
デジタルマーケティングにおけるSEOの役割とは?基本から実践まで解説
デジタルマーケティングに取り組む企業が増え、Webを活用した集客は当たり前のものになりました。広告、SNS、メールマーケティングなど、選択肢は多岐にわたります。
一方で、以下のような声も増えています。
- SEOが重要だと聞くが、デジタルマーケティング全体の中でどう位置づけるべきかわからない
- 広告費が高騰する中、自然検索からの流入を増やしたいがどこから手をつければよいかわからない
- SEO施策を始めたが、なかなか成果につながらず優先度の判断に迷っている
そこで本記事では、デジタルマーケティングにおけるSEOの役割を基本から解説します。SEOと他の施策との関係性、具体的な進め方、成果を出すためのポイントまで、実践に役立つ情報をお伝えします。
目次
デジタルマーケティングとSEOの基本的な関係性
まずは、デジタルマーケティングとSEOの定義を整理し、両者の関係性を明確にしていきます。この章を読むことで、SEOがデジタルマーケティングの中でどのような位置づけにあるのかを理解できます。
デジタルマーケティングとは
デジタルマーケティングとは、デジタル技術を活用したマーケティング活動全般を指します。Webサイト、検索エンジン、SNS、メール、アプリなど、デジタルで得られるあらゆるタッチポイントとデータを活用して、顧客との関係を構築し、事業成果につなげる取り組みです。
Webマーケティングがサイトを軸に考えるのに対し、デジタルマーケティングはより広い領域をカバーします。オンラインとオフラインのデータを統合し、顧客体験を一貫して設計することも含まれます。
デジタルマーケティングの手法は多岐にわたります。主なものとして、検索エンジンからの集客(SEO、リスティング広告)、SNSマーケティング、メールマーケティング、コンテンツマーケティング、動画マーケティング、MA(マーケティングオートメーション)などがあります。
これらの手法は単独で機能するものではなく、相互に連携させることで効果を最大化できます。例えば、SEOで集客したユーザーにメールマガジンを配信し、MAでナーチャリングを行うといった流れです。
SEO(検索エンジン最適化)とは
SEO(Search Engine Optimization)とは、検索エンジンで特定のキーワードを検索した際に、自社サイトを上位表示させるための施策です。Googleをはじめとする検索エンジンは、ユーザーに最も役立つ情報を提供することを目的としています。したがって、SEOの本質は「ユーザーにとって価値のある情報を提供すること」にあります。
SEOは大きく「テクニカル領域」と「コミュニケーション領域」に分類されます。テクニカル領域はサイト構造の最適化やページ表示速度の改善など技術的な施策を指し、コミュニケーション領域はコンテンツ制作や被リンク獲得など、ユーザーや他サイトとの関係構築を通じた施策を指します。
検索エンジンの評価基準は常に進化しています。近年では、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)が重視されるようになり、単にキーワードを含めるだけでは上位表示が難しくなっています。ユーザーの検索意図を正確に理解し、その意図に応える質の高いコンテンツを提供することが求められます。
デジタルマーケティングにおけるSEOの位置づけ
デジタルマーケティングは上位概念であり、SEOはその中に含まれる施策の一つです。ただし、SEOは単なる集客手法にとどまらず、デジタルマーケティング戦略全体に影響を与える重要な要素といえます。
SEOは「自走する集客チャネル」としての特性を持ちます。広告は費用を払い続けなければ流入が止まりますが、SEOで上位表示を獲得すれば、継続的にユーザーを集客できます。この特性が、デジタルマーケティング全体の費用対効果を高めることにつながります。
また、SEOで蓄積したコンテンツは、他のマーケティング施策にも活用できます。SEO記事をSNSで発信したり、メールマガジンのネタにしたり、営業資料として活用したりと、コンテンツ資産としての価値も持ちます。
