
CVR改善の方法とは|具体的な施策と優先順位の決め方を解説
デジタルマーケティングの進化により、Webサイトやランディングページのパフォーマンス分析が容易になりました。Google Analyticsをはじめとする分析ツールを活用すれば、ユーザーの行動データを詳細に把握し、改善すべきポイントを特定できる環境が整っています。
一方で、以下のような声も増えています。
- CVR(コンバージョン率)の改善に取り組んでいるが、なかなか成果が出ない
- どの施策から手をつければよいか、優先順位がわからない
- 改善施策を実行しても、一時的な効果で終わってしまう
そこで本記事では、CVR改善の基礎知識から具体的な施策、成功させるためのポイントまでを体系的に解説します。単なる施策の羅列ではなく、データに基づいた課題特定の方法や、マーケティング全体の成果につなげるための考え方も含めてお伝えします。
目次
CVR(コンバージョン率)の基礎知識
CVR改善に取り組む前に、まずはCVRの定義や計算方法、業界別の平均値など、基礎的な知識を押さえておきましょう。自社のCVRが適正かどうかを判断するためにも、これらの基本情報は欠かせません。
CVRの定義と計算方法
CVR(Conversion Rate:コンバージョン率)とは、Webサイトに訪問したユーザーのうち、何パーセントがコンバージョン(目標とするアクション)に至ったかを示す指標です。コンバージョンの定義は事業やサイトの目的によって異なりますが、代表的なものには以下があります。
- 商品の購入(ECサイト)
- 資料請求・問い合わせ(BtoBサイト)
- 会員登録・メルマガ登録
- 無料トライアルの申し込み
- セミナー・イベントへの申し込み
CVRの計算式は以下のとおりです。
CVR(%)= コンバージョン数 ÷ セッション数 × 100
例えば、月間1万セッションのサイトで200件のコンバージョンがあった場合、CVRは2%となります。
ここで注意したいのは、分母の定義です。一般的にはセッション数を使用しますが、広告媒体によってはクリック数やユーザー数を分母とする場合もあります。異なる施策や媒体のCVRを比較する際は、計算方法が統一されているか確認することが重要です。
また、CVRは「どの段階からどの段階への転換率か」を明確にする必要があります。例えば、「サイト訪問から問い合わせ」と「商品ページ閲覧からカート追加」では、同じCVRという言葉を使っていても意味する内容が異なります。社内で議論する際は、CVRの定義を統一しておくことをお勧めします。
業界別のCVR平均値と目安
CVRの「良い・悪い」は、業界やビジネスモデルによって大きく異なります。自社のCVRを評価する際は、業界平均と比較することが重要です。
以下は業界別のCVR目安です。
| 業界・ビジネスモデル | CVR目安 |
|---|---|
| コンサルティング・金融 | 5〜10% |
| 教育・医療 | 5〜8% |
| SaaS・ソフトウェア | 3〜7% |
| BtoBサービス | 2〜5% |
| ECサイト(小売) | 2〜3% |
| 旅行・ホスピタリティ | 1〜3% |
これらの数値はあくまで目安であり、商品単価、ターゲット層、競合環境などによって適正値は変わります。高単価商品を扱うBtoBサイトでは、CVRが低くても1件あたりの売上が大きいため、事業への貢献度は高くなります。
重要なのは、業界平均と比較して自社がどの位置にあるかを把握し、改善の余地があるかどうかを判断することです。CVRが業界平均を大きく下回っている場合は、何らかの課題がある可能性が高いと言えます。
CVRとCTR・CPAの違い
デジタルマーケティングでは、CVR以外にもさまざまな指標が使われます。混同しやすい指標との違いを整理しておきましょう。
CTR(Click Through Rate:クリック率)
