BtoBマーケティング施策一覧|オンライン・オフライン別に主要手法を解説

BtoBマーケティング施策一覧|オンライン・オフライン別に主要手法を解説

BtoBマーケティングの世界では、デジタル化の進展により施策の選択肢が大幅に広がりました。SEO、Web広告、ウェビナー、展示会など、企業が取り組める手法は多岐にわたります。

一方で、以下のような声も増えています。

  • 施策の種類が多すぎて、何から手をつければよいかわからない
  • 施策を実行しているのに、商談や受注につながらない
  • マーケティング部門と営業部門の連携がうまくいかない

そこで本記事では、BtoBマーケティングの主要施策をオンライン・オフライン別に網羅的に解説するとともに、自社に最適な施策を選ぶための優先順位の考え方をお伝えします。

BtoBマーケティング施策とは

BtoBマーケティング施策を理解するうえで、まずはBtoCマーケティングとの違いを押さえておく必要があります。そのうえで、なぜ施策を体系的に理解することが重要なのかを確認していきましょう。

BtoCマーケティングとの違い

BtoBマーケティングとBtoCマーケティングでは、購買決定プロセスが根本的に異なります。BtoCでは個人の感情や衝動が購買に大きく影響しますが、BtoBでは論理的な判断、ROI、業務課題の解決といった合理的な要素が重視されます。

BtoBマーケティングの主な特徴は以下のとおりです。

項目 BtoB BtoC
意思決定者 複数人(担当者・上長・決裁者) 個人
検討期間 長期(数週間〜数ヶ月) 短期(即日〜数日)
購買基準 ROI・業務課題の解決 感情・価格・ブランド
単価 高額になりやすい 比較的低額
ターゲット母数 限定的 広範囲

このような特性から、BtoBマーケティングでは一度の接点で購入に至ることは少なく、リード獲得からナーチャリング、商談、受注までの一連のプロセスを設計することが求められます。

また、BtoBでは価格だけでなく「プロセス全体の改善余地」や「運用コスト」といった総合的な判断で購買決定がなされます。そのため、幅広くアプローチするよりも、ターゲットを絞り込んで質の高いリードを獲得する戦略が有効となります。

施策を体系的に理解する重要性

BtoBマーケティングにおいて、施策を体系的に理解することが重要な理由は、大きく3つあります。

デマンドジェネレーションの観点

BtoBマーケティングの核となる考え方に「デマンドジェネレーション」があります。これは「リードジェネレーション(見込み客の獲得)」「リードナーチャリング(見込み客の育成)」「リードクオリフィケーション(見込み客の選別)」の3つのプロセスで構成されます。

各施策がこの3つのプロセスのどこに位置づけられるかを理解することで、全体最適の視点で施策を組み合わせることができます。

リソース配分の最適化

企業のマーケティングリソースは限られています。施策の全体像を把握していなければ、特定の施策に偏った投資をしてしまったり、有効な選択肢を見落としてしまったりするリスクがあります。

体系的に理解することで、「今、何が足りていないのか」「次に何をすべきか」という判断が可能になります。

組織間連携の基盤

BtoBマーケティングでは、マーケティング部門と営業部門の連携が不可欠です。施策の体系を共有することで、両部門が共通言語を持ち、効果的な連携体制を構築できます。

施策の全体像を理解することは、単なる知識の習得ではなく、成果を出すための土台づくりと言えます。

オンライン施策の種類と特徴

オンライン施策は、デジタルチャネルを活用してリードを獲得・育成する手法です。効率的にターゲットにアプローチでき、効果測定がしやすいという特徴があります。主要な5つの施策について、それぞれの特徴と活用ポイントを解説します。

SEO・コンテンツマーケティング

SEO(検索エンジン最適化)は、検索エンジンで特定のキーワードが検索された際に、自社のWebサイトやコンテンツを検索結果の上位に表示させるための取り組みです。

特徴と効果

SEOの最大の強みは、課題を抱えたユーザーが能動的に情報を探しているタイミングで接点を持てることです。そのため、質の高いリード獲得に繋がりやすいという特徴があります。

オウンドメディアやブログを活用することで、「認知」から「比較検討」段階のユーザーまで幅広い層にアプローチできます。コンテンツが評価されて上位表示されるまでには半年から1年程度かかることが一般的ですが、一度上位表示されると継続的なリード獲得資産となります。

