オウンドメディアSEOの進め方|成果を出すための戦略と施策

オウンドメディアとSEOを組み合わせた施策により、広告費をかけずに継続的な集客を実現する企業が増えています。一度上位表示を獲得すれば、広告を停止しても流入が継続し、運用を続けることでメディア全体の価値が蓄積されていくためです。

一方で、以下のような声も増えています。

  • 何から手をつければよいかわからず、施策の優先順位が決められない
  • 施策を実施しても成果に繋がらず、効果測定の方法も曖昧になっている
  • 継続するためのリソースや体制が整わず、途中で運用が止まってしまう

そこで本記事では、オウンドメディアのSEO戦略について、4つの柱と実践ステップを解説します。キーワード設計から継続的な改善まで、成果を出すための具体的な施策と優先順位を明らかにしていきます。

オウンドメディアにSEOが重要な理由

オウンドメディアを運用する目的は企業によってさまざまですが、多くの場合「リード獲得」「認知拡大」「ブランディング」のいずれかに集約されます。これらの目的を達成するために、SEOは欠かせない施策となります。

SEOを適切に実施することで、広告費をかけずに継続的な集客が可能となり、作成したコンテンツは長期的に価値を発揮する資産となります。このセクションでは、オウンドメディアにSEOが重要である理由を3つの観点から解説します。

広告に依存しない継続的な集客基盤の構築

オウンドメディアにSEOを導入する最大のメリットは、広告に依存しない継続的な集客基盤を構築できることです。

リスティング広告やディスプレイ広告は、出稿を停止すれば流入もゼロになります。広告費を払い続ける限り集客は可能ですが、広告を止めた瞬間に効果が消えてしまうのが広告の特性です。特にBtoB領域では、CPAの高騰が課題となっている企業も多いのではないでしょうか。

一方、SEOによって上位表示を獲得したコンテンツは、検索エンジンのアルゴリズム変動や競合の参入がない限り、継続的にトラフィックを生み出し続けます。もちろん、定期的なメンテナンスは必要ですが、広告のように常に費用を投下し続ける必要はありません。

具体的な数値で見ると、広告経由の集客では1件のリードを獲得するために数千円から数万円のコストがかかることも珍しくありません。一方、SEOで上位表示を獲得したコンテンツは、初期の制作コストこそかかりますが、その後は追加費用なしに継続的な流入を生み出します。

ある専門分野向けマッチングサービスを展開する企業では、広告出稿やアウトバウンド営業でリード獲得を行っていましたが、コスト上昇と人的リソース逼迫により継続的なリード獲得が困難になっていました。そこでオウンドメディアを用いたオーガニック検索強化に取り組んだ結果、立ち上げ1年でリードは月100件超に成長し、最終的には広告・営業コストゼロでのリード獲得体制を実現しています。

さらに重要な点として、SEO経由で流入するユーザーは「自ら情報を求めて検索している」という特性があります。つまり、すでに課題意識を持っているユーザーにアプローチできるため、コンバージョンに至る確率も高まる傾向があります。

広告経由のユーザーは「たまたま目に入った」という受動的な接点であることが多いですが、検索経由のユーザーは「自分から情報を求めている」という能動的な接点です。この違いは、その後のエンゲージメントやコンバージョン率に大きく影響します。

広告とSEOは二者択一ではなく、両者を組み合わせて活用することが効果的です。短期的な成果には広告を活用し、中長期的な集客基盤としてSEOを位置づけることで、バランスの取れたマーケティング施策を構築できます。

弊社の支援経験では、SEOで安定した集客基盤を構築した企業は、広告への依存度を下げながらも総合的なリード数を維持・向上させているケースが多く見られます。広告費を削減した分をコンテンツ制作や他のマーケティング施策に投資することで、より効率的なマーケティング活動が可能になります。

コンテンツを資産化して長期的なROIを高める

オウンドメディアで制作したコンテンツは、削除しない限り残り続け、継続的に集客に貢献する「資産」となります。

広告クリエイティブは消費されるものですが、コンテンツは蓄積されるものです。運用を続けることで記事数が増え、メディア全体のドメインパワー※が向上し、新規コンテンツも上位表示されやすくなるという好循環が生まれます。

※ドメインパワーとは、検索エンジンからの信頼度を示す指標で、サイト全体の評価に影響します。

コンテンツの資産化には、以下のような効果があります。

  • 複利効果: 1本1本のコンテンツが継続的に集客するため、コンテンツ数に比例して流入数が増加する
  • 専門性の蓄積: 特定領域のコンテンツが充実することで、その領域における専門メディアとしての評価が高まる
  • 内部リンクの強化: 関連コンテンツ間をリンクで繋ぐことで、サイト内回遊が促進され、ユーザーの理解度向上とSEO評価の両方に寄与する

この「複利効果」は、時間の経過とともに顕著になります。例えば、月に10本のコンテンツを制作し続けた場合、1年後には120本のコンテンツが蓄積されます。仮に各コンテンツが月間100セッションを生み出すとすると、1年後には月間12,000セッションの集客基盤が構築されることになります。

さらに、コンテンツが増えることでサイト全体の専門性が高まり、新規コンテンツも上位表示されやすくなります。これが「複利」と表現される理由です。初期投資の効果が時間とともに拡大していくのです。

ある大手化学メーカーが運営する健康情報メディアでは、当初8万UUという低迷した数字に留まっていましたが、限られた予算で信頼できるライターに質の高いコンテンツを依頼し、「点」を作るところから始めました。その後、コンテンツを蓄積し続けた結果、2年で300万UUへの40倍成長を実現しています。この事例が示すように、初期段階では小さな成果でも、継続することで複利的に効果が蓄積されていきます。

弊社の支援経験では、オウンドメディアの運用を開始して1年程度経過すると、記事数の蓄積と検索順位の安定化により、運用コストあたりの獲得リード数が大幅に改善するケースが多く見られます。

また、一度制作したコンテンツは、リライトや更新によって継続的に価値を維持・向上させることができます。時事的な情報を更新したり、新たな事例を追加したりすることで、コンテンツの鮮度を保ちながら、蓄積された評価を活かすことが可能です。

初期段階では成果が見えにくいSEOですが、継続することで複利的に効果が蓄積されていく点が、コンテンツを資産として捉える重要性です。この「資産」という視点を持つことで、短期的な成果に一喜一憂するのではなく、中長期的な視点で運用を継続するマインドセットを醸成できます。

潜在層から顕在層まで幅広くアプローチできる

オウンドメディアのSEOは、ユーザーの検索行動に応じて、潜在層から顕在層まで幅広くアプローチできる点が大きな特徴です。

ユーザーの検索行動は、大きく以下の4つに分類されます。

検索意図の種類 特徴 検索キーワード例
インフォメーショナル 情報収集目的の検索 「オウンドメディアとは」「SEO 基本」
ナビゲーショナル 特定サイトへの移動目的 「企業名 公式サイト」
トランザクショナル 具体的なアクション目的 「SEOツール 比較」「コンサル 依頼」
コマーシャル 購入・契約前の比較検討 「SEO会社 おすすめ」「費用 相場」