一方で、SEOには即効性がないという特徴もあります。成果が出るまでに半年から1年程度かかることが一般的です。そのため、デジタルマーケティング戦略においては、短期施策(広告など)と中長期施策(SEOなど)をバランスよく組み合わせることが重要になります。
デジタルマーケティングでSEOが重要な理由
デジタルマーケティングの手法は多様ですが、その中でSEOが重要視される理由を3つの観点から解説します。
継続的な集客基盤を構築できる
SEOの最大の特徴は、一度上位表示を獲得すれば継続的に集客できる点です。作成したコンテンツは削除しない限り残り続け、検索結果に表示されるたびにユーザーを呼び込みます。
広告とは異なり、クリックごとに費用が発生しません。初期のコンテンツ制作には時間とコストがかかりますが、中長期的に見れば費用対効果は高くなります。実際に、SEOに注力した企業が広告費を大幅に削減しながらリード獲得数を増やした事例は数多くあります。
コンテンツが蓄積されることで、サイト全体の評価も向上します。関連するテーマで複数の記事が上位表示されるようになると、その分野における専門性・権威性の認知が高まり、ブランディング効果も生まれます。
さらに、検索経由で訪問するユーザーは明確な意図を持っています。「〇〇とは」「〇〇 方法」など、何かを知りたい、解決したいという目的があって検索しています。このため、広告経由の流入と比較して、コンバージョン率が高くなる傾向があります。
広告費を削減しながら成果を高められる
多くの企業がリスティング広告などのWeb広告に投資しています。しかし、広告費は年々高騰しており、CPA(顧客獲得単価)の上昇に悩む企業も少なくありません。
SEOは、広告依存から脱却するための有力な選択肢です。同じキーワードに対して、広告枠と自然検索の両方で表示されていれば、自然検索経由の流入は追加コストがかかりません。SEOによる集客が増えれば、その分広告費を削減できます。
ある企業では、オウンドメディアを立ち上げてコンテンツSEOに注力した結果、広告費を当初の約半分に抑えながら、月間のリード獲得を安定的に実現しています。最初は成果が出るまで時間がかかりましたが、重点キーワードを絞り込んで集中的にコンテンツを強化したことで、業界関連のキーワードで上位表示を獲得。インバウンドリードの質も向上し、営業効率の改善にもつながったといいます。
削減した広告費は、より効果的な施策に再投資できます。例えば、コンバージョン率の高いキーワードに広告を集中させたり、新しいマーケティング施策を試したりと、戦略的な資源配分が可能になります。
ただし、SEOと広告は「どちらか一方」ではなく、相互補完の関係にあります。広告で即効性のある成果を出しながら、SEOで中長期的な基盤を構築するというのが、多くの企業にとって現実的なアプローチです。
顧客の検索行動に直接アプローチできる
検索行動は、顧客の購買プロセスにおいて重要な役割を果たしています。何か課題を感じたとき、解決策を探すとき、商品やサービスを比較検討するとき、多くの人が検索エンジンを利用します。
SEOによって検索結果に表示されることは、この購買プロセスの各段階で顧客との接点を持てることを意味します。情報収集段階のユーザーには基礎知識を提供し、比較検討段階のユーザーには選定のポイントを伝えるなど、顧客の状態に合わせたコミュニケーションが可能です。
潜在顧客層へのアプローチにも有効です。自社のサービスを知らない人も、関連する課題について検索することはあります。SEOを通じてそうしたユーザーにリーチし、認知を獲得できれば、将来の顧客獲得につながります。
検索行動から得られるデータも貴重です。どのようなキーワードで検索されているか、どのコンテンツがよく読まれているかを分析することで、顧客が何を求めているかの理解が深まります。この理解は、コンテンツ改善だけでなく、商品開発やサービス改善にも活かせます。
SEO施策の基本要素
SEOは複数の要素から構成されます。この章では、コンテンツSEO、内部対策、外部対策、E-E-A-Tという4つの基本要素について解説します。
コンテンツSEO