活用のポイント

リード獲得が目的の場合は、比較検討段階のユーザーが検索しそうなキーワードで記事を作成し上位表示を狙います。単にPV数を増やすのではなく、「成果につながるキーワード」に注力することが重要です。

弊社の支援経験では、成果に結びつけるための導線設計が不十分なケースが多く見られます。流入を確保できていても、CTA(行動喚起)の改善や戦略的なリライトによって、リード創出数が大幅に向上する事例は少なくありません。

また、検索エンジンのアルゴリズム変動への対応も重要な観点です。検索順位が下落した場合、単にリライトの行動量を増やすだけでは十分な回復につながらないケースがあります。トラフィックが下落した際は、まず時期と影響範囲を特定し、カテゴリ単位で原因を分析することが効果的です。

Web広告(リスティング・SNS広告)

Web広告は、デジタル広告を通じてユーザーにアプローチする手法です。リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告、動画広告など、複数の種類があります。

リスティング広告の特徴

リスティング広告は、検索エンジンの検索結果に表示される広告です。「比較・検討」段階の顕在顧客にアプローチでき、受注に繋がりやすいリードを獲得できます。BtoBでは最も基本的かつ効果的な広告手法と言えます。

デジタル広告はリード獲得の手法の中で最も早く成果に繋がりやすい施策であり、まずはリスティング広告から検討することが推奨されます。

SNS広告の特徴

SNS広告は、ユーザーのパーソナル情報に基づいた配信が可能でターゲティングしやすいという特徴があります。特にLinkedInはビジネスパーソンが多く利用しているためBtoB企業に適しています。

ただし、SNS広告はターゲットが潜在顧客になることが多く、リスティング広告と比較すると商談化までの時間がかかる傾向があります。

活用のポイント

BtoB広告では、CPA(獲得単価)だけでなく、商談化率や受注率を加味したKPIを設定することが重要です。安いCPAで獲得したリードが商談に繋がらないケースも多いため、「リードの質」を重視した運用が求められます。

また、広告で獲得したリードをMAツールに連携し、適切なナーチャリングシナリオに乗せることで、広告投資の効果を最大化できます。

弊社の支援経験では、広告単価の上昇や競争激化により初回コンタクトの獲得数が伸び悩むケースが増えています。このような状況では、対象ユーザー層を見直し、成果に直結しやすい層を特定することが有効です。ターゲットの解像度を上げ、訴求内容を最適化することで、同じ予算でもCVRを大幅に改善できることがあります。

ホワイトペーパー・資料請求

ホワイトペーパーは、課題解決に役立つ情報をまとめたPDF資料をダウンロードしてもらうことでリード情報を獲得する施策です。

特徴と効果

ホワイトペーパーは、新規リード獲得からナーチャリング、商談創出まで幅広く活用できる「ハブ施策」として位置づけられます。見込み客が自ら情報を取得するため、一定の興味関心を持ったリードを獲得できます。

ホワイトペーパーの種類には、以下のようなものがあります。

種類 内容 活用フェーズ
ノウハウ型 業務に役立つ知識・手法の解説 認知・情報収集
事例型 導入事例・成功事例の紹介 比較検討
調査レポート型 業界動向・統計データの分析 認知・情報収集
チェックリスト型 実務で使える確認リスト 比較検討

活用のポイント

ホワイトペーパーの効果を最大化するためには、ターゲットの検討段階に合わせた内容を用意することが重要です。情報収集段階にはノウハウ型、比較検討段階には事例型といった使い分けが有効です。

また、ダウンロード後のフォローも重要です。ダウンロードしただけで放置されるケースが多いため、インサイドセールスによる架電やメールでのナーチャリングを組み合わせることで、商談化率を高めることができます。

ウェビナー・動画マーケティング

ウェビナーは、オンライン上で行うセミナーで、場所を選ばず参加できるため広範囲のターゲットにアプローチ可能です。動画マーケティングも含め、視覚的なコンテンツによるリード獲得・育成手法として注目されています。

特徴と効果

ウェビナーでは、製品デモ、ノウハウ解説、成功事例紹介を通じて質の高いリードを獲得できます。参加者の反応や質問から購買意欲の高いリードを特定できる点も大きなメリットです。

また、録画配信で継続的なリード獲得資産としても活用可能です。ライブ配信と録画配信を組み合わせることで、効率的なリード獲得体制を構築できます。

活用のポイント

BtoB領域では、広告やSNSで集客し、ウェビナー後はメルマガでナーチャリングを行い、ホットリード化したら営業にトスアップするフローが一般的です。

ウェビナーの内容は、自社製品の紹介に偏りすぎないことが重要です。参加者にとって有益な情報を提供することで、自社への信頼感を醸成し、将来的な商談につなげることができます。