広告では主にコンバージョンに近い「トランザクショナル」や「コマーシャル」の検索意図を持つユーザーをターゲットにすることが多いですが、競争が激しくCPAが高騰しやすい傾向があります。

一方、オウンドメディアのSEOでは「インフォメーショナル」の検索意図を持つ潜在層にもアプローチできます。まだ具体的なニーズが顕在化していない段階から接点を持ち、コンテンツを通じて課題認識を深めてもらい、徐々に比較検討フェーズへと態度変容を促すことが可能です。

例えば、「マーケティング 効率化」で検索するユーザーは、まだ具体的なツールや外注先を検討しているわけではないかもしれません。しかし、そのような潜在層に対して価値ある情報を提供することで、将来的な顧客になる可能性を高めることができます。

カスタマージャーニー全体をカバーするキーワード設計を行うことで、認知段階から比較検討段階まで、ユーザーの態度変容に寄り添った集客導線を構築できます。

この「ファネル全体をカバーする」という考え方は、単なる集客効率の向上だけでなく、ユーザーとの関係構築においても重要です。認知段階で価値ある情報を提供し、比較検討段階で信頼を獲得し、最終的にコンバージョンに至るという一連の流れを、自社のコンテンツで支えることができます。

また、潜在層向けのコンテンツで獲得したユーザーを、メールマガジンやホワイトペーパーのダウンロードなどを通じてリード化し、ナーチャリングしていくことで、より効率的なマーケティング活動が可能になります。SEOは単なる集客施策ではなく、マーケティングファネル全体を支える基盤として機能するのです。

SEO成功の4つの柱と実践ステップ

オウンドメディアのSEOで成果を出すためには、「キーワード戦略」「コンテンツSEO」「テクニカルSEO」「外部対策」の4つの柱をバランスよく実践することが重要です。

これら4つの要素は相互に関連しており、どれか1つだけを実施しても十分な効果は得られません。キーワード戦略がなければコンテンツの方向性が定まらず、良質なコンテンツがあってもテクニカルな問題で検索エンジンに評価されなければ意味がありません。

このセクションでは、4つの柱それぞれについて、具体的な施策と実践ステップを解説します。

キーワード戦略:成果に繋がるキーワードの選び方

キーワード戦略は、SEO施策全体の方向性を決める最も重要な要素です。適切なキーワードを選定しなければ、どれだけ良質なコンテンツを作成しても、事業成果に繋がりません。

ある業務支援系クラウドサービス企業では、オーガニック検索対策が十分でなく、主に自社名による指名検索流入に依存していました。複数のドメインに分散したオウンドメディアにより、運用効率も低下していた状況でした。そこで、オウンドメディア全体の棚卸しを実施し、検索意図に基づいたキーワード戦略を再設計。ターゲットの調査分析やカスタマージャーニーの整理を通じて「誰に、なにを届けるか」という顧客起点の発想に転換した結果、リード数は昨対比115%、商談数は昨対比120%を達成しています。

キーワード選定では、以下の3つの観点を総合的に判断することが重要です。

1. 検索ボリューム

月間の検索回数を把握し、一定の流入が見込めるキーワードを選定します。ただし、検索ボリュームが大きいキーワードは競合も多く、上位表示の難易度が高くなります。自社のドメインパワーや競合状況を踏まえて、現実的に上位表示を狙えるキーワードを選ぶことが大切です。

2. コンバージョンへの近さ

検索ボリュームが大きくても、コンバージョンに繋がりにくいキーワードでは事業成果に貢献しません。「オウンドメディアとは」のような情報収集目的のキーワードと、「オウンドメディア 制作 依頼」のような比較検討段階のキーワードでは、コンバージョン率が大きく異なります。

3. 自社の強みとの整合性

自社が専門性を発揮できる領域のキーワードを優先することで、質の高いコンテンツを制作しやすくなります。また、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の観点からも、自社の得意領域に関連するキーワードを選定することが有利に働きます。

キーワードは大きく「マストキーワード」と「サブキーワード」に分類します。マストキーワードは事業成果に直結するコンバージョン寄りのキーワード、サブキーワードはマストキーワードを補完し、潜在層へのアプローチや専門性の訴求に活用するキーワードです。

弊社の支援経験では、ある専門分野向けマッチングサービスにおいて、検索ボリュームではなく「ツール・サービスの検討段階で検索されるキーワード」に絞ってキーワード設計を行いました。業界特有の専門用語や機器名称との掛け合わせキーワードを設計し、多岐にわたるサービスの中から最重要な3つに狙いを定めて「スモールスタート」で成功体験を作る戦略を取った結果、短期間での成果創出に繋がりました。

また、キーワード選定においては、対策キーワードを先に選定しきることも重要です。「まず記事を書いてから、どのキーワードで上位を狙うか考える」というアプローチでは、戦略的なSEO施策は実現できません。たとえ1ヶ月以上かかっても、先にキーワード設計を完了させてから記事制作に移行することで、無駄のない効率的なコンテンツ制作が可能になります。

まずマストキーワードを特定し、それを軸にサブキーワードを展開していくアプローチが効果的です。詳細なキーワード設計の進め方については、後述の「効果を最大化するキーワード設計の進め方」で解説します。

キーワード戦略で陥りがちな失敗として、「検索ボリュームが大きいキーワードばかりを狙う」というアプローチがあります。しかし、検索ボリュームが大きいキーワードは競合も多く、ドメインパワーの高い大手サイトが上位を独占していることも少なくありません。

自社のドメインパワーや競合状況を冷静に分析し、「勝てる領域」を見極めることが重要です。ニッチなキーワードでも、コンバージョンに近いキーワードであれば、十分な事業成果に繋がる可能性があります。

コンテンツSEO:検索意図に応える良質なコンテンツの作り方

コンテンツSEOの核心は、「検索意図に対して最も的確な回答を提供すること」です。検索エンジンは、ユーザーの検索意図を満たすコンテンツを高く評価します。

検索意図を把握するための基本的なアプローチは以下の通りです。

検索結果の分析

実際にキーワードで検索し、上位表示されているコンテンツの傾向を分析します。どのような構成で、どのような情報が含まれているかを確認することで、検索エンジンが評価している「正解」の方向性が見えてきます。

サジェストキーワードの確認

検索窓に入力した際に表示されるサジェストキーワードや、検索結果ページ下部の「関連する検索」を確認します。これにより、ユーザーが併せて知りたいと考えている情報を把握できます。

ユーザーペルソナの想定

そのキーワードで検索するユーザーがどのような状況にあり、どのような課題を抱えているかを具体的に想定します。単に情報を網羅するだけでなく、ユーザーの課題解決に寄り添ったコンテンツを制作することが重要です。