CTRは、広告や検索結果が表示された回数のうち、何パーセントがクリックされたかを示す指標です。計算式は「クリック数÷インプレッション数×100」です。CTRは「流入を獲得する段階」の指標であり、CVRは「流入を成果に変換する段階」の指標という違いがあります。
CPA(Cost Per Acquisition:顧客獲得単価)
CPAは、1件のコンバージョンを獲得するためにかかった広告費用を示す指標です。計算式は「広告費÷コンバージョン数」です。CVRが上がればCPAは下がる傾向にありますが、流入数やクリック単価の影響も受けるため、一概には言えません。
これらの指標は相互に影響し合うため、CVRだけを見るのではなく、CTR、CPA、そして最終的な売上・利益まで含めた全体像を把握することが重要です。CVRを改善した結果、CPAが下がり、同じ広告予算でより多くの成果を獲得できるようになることが理想的な状態と言えます。
CVRが低い原因を特定する
CVR改善で最初に取り組むべきは、「なぜCVRが低いのか」という原因の特定です。原因を明確にしないまま施策を実行しても、的外れな対応になりかねません。ここでは、CVRが低い主要な原因を4つのカテゴリに分けて解説します。
フォーム・導線に起因する離脱
CVRが低い原因として最も多いのが、フォームや導線の問題です。ユーザーがコンバージョンしようと思っても、フォームの使い勝手が悪かったり、コンバージョンまでの導線が複雑だったりすると、途中で離脱してしまいます。
フォームに起因する離脱の主な要因は以下のとおりです。
- 入力項目が多すぎる
- 必須項目と任意項目がわかりにくい
- エラーメッセージがわかりにくい
- 入力補助(住所自動入力など)がない
- スマートフォンで入力しにくい
- 送信ボタンが見つけにくい
弊社の支援経験では、フォームの入力項目を見直しただけで、CVRが向上したケースが数多くあります。特に「なぜこの情報が必要なのかわからない項目」が多いフォームは、ユーザーに不信感を与え、離脱を招きます。
導線の問題も見逃せません。コンバージョンボタンが見つけにくい、コンバージョンまでのステップが多い、途中で迷子になりやすいといった課題がある場合、改善の余地があります。
これらの問題を発見するには、実際に自分でフォームに入力してみることが効果的です。また、ヒートマップツールを使えば、ユーザーがどこでクリックし、どこで離脱しているかを可視化できます。
広告とランディングページの不一致
CVRが低い原因として見落とされがちなのが、広告とランディングページ(LP)の不一致です。広告で訴求している内容と、LPで提供している情報にギャップがあると、ユーザーは期待を裏切られたと感じて離脱します。
不一致が起きやすいポイントは以下のとおりです。
- 広告で強調した特典やオファーがLPに記載されていない
- 広告のトーン・デザインとLPの印象が大きく異なる
- 広告で訴求したキーワードがLPに含まれていない
- 広告で示した価格・条件がLPでは異なっている
例えば、「無料相談受付中」という広告でクリックさせたのに、LPでは有料サービスの案内がメインになっている場合、ユーザーは戸惑いを感じます。広告とLPは一貫したメッセージを伝える必要があります。
この問題を防ぐには、広告を作成する際にLPの内容を確認し、訴求ポイントが一致しているかをチェックすることが重要です。また、LPを更新した際に、既存の広告との整合性を確認する運用ルールを設けることも効果的です。
流入ユーザーの質とターゲティング
CVRが低い原因は、必ずしもサイト側にあるとは限りません。そもそも流入しているユーザーがターゲット層と異なっている場合、いくらサイトを改善してもCVRは上がりません。
流入ユーザーの質に問題がある場合の兆候は以下のとおりです。
- 直帰率が極端に高い
- ページ滞在時間が短い
- コンバージョンに至るユーザーの属性が想定と異なる
- 問い合わせ後の商談化率・成約率が低い
例えば、広告のターゲティング設定が広すぎたり、SEOで集客しているキーワードがサービスと関連性が低かったりすると、見込み度の低いユーザーが多く流入してしまいます。