メールマーケティング

メールマーケティングは、リードのメールリストに対してメルマガやステップメールを配信する手法です。最もコストパフォーマンスが良いBtoB施策として、関係維持・育成を担います。

特徴と効果

メールマーケティングは、獲得したリードに対して継続的なコミュニケーションを取り、購買意欲を高めるナーチャリング施策の中核となります。新規リード獲得のコストに比べ、既存リードへのアプローチは低コストで実施できます。

顧客の段階に合わせて適切な情報を提供することで、購買意欲を段階的に高めることができます。

活用のポイント

同じ内容を一斉送信するのではなく、顧客属性や興味関心に応じてセグメント配信することが効果的です。開封率やクリック率を確認して改善を続けることで、メールマーケティングの効果を最大化できます。

また、単なるメール配信ではなく、「どのタイミングで」「どのような内容を」「どの順番で」提供するかというシナリオ設計が重要です。MAツールを活用することで、効率的なナーチャリングを実現できます。

弊社の支援経験では、ハウスリストへのメール配信で商談を効率的に獲得するためには、リードの状態を把握したうえで適切なタイミングでアプローチすることが重要だと考えています。単に配信頻度を上げるのではなく、リードの行動データをもとに、関心の高まっているタイミングを見極めることがポイントです。

オフライン施策の種類と特徴

オフライン施策は、対面でのコミュニケーションを通じてリードを獲得・育成する手法です。信頼関係の構築に強みがあり、特にエンタープライズ企業へのアプローチに有効です。主要な3つの施策について解説します。

展示会・イベント出展

展示会は、自社ブースを訪問した人と名刺交換を行い、数百から数千という大量のリード獲得が可能な施策です。

特徴と効果

展示会の最大のメリットは、多数の見込み顧客と直接話ができることです。数日で数百から数千件程度のリードをまとめて獲得でき、短期間で大量のリードを確保したい場合に有効です。

訪問者と直接会話ができるため、自社製品・サービスの魅力を伝えやすく、顔の見える関係性を構築できます。特にエンタープライズをターゲットとした企業では、展示会でリード情報を収集しターゲティングを行うABMの手法が効果的です。

活用のポイント

展示会で獲得したリードのほとんどは「認知」段階であることを理解しておく必要があります。展示会単体で商談化を期待するのではなく、ナーチャリングの活用が前提となります。

出展費用や人的リソースが必要なため、コストパフォーマンスの見極めが重要です。展示会後のフォロー体制を事前に整えておくことで、投資対効果を高めることができます。

セミナー・カンファレンス

セミナーは、「認知・情報収集・比較検討」すべての段階のリードに対してアプローチでき、幅広いリード創出が可能な施策です。

特徴と効果

セミナーでは、直接コミュニケーションを取れるため、自社のイメージアップや購買意欲の向上を図れます。特定テーマに関心のあるリードを集め、専門知識を提供することで信頼関係を構築できます。

自社単独開催だけでなく、パートナー企業との共催セミナーも有効です。共催することで、お互いの顧客基盤を活用した集客が可能になります。

活用のポイント

セミナーの内容は、参加者にとって価値のある情報提供を主眼に置くことが重要です。自社製品の宣伝に偏ると、参加者の満足度が下がり、商談化につながりにくくなります。

また、セミナー後のフォローアップも重要です。参加者の反応や質問内容を記録し、インサイドセールスが適切なタイミングでアプローチすることで、商談化率を高めることができます。

テレアポ・ダイレクトメール

テレアポ(電話営業)とダイレクトメール(DM)は、プッシュ型のアプローチ手法です。ターゲットを絞った積極的なアプローチが可能です。

テレアポの特徴

テレアポは、比較検討段階の潜在顧客にアプローチできれば商談・受注へと進められます。人員がいれば取り組めるため、比較的はじめやすい手法です。

ただし、手当たり次第に架電しては成功率が低く、断られると再アプローチが困難になるデメリットがあります。ターゲットを絞り、適切なタイミングでアプローチすることが重要です。

