする
  • メタディスクリプションの設定:検索結果に表示される説明文を適切に設定し、クリック率を高める
  • 見出しタグ(h1〜h6)の適切な使用:コンテンツの構造を明確にし、検索エンジンが内容を理解しやすくする
  • 内部リンクの最適化:関連ページへのリンクを適切に設置し、サイト内の回遊性を高める
  • 表示速度の改善:ページの読み込み速度を高速化し、ユーザー体験を向上させる
  • モバイル対応:スマートフォンでの表示に最適化する(モバイルファーストインデックス対応)

外部対策

外部対策とは、自社サイト外からの評価を高めるための施策です。主に被リンク(バックリンク)の獲得を指します。

被リンクとは、外部サイトから自社サイトへ向けられたリンクのことです。Googleは被リンクを「他サイトからの推薦」として評価し、ランキング要因の一つとしています。

被リンクを獲得するための正攻法としては、以下のようなものがあります。

  • 他サイトが参照したくなるような質の高いコンテンツを作成する
  • 業界での認知度を高め、自然な形で紹介される機会を増やす
  • パートナー企業や関連団体との連携を通じてリンクを獲得する

なお、リンクの購入や相互リンクの過度な依存など、人工的なリンク操作はGoogleのガイドライン違反となり、ペナルティの対象となる可能性があるため注意が必要です。

コンテンツ

最も重要なのは、ユーザーの検索意図に応える質の高いコンテンツを作成することです。検索エンジンは「ユーザーに最も役立つ情報を提供するページ」を上位に表示することを目指しています。

コンテンツ作成のポイントは以下のとおりです。

  • 検索意図に合致した内容:ユーザーが知りたい情報を過不足なく提供する
  • 専門性・独自性のある情報:他サイトにはない自社ならではの知見や事例を盛り込む
  • E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の担保:正確な情報を発信し、発信者の専門性を示す
  • 読みやすい構成と文章:見出しや箇条書きを活用し、ユーザーが情報を素早く把握できるようにする

顧客起点でSEO戦略を設計する

SEOで成果を出すためには、「どのキーワードを狙うか」だけでなく、「誰に、何を届けるか」という顧客起点の発想が欠かせません。

ある企業では、オーガニック検索からのリード獲得を強化するために、サービスサイトやオウンドメディアの見直しに取り組みました。当初は自社名による指名検索流入に依存しており、複数のドメインに分散したオウンドメディアにより運用効率も低下していました。

この企業が最初に行ったのは、オウンドメディア全体の棚卸しです。各メディアのSEO評価やキーワード獲得状況を分析し、もっとも効率的に評価を得やすい運用体制を策定しました。具体的には、サービスサイトを加味したドメイン選定、使わなくなるURLの精査やリダイレクト設計、既存記事の対応リストの精査などを実施。キーワード設計に応じて、新たに作るべき記事、既存内容を活かす記事、閉じる記事といった具合に数百ある記事の対応をすべて可視化させました。

さらに、コンテンツSEO施策を推進すべく専任チームを編成し、新規記事の制作や既存記事のメンテナンスを行いながら、並行してサービスサイトやオウンドメディアのCVR改善にも注力しました。

この取り組みの結果、リード数は昨対比115%を達成し、ターゲットリードが獲得できたことで商談数も昨対比120%を記録しています。

この事例から得られる重要な教訓は、SEOに取り組む際に「顧客を起点とした発想」に切り替えることの重要性です。従来は「なにをやるか?」が発想の起点となりがちですが、ターゲットの調査分析やカスタマージャーニーの整理を通じて「誰に、なにを届けるか?」を明確にすることで、成果につながる施策を設計できるようになります。

継続的なメンテナンスとPDCAサイクル

SEOは「やって終わり」の施策ではありません。継続的なメンテナンスとPDCAサイクルを回すことで、成果を最大化できます。

効果測定

定期的に以下の指標を確認し、施策の効果を測定します。

  • 検索順位:対策キーワードでの検索順位の推移
  • 流入数:検索エンジンからの訪問者数
  • クリック率(CTR):検索結果に表示された回数に対するクリック数の割合
  • コンバージョン数:問い合わせや資料請求など、目標とするアクションの件数
  • 直帰率・滞在時間:ユーザーのサイト内での行動