この問題を解決するには、流入経路ごとのCVRを分析し、CVRが高い経路と低い経路を比較することが有効です。CVRが低い経路は、ターゲティングの見直しや、流入後のコンテンツの調整を検討します。
弊社の支援では、「リード数を追うのではなく、リードの質を追う」という視点を重視しています。CVR改善においても、単にCVRの数値を上げることだけでなく、質の高いコンバージョンを獲得することを意識することが重要です。
外部環境・競合の影響
CVRが低下した場合、自社の問題だけでなく、外部環境や競合の影響も考慮する必要があります。市場環境の変化や競合の動きにより、相対的に自社の魅力が低下している可能性があります。
外部要因の例は以下のとおりです。
- 競合が価格を下げた、または特典を強化した
- 新規競合が参入した
- 市場全体の需要が減少した
- 季節要因やトレンドの変化
例えば、競合が同等のサービスを低価格で提供し始めた場合、自社のCVRが低下することがあります。この場合、サイトを改善しても根本的な解決にはなりません。
外部要因を把握するには、定期的な競合調査が欠かせません。競合サイトの価格、訴求ポイント、キャンペーン内容などをモニタリングし、自社の競争力を維持できているか確認します。
また、CVRの変動を分析する際は、自社の施策変更だけでなく、外部環境の変化も考慮することが重要です。内部要因と外部要因を切り分けて考えることで、適切な対応策を選択できます。
CVR改善の主要施策
CVRが低い原因を特定したら、具体的な改善施策を実行します。ここでは、CVR改善において効果が高いとされる主要な施策を解説します。すべてを一度に実施するのではなく、自社の課題に合った施策から優先的に取り組むことが重要です。
EFO(エントリーフォーム最適化)
EFO(Entry Form Optimization)は、入力フォームを最適化することでコンバージョン率を向上させる施策です。コンバージョンに最も近い地点であるため、改善効果が出やすいのが特徴です。
EFOの具体的な施策は以下のとおりです。
入力項目の削減
必要最小限の項目に絞ることで、入力の負担を減らします。「あったら便利」程度の項目は思い切って削除することを検討します。項目数が多いほど離脱率は高くなる傾向にあります。
入力補助機能の実装
郵便番号からの住所自動入力、入力例の表示、リアルタイムバリデーション(入力中のエラー表示)などを実装することで、入力の手間を軽減します。
エラーメッセージの改善
エラーが発生した際に、何が問題なのか、どう修正すればよいのかを具体的に伝えます。「入力内容に誤りがあります」ではなく、「メールアドレスの形式が正しくありません(例:example@domain.com)」のように具体的に示します。
フォームの分割
入力項目が多い場合は、複数のステップに分割することで、心理的なハードルを下げます。ステップごとの進捗を表示することで、完了までの見通しを与えます。
スマートフォン対応
スマートフォンでの入力を考慮し、タップしやすいボタンサイズ、適切な入力キーボードの表示(電話番号なら数字キーボード)などを設定します。
EFOは比較的短期間で効果が出やすい施策です。まずは現状のフォームを分析し、離脱が多いポイントを特定してから改善に取り組むことをお勧めします。
弊社が支援したある企業では、検索上位を獲得した記事について、CTAクリック数は増えたものの、問い合わせフォームでの離脱が課題となっていました。そこでフォーム項目の簡略化やUI見直しなどのEFO施策を実施した結果、フォーム完了率が改善し、立ち上げ1年で月100件を超えるお問い合わせを獲得するに至りました。この事例からわかるのは、EFOは「フォームだけ」を見るのではなく、CTAから問い合わせ完了までの一連の流れとして捉え、ボトルネックを特定することが重要だということです。
LPO(ランディングページ最適化)