良質なコンテンツを制作するうえで、E-E-A-T(Experience, Expertise, Authoritativeness, Trustworthiness)を意識することも欠かせません。

要素 意味 具体的な施策
Experience 経験 実体験に基づく情報、事例の掲載
Expertise 専門性 専門家による執筆・監修、詳細な解説
Authoritativeness 権威性 著者情報の明示、信頼できる情報源の引用
Trustworthiness 信頼性 正確な情報、透明性のある運営

特にYMYL(Your Money or Your Life)と呼ばれる、健康や金融など人生に大きな影響を与えるジャンルでは、E-E-A-Tがより重視されます。自社の事業領域がYMYLに該当する場合は、特に注意が必要です。

また、競合コンテンツとの差別化も重要です。上位表示されているコンテンツと同じ内容を作成しても、後発である以上、順位を上回ることは困難です。自社独自の視点、経験、データを盛り込むことで、他社には真似できない価値を提供しましょう。

差別化のポイントとしては、以下のような観点があります。

  • 独自の調査データやアンケート結果: 他では得られない一次情報は強力な差別化要素
  • 実際の支援事例や経験談: 抽象的な理論ではなく、現場で得た具体的な知見
  • 専門家の視点: 業界経験者ならではの深い洞察や見解
  • 分かりやすい図解や表: 複雑な情報を整理して提示する工夫

ある法人向けヘルスケア関連サービスを提供する企業では、競合他社がひしめく対策キーワードの検索結果に対し、真っ向勝負するのではなく「一次情報の積極的な活用」を方針として定めました。これまでtoC事業で培ったメソッドや独自の調査結果など、自分たちだから出せる情報を活用し、記事コンテンツを作り込んだ結果、立ち上げ3年で半期1.5億円の売上創出を達成しています。

また、コンテンツ制作においては、「書き手のスキル」以上に「ターゲット理解」を重視することが重要です。弊社の支援経験では、ライティングスキルの高いライターが書いた記事よりも、ターゲットユーザーの課題や検索意図を深く理解したうえで書かれた記事のほうが、検索順位やコンバージョン率が高くなるケースが多く見られます。SEO記事は文芸作品ではなく、ユーザーの課題を解決するためのコンテンツです。その視点を忘れずに制作に取り組むことが重要です。

コンテンツ制作においては、「検索意図を満たすこと」と「差別化すること」のバランスが重要です。検索意図を無視した独自性は評価されませんが、検索意図を満たすだけで差別化がなければ競合との差がつきません。まず検索意図をしっかりと満たしたうえで、自社ならではの価値を追加していくアプローチが効果的です。

テクニカルSEO:サイト構造と技術的な最適化

テクニカルSEOとは、検索エンジンのクローラーがサイトを効率的に巡回し、コンテンツを正しく理解・評価できるようにするための技術的な最適化施策です。

どれだけ良質なコンテンツを制作しても、テクニカルな問題があると検索エンジンに正しく評価されません。テクニカルSEOは、コンテンツの価値を最大限に引き出すための土台となります。

主要なテクニカルSEO施策は以下の通りです。

クローラビリティの向上

  • XMLサイトマップの設置: サイト内のページ一覧を検索エンジンに伝え、効率的なクロールを促進します。Google Search Consoleからサイトマップを送信することで、新規コンテンツのインデックスを早めることができます。
  • パンくずリストの実装: サイト構造を明示し、クローラーとユーザー双方のナビゲーションを改善します。
  • 内部リンクの最適化: 関連するコンテンツ同士をリンクで繋ぎ、サイト内の回遊性とクローラビリティを向上させます。

ページ表示速度の改善

ページの読み込み時間が長くなるほど多くのユーザーが離脱する傾向があり、検索エンジンの評価にも影響します。Core Web Vitals※に対応した改善が求められます。

※Core Web Vitalsは、Googleが定めるページ体験の指標で、LCP(読み込み速度)、FID/INP(操作への反応性)、CLS(視覚的安定性)の3つで構成されます。

具体的な改善施策としては、画像の最適化(WebP形式への変換、適切なサイズ指定)、JavaScriptの遅延読み込み、キャッシュの活用などが挙げられます。

モバイルフレンドリー対応

Googleはモバイルファーストインデックスを採用しており、モバイル版サイトの内容を基に検索順位を決定します。レスポンシブデザインの採用、タップしやすいボタンサイズ、読みやすいフォントサイズなど、モバイルでの閲覧体験を最適化することが重要です。

構造化データのマークアップ

構造化データ(Schema.org)をマークアップすることで、検索結果にリッチスニペット(評価星、FAQ、パンくずリストなど)を表示させることができます。クリック率の向上に繋がる可能性があります。

SSL化(HTTPS対応)

サイト全体をHTTPS化することで、セキュリティを担保し、検索エンジンからの信頼性評価を高めます。現在では、SSL化は必須要件と言えます。

テクニカルSEOの状態は、Google Search Consoleの「ページのインデックス登録」や「ページエクスペリエンス」レポートで確認できます。定期的にチェックし、問題があれば早期に対処することが重要です。

参照URL: https://support.google.com/webmasters/answer/7451184(Google Search Consoleヘルプ - サイトマップ) 参照URL: https://developers.google.com/search/docs/appearance/core-web-vitals(Google検索セントラル - Core Web Vitals)

テクニカルSEOは専門的な知識が必要な領域ですが、基本的な項目はGoogle Search Consoleのレポートを確認することで把握できます。まずはエラーや警告が表示されていないかを確認し、問題があれば優先的に対処していきましょう。

ある大手デジタルサービス企業では、BtoB向けサービスのポータルサイトが最低限のマーケティング機能を備えておらず、指名キーワードでさえ検索上位を獲得できていない状態でした。そこで、SEO効果を最大化するために、サイト構造・導線・コンテンツ配置を再設計。リード獲得に特化したマーケティングサイトとして再構成し、CVに直結する導線設計を整備した結果、プロジェクト開始から1年でリード獲得数は約4倍に成長しました。この事例からわかるように、テクニカルSEOの改善は、コンテンツの価値を最大限に引き出すための土台として機能します。

特に新規で立ち上げたオウンドメディアでは、XMLサイトマップの送信とモバイルフレンドリー対応は最低限クリアしておくべき項目です。これらの基本的な対策を行なったうえで、コンテンツの充実に注力することが効果的です。

外部対策:被リンク獲得とサイテーション構築

外部対策とは、他サイトからの被リンク(バックリンク)やサイテーション(言及)を獲得し、サイトの権威性と信頼性を高める施策です。

被リンクは検索エンジンにとって「他サイトからの推薦」として機能し、リンク元の質と量が検索順位に影響します。ただし、被リンクは「量より質」が重要であり、関連性の低いサイトや質の低いサイトからの被リンクは、逆効果になる可能性もあります。