コンテンツSEOとは、良質なコンテンツを作成・発信することで検索流入を増やす施策です。現在のSEOにおいて最も重要な要素といえます。検索エンジンは「ユーザーの検索意図に最も合致した情報を提供するページ」を上位に表示するため、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを作ることが上位表示への近道となります。
コンテンツSEOで成果を出すには、まずキーワード選定が重要です。どのキーワードを狙うかによって、集客できるユーザー層やコンテンツの方向性が決まります。検索ボリューム、競合性、自社サービスとの関連性、コンバージョンへの近さを総合的に判断して選定します。
キーワードが決まったら、そのキーワードで検索するユーザーの意図を分析します。「何を知りたいのか」「どんな課題を抱えているのか」を正確に把握し、その意図に応えるコンテンツを設計します。検索結果の上位ページを参考にしながら、競合にはない独自の価値を盛り込むことが差別化につながります。
重要なのは、コンテンツそのものではなく、コンテンツを通じて生まれるコミュニケーションです。情報を詰め込むだけでは読者の心に響きません。読者が「なるほど」と感じる瞬間、「この記事は役に立つ」と思う瞬間を意識して、読者視点でコンテンツを作ることが求められます。
内部対策(テクニカルSEO)
内部対策とは、サイト内部の技術的な要素を最適化する施策です。テクニカルSEOとも呼ばれます。いくら良質なコンテンツを作っても、検索エンジンのクローラーがサイトを正しく認識できなければ、上位表示は望めません。
サイト構造の最適化が基本です。クローラーがサイト内を効率的に巡回できるよう、階層を深くしすぎない(3クリック以内でアクセスできる)、パンくずリストを設置する、XMLサイトマップを作成するといった対応が必要です。
ページ表示速度の改善も重要な要素です。表示速度が遅いと、ユーザー体験が損なわれるだけでなく、検索エンジンの評価にも悪影響を与えます。画像の圧縮、キャッシュの活用、不要なスクリプトの削減などで表示速度を向上させます。
モバイルフレンドリー対応も欠かせません。検索エンジンはモバイルファーストインデックスを採用しており、スマートフォンでの表示が評価の基準となっています。レスポンシブデザインの採用、タップしやすいボタンサイズの確保など、モバイルユーザーに配慮した設計が求められます。
Google Search Consoleを活用することで、技術的な問題を検出し、改善することができます。インデックス状況の確認、検索パフォーマンスの分析、エラーの修正など、SEO運用において必須のツールです。
外部対策(被リンク戦略)
外部対策とは、外部サイトからの被リンク(バックリンク)を獲得するための施策です。被リンクは「他サイトからの推薦」として検索エンジンに評価され、ランキング要因の一つとなっています。
ただし、被リンクは「量」よりも「質」が重要です。関連性のないサイトからのリンクを大量に獲得しても、評価にはつながりません。むしろ、人工的なリンク構築はペナルティの対象となる可能性があります。権威性の高いサイトから、自然な形でリンクを獲得することが理想です。
自然な被リンクを獲得するには、まず他サイトが参照したくなるようなコンテンツを作ることが前提です。独自の調査データ、わかりやすいインフォグラフィック、専門家による深い洞察など、「リンクして紹介したい」と思わせる価値を提供します。
広報・PR活動も被リンク獲得に有効です。プレスリリースの配信、メディアへの情報提供、業界イベントへの登壇などを通じて、自社の認知度を高めます。認知が広がれば、自然と言及される機会も増えます。
競合のドメインパワーと自社を比較分析し、不足分を埋めるための戦略を立てることも有効です。競合がどのようなサイトから被リンクを獲得しているかを調査し、参考にします。
E-E-A-Tの強化
E-E-A-Tは、Googleがコンテンツの品質を評価する際の基準です。Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の4つの要素から構成されます。
経験とは、実体験に基づく情報を指します。実際に使ったことがある、実際に経験したことがあるという一次情報は、机上の情報よりも価値があります。事例や体験談を盛り込むことで、経験を示すことができます。