LPO(Landing Page Optimization)は、ユーザーが最初に訪れるページを最適化することで、CVRを向上させる施策です。第一印象でユーザーの興味を引き、コンバージョンまで導く設計が求められます。
LPOの具体的な施策は以下のとおりです。
ファーストビューの最適化
ページを開いて最初に目に入る領域(ファーストビュー)で、ユーザーの関心を引きつけます。「何のサービスか」「どんなメリットがあるか」「次に何をすればよいか」を明確に伝えます。
メッセージの明確化
誰に向けたサービスなのか、どのような課題を解決するのかを端的に伝えます。あれもこれも伝えようとすると、かえってメッセージがぼやけてしまいます。
信頼性要素の追加
実績数値、導入企業のロゴ、お客様の声、メディア掲載実績などを掲載することで、信頼性を高めます。特にBtoBでは、意思決定の際に「他社も使っている」という安心感が重要です。
不安要素の解消
「よくある質問」や「利用の流れ」を掲載することで、ユーザーが抱える疑問や不安を解消します。価格が明示されていない、問い合わせ後の流れがわからないといった不安は、離脱の原因になります。
読み込み速度の改善
ページの読み込みが遅いと、ユーザーは待ちきれずに離脱してしまいます。画像の圧縮、不要なスクリプトの削除などで表示速度を改善します。
LPOは一度実施して終わりではなく、継続的に改善を続けることが重要です。ユーザーの反応を見ながら、仮説検証を繰り返すことでCVRを向上させます。
ある大手デジタルサービス企業では、ポータルサイトが最低限のマーケティング機能しか備えておらず、指名キーワードですら検索上位を獲得できていませんでした。そこで、コーポレート機能とは切り分け、リード獲得に特化したマーケティングサイトとしてリニューアルを実施。SEOの課題を洗い出し、構造・導線・コンテンツ配置を再設計した結果、開始から1年でリード獲得数は約4倍に成長しました。この事例のポイントは、LPOを「ページ単体の改善」ではなく、「サイト全体の導線設計」として捉え、CVに直結する設計を徹底したことにあります。
CTA(コールトゥアクション)の改善
CTA(Call To Action)は、ユーザーに行動を促すボタンやリンクのことです。「お問い合わせはこちら」「今すぐ申し込む」といった要素がCTAに該当します。CTAの設計次第でCVRは大きく変わります。
CTAの改善ポイントは以下のとおりです。
配置場所の最適化
CTAはユーザーの目に留まりやすい場所に配置します。ファーストビュー、コンテンツの区切り、ページ末尾など、複数の箇所に適切に配置することで、コンバージョンの機会を増やします。ただし、過度に多いとユーザー体験を損なうため、バランスが重要です。
デザインの改善
CTAボタンは、ページ内で目立つ色・サイズにします。周囲のコンテンツに埋もれてしまうと、クリックされません。余白を設けて視認性を高めることも効果的です。
文言の工夫
「送信」「申し込み」といった一般的な文言よりも、ユーザーが得られるベネフィットを示す文言のほうがクリック率が高まる傾向にあります。例えば、「無料で資料を入手する」「今すぐ見積もりを依頼」のように、具体的なアクションとメリットを示します。
ユーザーの温度感に合わせる
情報収集段階のユーザーには「資料ダウンロード」、比較検討段階のユーザーには「無料相談」といったように、ユーザーの検討段階に合わせたCTAを用意します。いきなり「購入」を促すのではなく、段階的にコンバージョンへ導くことが重要です。
マイクロコンバージョンの設定
最終的なコンバージョン(購入、問い合わせ)に至るまでの中間地点として、マイクロコンバージョン(資料ダウンロード、メルマガ登録など)を設定します。ハードルの低いCTAを用意することで、見込み顧客との接点を増やし、最終的なコンバージョンにつなげます。
CTAの改善はA/Bテストと組み合わせることで、効果を検証しながら最適化できます。
