コンテンツマーケティング戦略の立て方|7つのステップで解説

コンテンツマーケティング戦略の立て方|7つのステップで解説

デジタルマーケティングの重要性が高まる中、コンテンツマーケティングに取り組む企業が増えています。見込み客に価値ある情報を提供し、信頼関係を構築しながらビジネス成果につなげるこの手法は、多くの企業にとって欠かせないマーケティング活動となりました。

一方で、以下のような声も増えています。

  • コンテンツを制作しているが、思うような成果が出ない
  • 戦略の立て方がわからず、場当たり的な施策になっている
  • 社内でKPIの設計や効果測定の方法が定まっていない

そこで本記事では、コンテンツマーケティングで成果を出すための戦略設計について、具体的な7つのステップと目的別アプローチ、組織体制構築のポイントを解説します。

コンテンツマーケティング戦略とは何か

コンテンツマーケティングを成功させるためには、明確な戦略が不可欠です。ここでは、コンテンツマーケティングの定義から、戦略がないまま進めることのリスク、そして戦略設計によって得られる効果について解説します。

コンテンツマーケティングの定義と目的

コンテンツマーケティングとは、ユーザーが興味を持ち、欲しいと感じる情報を提供することで、企業が得たい成果を獲得するコミュニケーション施策のことです。商品やサービスを一方的に売り込むのではなく、見込み客にとって価値のあるコンテンツを通じてコミュニケーションを継続し、問い合わせや購入といった成果につなげることを目的としています。

コンテンツマーケティングの代表的な目的は以下の4つです。

リード獲得

特にBtoB企業に多い目的です。サービスや商品の問い合わせ、資料請求といった見込み客情報を獲得することを目指します。自社で法人向けサービスを提供している場合、導入を検討しているユーザーが検索するであろうキーワードでコンテンツを制作し、上位表示することで効率的にターゲットを集客できます。

認知拡大

サービスや商品自体を知らない非認知層に向けた施策です。サービスを実際に利用するであろうユーザーが興味・関心を示しそうなコンテンツや、抱えている課題の解決につながるコンテンツを継続して発信することで、会社名やサービス名を知ってもらうきっかけを作ります。

ブランディング

自社サービスの強みや特徴をユーザーに認知してもらい、ユーザーが持っている評価軸とブランドを結びつけることを目指します。コンテンツマーケティングでは、内容や発信方法を自社でコントロールできるため、ユーザーにどのような印象を持ってもらいたいかを意識した一貫したコンテンツ発信が可能です。

態度変容の促進

ユーザーの心理状態を「認知→関心→比較検討→購買→情報共有」というステージで捉え、各段階のニーズを理解したコンテンツを制作することで態度変容を促します。購買に近い段階のユーザーにアプローチできれば、コンバージョンの可能性は高まります。

重要なのは、これらの目的を明確にした上で戦略を設計することです。目的が曖昧なままコンテンツを制作しても、期待する成果にはつながりにくいと言えます。

戦略なしで失敗するパターン

コンテンツマーケティングで成果が出ない企業には、共通する失敗パターンがあります。

施策ありきで進めてしまう

「SEOが流行っているから記事を書こう」「競合がSNSをやっているから自社も始めよう」といった施策ありきの考え方では、成果につながりにくい傾向があります。ターゲットを無視した企業目線での施策になり、結果として効果の出ない施策を実行し続けることになります。

PV数だけを追いかけてしまう

アクセス数は伸びているのに、問い合わせや売上につながらないケースは少なくありません。リード獲得を目的として運用を始めたにもかかわらず、SNSでの拡散を狙ったコンテンツばかりを公開していては、本来の目的である成果には結びつきません。

コンテンツを量産するだけになる

「コンテンツは資産になるので、とにかく数を増やしたい」という認識は誤りです。間違った認識のままコンテンツを増やしていくと、むしろビジネスの足を引っ張る「負債」と化す恐れがあります。低品質コンテンツが多いとSEOに悪影響を及ぼし、メンテナンスコストも隠れた負債となります。