ダイレクトメールの特徴

ダイレクトメールは、顧客情報を元に商品・サービスの情報を送る手法です。デジタル全盛の時代において、物理的なDMは差別化要因になり得ます。

BtoBでは、受け取る人と中身を読む人(担当者や決裁者)が異なることを意識し、両者が「自社にとって有益」と思えるコンテンツやデザインを考えることが大切です。

活用のポイント

テレアポやDMは、単独施策として実施するよりも、他の施策と組み合わせることで効果を発揮します。例えば、ウェビナー参加者へのフォローコール、展示会で名刺交換した企業へのDMなど、既に接点のある相手へのアプローチとして活用することで、成功率を高められます。

また、ABM(アカウントベースドマーケティング)の一環として、特定のターゲット企業に対して複数チャネルでアプローチする際にも有効です。

施策の優先順位を決める考え方

BtoBマーケティングでは多くの施策がありますが、すべてを同時に実施することは現実的ではありません。限られたリソースで最大の成果を出すために、施策の優先順位を決める考え方を解説します。

受注に近い施策から着手する

BtoBマーケティング施策の優先順位を決める際、最も重要な考え方は「受注に近い順に実施する」ことです。

受注に近い施策の特徴

受注に近い施策には、以下のような特徴があります。

  • 施策の実施から受注までのタイムラグが短い
  • 必要な予算が比較的少ない
  • 実行の難易度が比較的低い

具体的には、潜在層向けの施策よりも顕在層向けの施策を優先すべきです。例えば、オウンドメディアによる認知拡大よりも、リスティング広告による比較検討層へのアプローチを先に行うことで、短期間で成果を出すことができます。

マーケティングファネルの下流から改善する

受注に近い施策を優先する理由は、ファネルの下流から改善することで、投資対効果を高められるからです。

例えば、リード獲得数を増やしても、商談化率や受注率が低ければ成果は限定的です。まずは商談化率や受注率を改善し、その後にリード獲得数を増やすことで、全体の成果を効率的に向上させることができます。

目指すべき基準値として、以下の数値が参考になります。

  • LP(ランディングページ)のCVR:2%程度
  • アポ率:20%程度
  • 受注率:20%程度

これらの数値を下から順に改善していくことで、効率的な成果向上が期待できます。

「受け皿」の最適化を最優先にする

弊社の支援経験から、施策の優先順位を決める際に特に重要なのが「受け皿」となるサービスサイトの最適化です。サービスサイトは全チャネルの受け皿となっており、ここでリードの取りこぼしが起きてしまうと、他の施策を実行しても成果につながりにくくなります。

CV数を増やすには、新規コンテンツ作成やリライトよりも、少ない工数で効果が出るCVR改善に注力することが効果的なケースが多くあります。例えば、EFO(入力フォーム最適化)やCTAの改善など、サイト内のコンバージョン導線を見直すことで、同じ流入数でもリード獲得数を大幅に増やせることがあります。

事例に学ぶ:施策の優先順位付けで成果を出した企業

ある業務支援系クラウドサービス企業では、デジタルマーケティングのノウハウがなく、何から始めるべきか指針が不足していました。リファラル依存による案件獲得が主軸となっており、新規顧客の獲得が頭打ちになっていたのです。

この企業では、まず「誰に、何を、どのように届けるべきか」という基本戦略を整理し、ターゲットとなる顧客を特定しました。そのうえで、各チャネルの課題と解決方法を整理し、全体戦略に落とし込みました。

特に注目すべきは、施策の優先順位の決め方です。解決すべき課題が多い中、「短期で成果を出すためにどうすれば良いか」という視点で、各施策の優先順位を決定しました。

この企業が最初に着手したのは、サービスサイトの改修でした。その理由は、サービスサイトが全チャネルの受け皿となっており、成果へのインパクトが大きいこと、そして他の施策を行なってもサービスサイトでリードの取りこぼしが起きてしまうと他の施策を行なっても成果につながらない可能性があったためです。

次にリードの母数を最大化するため、デジタル広告やコンテンツSEOに着手する方針としました。

この「受注に近い施策から着手する」というアプローチにより、約1年で国内市場No.1のシェアを獲得するという成果につながりました。

この事例から得られる教訓は、施策の優先順位を決める際に「ファネルの下流から改善する」という原則を徹底することの重要性です。サービスサイトという「受け皿」を最適化してから、リード獲得施策に取り組むことで、投資対効果を最大化できます。

自社のボトルネックを特定する

施策の優先順位を決めるもう一つの重要な視点は、自社のボトルネックを特定することです。

KPIツリーによる問題特定

弊社では、戦略や施策を考える際にKPIツリーを必ず作成することを推奨しています。KPIツリーとは、最終目標となるKGI達成に必要な要素(KPI)を、樹形図で可視化したフレームワークです。