専門性とは、特定分野における深い知識を指します。著者プロフィールを明示し、その人物がなぜこのテーマについて書く資格があるのかを示すことが重要です。専門的な資格や経歴があれば記載します。
権威性とは、業界での認知度や評判を指します。他のサイトや専門家から言及されること、業界団体への参加、受賞歴などが権威性を高めます。被リンクの獲得もこれに関連します。
信頼性とは、情報の正確性や透明性を指します。運営者情報の明示、引用元の記載、定期的な情報更新などで信頼性を担保します。特にYMYL(お金や健康に関わる分野)では、信頼性が厳しく評価されます。
SEO施策を成功させる実践ステップ
SEOで成果を出すには、正しいステップで施策を進めることが重要です。この章では、目標設定からコンテンツ制作、効果測定までの実践ステップを解説します。
目標設定とキーワード選定
SEO施策を始める前に、まず目標を明確にします。「リード獲得数を増やしたい」「認知を拡大したい」「売上を向上させたい」など、SEOで何を達成したいのかを定義します。目標が曖昧なまま施策を進めると、効果測定ができず、改善の方向性も定まりません。
目標が決まったら、その目標達成に貢献するキーワードを選定します。ここで重要なのは「成果から逆算する」という考え方です。単に検索ボリュームが大きいキーワードを狙うのではなく、コンバージョンにつながるキーワードを優先します。
ある企業では、当初PV(ページビュー)を重視したキーワード選定を行い、検索流入は増加したものの、本来の目標であるリード獲得につながらないという課題を抱えていました。データ分析を進める中で、PV重視のキーワード選定とCV導線の不備が問題であることが判明。そこで、ターゲット商材を定め、成果から逆算したキーワード設計に大きくシフトしました。結果、リード獲得数は大幅に伸長し、オーガニック獲得が社内でも重要なチャネルとして認識されるようになったといいます。
キーワードは「マストキーワード」と「サブキーワード」に分類します。マストキーワードは成果に直結する主要キーワードで、サブキーワードはそれを補完する関連キーワードです。限られたリソースをマストキーワードに集中投下し、確実に上位表示を獲得することが戦略的なアプローチです。
キーワードを洗い出したら、キーワードツリーとして可視化します。マストキーワードを頂点とし、関連するサブキーワードを階層構造で整理することで、コンテンツ間の関係性が明確になります。どのコンテンツから制作するか、どのように内部リンクを設計するかの判断材料にもなります。
検索意図を捉えたコンテンツ制作
キーワードが決まったら、そのキーワードで検索するユーザーの意図を徹底的に分析します。検索意図を外したコンテンツは、いくら丁寧に作っても上位表示されません。
検索意図を分析するには、実際にそのキーワードで検索し、上位表示されているページを確認します。どのような内容が書かれているか、どのような構成になっているかを把握することで、検索エンジンがそのキーワードに対してどのような情報を評価しているかがわかります。
上位コンテンツを参考にしつつも、そのまま模倣しないことが重要です。同じような内容を作っても差別化は図れません。自社ならではの知見、独自の視点、実際の経験に基づく情報など、競合にはない価値を盛り込みます。
記事の骨格を徹底して作り込むことが、質の高いコンテンツを生む土台になります。見出し構成、各セクションで伝えること、読者がこの記事を読んだ後にどうなるか(ゴール設定)を事前に設計します。この骨格があることで、執筆時に迷いがなくなり、一貫性のあるコンテンツが完成します。
CV導線の最適化
コンテンツを作るだけでなく、コンバージョンにつなげる導線設計も重要です。どの記事にも同じCTA(行動喚起)を設置しているだけでは、ユーザーのニーズやモチベーションに訴求できません。
検索エンジンから訪問するユーザーのニーズやモチベーションは、どのようなキーワード検索で訪れたかによって異なります。情報収集段階のユーザーに「お問い合わせ」を促しても効果は薄く、むしろ「お役立ち資料」や「調査レポート」のダウンロードなど、段階に応じたCVポイントを用意することが効果的です。