弊社の支援経験では、ユーザーの状況・動機・ニーズに応じてCTA配置や訴求内容をチューニングすることの重要性を実感しています。例えば、情報収集段階のユーザーが多いページでは「お役立ち資料ダウンロード」、比較検討段階のユーザーが多いページでは「無料相談」といったように、ユーザーの温度感に合わせたCTAを設置することで、コンバージョン率が向上するケースが多く見られます。重要なのは、「すべてのページに同じCTA」ではなく、「ユーザーの検索意図に応じた適切なCTA」を設計することです。
ユーザー行動分析とヒートマップ活用
CVR改善において、データに基づいた課題特定は欠かせません。ユーザーがサイト上でどのように行動しているかを分析することで、改善すべきポイントが明確になります。
ユーザー行動分析の主な手法は以下のとおりです。
ヒートマップ分析
ヒートマップは、ユーザーのページ内での行動を色の濃淡で可視化するツールです。クリックされている場所、スクロールの深度、熟読されているエリアなどを把握できます。
ヒートマップ分析で発見できる課題の例:
- CTAボタンがクリックされていない
- 重要なコンテンツまでスクロールされていない
- クリックできない要素がクリックされている(ユーザーの期待とのズレ)
- 読まれていないコンテンツが存在する
ファネル分析
ユーザーがコンバージョンに至るまでの各ステップでの離脱率を分析する手法です。「サイト訪問→商品一覧→商品詳細→カート追加→決済→購入完了」といったフローの中で、どのステップで離脱が多いかを特定します。
離脱率が高いステップを改善することで、効率的にCVRを向上させることができます。GA4の「探索」機能でファネルレポートを作成できます。
セッションリプレイ
実際のユーザーの操作を録画・再生できるツールです。数値では見えないユーザーの迷いや困惑を発見できます。例えば、フォーム入力中に何度も修正を繰り返している、特定の箇所で操作が止まっているといった行動から、改善のヒントを得られます。
これらの分析ツールを活用することで、「なぜCVRが低いのか」を推測ではなくデータで把握し、効果的な改善施策を立案できます。
事例に学ぶCVR改善の実践ポイント
ここでは、弊社の支援事例から得られた、CVR改善における実践的なポイントをご紹介します。
「PV重視」から「CV重視」への方針転換で成果が変わる
ある企業では、オウンドメディアのPVは増加していたものの、リード獲得には繋がっていませんでした。データ分析を進める過程で、「PV重視のキーワード選定」と「CV導線を無視した作りっぱなしのコンテンツ」という2つの課題が明らかになりました。
そこで、ターゲット商材を定め、キーワードを定め、そのためのコンテンツ運用という順序に方針を大きくシフト。成果から逆算した設計・運用に転換した結果、リード獲得は1年で10倍に拡大しました。
この事例から得られる教訓は以下のとおりです。
- PVとCVは別物: PVが増えてもCVに繋がらなければ事業成果には結びつかない
- 成果から逆算する: 「どのようなユーザーに、どのような行動を取ってもらいたいか」を明確にし、そこから逆算してコンテンツを設計する
- 作りっぱなしにしない: コンテンツは公開して終わりではなく、CVデータを見ながら継続的に改善する
「線」で捉えるコミュニケーション設計
CVR改善で陥りがちなのが、「フォームだけ」「LPだけ」といった「点」の改善に終始してしまうことです。しかし、ユーザーは記事を読み、興味を持ち、CTAをクリックし、フォームに入力し、送信するという「線」の体験をしています。
ある企業では、立ち上げ当初のオウンドメディアに「お問い合わせ」のCTAしか設置されておらず、ほとんどCVが発生していませんでした。検索エンジンから訪問するユーザーのニーズやモチベーションに、訴求内容がマッチしていなかったためです。
そこで、記事それぞれに対し、CVポイントとなるコンテンツと、そのコンテンツに誘導するためのCTAパターンを精査。「お問い合わせ」に限らず、「お役立ち資料」や「調査レポート」のダウンロードなども用意し、記事訪問からフォーム完了まで、一連のコミュニケーションとしてつながるよう導線設計を行いました。