KPIツリーを作ることで、以下のことが明確になります。

  • 目標を達成するためには何が必要なのか
  • うまくいった/いかなかった理由は何か
  • どこを改善すればよいのか

例えば、アクセス数は増えたが問い合わせが伸びない場合、KPIツリーがあれば「問い合わせフォームの入力完了率」が低いことが原因だと気付けます。問題の本質と関係ない部分に手当たり次第に施策を実行することを防げます。

ファネル形状から課題を特定

マーケティングファネルの形状からも課題を特定できます。

  • 認知数が多いのに購入数が極端に少ない(ラッパ型)場合:ナーチャリング施策を見直す
  • 筒状に近い場合:認知拡大施策に注力すべき
  • 形状がいびつな箇所:大きく離脱されているポイント

自社のファネルを可視化し、どこにボトルネックがあるかを特定することで、優先的に取り組むべき施策が明確になります。

事例に学ぶ:ボトルネック特定から戦略を再構築した企業

あるインフラサービス事業会社では、年間数億円規模の売上を誇るオウンドメディアを軸にマーケティングリードの創出を行ってきました。しかし、検索エンジンのアップデートによる検索順位の低下に直面し、検索流入の減少に伴い売上も低迷しました。

この企業では当初、リライトの行動量を増やすことで検索順位の回復を図りました。しかし、検索順位が回復する記事もあれば現状維持の記事もあり、減少したCV数や売上の回復にはつながりませんでした。

ここで重要な転換点がありました。どれだけ試算をしても現状では目標が未達になることがわかっていたため、「なぜ既存顧客は自社のサービスを購入したのか」「どのような顧客が自社の顧客になり得るのか」という本質に立ち戻り、戦略を見直すことにしたのです。

分析の結果、これまで個別に販売・CV獲得を行っていたサービスには共通の需要があることが判明しました。また、これらのサービスが同時に必要になるケースが多く、個別販売ではなくセット販売で売る方が効率的であるという結論に至りました。

この新たな販売方法により、顧客単価の向上が期待できるだけでなく、獲得件数が多少減ったとしても売上の最大化が可能になる販売モデルを確立しました。

結果として、過去最高のマーケティングリード数を創出し、売上は数千万円以上の増収を達成しました。

この事例から得られる教訓は、検索順位の回復という「施策の改善」に固執せず、事業全体の戦略から見直すことも時には必要だということです。ボトルネックが施策レベルではなく、商材の販売方法やターゲット設定にある場合、いくら個別施策を改善しても成果は限定的です。

施策を成果につなげるポイント

施策を実行しても、成果につながらないケースは少なくありません。施策を成果につなげるための2つの重要なポイントを解説します。

マーケティングと営業の連携強化

BtoBマーケティングにおいて、マーケティング部門と営業部門の連携は成果創出の鍵を握ります。

連携不足による問題

マーケティングチームと営業チームの間に溝があると、以下のような問題が生じます。

  • リードの質が低いと営業から指摘される
  • 獲得したリードが営業でフォローされない
  • リードの商談化率・受注率が低い

弊社の支援経験では、組織間の認識のズレがリード品質の低下につながっているケースが多く見られます。マーケティング部門が「良い」と考えるリードと、営業部門が「欲しい」と考えるリードにギャップがあるのです。

連携強化のポイント

連携を強化するためには、以下の取り組みが有効です。

共通の目標設定

マーケティング部門が「リード数」だけを指標とするのではなく、インサイドセールスの「案件化数」も指標として持つことで、自部門ではコントロールできない指標を意識させることができます。

すると、マーケティング部門は「インサイドセールスが求めているリードがどのようなものなのか」をコミュニケーションする機会が生まれ、リード数だけを追うのではなく「案件化できるようなリードを創出するには、どういうマーケティング活動が必要か」を主体的に考えられるようになります。

ペルソナ・カスタマージャーニーの共同設計

マーケティング部門だけでなく、営業部門も含めてペルソナやカスタマージャーニーを設計することで、組織としての目指すべき方向性を統一できます。

弊社が支援したプロジェクトでは、営業も含めたペルソナ・カスタマージャーニーの再設計を行うことで、インバウンドからのリードが高い確率で案件化するという成果を実現した事例があります。