自然な被リンクを獲得するための施策は以下の通りです。

質の高いコンテンツの発信

他サイトが参照したくなるような、オリジナルのデータや調査結果、独自の視点を盛り込んだコンテンツを発信することが基本です。業界のベンチマークとなるような情報や、他では得られない知見を提供することで、自然とリンクされる機会が増えます。

PR活動による認知度向上

プレスリリースの配信や、業界メディアへの寄稿・取材対応を通じて、企業やメディアの認知度を高めます。認知度が高まれば、他社のコンテンツで言及される機会も増加します。

SNS活用によるコンテンツ拡散

SNSでのコンテンツ拡散は、直接的なSEO効果はないとされていますが、多くの人の目に触れることで、自然なリンク獲得の機会を創出します。また、SNS上でのエンゲージメントが高いコンテンツは、他サイトでも紹介されやすい傾向があります。

サイテーション(言及)の獲得

被リンクを伴わない「サイテーション」(企業名やサービス名の言及)も、ブランド認知度の向上に寄与し、間接的にSEO効果をもたらすと考えられています。プレスリリースや取材対応を通じて、メディアでの言及機会を増やすことも有効です。

注意すべき点として、リンクの購入や過度な相互リンクなど、検索エンジンのガイドラインに違反する被リンク獲得手法は、ペナルティの対象となる可能性があります。あくまで自然な被リンク獲得を目指すことが重要です。

参照URL: https://developers.google.com/search/docs/essentials/spam-policies(Google検索セントラル - スパムポリシー)

外部対策は、4つの柱の中で最もコントロールが難しい領域です。自社の努力だけでは被リンクを獲得できないため、まずはキーワード戦略、コンテンツSEO、テクニカルSEOの3つの柱を固めることを優先し、外部対策は「質の高いコンテンツを発信し続けることで自然と獲得される」という姿勢で取り組むことをおすすめします。

弊社の支援経験では、ある法人向けビジネス支援サービスを提供する企業が、業界トレンドキーワードで専門性をアピールし、オピニオンリーダーとしての地位を確立した結果、他メディアからの自然な被リンクや言及が増加しました。コンテンツが「参照される価値のある情報」として認知されることで、外部対策は自然と効果を発揮していきます。まずは「リンクされるに値するコンテンツを作る」ことに集中し、その結果として被リンクが獲得されるという好循環を目指しましょう。

効果を最大化するキーワード設計の進め方

キーワード設計は、オウンドメディアのSEO戦略において最も重要なプロセスの1つです。適切なキーワード設計なくして、効果的なSEO施策は実現できません。

このセクションでは、目的から逆算したキーワード選定の基本から、キーワードツリーの作成、競合分析まで、キーワード設計の具体的な進め方を解説します。

目的から逆算したキーワード選定の基本

キーワード選定で最も重要なのは、「何のためにオウンドメディアを運用するのか」という目的を明確にすることです。

目的が曖昧なまま「とりあえず検索ボリュームが大きいキーワードを狙う」というアプローチでは、たとえトラフィックが増えても事業成果に繋がりません。まず運用目的を明確にし、その目的を達成するために必要なキーワードを逆算して特定することが基本です。

例えば、オウンドメディアの運用目的が「リード獲得」であれば、最終的に問い合わせや資料請求に繋がるキーワードを特定する必要があります。「ブランド認知の向上」が目的であれば、より広い検索ボリュームを持つキーワードでの露出拡大を優先することになります。

目的からキーワードを逆算する手順は以下の通りです。

Step 1: 成果定義の明確化

オウンドメディア経由で獲得したい成果を具体的に定義します。「月間〇件のリード獲得」「〇〇領域でのブランド認知向上」など、できるだけ具体的に設定します。

Step 2: コンバージョンに近いキーワードの特定

成果に直結するキーワード(マストキーワード)を特定します。自社のサービスや製品に関連し、検索ユーザーが比較検討段階にあるようなキーワードが該当します。

Step 3: カスタマージャーニーに沿ったキーワードの展開

マストキーワードを軸に、認知段階から比較検討段階までのカスタマージャーニーに沿ってキーワードを展開します。これにより、潜在層から顕在層まで幅広いユーザーにアプローチできます。

検索意図の4分類(インフォメーショナル・ナビゲーショナル・トランザクショナル・コマーシャル)を理解し、各段階のユーザーがどのようなキーワードで検索するかを想定することが重要です。

初期段階では、マストキーワードを中心にコンテンツを制作し、徐々にサブキーワードへと展開していくアプローチが効果的です。限られたリソースの中で優先順位を明確にすることで、効率的に成果に繋げることができます。

ここで重要なのは、「目的」と「手段」を明確に区別することです。キーワード選定やコンテンツ制作は「手段」であり、「目的」は事業成果(リード獲得、売上など)です。手段が目的化してしまうと、「月に〇本の記事を制作する」ことが目標になり、その記事が事業成果に繋がっているかどうかの検証が疎かになります。

弊社の経験では、詳細な行動計画を立てることで、毎月の記事本数やカテゴリー配分といった「やるべきこと」が目的になってしまうケースを多く見てきました。これを防ぐには、計画に「余白」を設けることが重要です。具体的には、計画全体の70〜80%を固定し、残りの20〜30%は状況に応じて調整できる余白として残しておきます。この「余白設計」により、目標やデータに真摯に向き合える組織土壌が形成されます。

常に「この施策は目的達成にどう貢献するか」という視点を持ち、手段の目的化を防ぐことが、キーワード選定の段階から意識すべきポイントです。

キーワードツリーの作成と優先順位付け

キーワードツリーとは、マストキーワードを頂点とし、関連するサブキーワードを階層構造で整理した図です。キーワード間の関係性を可視化し、コンテンツ制作の優先順位を決定するために活用します。

キーワードツリー作成の手順は以下の通りです。

Step 1: マストキーワードの設定

事業成果に直結するマストキーワードを設定します。通常、1つのオウンドメディアに対して複数のマストキーワードを設定することが多いですが、初期段階では3〜5個程度に絞ることをおすすめします。

Step 2: サブキーワードの洗い出し

各マストキーワードに関連するサブキーワードを洗い出します。キーワードリサーチツールやサジェストキーワード、関連検索などを活用し、網羅的に洗い出します。

サブキーワードは以下のような観点で分類できます。

  • 定義系: 「〇〇とは」「〇〇 意味」
  • 方法系: 「〇〇 やり方」「〇〇 方法」
  • 比較系: 「〇〇 比較」「〇〇 おすすめ」
  • 課題系: 「〇〇 課題」「〇〇 失敗」
  • 事例系: 「〇〇 事例」「〇〇 成功事例」

Step 3: 階層構造の整理

洗い出したサブキーワードを、マストキーワードとの関連性に基づいて階層構造で整理します。マストキーワードに直接関連するキーワードを第1階層、その下位概念を第2階層というように配置します。

Step 4: 重複の整理

複数のマストキーワードに対するサブキーワードの重複を整理します。同じキーワードが複数のツリーに含まれる場合は、最も関連性の高いツリーに配置し、1つのコンテンツで対応するか、別々のコンテンツで対応するかを判断します。