この「線」で捉えたアプローチにより、単一の施策では得られなかった成果向上を実現しています。
CVR改善は「攻め」と「守り」の両輪で
CVR改善には、大きく分けて「攻め」の施策と「守り」の施策があります。
攻めの施策: ユーザーの行動を積極的に促すもの
- CTAの追加・改善
- 訴求力の高いコンテンツの作成
- 信頼性要素の強化
守りの施策: 離脱を防ぐもの
- フォームの入力項目削減
- エラーメッセージの改善
- ページ読み込み速度の改善
ある企業では、広告経由のCV獲得効率が頭打ちになっていました。そこで、まず「無駄を捨てる」ことから始め、広告成果の安定化を図り、そこから次のステップへとつなげる戦略設計を実施。媒体特性を深く理解し、ユーザーニーズに合わせた配信を行った結果、3ヶ月でCV数を大幅に改善することができました。
攻めと守りをバランスよく組み合わせることで、持続的なCVR改善が実現できます。
CVR改善を成功させるためのポイント
CVR改善は、施策を実行すれば終わりではありません。データに基づいた課題特定、適切な優先順位付け、継続的な検証と改善が成功の鍵となります。ここでは、CVR改善を成功させるための重要なポイントを解説します。
データに基づいた課題特定
CVR改善で最も重要なのは、「何が問題なのか」を正確に把握することです。推測や思い込みで施策を実行しても、的外れな対応になりかねません。
データに基づいた課題特定の手順は以下のとおりです。
現状の数値を把握する
まずは現在のCVR、流入数、コンバージョン数などの基本指標を確認します。GA4やその他の分析ツールでダッシュボードを作成し、定期的にモニタリングできる体制を整えます。
セグメント別に分析する
全体のCVRだけでなく、流入経路別、デバイス別、ページ別などセグメントを切って分析します。「スマートフォンからの流入のCVRが極端に低い」「特定の広告経由のCVRだけ低い」といった発見が、改善の方向性を示してくれます。
離脱ポイントを特定する
ファネル分析やヒートマップを活用し、ユーザーがどこで離脱しているかを特定します。離脱率が高いポイントを改善することで、効率的にCVRを向上させることができます。
定量データと定性データを組み合わせる
数値データだけでなく、ユーザーインタビューやアンケートなどの定性データも活用します。「なぜ離脱したのか」「何が不安だったのか」といったユーザーの声は、改善のヒントになります。
弊社では、「データ分析の成功は前工程で決まる」という考え方を重視しています。分析の設計、データ収集、データ整備が適切に行われていなければ、正確な課題特定はできません。CVR改善に取り組む前に、まずはデータ基盤が整っているかを確認することをお勧めします。
実際、弊社が支援したある企業では、オウンドメディアのPVは増加していたものの、リード獲得には繋がっていませんでした。データ分析を進める過程で、「PV重視のキーワード選定」と「CV導線を無視した作りっぱなしのコンテンツ」という2つの課題が明らかになりました。この発見により、ターゲット商材を定め、キーワードを定め、そのためのコンテンツ運用という順序に大きくシフト。成果から逆算した設計・運用に転換した結果、リード獲得は1年で10倍に拡大しました。このように、データに基づいた課題特定は、CVR改善の方向性を正しく導く羅針盤となります。
優先順位の決め方と施策選び
課題を特定したら、どの施策から取り組むかを決定します。すべての課題に同時に対応することは難しいため、優先順位をつけることが重要です。
優先順位を決める際の判断基準は以下のとおりです。
インパクト(改善効果の大きさ)
その施策を実施することで、どれだけCVRが改善する見込みがあるかを評価します。流入が多いページや、コンバージョンに近い地点(フォームなど)の改善は、インパクトが大きくなりやすい傾向にあります。
実行難易度(リソース・コスト)