短期間で成果を求めてしまう

コンテンツマーケティングは成果が出るまでに時間がかかる中長期的な手法です。検索エンジンをタッチポイントとする場合、成果が出るまでに半年から1年以上かかることも珍しくありません。短期的な成果を求めて途中で撤退してしまうと、それまでの投資が無駄になってしまいます。

これらの失敗を避けるためには、運用前に現状把握を行い、それに合わせた戦略を立ててから取り組むことが重要です。

戦略設計で得られる3つの効果

コンテンツマーケティングにおいて戦略を設計することで、以下の効果が期待できます。

効果1: コンテンツの方向性と品質を統一できる

複数人で運営体制を組むコンテンツマーケティングでは、事前に戦略を立案することでコンテンツの方向性や品質を統一できます。ペルソナを明確にすることで、チーム全体で共通のユーザーイメージを持ちながらコンテンツを制作できるようになります。

効果2: 施策の優先順位が明確になる

リソースには限りがあるため、すべての施策を同時に実行することは困難です。戦略設計によって目的と優先順位が明確になれば、「やること」「やらないこと」を判断でき、限られたリソースを効果的に配分できます。

効果3: 効果測定と改善が可能になる

KGIとKPIを設定し、成果指標を明確にすることで、施策がうまくいっているかどうかを判断できるようになります。どこに問題があるのかを特定し、継続的な改善につなげることが可能です。

戦略設計は、コンテンツマーケティングを「やりっぱなし」にせず、成果創出に向けたPDCAを回すための土台となります。

戦略策定の7つのステップ

ここでは、コンテンツマーケティング戦略を策定するための具体的な手順を7つのステップで解説します。

自社課題と目的の整理

コンテンツ制作に取り掛かる前に、自社が抱えている課題と、コンテンツマーケティングを用いてどのように解決するのかを整理することが最初のステップです。

課題の特定

リード獲得に悩んでいるのであれば「サービス問い合わせ数」「資料ダウンロード数」、売上が低迷しているのであれば「商談数」「受注率」などが課題として挙げられます。まずは自社の事業目標と現状のギャップを明確にすることが重要です。

3C分析の活用

自社の現状を客観的に把握するためには、フレームワークを活用することが有効です。3C分析では、Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つの視点から情報を整理します。市場規模や顧客ニーズ、競合の特徴、自社の強みと弱みを把握することで、取り組むべき方向性が見えてきます。

目的の明確化

コンテンツマーケティングの目的を「リード獲得」「認知拡大」「ブランディング」などから明確に設定します。目的によって適切なコンテンツの種類やタッチポイントが異なるため、この段階での目的設定が戦略全体の方向性を決定します。

注意すべき点として、コンテンツマーケティングはどのような課題でも解決できるわけではありません。コンテンツマーケティングありきで考えるのではなく、まずは自社課題に向き合い、この手法が適切かどうかを判断することが大切です。

ペルソナの設定

ペルソナとは、自社製品・サービスのターゲットとなる架空の人物像を、具体的なイメージに落とし込んだものです。

ペルソナを設定する意義

実在する人物のように具体的なペルソナを用意することで、その人物の悩みや購買・情報収集時に活用するメディアを高度に推測できます。「30代男性会社員」といった曖昧なターゲット設定では、各フェーズでの顧客の心理状態や行動パターンを正確に把握することは困難です。

BtoBペルソナの特徴

BtoBの場合は個人の属性に加えて、ペルソナが所属する企業の業種や規模、役職や決定権の有無なども設定する必要があります。意思決定に複数の担当者が関与し、検討期間が長期化するBtoBの特性を踏まえたペルソナ設計が重要です。

ペルソナ作成の手順

  1. ターゲットを明確にする:STP分析の考え方を用いて、狙うべきターゲットを選定
  2. 情報収集:既存顧客へのインタビュー、CRM/SFAデータの分析、ターゲットに詳しい人へのヒアリング
  3. ペルソナ像の書き出し:一日の過ごし方、抱えている悩み、課題・購入動機、情報収集の仕方を具体化
  4. 運用・改善:市場環境やユーザー行動の変化に合わせて定期的に見直し

