オウンドメディアとコンテンツマーケティングの違いと成功に導く運用のポイント

オウンドメディアとコンテンツマーケティングの違いと成功に導く運用のポイント

デジタルマーケティングの普及に伴い、オウンドメディアやコンテンツマーケティングに取り組む企業が増えています。特にBtoB企業においては、広告費の高騰やインバウンドマーケティングへの関心の高まりから、自社でメディアを運営し、コンテンツを通じてリードを獲得しようとする動きが加速しています。

一方で、以下のような声も増えています。

  • オウンドメディアとコンテンツマーケティングの違いがよく分からない
  • どちらから始めるべきか、自社に合っているのか判断できない
  • 取り組んではいるものの、なかなか成果につながらない

そこで本記事では、オウンドメディアとコンテンツマーケティングの関係性を整理した上で、成果を出すための運用ポイント、自社に適しているかの判断基準、よくある失敗パターンと回避策まで、実践的な知見をもとに解説します。

オウンドメディアとコンテンツマーケティングの関係性

オウンドメディアとコンテンツマーケティングは、しばしば混同されたり、同じ意味で使われたりすることがあります。しかし、両者は明確に異なる概念であり、その関係性を正しく理解することが、適切な施策設計の第一歩になります。

ここでは、それぞれの定義を確認した上で、両者の関係性について解説します。

オウンドメディアの定義

オウンドメディアとは、企業が所有・運営するメディアのことを指します。具体的には、自社のWebマガジン、ブログ、コーポレートサイト、採用サイトなどが該当します。

オウンドメディアの特徴は、コンテンツの内容や発信タイミングを自社でコントロールできる点にあります。広告(ペイドメディア)やSNS上での口コミ(アーンドメディア)と異なり、企業が主体的に情報発信を行い、メディア自体を資産として蓄積していくことができます。

ただし、オウンドメディアという言葉は「メディアそのもの」を指しており、それをどのように活用するかは別の話です。単にWebマガジンを持っているだけでは、ビジネス成果にはつながりません。オウンドメディアを「企業の事業・採用課題を解決するための手段」として捉え、いかに企業の収益や採用に貢献させるかという視点を持つことが重要です。

コンテンツマーケティングの定義

コンテンツマーケティングとは、ターゲットとなるユーザーにとって価値のあるコンテンツを継続的に発信し、コミュニケーションを通じてビジネス成果につなげるマーケティング手法のことです。

重要なのは、コンテンツそのものに価値があるのではなく、コンテンツを通じて生まれる「コミュニケーション」に価値があるという点です。どれだけ情報を詰め込んだコンテンツを作っても、読者との対話が生まれなければ、問い合わせや購入といった成果にはつながりません。

コンテンツマーケティングは、一方的な売り込みではなく、ユーザーの課題解決に寄り添う情報提供を通じて信頼関係を構築し、最終的に自社のサービスや商品を選んでもらうことを目指します。この考え方は、広告のように即効性を求めるものではなく、中長期的な視点での取り組みが前提となります。

「戦略」と「戦術」の関係として理解する

オウンドメディアとコンテンツマーケティングの関係は、「戦略」と「戦術」の関係として捉えると分かりやすくなります。

コンテンツマーケティングは、コンテンツを活用してビジネス成果を上げるための「戦略」です。一方、オウンドメディアは、その戦略を実行するための「戦術」の一つです。コンテンツマーケティングという大きな戦略の中で、オウンドメディアはコンテンツを発信するプラットフォームとして機能します。

店舗経営に例えると、オウンドメディアは「店舗」そのもので、コンテンツは「販売員」に相当します。店舗全体で成果を上げるのがオウンドメディアマーケティング、販売員単位で成果を上げるのがコンテンツマーケティングと考えることができます。

この関係性を理解すると、「オウンドメディアを作れば成果が出る」という誤解を避けることができます。オウンドメディアはあくまで器であり、その中に質の高いコンテンツを継続的に投入し、ターゲットとのコミュニケーションを生み出すことで、初めて成果につながるのです。

また、コンテンツマーケティングはオウンドメディアだけで完結するものではありません。メールマガジン、ホワイトペーパー、SNS、動画など、様々なチャネルを組み合わせてコンテンツを展開することで、より効果的なマーケティング活動が可能になります。