施策の実行にどれだけのリソース(時間、費用、人員)が必要かを評価します。簡単に実行でき、かつ効果が見込める施策から着手するのが効率的です。
確度(成功の見込み)
施策が成功する見込みがどれだけあるかを評価します。過去の実績や業界の事例から、効果が実証されている施策は確度が高いと言えます。
これらの基準を掛け合わせて、「インパクトが大きく、実行難易度が低く、確度が高い施策」から優先的に実行します。弊社では、「80%の確度で素早く行動する」ことを意識しています。完璧な分析を求めて行動が遅れるよりも、ある程度の確度で素早く実行し、結果を見ながら改善していくほうが成果につながります。
また、施策を選ぶ際は「点」ではなく「線」で考えることも重要です。EFOだけ、LPOだけといった単体の施策ではなく、ユーザーの行動全体を見渡し、どこを改善すれば全体の成果が上がるかを考えます。
弊社が支援したあるプロジェクトでは、記事訪問からフォーム完了まで、一連のコミュニケーションとしてつながるよう導線設計を行いました。「お問い合わせ」だけでなく「お役立ち資料」や「調査レポート」のダウンロードなど、ユーザーの検討段階に応じた複数のCVポイントを用意し、CTAのクリックやCVの発生状況を見ながら地道なチューニングを繰り返しました。この「線」で捉えたアプローチにより、単一の施策では得られなかった成果向上を実現しています。
A/Bテストによる検証と改善
CVR改善の施策を実行したら、その効果を検証することが重要です。A/Bテストは、複数のバリエーションを比較し、どちらがより高いCVRを達成するかを検証する手法です。
A/Bテストの進め方は以下のとおりです。
仮説を立てる
「CTAボタンの色を変えればクリック率が上がる」「フォームの項目を減らせば完了率が上がる」といった仮説を立てます。仮説がない状態でテストを行っても、学びが得られません。
テストを設計する
どの要素をテストするか、どのくらいの期間テストするか、成功の判断基準は何かを事前に決めます。テスト期間は、統計的に有意な差が出るだけのサンプル数が集まる期間を確保します。
テストを実行する
オリジナル(A)と改善案(B)を同時に配信し、結果を比較します。A/Bテストツールを活用することで、トラフィックの振り分けや結果の計測を自動化できます。
結果を分析し、次のアクションを決める
テスト結果を分析し、勝者を決定します。結果が出たら、その学びを次の改善に活かします。「なぜこの結果になったのか」を考察し、さらなる仮説を立てて次のテストにつなげます。
A/Bテストで重要なのは、一度に複数の要素を変えないことです。複数の要素を同時に変えると、どの要素が効果に寄与したのかがわからなくなります。一度に変える要素は一つに絞り、一つずつ検証を進めます。
また、テストの結果が出ても、そこで満足せずに継続的に改善を続けることが重要です。CVR改善に終わりはなく、市場環境やユーザーのニーズは常に変化しています。PDCAサイクルを回し続けることで、継続的な成果向上を実現できます。
CVR改善と全体最適
CVR改善は、単独の施策として取り組むだけでなく、マーケティング全体の成果向上という文脈で捉えることが重要です。ここでは、CVR改善をマーケティング全体のKPIとどのように連動させるか、また営業部門との連携をどう強化するかについて解説します。
マーケティング全体のKPIとの連動
CVR改善に取り組む際は、最終的なビジネス目標(KGI)との連動を意識することが重要です。CVRが上がっても、売上や利益につながらなければ意味がありません。
KPIツリーを設計し、CVRがどのように最終目標に貢献するかを可視化します。例えば、以下のようなKPIツリーが考えられます。
KGI:年間売上10億円
├─ 新規顧客売上:7億円
│ ├─ リード数:10,000件
│ │ ├─ サイト訪問数:500,000セッション
│ │ └─ CVR:2%
│ ├─ 商談化率:30%
│ └─ 成約率:20%
└─ 既存顧客売上:3億円
└─ ...