また、ある人材サービス企業では、現場のキャリアアドバイザーに対する複数回のヒアリングを実施し、ペルソナおよびカスタマージャーニーを作成しました。その結果、一般的な訴求軸では響かない層のニーズを発見し、ターゲットに沿った訴求内容に変更したところ、指名検索からのCVRが倍以上になるという成果につながりました。

部門横断での分析

リードの質を高めるためには、部門を横断して失注・受注分析を行うことが効果的です。「なぜこのリードは受注に至ったのか」「なぜ失注したのか」を営業とマーケティングが共同で分析することで、改善点が明確になります。

この分析を定期的に行い、その結果をペルソナやターゲティングにフィードバックすることで、継続的にリードの質を向上させることができます。

成約率が高いCV獲得は、利益に大きく影響します。最も収益効率が高いCVを定義し、そこに向けてマーケティング活動を最適化することで、事業全体の成長を加速させることができます。

KPI設計と効果測定の基盤構築

施策を成果につなげるためには、適切なKPI設計と効果測定の基盤構築が不可欠です。

KPI設計の重要性

複数の施策を実行する際、各施策の効果を正しく測定できなければ、改善のための判断ができません。施策ありきでKPIを設定するのではなく、「最終的な事業目的とKGI」があり、「それを達成するための中間指標としてKPI」があり、「それを実行するために施策を走らせる」という階層構造で考えることが重要です。

SMARTの原則

KPIは以下5つの要素を満たすように設定することが推奨されます。

  • S(Specific):明確であるか
  • M(Measurable):測定可能か
  • A(Achievable):現実的に達成可能か
  • R(Relevant):ゴールと関連性があるか
  • T(Time-bound):期限があるか

施策の評価方法

複数の施策を平等に評価する際、ある時点でのKGIへの貢献度を相対評価するのではなく、施策単体のビフォーアフター、つまり成長率で評価することが適切です。

施策によって効果の出方やタイミングが大きく異なります。SEOは即効性がなく初期は結果が見えませんが、継続すれば徐々に右肩上がりになり、コンスタントな流入が期待できます。一方、広告運用は配信開始時点で即座にセッション数が上がります。

このように異なる施策を貢献度で比較すれば、広告が優位に見えてしまい、SEOの長期的価値を見落とす可能性があります。各施策の成長率を個別に評価することで、初めて公正な評価が可能になります。

全プロセスの可視化

リードの質を高め、商談・受注につなげるためには、リード獲得から受注までの全プロセスを可視化することが重要です。どの段階で離脱が発生しているのか、どの施策から獲得したリードが商談化しやすいのかを把握することで、改善のための施策を的確に打つことができます。

弊社の支援経験でも、全プロセスを可視化することで、これまで見落としていたボトルネックが明らかになり、適切な施策を打てるようになったケースは多くあります。

プロセス全体を見通したデータの収集と分析は、単に現状を把握するだけでなく、将来の意思決定の精度を高めるためにも不可欠です。

まとめ

本記事では、BtoBマーケティングの主要施策をオンライン・オフライン別に解説するとともに、施策の優先順位を決める考え方をお伝えしました。

BtoBマーケティング施策を成功させるためのポイントは、以下の3点に集約されます。

  • 施策の全体像を把握する:オンライン・オフラインの各施策の特徴を理解し、自社に適した施策を選択する
  • 受注に近い施策から着手する:ファネルの下流から改善することで、投資対効果を高める
  • マーケティングと営業の連携を強化する:組織として成果を最大化するために、部門間の溝を埋める

また、事例から学んだように、施策の優先順位を決める際には「短期で成果を出すためにどうすれば良いか」という視点を持ち、サービスサイトなどの「受け皿」を最適化してからリード獲得施策に取り組むことが効果的です。

さらに、個別施策の改善に固執せず、時には事業全体の戦略から見直すことも重要です。ボトルネックが施策レベルではなく、商材の販売方法やターゲット設定にある場合、いくら個別施策を改善しても成果は限定的です。

施策の実行は手段であり、目的ではありません。最終的な事業目標から逆算して施策を設計し、KPIを通じて効果を測定・改善していくことで、持続的な成果創出が可能になります。

自社の現状を把握し、適切な施策を選択することで、BtoBマーケティングの成果を最大化していただければ幸いです。

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著者

永田 さおり

永田 さおり

Growth Architect

業界歴10年以上。2017年株式会社MOLTSに参画。BtoB・BtoC問わず多様な業種業態でマーケティングの立ち上げから実行までを一貫支援。組織開発やコミュニケーション設計を中心にコンサルティングを行う。

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