オウンドメディアとコンテンツマーケティングに共通する役割

オウンドメディアとコンテンツマーケティングは、異なる概念でありながら、ビジネスにおいて果たす役割には共通点が多くあります。両者を活用する際に期待できる主要な役割について、それぞれ解説します。

リードジェネレーション(見込み客獲得)

オウンドメディアとコンテンツマーケティングにおいて最も期待される役割が、リードジェネレーション(見込み客獲得)です。特にBtoB企業においては、サービスや商品の問い合わせ、資料請求といったリード獲得を主要な目的として取り組むケースが多く見られます。

検索エンジンをタッチポイントとした場合、ターゲットが検索するであろうキーワードでコンテンツを制作し、上位表示を達成することで、狙っているユーザーを効率良く集客できます。例えば、法人向けの会計ソフトを提供している企業であれば、「会計ソフト 比較」「経費精算 効率化」といったキーワードでコンテンツを制作し、導入を検討しているユーザーを自社サイトに誘導します。

広告によるリード獲得と比較した場合、コンテンツマーケティングには大きな利点があります。Web広告は一般化した結果、1件あたりの獲得費用(CPA)が高騰している傾向にあります。一方、質の高いコンテンツを継続して運用することで、メディア自体が資産化し、長期的に費用対効果(ROI)を高めることができます。

実際、ある企業では、新規事業立ち上げ当初は広告出稿やアウトバウンド営業でリード獲得を行っていましたが、コスト上昇と人的リソースの逼迫により継続的なリード獲得が困難になっていました。そこで、長期的なリード獲得チャネルとしてオウンドメディアを用いたオーガニック検索強化に取り組んだところ、立ち上げから1年で月100件を超えるお問い合わせが生まれるようになりました。最終的には広告費や営業リソースを大幅に削減し、オウンドメディア経由でのリード獲得体制へと大きくシフトすることに成功しています。

ただし、コンテンツを増やせばリードが増えるという単純な話ではありません。リード獲得に結びつくキーワードの選定、コンテンツからサービスページへの導線設計、問い合わせに至るまでのユーザー体験の最適化など、戦略的な設計が必要です。

ブランディング(企業認知・信頼構築)

オウンドメディアとコンテンツマーケティングは、企業のブランディングにも大きく貢献します。ブランディングとは、単に企業名やサービス名を知ってもらうことではなく、「ブランドに意味を持たせ、受け皿を作ること」を指します。

例えば、「利便性を重視するならA社」「セキュリティを重視するならB社」というように、自社サービスの強みや特徴をユーザーに認知してもらい、ユーザーが持っている評価軸とブランドを結びつけることがブランディングの目的です。

オウンドメディアは、コンテンツの内容や発信の仕方を自社でコントロールできるため、ブランディングに適しています。「ユーザーにどのような印象を持ってもらいたいか」を意識して一貫したコンテンツを発信することで、企業の専門性や信頼性を示すことができます。

認知拡大の文脈では、サービス名や会社名で直接検索してくるユーザーだけでなく、サービスを利用するであろうユーザーが興味・関心を示しそうなコンテンツを発信することで、会社名やサービス名を知ってもらうきっかけを作ることも可能です。

また、コンテンツを通じた情報発信を継続することで、「この分野のことはこの会社に聞けばいい」という専門家としてのポジションを確立することができます。これは広告では得られにくい、コンテンツマーケティングならではの成果といえるでしょう。

リードナーチャリング(顧客育成)

リードナーチャリングとは、獲得した見込み客に対して継続的に情報を提供し、購買意欲を高めていく活動のことです。特にBtoB商材では、意思決定者が複数人に渡ることや、購入に至るまでのリードタイム(検討時間)が長いことから、ナーチャリングの重要性が高まっています。

オウンドメディアやコンテンツマーケティングは、このナーチャリングプロセスにおいても効果を発揮します。初回の接点で獲得した見込み客に対して、メールマガジンやホワイトペーパーを通じて有益な情報を継続的に提供することで、購買検討段階に入ったときに自社を想起してもらうことを目指します。

重要なのは、すべてのコンテンツで売り込みをしないことです。ユーザーの課題解決に役立つ情報を提供し続けることで信頼関係を構築し、「困ったときに相談してみよう」と思ってもらえる関係性を作ることが、ナーチャリングの本質です。