ペルソナを設定することで、コンテンツ制作時に「この人に向けて書いている」という意識が明確になり、読者に響くコンテンツを制作しやすくなります。

カスタマージャーニーマップの作成

カスタマージャーニーマップとは、見込み客が購入や登録に至るまでの考え方や行動を時系列順に整理し、一枚絵にまとめたものです。

マップの構成要素

横軸には購買心理の段階(認知、興味・関心、比較・検討、購入など)を設定し、縦軸には顧客行動、接点(タッチポイント)、思考・感情、課題感、対応策を設定します。

作成のポイント

カスタマージャーニーマップを作成する際には、以下の点を整理することが重要です。

  • ユーザーにニーズのある情報は何か
  • 次の態度に変容するためのトリガーは何か
  • ボトルネックとなっているものは何か

現代のユーザーは、認知から購入までの過程で「バタフライ・サーキット」と呼ばれる非線形の探索パターンを取ることがあります。つまり、直線的に購入に向かうのではなく、行ったり来たりしながら情報を収集します。この点を踏まえて、各タッチポイントでのコミュニケーションを設計することが大切です。

複数ペルソナへの対応

ターゲットが複数いる場合は、それぞれのペルソナに対してカスタマージャーニーマップを作成することを検討します。異なるペルソナは異なる行動パターンを取るため、個別の設計が効果的です。

コンテンツ種類とタッチポイントの設計

カスタマージャーニーマップで、どういう態度のユーザーに、何のためにコンテンツを作るのかが整理できたら、それに合わせてコンテンツの内容とタッチポイントを設計します。

主なコンテンツ種類

コンテンツ種類 特徴 適した態度段階
SEO記事 検索エンジンからの流入獲得 認知〜比較検討
ホワイトペーパー 詳細情報の提供、リード獲得 情報収集〜比較検討
動画コンテンツ 視覚的な訴求、理解促進 認知〜関心
メールマガジン 継続的なコミュニケーション 関心〜比較検討
導入事例 具体的な成果イメージの提供 比較検討
SNSコンテンツ 認知拡大、エンゲージメント向上 認知〜関心

タッチポイントの選定

コンテンツを届けるチャネルは、ターゲットの情報収集行動に合わせて選定します。BtoBであれば業界メディアやLinkedIn、BtoCであればInstagramやYouTubeなど、ペルソナがどこで情報を得ているかを把握した上で判断することが重要です。

検索タッチポイントの優先度

リード獲得を目的とする場合は、検索エンジンをタッチポイントとすることが多くなります。比較検討段階のユーザーが検索するキーワードで上位表示を獲得できれば、購買に近いユーザーを効率的に集客できます。一方で、上位表示されるまでには時間がかかるため、長期的な視点での取り組みが必要です。

KGI・KPI設計と効果測定の仕組み

「どのような状態になったら成功と言えるのか」という指標を、事業の目的から逆算して設計します。

KGIの設定

KGI(Key Goal Indicator)は、コンテンツマーケティングの最終的なゴールを数値化したものです。「年間リード獲得数1,500件」「月間問い合わせ数50件」など、事業目標に直結する指標を設定します。

KPIツリーの作成

KGI達成に必要な要素をKPI(Key Performance Indicator)として分解し、樹形図で可視化します。KPIツリーを作ることで、以下のメリットが得られます。

  • 目標達成に必要な要素が明確になる
  • ボトルネックを早期発見できる
  • 具体的な改善アクションに落とし込める

例えば、「問い合わせ数」をKGIとした場合、「フォームへのアクセス数 × 入力完了率」に分解できます。さらに「フォームへのアクセス数 = 記事ページのセッション数 × フォーム遷移率」と分解することで、どこに課題があるかを特定しやすくなります。

SMARTの原則

KPIは以下の5つの要素を満たすように設定することが推奨されます。

  • Specific(明確):何を測定するか具体的である
  • Measurable(測定可能):数値で測定できる
  • Achievable(達成可能):現実的に達成可能である
  • Relevant(関連性):事業目標と関連している
  • Time-bound(期限):達成期限が設定されている

効果測定の頻度

記事本数が20本程度を超えてきたら、分析と振り返りを毎月行うことが推奨されます。公開直後の数字に一喜一憂するのではなく、中長期的な視点で成果を測定し、改善につなげることが重要です。