Step 5: 優先順位の決定

以下の観点から、コンテンツ制作の優先順位を決定します。

  • コンバージョンへの近さ: マストキーワードに近いほど優先度が高い
  • 競合性: 自社のドメインパワーで勝てる領域を優先
  • 検索ボリューム: 一定の流入が見込めるキーワードを優先
  • コンテンツ制作の難易度: 自社の専門性を活かせる領域を優先

基本的には「マスト→サブ」の順序でコンテンツを制作しますが、競合性が高くすぐに上位表示が難しいマストキーワードの場合は、まずサブキーワードでコンテンツを充実させ、サイト全体の専門性を高めてからマストキーワードに挑戦する戦略も有効です。

ある大手人材サービス企業では、200以上の商材がある中から、商談や受注につながるキーワードを定義し、3商材に絞ってコンテンツを展開しました。その分野で勝ち切ることに注力した結果、1年で法人サイトへの流入数3倍、月200件以上のCV獲得、受注金額は前年同期比で8倍という成果を達成しています。この事例が示すように、リソースを集中投下する「選択と集中」の考え方が成果創出には欠かせません。

競合分析と自社の勝ち筋の見つけ方

キーワード設計において、競合分析は欠かせないプロセスです。上位表示されている競合コンテンツを分析し、自社が勝てる領域を見極めることで、効率的にSEO効果を高めることができます。

特に後発メディアの場合、大手プレイヤーと正面から競争しても勝ち目は薄いため、競合が手薄な領域を見つけることが重要です。ある企業では、SNS上のハッシュタグ分析やトレンド調査を徹底的に行い、大手が見逃している「トレンド性の高いキーワード」と「エリア特化キーワード」を掛け合わせた戦略を展開しました。社内の若手メンバーからリアルタイムでトレンド情報を収集する仕組みを構築し、検索データだけでは把握できない潜在ニーズを発掘。この独自アプローチにより、競合が気づいていない成長キーワードを次々と発見し、短期間でポジションを確立することに成功しています。

競合分析では、以下の観点を確認します。

上位コンテンツの内容・構成分析

狙いたいキーワードで実際に検索し、上位10件程度のコンテンツを分析します。どのような構成で、どのような情報が含まれているか、文字数はどの程度かを確認します。これにより、検索エンジンが評価している「正解」の傾向が見えてきます。

ドメインパワーの比較

上位表示されているサイトのドメインパワーを確認し、自社のドメインパワーと比較します。大手メディアや権威性の高いサイトが上位を独占しているキーワードは、自社が参入しても上位表示が難しい可能性があります。

差別化ポイントの特定

競合コンテンツにない、自社独自の価値を提供できるポイントを特定します。自社の経験やデータ、専門知識を活かして、他社には真似できない情報を盛り込むことが差別化の鍵です。

競合分析を踏まえて、「自社が勝てる領域」を見極めることが重要です。すべてのキーワードで上位を狙うのではなく、リソースを絞り込んだ領域に集中投下する「一点集中戦略」が効果的です。

例えば、「マーケティング」という大きなキーワードでは競合が多く上位表示が困難でも、「BtoBマーケティング 製造業」のように領域を絞れば、競合が少なく上位表示の可能性が高まります。自社の強みを活かせる領域に集中し、その領域で専門メディアとしての地位を確立するアプローチです。

あるマーケティング支援企業では、若年層向け情報メディアの立ち上げにおいて、大手プレイヤーが見逃している「トレンド性の高いキーワード」に着目しました。社内の若手メンバーからトレンド情報を収集し、SNS上のハッシュタグ分析を徹底的に実施した結果、競合が気づいていない成長キーワードを発見。特にエリア特化のトレンドキーワードに注力することで、1年以内に100万MAUを達成しています。

限られたリソースの中で成果を最大化するためには、「選択と集中」の考え方が欠かせません。すべてを網羅しようとするのではなく、自社が勝てる領域を見極め、そこに注力することで、効率的に成果を出すことができます。

この「一点集中戦略」は、特にリソースが限られた中小企業やスタートアップにとって有効なアプローチです。広大な領域で大手と正面から競争するのではなく、ニッチな領域で専門性を発揮し、その領域のナンバーワンを目指します。

一点集中で成果を出せば、その領域での実績と知見が蓄積され、周辺領域への展開も容易になります。最初から広く浅くではなく、狭く深くから始めて徐々に広げていく、というアプローチが効果的です。

競合分析を行なう際は、「競合に勝つ」ことだけでなく、「競合がいない領域を見つける」という視点も重要です。競争が激しい領域で消耗戦を行なうよりも、競合が手薄な領域で着実にポジションを確立する方が、効率的に成果を出せる可能性があります。

継続的な改善とメンテナンスの方法

オウンドメディアのSEOは、コンテンツを公開して終わりではありません。継続的な効果測定と改善を行うことで、成果を維持・向上させることができます。

このセクションでは、効果測定で見るべき指標、リライトの優先順位判断基準、PDCAサイクルを回すための運用体制について解説します。

効果測定で見るべき指標と分析ツールの活用

効果測定は、SEO施策の成果を把握し、改善点を特定するために不可欠なプロセスです。ただし、指標を多く設定しすぎると、どこに注力すべきか判断が困難になります。追跡すべき指標は6〜7つ程度に絞ることをおすすめします。

主要な効果測定ツールと、それぞれで確認できる指標は以下の通りです。

Google Search Console

Google Search Consoleは、検索パフォーマンスを確認するための必須ツールです。以下の指標を確認できます。

  • 検索クエリ: どのようなキーワードで表示・クリックされているか
  • 表示回数: 検索結果に表示された回数
  • クリック数: 検索結果からサイトへ流入した回数
  • CTR(クリック率): 表示回数に対するクリック数の割合
  • 平均掲載順位: 検索結果での平均順位

また、「ページのインデックス登録」レポートでインデックス状況を、「ページエクスペリエンス」レポートでCore Web Vitalsの状態を確認できます。

参照URL: https://search.google.com/search-console

Googleアナリティクス

Googleアナリティクス(GA4)は、サイト内でのユーザー行動を分析するためのツールです。以下の指標を確認できます。

  • セッション数: サイトへの訪問数
  • ユーザー数: サイトを訪問したユニークユーザー数
  • ページビュー数: 閲覧されたページ数
  • 平均エンゲージメント時間: ユーザーがサイトに滞在した平均時間
  • 直帰率: 1ページのみ閲覧して離脱した割合
  • コンバージョン数: 設定した目標の達成数

参照URL: https://analytics.google.com/

SEO施策の効果を測定するうえで、特に重視すべき指標は以下の通りです。

指標 意味 改善の方向性
検索順位 キーワードごとの検索結果での順位 コンテンツの質向上、テクニカルSEO改善
CTR 検索結果での表示に対するクリック率 タイトル・メタディスクリプションの改善
オーガニック流入数 検索経由でのサイト訪問数 順位向上、対策キーワードの拡大
CVR 流入に対するコンバージョン率 CTA・導線の改善、コンテンツ内容の見直し
CV数 コンバージョンの絶対数 上記すべての改善の総合結果