コンテンツマーケティングにおけるナーチャリングでは、カスタマージャーニーに沿ったコンテンツ設計が重要になります。認知段階のユーザーには課題に気づいてもらうコンテンツ、比較検討段階のユーザーには解決策を提示するコンテンツというように、ユーザーの態度変容に合わせてコンテンツを用意することで、効果的なナーチャリングが可能になります。

オウンドメディアとコンテンツマーケティングで成果を出すためのポイント

オウンドメディアやコンテンツマーケティングに取り組む企業は増えていますが、期待した成果を得られていないケースも少なくありません。ここでは、成果を出すために押さえておくべきポイントを解説します。

目的と成果指標を明確に定義する

オウンドメディアやコンテンツマーケティングで成果を出すために、最も重要なのが「目的」と「成果指標」の明確な定義です。「何のためにオウンドメディアを運用するのか」という目的が曖昧なまま始めてしまうと、運用が形骸化し、リソースを無駄にしてしまいます。

まず、運用目的を明確にします。リード獲得なのか、認知拡大なのか、ブランディングなのか、採用強化なのか。これらの目的によって、取るべき戦略やコンテンツの内容が大きく変わってきます。

次に、目的を達成できたかどうかを測定するための成果指標(KGI・KPI)を設定します。リード獲得が目的であれば「問い合わせ数」「資料ダウンロード数」、認知拡大が目的であれば「新規ユーザー数」「指名検索数」などが成果指標として考えられます。

成果指標を設定する際は、「SMART」の原則に沿うことが有効です。

  • Specific(明確であるか)
  • Measurable(測定可能か)
  • Achievable(現実的に達成可能か)
  • Relevant(ゴールと関連性があるか)
  • Time-bound(期限があるか)

ここで注意すべきは、成果指標として何を見るかです。例えば、リード獲得を目的としているにもかかわらず、PV数やUU数ばかりを追いかけてしまうケースがあります。トラフィックは増えているのにリードが増えていない場合、戦略のどこかに問題がある可能性があります。目的と成果指標が一致していることを常に確認することが重要です。

中長期的な視点で取り組む

オウンドメディアやコンテンツマーケティングは、成果が出るまでに時間がかかる施策です。検索エンジンをタッチポイントにする場合、コンテンツが評価され上位表示されるまでには、早くても3ヶ月、一般的には半年から1年程度かかります。

この特性を理解せずに短期的な成果を求めてしまうと、「効果がない」と判断して施策を中止してしまったり、リソースが足りなくなって継続できなくなったりするケースが多く見られます。

中長期的な視点で取り組むためには、以下の点を押さえておくことが重要です。

フェーズを分けて戦略を設計する

運用開始から成果が出るまでの期間をフェーズに分け、それぞれのフェーズで達成すべき目標を設定します。例えば、初期3ヶ月はコンテンツの量産と基盤構築に注力し、6ヶ月目以降はメンテナンスとCV獲得に注力するといった形です。

小さな成功を積み重ねる

大きな成果が出るまでの間、チームのモチベーションを維持することも重要です。キーワードの順位上昇、滞在時間の改善、SNSでの初めてのシェアなど、小さな数値変化をチーム全体で共有し、成功体験として認識することで、継続的な運用が可能になります。

実際、ある企業では最初から大きな成果を狙うのではなく、多岐にわたるサービスの中から最初は最重要な3つに狙いを定め、成功体験を作って運用を加速させる戦略を取りました。この「スモールスタートで成果を目指す」アプローチにより、立ち上げ半年で月数十件、1年後には月100件を超えるお問い合わせを達成しています。

余白を持った計画を立てる

詳細な行動計画を最初から立てすぎると、計画変更のハードルが高くなり、データに基づいた改善ができなくなります。「やること」と「変えられること」を分けて設計し、状況に応じて柔軟に対応できる余白を持っておくことが重要です。

目的に沿った運用体制を構築する

戦略が正しくても、実行する体制が整っていなければ成果は生まれません。オウンドメディアやコンテンツマーケティングを継続的に運用するためには、適切な体制構築が不可欠です。

必要な役割を明確にする

オウンドメディア運用には、全体を統括するプロジェクトマネージャー、コンテンツ制作をディレクションする編集者、実際に執筆するライター、効果測定を行うアナリストなど、複数の役割が必要です。すべてを一人で担当することは難しいため、社内のリソースで対応できる部分と、外部パートナーに委託する部分を整理します。