事例から学ぶKPI設計のポイント

ある業務支援系SaaS企業では、オーガニック検索からのリード獲得強化に取り組む際、KPIツリーに沿った進捗確認ができるモニタリング環境を整備しました。それまでは施策ごとの数値計測や振り返りは各チームで実施していたものの、チーム全体が把握できる共通の指標がありませんでした。

そこで、複数のツールを活用してKPIツリーに沿ったダッシュボードを構築。これにより、チームメンバー間での数値認識のずれが解消され、集計作業の手間を削減できました。各自が施策改善にリソースを集中できる環境が整い、結果としてリード数は昨対比115%を達成しています。

この事例が示すように、KPI設計と効果測定の仕組みづくりは、戦略を実行可能な形に落とし込むための重要な基盤となります。

リソースと体制の確保

コンテンツマーケティングを継続的に運用するためには、適切なリソースと体制の確保が不可欠です。

必要な役割

役割 主な業務内容
プロジェクトマネージャー 全体の進行管理、予算管理、ステークホルダー調整
コンテンツディレクター コンテンツ企画、品質管理、SEO設計
ライター・クリエイター コンテンツ制作(記事、動画、デザインなど)
アナリスト 効果測定、データ分析、改善提案

すべての役割を社内で賄う必要はなく、一部を外部パートナーに委託することも選択肢です。重要なのは、役割と責任を明確にし、継続的にコンテンツを公開できる体制を構築することです。

制作スケジュールの管理

カレンダーを作成して配信予定日やコンテンツ作成に着手するタイミングを可視化することで、計画通りに進めやすくなります。公開頻度は、リソースに合わせて無理のない範囲で設定することが大切です。

予算配分の考え方

予算は、組織の目標に対する各施策の貢献度によって決めるべきです。効果が出ていない既存施策の予算を新規施策に振り分けるなど、柔軟な予算配分を意識することで、全体のバジェットを変えずに成果向上を目指せます。

継続的な改善運用の設計

コンテンツは公開して終わりではなく、長い目で育て、運用していく必要があります。

PDCAサイクルの設計

Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)のサイクルを回すことで、コンテンツの質と成果を継続的に向上させます。月次でのレビュー会議を設定し、数値の振り返りと次のアクションを決めることが効果的です。

リライトの実施

公開済みのコンテンツを定期的に見直し、情報の更新や内容の拡充を行います。検索順位が伸び悩んでいる記事や、古くなった情報を含む記事を優先的にリライトすることで、コンテンツ全体の価値を維持・向上できます。

成果が出るまでの期間

コンテンツSEOを中心とした施策の場合、成果が出るまでに半年から1年程度かかることを見込んでおく必要があります。この期間を織り込んだ上で、社内への説明や期待値のコントロールを行うことが重要です。

失敗から学ぶ姿勢

良いコンテンツは一朝一夕で出来上がるものではありません。何十回、何百回と改善を重ね、ようやく成果につながるコンテンツが生まれます。失敗を恐れず、データに基づいた改善を継続することが成功への道筋です。

目的別の戦略アプローチ

コンテンツマーケティングの目的によって、最適な戦略は異なります。ここでは、主な3つの目的別にアプローチを解説します。

リード獲得を目的とした戦略

リード獲得を主目的とする場合は、比較検討段階のユーザーにアプローチするコンテンツを優先的に制作することが効果的です。

キーワード選定のポイント

「○○ 比較」「○○ おすすめ」「○○ 導入」といった、導入検討中のユーザーが検索するキーワードで上位表示を狙います。このようなキーワードで集客できれば、問い合わせや資料請求につながる可能性が高まります。

コンバージョン導線の設計

記事に訪れたユーザーがサービスページへ遷移できる設計を構築することが重要です。コンテンツ内に適切なCTA(Call To Action)を配置し、次のアクションを促します。ただし、過度なCTAはユーザー体験を損なうため、読者の文脈に合った自然な導線設計を心がけます。

ホワイトペーパーの活用

より詳細な情報を求めるユーザーに対しては、ホワイトペーパーを提供してリード情報を獲得する手法が効果的です。課題解決に役立つ情報をまとめたホワイトペーパーは、見込み客との接点を作る有効なコンテンツです。