効果測定は定期的に(週次または月次)実施し、傾向の変化を把握することが重要です。一時的な変動に一喜一憂するのではなく、中長期的なトレンドを見極めて施策の判断を行いましょう。

効果測定において注意すべき点は、「指標を見すぎない」ことです。あれもこれもと多くの指標を追跡しようとすると、どの指標を優先すべきか分からなくなり、施策の判断が遅れがちになります。

弊社では、追跡すべき指標を「6〜7つ程度」に絞ることを推奨しています。具体的には、「検索順位」「オーガニック流入数」「CTR」「直帰率」「CV数」「CVR」などが代表的な指標です。

これらの指標を組み合わせて見ることで、改善すべきポイントが明確になります。例えば、「検索順位は高いがCTRが低い」場合はタイトルやメタディスクリプションの改善が優先、「流入は多いがCVRが低い」場合はコンテンツ内のCTAや導線の改善が優先、というように判断できます。

リライトの優先順位とタイミングの判断基準

コンテンツは公開後も、検索意図の変化や競合の参入、情報の陳腐化などにより、パフォーマンスが変動します。定期的なリライト(記事の改善・更新)により、検索順位を維持・向上させることが重要です。

リライトの優先順位は、以下の基準で判断します。

優先度高:検索順位が下降したコンテンツ

以前は上位表示されていたが、順位が下降したコンテンツは、最優先でリライトすべきです。順位下降の原因としては、競合の参入、検索意図の変化、情報の陳腐化などが考えられます。上位表示されているコンテンツを分析し、不足している情報を追加したり、構成を見直したりすることで、順位回復を目指します。

ただし、リライトだけで順位が回復するとは限りません。ある企業では、Googleのコアアップデートによる検索順位の低下に直面し、リライトの行動量を増やして対応しましたが、CV数や売上の回復には繋がりませんでした。そこで「なぜ既存顧客は自社のサービスを購入したのか」という本質に立ち戻り、販売方法自体を見直すことになりました。結果として、検索順位の回復に固執するのではなく、「検索順位が回復しなくても売上を回復させる方法」を模索したことで、過去最高のリード獲得とV字回復を実現しています。トラフィックが大幅に下落した場合は、コンテンツの改善だけでなく、事業全体の戦略から見直すことも視野に入れるべきです。

優先度中:順位は高いがCTRが低いコンテンツ

検索順位は高い(例:1〜10位)のに、CTRが平均より低いコンテンツは、タイトルやメタディスクリプションに改善の余地があります。検索結果でユーザーの目を引くタイトルに修正することで、クリック率の向上が期待できます。

優先度中:PVは多いがCVRが低いコンテンツ

流入は多いのにコンバージョンに繋がっていないコンテンツは、CTA(行動喚起)や導線に課題がある可能性があります。コンテンツ内のCTAの配置や文言を見直し、ユーザーが次のアクションを取りやすい設計に改善します。

この点で重要なのは、CTAで訴求する「内容そのもの」よりも「だれに訴求するか」を意識することです。検索エンジンから訪問するユーザーのニーズやモチベーションは、どのようなキーワード検索で訪れたかによって異なります。例えば、情報収集段階のユーザーに「お問い合わせ」を訴求しても効果は薄く、「お役立ち資料」や「調査レポート」のダウンロードのほうが適切な場合があります。

あるInstagram運用代行サービスを展開する企業では、3カ月で100記事を制作したものの、想定していた成果に繋がっていませんでした。流入は見込めたがCVに結びつかない状態でした。そこでKPIを「PV」から「コンバージョン獲得数」へ変更し、「どのようなコミュニケーションであればユーザーに興味を持ってもらえるか」という設計をもとにCTA改善施策やリライト施策を実行した結果、リード創出は月10件から500件へと50倍に拡大しました。

別の事例では、あるビジネスサービス業界の大手企業が、PV重視だったオウンドメディアをCV重視の方針に転換しました。記事それぞれに対し、CVポイントとなるコンテンツと誘導するためのCTAパターンを精査。「お問い合わせ」に限らず、「お役立ち資料」や「調査レポート」のダウンロードなども用意し、記事訪問からフォーム完了まで、一連のコミュニケーションとしてつながるよう導線設計を行った結果、半期で約100件程度だったリード件数が1年で約1,000件と、10倍に拡大しました。

優先度低:ニッチなキーワードで安定しているコンテンツ

競合が少なく順位が安定しているコンテンツは、リライトの優先度は低くなります。ただし、情報が古くなっている場合は、最新情報への更新を検討します。

リライトのタイミングとしては、以下を目安にします。

  • 公開後3ヶ月: 初期の順位が安定した段階でパフォーマンスを確認
  • 順位下降時: 10位以上の順位下降が見られた場合
  • 情報の陳腐化時: 統計データや事例の更新が必要な場合
  • 定期レビュー: 半年〜1年ごとに主要コンテンツを見直し

リライトでは、単に文字数を増やすのではなく、検索意図に対する回答の質を高めることを意識します。最新の競合コンテンツを分析し、不足している情報を追加したり、より分かりやすい構成に見直したりすることが効果的です。

リライトの具体的なアプローチとしては、以下のような手順が効果的です。

Step 1: 現状分析 Google Search Consoleで当該コンテンツの検索パフォーマンス(順位、CTR、クリック数)を確認し、改善すべきポイントを特定します。

Step 2: 競合分析 狙っているキーワードで現在上位表示されているコンテンツを分析し、自社コンテンツとの差分を確認します。

Step 3: 改善施策の実行 不足している情報の追加、構成の見直し、タイトル・メタディスクリプションの改善など、具体的な改善を実施します。

Step 4: 効果検証 リライト後2〜4週間程度で検索パフォーマンスの変化を確認し、効果を検証します。

リライトは「一度やれば終わり」ではなく、継続的に行なうべき施策です。検索意図やGoogleのアルゴリズムは常に変化しており、定期的な見直しが必要です。

PDCAサイクルを回すための運用体制

オウンドメディアのSEOで継続的に成果を出すためには、PDCAサイクルを回すための運用体制を整えることが重要です。

効果的な運用体制を構築するうえでのポイントを解説します。

フェーズの明確な分離

オウンドメディアの運用は、「新規制作フェーズ」と「メンテナンスフェーズ」を明確に分離することが有効です。

  • 新規制作フェーズ: キーワードツリーに基づく新規コンテンツの制作に注力
  • メンテナンスフェーズ: 既存コンテンツのリライト、効果測定、改善に注力

2つのフェーズを同時並行で進めると、どちらも中途半端になりがちです。「今月は新規制作に集中」「来月はリライトに集中」のように、フェーズを分けて運用することで、それぞれの施策に集中できます。