専門知識の習得または外部活用

検索エンジンから集客するためには、SEOの知識が必要です。ユーザーに焦点を絞ったコンテンツの作成、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の強化、適切な構造でのサイト構築など、様々な要素を考慮する必要があります。社内にノウハウがない場合は、専門家の支援を受けることも選択肢の一つです。

自走できる組織を目指す

外部パートナーに依存しすぎず、社内で持続的に運用できる体制を整えることが長期的な成功には欠かせません。共通の目標と判断軸をチーム全体で共有し、成功体験を積み重ねながら、段階的に自律性を高めていくことが理想的です。

事例に学ぶ:乱立したメディアを統合し成果を出したケース

オウンドメディアやコンテンツマーケティングの運用において、複数のメディアが乱立してしまうケースは珍しくありません。ある業務支援系のクラウドサービスを展開する企業では、オーガニック検索からのリード獲得を強化するため、サービスサイトやオウンドメディアの見直しを行いました。

この企業では、プロジェクト開始時点ですでに複数のオウンドメディアが存在しており、それぞれが独立したドメインやテーマで運用されていました。結果、コンテンツの重複やSEO評価の分散が起きており、非効率な状況となっていました。

そこで、オウンドメディア全体の棚卸しを開始。各オウンドメディアのSEO評価やキーワード獲得状況を分析し、最も効率的に評価を得やすい運用体制を策定しました。具体的には、サービスサイトを加味したドメイン選定、使わなくなるURLの精査やリダイレクト設計、既存記事の対応リストの精査など、数百ある記事の対応をすべて可視化させました。

並行して、CVR改善にも注力。ランディングページの情報設計やデザインの改修、CTAの設置場所や内容の見直し、フォームの入力項目やUIの見直しなど、細かな改修を地道に繰り返していきました。

その結果、立ち上げから約半年で、リード数は昨対比115%を達成。ターゲットリードが獲得できたことで商談数も昨対比120%を記録しました。

この事例から学べるのは、「誰に、何を届けるか」という顧客起点の発想が重要だということです。この企業では、ターゲットの調査分析やカスタマージャーニーの整理を通じて、顧客を起点とした発想に切り替えることができました。それが明確な方針に基づいた施策の推進、ひいては事業に貢献する成果につながったのです。

オウンドメディアとコンテンツマーケティングが自社に適しているか判断する

オウンドメディアやコンテンツマーケティングは、すべての企業に適しているわけではありません。「競合がやっているから」という理由だけで始めると、リソースを無駄にしてしまう可能性があります。自社にとって適切な施策かどうかを判断するための視点を解説します。

適している企業の特徴

オウンドメディアやコンテンツマーケティングが有効に機能しやすい企業には、いくつかの共通点があります。

デジタルサービスを提供している企業

オンラインでのサービス提供を行っている企業は、ユーザーもオンラインで情報収集を行う傾向が強いため、オウンドメディアとの相性が良いといえます。

全国展開している企業

地域を限定せずにサービスを提供している企業は、検索エンジンからの集客によって広いエリアのターゲットにリーチできるメリットがあります。

市場規模が大きい領域で事業を行っている企業

十分な検索ボリュームがある市場では、コンテンツSEOによる集客効果が期待できます。

検討期間が長いBtoB商材を扱っている企業

IT商材やSaaSなど、導入判断に複数部門の稟議が必要で比較検討が長期化しやすい商材を扱っている場合、継続的な情報提供を通じたナーチャリングが効果的です。

専門性や独自のノウハウを持っている企業

差別化されたコンテンツを発信できる強みを持っている企業は、他社との差別化を図りやすく、ブランディングにも寄与します。

投資対効果が見合わないケース

一方で、以下のようなケースでは、オウンドメディアやコンテンツマーケティングへの投資が見合わない可能性があります。

アナログサービス中心の企業

対面でのサービス提供が中心で、ターゲットがオンラインで情報収集を行わない傾向が強い場合、検索エンジンからの集客効果は限定的になります。

地域限定のビジネス

特定の地域でのみサービスを提供している場合、全国からの集客を前提としたオウンドメディア運用は、費用対効果が見合わない可能性があります。

狭い市場で事業を行っている企業

ニッチな市場では、そもそもの検索ボリュームが少ないため、コンテンツSEOによる集客効果が限定的になります。

短期的な成果を求めている企業

オウンドメディアやコンテンツマーケティングは中長期的な施策です。即座に売上を上げたい場合は、広告など他の施策を検討した方が適切な場合があります。

判断のためのチェックポイント

自社にオウンドメディアやコンテンツマーケティングが適しているかを判断するために、以下のチェックポイントを確認してみてください。

ターゲットの情報収集行動を把握しているか

自社のターゲットが、どのようなキーワードで検索し、どのような情報を求めているかを把握していますか。ターゲットの行動がオンライン中心であれば、オウンドメディアは有効な施策になり得ます。