成果事例

リード獲得を目的としたコンテンツマーケティングでは、成果から試算した戦略を練ることが重要です。PV数ではなく、リード獲得につながるコンテンツを優先的に制作し、CTAの改善やリライトを継続することで、月間リード数を数倍に増やした事例も存在します。

認知拡大を目的とした戦略

サービスや商品の認知度を高めることを目的とする場合は、潜在層にアプローチするコンテンツ設計が必要です。

潜在ニーズへのアプローチ

サービス名や会社名で直接検索してくるユーザーの集客は期待できないため、ターゲットが興味・関心を持ちそうなテーマでコンテンツを制作します。抱えている課題や悩みに関連するキーワードを選定し、解決策を提示することで、サービスを知ってもらうきっかけを作ります。

複数チャネルの活用

検索エンジンだけでなく、SNSやプレスリリース、外部メディアへの寄稿など、複数のチャネルを組み合わせることで認知拡大の効果を高められます。各チャネルの特性を理解し、コンテンツの見せ方を調整することが重要です。

指標の設定

認知拡大を目的とする場合は、PV数、UU数、指名検索数などを指標として設定します。どのくらいの認知を取りたいかという目標を具体的に設定し、その達成度を測定します。

ブランディングを目的とした戦略

ブランディングを目的とする場合は、自社の強みや価値観を一貫して伝えるコンテンツ設計が求められます。

一貫したメッセージの発信

「利便性を重視するならA社」「セキュリティを重視するならB社」といったように、自社のポジショニングを明確にし、それに沿ったメッセージを継続的に発信します。コンテンツの内容やトーン&マナーを統一することで、ユーザーに特定のイメージを持ってもらえるようになります。

専門性の訴求

特定の領域における専門性を示すコンテンツを蓄積することで、「この分野ならこの会社」という想起につなげます。浅く広いコンテンツよりも、専門領域に深く踏み込んだコンテンツが効果的です。

等身大で伝える姿勢

タイトルや内容を誇張せず、実態に合った等身大の表現を心がけることが重要です。「完全ガイド」「決定版」といった大きな言葉を使うと、読者の期待値が高まりすぎ、実際の内容にギャップを感じさせてしまう可能性があります。言っていることとやっていることを一致させることが、長期的な信頼構築につながります。

戦略実行を成功させる組織づくり

優れた戦略も、実行する組織がなければ成果にはつながりません。ここでは、コンテンツマーケティングを成功させるための組織づくりについて解説します。

マーケティングと営業の連携体制

BtoBマーケティングにおいて、マーケティング部門と営業部門の連携は成果創出の鍵を握ります。

実践事例: 属人的な案件獲得からの脱却

あるマーケティング支援企業では、創業当初は事業会社出身の経営陣のみで構成され、指名での引き合いが中心だったため、一般的なマーケティング活動は不要でした。しかし、組織拡大・事業成長を見据え、属人的な案件獲得モデルからの脱却が急務となりました。

この企業が直面していた課題は、提供価値が抽象的に捉えられがちだったことです。シニア層は多様な業界経験を持ち包括的なサポートが可能でしたが、その価値をどう伝えるかが曖昧でした。

そこで取り組んだのが、サービスサイトを中心としたインバウンドマーケティングの基盤構築です。同時に、共催セミナーや自社ウェビナーの開催など、限られたリソースの中で即座に商談につなげる施策も並行して実行しました。

結果として、商談数80件以上を創出し、リード獲得の新たなチャネルとしてセミナーやメールマーケティングを活用した安定的な仕組みを構築できました。この事例から、マーケティングと営業の連携においては、両者が共通の目標を持ち、短期施策と中長期施策を組み合わせることの重要性がわかります。

連携不足がもたらす問題

マーケティングが獲得したリードが営業を通して受注につながっているかどうかを確認できなければ、施策の効果を正しく評価できません。リードの質が低いという営業側の不満や、せっかく獲得したリードを活用してもらえないというマーケティング側の不満が生じ、両者の間に溝が生まれてしまいます。