ユーザーの行動変容を促すためには、そのニーズやモチベーションにあわせた適切な訴求を、適切なタイミングで行うことが欠かせません。記事訪問からフォーム完了まで、一連のコミュニケーションとしてつながるよう導線設計を行い、CTAのクリックやCVの発生状況を見ながら、地道なチューニングを繰り返すことが成果につながります。
効果測定と継続的な改善
コンテンツを公開したら終わりではありません。SEOは継続的な改善が必要な施策です。効果測定を行い、PDCAサイクルを回すことで、成果を高めていきます。
Google Search ConsoleとGoogleアナリティクスを使って、検索パフォーマンスを確認します。どのキーワードで表示されているか、クリック数やクリック率はどうか、検索順位はどう変化しているかを把握します。
順位が上がらないコンテンツ、順位は高いがクリック率が低いコンテンツ、流入は多いがコンバージョンにつながらないコンテンツなど、課題のパターンはいくつかあります。課題に応じて、コンテンツの内容改善、タイトルやメタディスクリプションの修正、CTAの見直しなど、適切な対策を講じます。
メンテナンス(リライト)では、「大きな改修を少数行う」のではなく「細かい改修を高頻度で行う」ことが効果的です。小さな改修を繰り返すことでフィードバックの機会が増え、PDCAサイクルが加速します。検索エンジンのアルゴリズムは常に進化し、競合も改善を続けているため、現状維持は相対的な順位低下を意味します。
デジタルマーケティング戦略にSEOを組み込むポイント
SEOは単独で機能させるよりも、デジタルマーケティング戦略全体の中で位置づけることで、より大きな成果を生み出します。この章では、SEOを戦略に組み込む際のポイントを解説します。
他のマーケティング施策との連携
SEOで作成したコンテンツは、他のマーケティング施策に活用できます。SEO記事をSNSで発信すれば、自然検索以外からの流入も獲得でき、シェアされれば被リンク獲得にもつながります。メールマガジンのコンテンツとしても活用でき、リードナーチャリングに貢献します。
逆に、他の施策がSEOを後押しすることもあります。SNSでの言及が増えれば、指名検索(社名やサービス名での検索)が増加します。広告で認知を獲得したユーザーが、後から情報を検索することもあります。各施策が相互に影響し合い、相乗効果を生む設計が理想です。
ある企業では、コンテンツSEOだけでなく、オフラインのイベントや展示会、Web広告など、あらゆるタッチポイントで総合的にマーケティングを展開しました。その結果、イベントや広告で認知を獲得したユーザーがキーワード検索を行い、CVRに最適化されたサイトに訪れてリードが生まれるという好循環を創出。オフラインとオンラインの連携がリード獲得に大きく寄与した事例です。
コンテンツを「情報の箱」ではなく「コミュニケーションのきっかけ」として捉えることが重要です。一つのコンテンツを起点に、SNSでの対話、メールでのフォロー、営業活動など、さまざまな接点でコミュニケーションが生まれる設計を考えます。
ただし、最初からすべてを連携させようとすると複雑になりすぎます。まずはSEOで成果を出すことに集中し、ある程度の成果が出てから他施策との連携を検討するのが現実的です。
顧客起点の発想への転換
デジタルマーケティング全体でSEOを機能させるためには、「何をやるか」ではなく「誰に、何を届けるか」という顧客起点の発想が重要です。
ある企業では、もともと複数のオウンドメディアが乱立し、コンテンツの重複やSEO評価の分散が起きていました。「メディアを増やせば成果が出る」という発想が先行し、結果として非効率な状況に陥っていたのです。
この課題を解決するため、ターゲットの調査分析やカスタマージャーニーの整理を徹底的に行い、顧客を起点とした発想に切り替えました。オウンドメディアの棚卸しを行い、最も効率的に評価を得やすい運用体制を策定。サービスサイトの地道な改善やコンテンツSEO施策を愚直に強化しつづけた結果、リード数は大幅に向上し、商談数も増加しました。
この取り組みで重要だったのは、数値面の成果だけでなく、組織の意識が変わったことです。「何をやるか」が発想の起点だった状態から、「顧客を起点とした発想」に切り替えられたことで、明確な方針に基づいた施策の推進が可能になりました。