競合のオウンドメディア状況を確認したか

同業他社がオウンドメディアを運用している場合、その内容や成果を確認することで、自社が参入する余地があるかどうかを判断できます。

中長期的にリソースを投下できるか

オウンドメディア運用には、コンテンツ制作費、人件費、外部委託費など継続的なコストがかかります。半年から1年以上の継続を前提とした予算とリソースを確保できるかを確認します。

社内に発信できる専門知識があるか

差別化されたコンテンツを発信するためには、社内の専門知識やノウハウを形式知化してコンテンツに反映させる必要があります。そのためのプロセスを構築できるかどうかも重要な判断材料です。

他のマーケティング施策との連携を考慮しているか

オウンドメディアは単独で機能するものではありません。広告、SNS、営業活動など、他の施策と連携させることで効果を最大化できます。全体のマーケティング戦略の中でオウンドメディアをどのように位置づけるかを検討します。

よくある失敗パターンと回避策

オウンドメディアやコンテンツマーケティングに取り組んでいるものの、期待した成果が出ていない企業も少なくありません。ここでは、よくある失敗パターンとその回避策を解説します。

目的と手段が一致していない

最も多く見られる失敗パターンが、目的と手段の不一致です。

リード獲得を目的として運用を始めたにもかかわらず、SNSでの拡散を狙ったバズ狙いのコンテンツばかりを制作していたり、PV数の最大化を追いかけてターゲット外のユーザーを集めてしまったりするケースがあります。

また、「とにかく記事数を増やせば成果が出る」という認識でコンテンツを量産した結果、質の低いコンテンツが蓄積し、メディア全体の評価が下がってしまうこともあります。コンテンツは「資産」にも「負債」にもなり得ます。目的に合致したコンテンツだけが価値を持ち、そうでないコンテンツは運用コストを増やすだけの負債になりかねません。

実際、ある企業では、PVは増加したものの、本来の目標であるリード獲得には繋がらないという課題を抱えていました。データ分析を進める過程で、PV重視のキーワード選定と、CV無視の作りっぱなしコンテンツという問題が明らかになりました。そこで、ターゲット商材を定め、キーワードを定め、そのためのコンテンツ運用という順序に大きくシフト。成果から逆算した設計・運用に転換したことで、方針転換から1年でリード獲得数は10倍に拡大しました。

回避策

運用開始前に、目的から成果を逆算して定義します。「どのような状態になれば成果と言えるのか」を明確にし、そこに至るための戦略を設計します。定期的に振り返りを行い、目的と実際の運用が一致しているかを確認することも重要です。

また、「コンテンツを作ること」を目的にしないことも大切です。コンテンツは手段であり、その先にあるビジネス成果こそが真の目的です。

成果を急ぎすぎる

オウンドメディアやコンテンツマーケティングは中長期的な施策であるにもかかわらず、短期的な成果を求めてしまうケースがあります。

「3ヶ月経っても成果が出ない」「半年やったのにリードが増えない」といった理由で、施策を中止してしまったり、方向性を大きく変えてしまったりすることがあります。しかし、検索エンジンからの集客を主軸にする場合、成果が出始めるまでには最低でも半年、場合によっては1年以上かかることも珍しくありません。

また、成果が出ていないように見えても、実際には順位が徐々に上昇していたり、ターゲットからの認知が広がっていたりする場合もあります。正しい指標でモニタリングを行わないと、進捗を見誤ってしまう可能性があります。

回避策

中長期的な計画を立て、フェーズごとに達成すべき目標を設定します。初期は順位上昇やインデックス数の増加、中期はトラフィックの増加、後期はCV獲得といったように、段階的な成果を追いかけることで、施策の進捗を正しく評価できます。