このようにKPIツリーを整理することで、CVRを改善することがどれだけ最終目標に寄与するかが明確になります。また、CVRだけでなく、流入数や商談化率など他の指標も合わせて改善することで、より大きな成果を生み出せることがわかります。
弊社の支援では、「KPIツリーが破綻していると、データを活用しても思ったような効果は得られない」という点を重視しています。CVR改善に取り組む前に、まずは自社のKPIツリーが正しく設計されているかを確認することをお勧めします。
また、CVRの変動を評価する際は、施策の貢献度ではなく成長率で評価することも重要です。例えば、SEOとWeb広告では効果が出るタイミングが異なります。ある時点での貢献度で比較すると、即効性のある広告が優位に見えてしまいますが、SEOの長期的な価値を見落とす可能性があります。各施策の成長率を個別に評価することで、公正な評価が可能になります。
営業部門との連携強化
BtoB企業においては、CVR改善は営業部門との連携強化につながります。マーケティング部門が獲得したリードが、営業部門で商談化・成約に至るかどうかは、リードの質に大きく依存します。
CVR改善を営業連携の視点で捉えると、以下のような取り組みが考えられます。
リード品質の定義を営業と共有する
「どのようなリードが商談化しやすいか」を営業部門と一緒に定義します。例えば、「従業員数100名以上の企業」「特定の業界」「具体的な課題を持っている」といった条件を明確にします。
CVRだけでなく商談化率も指標に含める
マーケティング部門がCVR(リード獲得率)だけを追っていると、リード数は増えても営業が求めるリードとのギャップが生じることがあります。CVRに加えて商談化率も指標に含めることで、リードの質を意識した改善が可能になります。
自部門ではコントロールできない指標をあえて持つ
マーケティング部門が「商談化率」を指標として持つことで、営業部門との連携が生まれます。「インサイドセールスが求めているリードはどのようなものか」をコミュニケーションする機会が増え、リード数だけでなく「商談化できるリードを創出するには、どのようなマーケティング活動が必要か」を主体的に考えるようになります。
弊社の支援経験では、マーケティング部門と営業部門が連携してカスタマージャーニーを再設計したプロジェクトで、インバウンドからのリードが高い確率で案件化するようになったケースがあります。組織全体で目指すべき方向性を統一することで、単なるCVR改善を超えた事業成長が実現できます。
CVR改善は、マーケティング担当者だけの課題ではありません。営業部門、カスタマーサクセス部門、経営層など、組織全体を巻き込んで取り組むことで、より大きな成果につながります。
まとめ
本記事では、CVR改善の基礎知識から具体的な施策、成功させるためのポイント、そしてマーケティング全体との連動までを解説しました。
CVR改善で重要なのは、以下の3点です。
- データに基づいた課題特定: 推測ではなく、ユーザー行動データを分析して「なぜCVRが低いのか」を明確にする
- 優先順位をつけた施策実行: インパクト、実行難易度、確度を考慮して、効果が出やすい施策から着手する
- 継続的な検証と改善: A/BテストでPDCAサイクルを回し、継続的にCVRを向上させる
また、CVR改善を単独の施策として捉えるのではなく、マーケティング全体のKPIとの連動、営業部門との連携という視点で取り組むことで、より大きな事業成果につなげることができます。
CVR改善に終わりはありません。市場環境やユーザーのニーズは常に変化しており、継続的な改善が求められます。本記事で紹介した考え方や施策を参考に、自社のCVR改善に取り組んでいただければ幸いです。
弊社KAAANでは、AIを実装したプロジェクト推進を通じて、データ基盤の構築からCVR改善施策の立案・実行までを支援しています。CVR改善にお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。
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