デジタルマーケティング戦略にSEOを組み込む際も、まずは「誰に届けたいのか」を明確にすることから始めることをおすすめします。
中長期視点での成果設計
SEOは即効性のある施策ではありません。成果が出るまでに半年から1年程度かかることを前提に、中長期視点で計画を立てる必要があります。短期で成果を求めると、焦りから間違った判断をしてしまうことがあります。
中長期視点で重要なのは、「戦場を絞る」ことです。すべてのキーワードで上位表示を狙うのではなく、自社の強みを活かせる領域、成果につながりやすい領域に集中投下します。リソースを分散させると、どのキーワードでも中途半端な結果に終わります。
フェーズを分けて考えることも有効です。最初は「新規制作フェーズ」としてコンテンツを増やすことに注力し、ある程度のコンテンツが蓄積されたら「メンテナンスフェーズ」に移行して改善に注力するというように、フェーズごとにやるべきことを明確にします。
追いかける指標もシンプルにします。記事公開数、検索順位、セッション数、コンバージョン数など、基本的な指標に絞ることで、チーム全体の判断軸がぶれません。多くの指標を追いすぎると、どこに課題があるのかがわからなくなります。
チーム体制と運用フローの整備
SEOを継続的に実行するには、体制と運用フローの整備が欠かせません。担当者一人に任せきりにすると、その人が異動したり退職したりした際に施策が止まってしまいます。
コンテンツ制作の体制には、いくつかのパターンがあります。社内で完結させる場合は、マーケティング担当者がコンテンツを制作するか、他部門の社員が専門知識を活かして執筆します。外部を活用する場合は、ライターやコンテンツ制作会社に依頼します。両方を組み合わせるハイブリッド型もあります。
どの体制を選ぶにせよ、品質を担保する仕組みが必要です。コンテンツの企画、制作、レビュー、公開、効果測定という一連のフローを整備し、誰が何を担当するかを明確にします。チェックリストやガイドラインを用意することで、属人化を防ぎ、一定の品質を維持できます。
高い目標を達成するためには、役割分担を明確にすることも重要です。記事の企画設計や執筆を行う制作チームと、専門的な視点から監修を行う品質チェックチームを分けることで、それぞれが自身の役割に徹することができます。最初は1本の公開に時間がかかっても、学習と効率化を繰り返すことで、徐々に制作本数を増やしていくことが可能です。
難易度の高い領域でのSEOは中長期戦になるため、チームのモチベーション維持も重要です。「検索結果の1ページ目に表示された」「インデックスされた」など、小さな成功を共有し、チーム全体で進捗を実感できるようにします。成果が出るまでの期間を乗り越えるには、こうした工夫が必要です。
まとめ
デジタルマーケティングにおいて、SEOは継続的な集客基盤を構築するための重要な施策です。広告のように費用を払い続けなくても、上位表示を獲得すれば長期にわたって集客に貢献します。
SEOで成果を出すためのポイントを整理します。
- デジタルマーケティング戦略全体の中でSEOを位置づけ、他の施策との連携を設計する
- 成果から逆算してキーワードを選定し、限られたリソースを集中投下する
- ユーザーの検索意図を正確に把握し、その意図に応える質の高いコンテンツを作る
- CV導線を最適化し、ユーザーのニーズやモチベーションに合わせた訴求を行う
- 継続的な効果測定と改善を行い、PDCAサイクルを回す
- 中長期視点で計画を立て、フェーズごとにやるべきことを明確にする
- 「何をやるか」ではなく「誰に、何を届けるか」という顧客起点の発想を持つ
SEOに裏技は存在しません。ユーザーにとって価値のあるコンテンツを出し続け、中長期的な戦いを走り切れるかが勝負の分かれ目になります。地道な取り組みの積み重ねが、やがて安定した集客基盤となり、事業成果につながっていきます。
自社のデジタルマーケティング戦略において、SEOをどう活用するか。まずは目標を明確にし、対象とするキーワード領域を絞り込むところから始めてみてください。
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