また、経営層や関係者に対して、オウンドメディアやコンテンツマーケティングの特性を事前に共有し、中長期的な投資であることの理解を得ておくことも重要です。

コンテンツが「書きたいこと」になっている

コンテンツ制作において、企業が伝えたいことや書きたいことを優先してしまい、ユーザーが知りたいことから乖離してしまうケースがあります。

自社のサービスの素晴らしさを伝えたい、実績をアピールしたいという気持ちは自然なものですが、それは「作り手のWANT」であり、「読み手のWANT」ではありません。どれだけ丁寧にコンテンツを作っても、読み手の視点に立っていなければ、読者との間にコミュニケーションは生まれません。

また、社内の担当者にとっては当たり前の情報でも、読者にとっては知らない情報であることも多くあります。「初めてこのテーマについて調べる人」を想定せずにコンテンツを制作すると、読者が置いてけぼりになってしまいます。

ある企業では、この問題を解決するために、セールス担当者への徹底的なヒアリングを実施しました。商談の現場で実際に聞かれる悩みや、よくある質問を詳細に収集し、過去の問い合わせ内容からも、どんな業種・規模の企業から、どんな課題感で問い合わせが来ていたかを分析。ユーザー視点から「本当に知りたい情報」に近づけるよう、コンテンツの切り口を大幅に見直しました。その結果、約3ヶ月で月次の問い合わせ数は目標を達成し、5ヶ月後には過去最高の月間リード数を記録しています。

回避策

コンテンツ制作において、常に「読者はなぜこのキーワードで検索したのか」「読者は何を知りたいのか」「読者にとっての最高のゴールは何か」を問いかけます。

ユーザーニーズを深掘りするためには、検索結果の観察やサジェストキーワードの調査といった具体的な手法を活用し、実際のユーザーの検索意図を客観的に把握することが有効です。また、顕在ニーズ(ユーザーが自覚している欲求)だけでなく、潜在ニーズ(ユーザー自身も自覚していない欲求)まで掘り下げることで、より価値のあるコンテンツを制作できます。

コンテンツの価値は、情報を詰め込むことではなく、読者の心に何かを残すことにあります。読者との対話を意識したコンテンツ制作を心がけることが、成果につながる第一歩です。

CVへの導線設計が不十分

コンテンツで集客できていても、問い合わせや資料請求といったCVにつながっていないケースも多く見られます。

どの記事にも一律で「お問い合わせ」のCTAを設置しているだけでは、ユーザーのニーズやモチベーションに合っていない可能性があります。検索エンジンから訪問するユーザーのニーズやモチベーションは、どのようなキーワード検索で訪れたかによって異なります。

回避策

記事それぞれに対し、CVポイントとなるコンテンツと、そのコンテンツに誘導するためのCTAパターンを精査します。「お問い合わせ」に限らず、「お役立ち資料」や「調査レポート」のダウンロードなども用意し、ユーザーのニーズやモチベーションに合わせた適切な訴求を、適切なタイミングで行うことが重要です。

記事訪問からフォーム完了まで、一連のコミュニケーションとしてつながるよう導線設計を行い、CTAのクリックやCVの発生状況を見ながら、地道なチューニングを繰り返すことで、CVRの改善が期待できます。

まとめ

オウンドメディアとコンテンツマーケティングは、異なる概念でありながら密接に関連しています。コンテンツマーケティングが「戦略」、オウンドメディアが「戦術」という関係を理解した上で、両者を適切に組み合わせることが成果につながります。

成果を出すためには、目的と成果指標を明確に定義し、中長期的な視点で取り組み、目的に沿った運用体制を構築することが重要です。また、自社にとってこれらの施策が適しているかどうかを冷静に判断し、「始めること」ではなく「成果を出すこと」を目的にした取り組みが求められます。

よくある失敗パターンとして、目的と手段の不一致、成果を急ぎすぎること、コンテンツが書きたいことになっていること、CVへの導線設計が不十分なことが挙げられます。これらを回避するためには、顧客起点の発想を持ち、成果から逆算した設計・運用を行うことが大切です。

オウンドメディアやコンテンツマーケティングは、正しい戦略に基づいて継続的に運用すれば、必ず成果が出る施策です。短期的な結果に一喜一憂せず、読者とのコミュニケーションを大切にしながら、着実に取り組んでいくことをおすすめします。

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著者

寺倉 大史

寺倉 大史

Director

業界歴10年以上。マーケティング全体の戦略、プランニング、PM、組織開発など幅広く累計100社以上を支援。藍染職人、株式会社LIG執行役員を経て、デジタルマーケティングカンパニー『MOLTS』を設立。

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