また、コンテンツを大量に制作する場合は、役割分担の明確化が成果を左右します。ある企業では、月間100〜200本という制作ペースを維持するために、企画設計や執筆を行う「制作チーム」と、専門的な視点から監修を行う「品質チェックチーム」を分離しました。それぞれが自身の役割に徹することで、高品質なアウトプットを大前提としながら、徐々に月の制作本数を増やし、効率的な運用体制を確立しています。さらに、ダブルチェック体制による誤字脱字の排除、他メンバーからのフィードバック必須化による客観性の担保、専任監査担当者による著作権・肖像権チェックなど、多段階の品質管理プロセスを構築することで、量産体制と品質維持の両立を実現しました。

小さな改修を高頻度で実施

大規模なリニューアルよりも、小さな改修を高頻度で行うアプローチが効果的です。タイトルの変更、CTAの追加、内部リンクの追加など、小さな改修を頻繁に行うことで、改善効果を早期に確認でき、PDCAサイクルを高速で回すことができます。

指標の共有と判断軸の統一

チーム全体で追跡すべき指標と、判断基準を共有することが重要です。「順位が〇位以下に下がったらリライト対象」「CTRが〇%以下ならタイトル見直し」のように、具体的な基準を設けることで、迷いなく施策を実行できます。

週次または月次で効果測定結果を共有するミーティングを設け、改善施策の優先順位を決定することをおすすめします。

ある業務支援系クラウドサービス企業では、コンテンツSEO施策とCVR改善施策を同時並行で進める中、チーム全体が把握できる共通のモニタリング環境がなく、数値認識のずれが生じていました。そこで、Googleアナリティクスやスプレッドシートなどを活用し、KPIツリーに沿った進捗確認ができるモニタリング環境を整備。これにより、チームメンバー間での数値認識のずれが解消され、集計作業の手間を削減。各自が施策改善にリソースを集中できる環境が整い、リード数は昨対比115%を達成しました。

外部パートナーとの連携

社内リソースが限られている場合は、外部パートナーとの連携も検討します。コンテンツ制作の一部を外注する、SEOコンサルタントにアドバイスを求めるなど、必要に応じて外部リソースを活用することで、運用負荷を軽減しながら成果を出すことができます。

ただし、外注する場合も、キーワード戦略やコンテンツの方向性は自社でコントロールすることが重要です。丸投げするのではなく、外部パートナーと密に連携しながら運用を進めましょう。

運用体制を構築する際に重要なのは、「属人化を防ぐ」ことです。特定の担当者に依存した運用体制では、その担当者が異動や退職した際に運用が止まってしまうリスクがあります。

キーワード戦略やコンテンツ制作のガイドライン、効果測定の方法などをドキュメント化し、チーム全体で共有することで、属人化を防ぎ、持続可能な運用体制を構築できます。

また、定期的なナレッジ共有の機会を設けることも有効です。「このコンテンツがなぜ上位表示されたのか」「このリライトがなぜ効果を発揮したのか」といった知見をチーム内で共有することで、チーム全体のスキル向上に繋がります。

弊社の支援経験では、BtoBマーケティングの戦略設計者とオウンドメディア領域のプロフェッショナルが協働する場合、互いの専門性を完全に信頼することで成果が最大化されることを実感しています。BtoBマーケの全体戦略を一人に任せ、オウンドメディアから案件化に至るリード創出を専門家に任せることで、それぞれが本当に必要な領域に集中できます。役割分担が明確であれば、機械的に進行でき、1年未満でリード3倍化、案件化率30%増、受注率3倍増といった成果も実現可能です。

ある法人向けビジネス支援サービス企業では、社内にオウンドメディアの構築経験やノウハウが不足していましたが、社内編集部の立ち上げと体制構築に注力しました。コンテンツ制作のレギュレーションやワークフローを整備し、効率的な記事作成プロセスを確立。社内メンバーへのノウハウ共有も並行して実施し、将来的な内製化を見据えた教育も行いました。その結果、メディア立ち上げから1年以内に月間100件程度のCVが安定的に発生するようになり、広告費は当初の50%程度に抑えることに成功しています。この事例が示すように、運用体制の構築には時間がかかりますが、一度確立されれば持続可能なマーケティング基盤として機能します。

よくある失敗パターンと成果を出すための心構え

オウンドメディアのSEOは、正しい方法で継続すれば成果が出る施策ですが、途中で挫折したり、誤った方向に進んでしまったりするケースも少なくありません。

このセクションでは、よくある失敗パターンとその対処法、そして中長期的に成果を出すための心構えを解説します。

陥りやすい失敗と対処法

オウンドメディアのSEOで陥りやすい失敗パターンと、その対処法を解説します。

失敗1:PV・UU数ばかりを追い、成果(CV)に繋がらない

「PVが増えた」「UU数が伸びた」という指標に満足し、本来の目的である事業成果(リード獲得、売上など)に繋がらないケースがあります。

検索ボリュームが大きいキーワードでコンテンツを量産しても、コンバージョンに繋がらなければ事業へのインパクトは限定的です。キーワード選定の段階で「このキーワードで流入したユーザーは、どのようにコンバージョンに至るか」を想定し、コンバージョンへの導線を設計しておくことが重要です。

あるビジネスサービス業界大手企業では、業界キーワード獲得に注力して検索流入増加を目指し記事制作を推進していましたが、PVは増加したものの、本来の目標であるリード獲得には繋がりませんでした。データ分析を進める過程で、「PV重視のキーワード選定」と「CV無視の作りっぱなしコンテンツ」という課題が明らかになり、「ターゲット商材を定め、キーワードを定め、そのためのコンテンツ運用」という順序に大きくシフト。成果から逆算した設計・運用に転換したことで、方針転換から1年でリード獲得は10倍に拡大しました。

対処法: KGI(最終目標)とKPI(中間指標)を明確に設定し、PVやUUはあくまで中間指標として位置づける。コンバージョン数や売上への貢献を最終目標として追跡する。

失敗2:計画の固定化による「手段の目的化」

年間の記事制作計画やキーワード戦略を詳細に立てすぎると、計画を実行すること自体が目的化してしまうことがあります。当初の計画に固執するあまり、市場の変化や新たな機会に対応できなくなるのです。

対処法: 計画を立てる際に、「変更可能な部分(変数)」と「変更すべきでない部分(定数)」を明確に分離する。目的や大きな方向性は定数として固定しつつ、具体的な施策や優先順位は状況に応じて柔軟に調整できる「余白」を設計に組み込む。

失敗3:短期的な成果を求め、継続できない

SEOは成果が出るまでに最低でも半年から1年程度かかることが一般的です。短期的な成果を求めるあまり、成果が見えない段階で運用を止めてしまうケースは非常に多いです。