共通の目標設定

この問題を解決するためには、両者が共通の目標を持つことが重要です。マーケティング部門がリード数だけでなく、案件化数や受注率も指標として持つことで、「営業が求めているリードはどのようなものか」を主体的に考えられるようになります。

定期的なコミュニケーション

定期的なミーティングで進捗を共有し、リードの質やアプローチ方法について議論する機会を設けます。ペルソナやカスタマージャーニーを営業も含めて設計することで、組織としての目指すべき方向性を統一できます。

成果への貢献度の可視化

SFAやCRMを活用して、マーケティングで獲得したリードがどのように商談化し、受注につながったかを可視化します。この情報があれば、マーケティング施策の本当の効果を評価でき、改善に活かせます。

コンテンツ制作チームの構築

コンテンツ制作を継続的に行うためには、適切なチーム体制の構築が必要です。

役割の明確化

プロジェクトマネージャー、コンテンツディレクター、ライターなど、各役割の責任範囲を明確にします。複数の領域のプロフェッショナルが参画する場合は、各自の専門分野を明確に分離し、その領域の判断は完全に信頼することが成功の鍵となります。

事例から学ぶ制作体制構築のポイント

ある飲料メーカーでは、オウンドメディア未経験の状態から1年で月間8万UUを達成しました。この企業が成功した要因の一つが、記事制作フローを複数ステップに分け、構成設計・執筆・監修の役割を外部と社内で明確に分担したことです。

特徴的だったのは、ライターの選定基準です。SEO専門人材ではなく、日常的に対象製品を楽しむ愛好家をアサインしました。嗜好品特有の主観的な価値観を活かし、読み手の共感を得る自然な語りを重視したのです。嗜好品には決まった正解がないため、その人の色や考え方、主張が盛り込まれている方がメディアらしさが出るという判断でした。

また、執筆前の構成案作成は外部チームが担当し、同社の監修を通じて構成や主張の方向性を確認。これにより、初稿段階から品質担保された記事制作が可能になりました。

この事例が示すように、コンテンツ制作チームの構築においては、役割分担の明確化と、自社の強みを活かせる人材のアサインが重要です。

品質管理の仕組み

コンテンツの品質を一定以上に保つためのレビュープロセスを設計します。専門性や信頼性のある情報発信を担保するために、必要に応じて専門家の確認を入れることも検討します。

ナレッジの蓄積

制作したコンテンツや得られた知見を組織のナレッジとして蓄積し、チーム全体で共有できる仕組みを作ります。これにより、メンバーが変わっても品質を維持しながら運用を続けられます。

外部パートナー活用の判断基準

内製ですべてを行うか、外部パートナーを活用するかは、多くの企業が悩むポイントです。

外部パートナーを活用すべきケース

以下のような状況では、外部パートナーの活用を検討することが推奨されます。

  • 戦略設計や制作の専門知識が社内にない
  • 社内リソースが不足しており、スピードが求められる
  • 客観的な視点からのアドバイスが必要
  • 複数業界の知見を活かしたアプローチを取りたい

パートナー選びのポイント

制作会社の実績を確認することが重要です。どのようなプロセスで、どのような課題を解決してきたのか、何を得意分野としているのかを確認します。安いから外注するという発想は危険で、質の高くないコンテンツを量産しても成果にはつながりません。

依頼範囲の明確化

戦略設計から任せるのか、制作のみを依頼するのか、依頼範囲を明確にしておくことが重要です。自社の課題と目的に合わせて、適切な支援範囲を設定します。

よくある失敗とその回避策

コンテンツマーケティングでよく見られる失敗パターンと、その回避策を解説します。

コンテンツが負債化するパターン

「コンテンツは資産」という認識は広まっていますが、実際にはすべてのコンテンツが資産になるわけではありません。

負債化する3つのパターン

  1. 品質の低さがビジネスの足を引っ張る: 暗い印象を与えるコンテンツや配慮に欠けた文言での炎上など、ブランドイメージを損なうコンテンツは負債となります。

  2. 低品質の割合が大きいと全体が低評価に: 低品質コンテンツが多いとSEOに悪影響を与え、サイト全体の評価が下がる可能性があります。

  3. メンテナンスコストは隠れた負債: 古い情報やリンク切れを放置すると信頼低下につながります。コンテンツを維持するには継続的なコストがかかることを認識しておく必要があります。