Google Search ConsoleやGoogleアナリティクスを活用することで、これらの指標を把握できます。

リライト(コンテンツの改善)

公開したコンテンツは、定期的に見直して改善を行います。リライトの対象となるのは、以下のようなコンテンツです。

  • 検索順位が下降したコンテンツ
  • 順位は高いがクリック率が低いコンテンツ
  • 流入は多いがコンバージョンにつながっていないコンテンツ
  • 情報が古くなったコンテンツ

リライトでは、検索意図との再整合、最新情報の追加、構成の見直し、内部リンクの最適化などを行います。一度に大きな改修を行うよりも、細かい改修を高頻度で行う方がPDCAサイクルを早く回すことができ、効果的です。

長期的な視点での継続

SEOで成果を出すには、中長期的な視点での継続が不可欠です。短期間で成果が出ないからといって諦めるのではなく、小さな成功体験(「インデックスされた」「1ページ目に表示された」など)を積み重ねながら、粘り強く取り組むことが重要です。

チーム内で進捗を共有し、成功体験を共有することで、モチベーションを維持しながら継続的に取り組むことができます。

コンテンツ制作体制の構築

SEOで継続的に成果を出すためには、効率的なコンテンツ制作体制を構築することも重要です。記事の企画設計や執筆を行う制作チームと、業界や商材の観点から監修を行う品質チェックチームを分けることで、それぞれが専門性を発揮しやすくなります。

最初は1本の記事を公開するのに時間がかかることもありますが、チームメンバーが学習と効率化を繰り返すことで、徐々に制作スピードは向上していきます。高品質なコンテンツのアウトプットを前提としながら、継続的にコンテンツを発信できる運用体制を整えることが、SEOで成果を出し続けるための基盤となります。

まとめ

本記事では、WebマーケティングにおけるSEOの役割と位置づけについて解説しました。

SEOは、Webマーケティングの「集客フェーズ」を担う重要な施策です。継続的な集客効果、広告費の削減、コンテンツの資産化といったメリットがある一方、成果が出るまでに時間がかかる、継続的なメンテナンスが必要といったデメリットもあります。

本記事でご紹介した事例からも明らかなように、SEOで成果を出すためには以下のポイントが重要です。

1. Webマーケティング全体の中でSEOを位置づける

SEOは単独で成果を出すものではありません。サービスサイトの整備、コンバージョン導線の設計、他チャネルとの連携など、Webマーケティング全体の戦略の中でSEOを適切に位置づけることで、初めて大きな効果を発揮します。

2. 顧客起点で戦略を設計する

「どのキーワードを狙うか」ではなく、「誰に、何を届けるか」という顧客起点の発想が成果への近道です。ターゲットの調査分析やカスタマージャーニーの整理を通じて、成果から逆算した施策設計を行うことが重要です。

3. PVではなくCVを重視する

SEOの目的は「PVを増やすこと」ではなく、「成果につながる集客を実現すること」です。検索キーワードごとのユーザーニーズを理解し、適切なCVポイントと導線を設計することで、SEOの投資対効果を最大化できます。

SEOに取り組むべきかどうかは、検索需要の有無、中長期的な投資の可否、自社の状況などを総合的に判断して決定することが重要です。すべての企業にSEOが適しているわけではなく、Web広告やSNSなど他施策との使い分けや組み合わせを検討することも必要です。

WebマーケティングにおけるSEOの位置づけを正しく理解し、自社の状況に合わせた施策を設計することで、中長期的な集客基盤の構築につなげていただければと考えています。

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著者

岸 晃

岸 晃

Marketing Director / Consultant

業界歴8年以上。グリー株式会社でSEOを中心にBtoCメディアのグロース、約100名のマネジメント、組織開発を経験。現在はSEO・コンテンツマーケティングを軸にメディアグロース支援とインハウス化支援を行う。

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