対処法: 関係者と「成果が出るまでの時間軸」を事前に共有し、期待値を調整する。また、最終成果が出る前でも確認できる中間指標(インデックス数、検索順位の変化、流入数の推移など)を設定し、進捗を可視化する。

失敗4:すべてのキーワードを狙おうとして、リソースが分散する

「あれもこれも」と対策キーワードを広げすぎると、リソースが分散し、どのキーワードでも中途半端な結果に終わりがちです。

対処法: 「選択と集中」を徹底する。自社が勝てる領域に絞り込み、その領域で専門メディアとしての地位を確立してから、徐々に対象領域を広げるアプローチを取る。

失敗5:コンテンツを作りっぱなしにして改善しない

記事を公開して終わり、という運用では成果を最大化できません。コンテンツ制作は公開からが本番です。公開後のユーザー評価(検索順位、CTR、滞在時間、CVR等)をもとに改善を重ねることで、コンテンツの価値が高まります。

対処法: 公開後のパフォーマンスを定期的にモニタリングし、改善サイクルを回す。特に、CVRを上げるためには「点」ではなく「線」で捉えたコミュニケーション設計が重要。記事訪問からCTA、フォーム完了まで、一連の流れとして最適化する。

中長期的な視点で継続するためのポイント

オウンドメディアのSEOで成果を出すためには、中長期的な視点で継続することが不可欠です。継続するためのポイントを解説します。

余白設計の導入

前述の通り、計画を立てる際に「余白」を設計することが重要です。具体的には、計画全体の70〜80%を固定し、残りの20〜30%は状況に応じて調整できる余白として残しておきます。

例えば、月間の記事制作本数を「8本」と固定するのではなく、「6〜10本」のように幅を持たせることで、リソース状況や優先度の変化に柔軟に対応できます。

小さな成功体験の共有

成果が出るまでに時間がかかるSEOでは、モチベーションの維持が課題となります。最終的な成果(CV数、売上)だけでなく、途中経過の小さな成功体験をチーム全体で共有することが有効です。

  • 特定のキーワードで初めて上位表示を獲得した
  • オーガニック流入数が過去最高を更新した
  • コンテンツがSNSで話題になった

このような小さな成功をチームで祝うことで、モチベーションを維持し、継続する力を養います。

弊社の支援経験では、素人から成果を出す編集部に変えるためには、初期3ヶ月の基礎訓練期間では「数値を見させない、競合を見させない」というルールが効果的でした。経験の浅いメンバーが数値データを見ると、PVの上下に一喜一憂し、本質と離れた表面的な数値改善に躍起になってしまいます。初期段階では基礎の習得(執筆力、情報整理、読者視点)、習慣の確立(執筆リズム、情報共有、PDCA)、戦略理解に集中させることで、3ヶ月後の飛躍的な成長の土台が形成されます。4ヶ月目以降は、小さな数値変化(滞在時間10秒の伸び、SNSでの初シェア)に全員で喜び、チーム全体で祝う文化を作ることで、ブレイクスルーまで走り続ける精神力が養われます。

成果と結果の違いを理解する

「成果」と「結果」は異なります。結果はコントロールできない外部要因に左右されますが、成果は自分たちの行動によってもたらされるものです。

例えば、「検索順位1位を獲得する」は結果であり、検索エンジンのアルゴリズムや競合の動向によって左右されます。一方、「検索意図を満たす質の高いコンテンツを制作する」は成果であり、自分たちの努力でコントロールできます。

結果ばかりを追い求めると、外部要因に振り回されてモチベーションが低下します。自分たちがコントロールできる「成果」にフォーカスし、その積み重ねが最終的に「結果」に繋がると理解することが、中長期的な継続には欠かせません。

関係者への期待値調整

経営層や他部門など、オウンドメディアの関係者に対して、SEOの特性と成果が出るまでの時間軸を事前に説明し、期待値を調整しておくことが重要です。

「SEOは広告と異なり、即効性はないが、継続することで複利的に効果が蓄積される」「最初の半年〜1年は投資フェーズであり、その後に回収フェーズに入る」といった説明を行い、短期的な成果を求めるプレッシャーを軽減しましょう。

他部門から協力を得るためには、まずは成果をあげて信頼を獲得することも重要です。弊社の支援経験では、最初から大きな協力を求めるのではなく、小さな成果を積み重ねることで、徐々に協力の輪が広がるケースが多く見られます。オウンドメディアの価値が社内で認識されれば、リソースの確保や部門横断的な取り組みもスムーズに進みます。

定期的に進捗状況を報告し、中間指標の改善を示すことで、関係者の理解と協力を得ながら運用を継続できます。

経営層への報告では、以下のようなポイントを意識するとよいでしょう。

  • 進捗を可視化する: インデックス数、検索順位の推移、オーガニック流入数の推移など、数値で進捗を示す
  • 投資対効果を示す: 制作コストに対する流入数やCV数の推移を示し、ROIの改善傾向を説明する
  • 競合との比較: 狙っているキーワードでの検索順位を競合と比較し、ポジションの変化を示す
  • 今後の見通し: 現在の進捗に基づいて、今後の成果見込みを説明する

SEOは「見えにくい施策」と思われがちですが、適切な指標を設定し、定期的に報告することで、関係者の理解を得ることができます。

最後に

本記事では、オウンドメディアのSEO戦略について、4つの柱と実践ステップを解説しました。

オウンドメディアのSEOは、「キーワード戦略」「コンテンツSEO」「テクニカルSEO」「外部対策」の4つの柱をバランスよく実践し、継続的な効果測定と改善を行うことで成果に繋がります。

重要なポイントを改めてまとめます。

  • 目的から逆算したキーワード設計: 何のためにオウンドメディアを運用するのかを明確にし、事業成果に繋がるキーワードを選定する
  • 検索意図に応える質の高いコンテンツ: ユーザーの検索意図を正確に把握し、課題を解決するコンテンツを制作する。自社独自の一次情報や経験を活かして差別化する
  • 継続的な改善: 効果測定を定期的に行い、リライトや導線改善を通じてパフォーマンスを向上させる。CVR改善はリライトより少ない工数で効果が出ることも多い
  • 中長期的な視点: SEOは成果が出るまでに時間がかかることを理解し、継続できる体制を整える。小さな成功体験を共有し、チームのモチベーションを維持する

SEOは地道な取り組みですが、継続することで広告に依存しない安定した集客基盤を構築できます。本記事の内容を参考に、自社のオウンドメディアSEO戦略を設計・実践していただければ幸いです。

より詳細なSEO施策やキーワード設計については、Google Search Consoleのヘルプセンター(https://support.google.com/webmasters/)や、Google検索セントラル(https://developers.google.com/search)もご参照ください。

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著者

田島 光太郎

田島 光太郎

Marketing Planner / Consultant

業界歴10年以上。2023年株式会社KAAAN設立。BtoBマーケティング、オウンドメディア、コンテンツマーケティングを領域を得意とし、コンサルタント・PMとして戦略設計、インハウス化・グロース支援を行う。

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