回避策

コンテンツを制作する際は、数ではなく質を重視します。ビジネスの目的に合致し、ターゲットにとって価値のあるコンテンツのみを制作することで、資産として機能するコンテンツを蓄積できます。定期的な棚卸しを行い、低品質なコンテンツは削除または改善することも重要です。

成果が出る前に撤退してしまう問題

コンテンツマーケティングは即効性のある施策ではないため、成果が出る前に撤退してしまうケースがあります。

よくある状況

  • 半年経っても問い合わせが増えず、社内で施策の継続に疑問の声が上がる
  • 短期的な成果を求める経営層からの圧力がかかる
  • 担当者が異動し、施策が引き継がれない

回避策

事前に成果が出るまでの期間を社内で共有し、期待値を適切にコントロールすることが重要です。中間KPIを設定し、短期的にも進捗が見える形で報告することで、施策への信頼を維持できます。また、長期施策と短期施策を組み合わせ、短期的な成果も創出しながら中長期的な投資を続ける計画を立てることも有効です。

目的と手段がずれる落とし穴

施策を進めるうちに、当初の目的と手段がずれてしまうことがあります。

よくあるずれのパターン

  • リード獲得が目的なのに、PV数を追いかけてしまう
  • ブランディングが目的なのに、SEOキーワードに縛られすぎる
  • 認知拡大が目的なのに、コンバージョン率ばかり気にする

事例から学ぶ軌道修正のポイント

ある業務支援系SaaS企業では、もともと指名検索からの流入が多いトップページにおいて、離脱が課題となっていました。複数のオウンドメディアが独立したドメインやテーマで運用されており、コンテンツの重複やSEO評価の分散が起きていたのです。

この企業が取り組んだのは、「誰に、何を届けるか」という顧客起点の発想への転換でした。ターゲットの調査分析やカスタマージャーニーの整理を通じて、明確な方針に基づいた施策の推進が可能になりました。

結果として、リード数は昨対比115%、商談数も昨対比120%を記録。この事例から、目的と手段のずれを防ぐためには、定期的に「誰に届けるか」という原点に立ち返ることの重要性がわかります。

回避策

定期的に施策を振り返り、当初の目的と現在の活動がずれていないかを確認します。KPIの設計も目的に合わせて行い、追うべき指標を明確にしておくことが重要です。目的と手段の関係を常に意識し、手段が目的化しないように注意します。

まとめ

コンテンツマーケティングで成果を出すためには、明確な戦略設計が不可欠です。本記事で解説した7つのステップを参考に、自社の課題と目的に合った戦略を策定していただければと考えます。

戦略策定の7つのステップ

  1. 自社課題と目的の整理
  2. ペルソナの設定
  3. カスタマージャーニーマップの作成
  4. コンテンツ種類とタッチポイントの設計
  5. KGI・KPI設計と効果測定の仕組み
  6. リソースと体制の確保
  7. 継続的な改善運用の設計

コンテンツマーケティングは中長期的な取り組みであり、すぐに成果が出るものではありません。しかし、適切な戦略のもとで継続的に改善を重ねることで、持続可能な成果創出の仕組みを構築できます。

重要なのは、コンテンツそれ自体ではなく、コンテンツを通じて読者とのコミュニケーションを生み出すことです。読者にとって価値のある情報を提供し続けることで、信頼関係を構築し、ビジネス成果につなげることがコンテンツマーケティングの目指すべき姿と言えます。

戦略設計に課題をお持ちの場合は、まず自社の課題と目的を整理することから始めてみてください。その上で、本記事の内容を参考に、自社に合った戦略を策定していただければ幸いです。

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著者

田島 光太郎

田島 光太郎

Marketing Planner / Consultant

業界歴10年以上。2023年株式会社KAAAN設立。BtoBマーケティング、オウンドメディア、コンテンツマーケティングを領域を得意とし、コンサルタント・PMとして戦略設計、インハウス化・グロース支援を行う。

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