
BtoBマーケティング施策を徹底解説|成果に繋がる選び方と優先順位の決め方
BtoBマーケティングにおいて、デジタル活用が一般化したことにより、企業が取り組める施策の選択肢は大きく広がりました。コンテンツマーケティング、ウェビナー、MAツールの活用など、多様なアプローチが可能になり、効果的なリード獲得や商談創出を実現する企業が増えています。
一方で、以下のような声も増えています。
- 施策の種類が多すぎて、どこから手をつければよいか分からない
- リードは獲得できているが、商談化や受注に繋がらない
- 限られた予算とリソースの中で、何を優先すべきか判断できない
そこで本記事では、BtoBマーケティングの施策について体系的に解説します。リード獲得から商談創出までの施策の全体像を把握し、自社に最適な施策を選ぶための優先順位の決め方まで、実務に活かせる知識をお伝えします。
目次
BtoBマーケティング施策とは
BtoBマーケティング施策を効果的に活用するためには、まずその全体像を理解することが重要です。施策単体で考えるのではなく、事業目標との繋がりや、BtoBならではの特性を踏まえた上で設計することが成果創出の前提となります。
BtoBマーケティングの全体像と施策の位置づけ
BtoBマーケティングとは、企業が企業に対して商品やサービスを販売するためのマーケティング活動全般を指します。その核となる考え方が「デマンドジェネレーション」です。デマンドジェネレーションは、以下の3つのプロセスで構成されます。
| プロセス | 概要 |
|---|---|
| リードジェネレーション | 見込み客の情報を獲得するプロセス |
| リードナーチャリング | 獲得した見込み客の購買意欲を高めるプロセス |
| リードクオリフィケーション | 購買確度の高い見込み客を選別するプロセス |
BtoBマーケティングの施策は、これらのプロセスを効率的に回すための手段として位置づけられます。重要なのは、個別の施策を単独で評価するのではなく、プロセス全体の中でどのような役割を果たすかを考えることです。
例えば、ホワイトペーパーはリードジェネレーションの施策として活用されますが、同時にナーチャリングコンテンツとしても機能します。ウェビナーも同様に、新規リード獲得と既存リードの育成の両方に活用できます。施策の役割を固定的に捉えるのではなく、プロセス全体の中で柔軟に活用する視点が重要になります。
また、BtoBマーケティングでは、マーケティング部門と営業部門の連携が不可欠です。マーケティングが獲得・育成したリードを営業が受け取り、商談から受注へと繋げていく流れを円滑にするために、両部門が共通の目標を持ち、リードの質と量を最適化していく必要があります。
弊社の支援においても、リード獲得数だけを追うのではなく、案件化率や受注率まで含めた成果思考でマーケティング施策を設計することを重視しています。リード数という表面的な数字だけで評価していては、本当の成果に繋がりにくいためです。
BtoCマーケティングとの違いと施策選定のポイント
BtoBマーケティングとBtoCマーケティングでは、購買決定プロセスに大きな違いがあります。この違いを理解することが、適切な施策選定の前提となります。
BtoBマーケティングの特徴
- 意思決定に複数の担当者が関与する
- 検討期間が長期化する傾向がある
- 商材単価が高く、購買プロセスが複雑
- 論理的な判断やROI、業務課題の解決が重視される
- ターゲットの母数がBtoCと比較して限られる
BtoCでは個人の感情や衝動が購買に大きく影響しますが、BtoBでは合理的な要素が重視されます。「なぜこの製品を導入すべきか」「どのような課題が解決できるか」「投資対効果はどの程度か」といった点を論理的に説明できることが求められます。
この特性を踏まえると、BtoBマーケティングの施策選定では以下のポイントが重要になります。
長期的な関係構築を前提とした施策設計
BtoBでは、一度の接点で購入に至ることは少なく、複数のタッチポイントを通じて信頼関係を構築していく必要があります。そのため、リード獲得施策だけでなく、ナーチャリング施策をセットで設計することが成果創出の前提となります。
意思決定者へのアプローチを意識した施策
購買に関わる複数のステークホルダーに対して、それぞれの関心事に応じた情報提供が必要です。現場担当者には実務的なノウハウを、経営層にはROIや事業インパクトを訴求するなど、対象に応じたコンテンツ設計が求められます。
質を重視したリード獲得
ターゲットの母数が限られるBtoBでは、幅広くアプローチするよりも、ターゲットを絞り込んで質の高いリードを獲得する戦略が有効です。リード数を増やすことよりも、商談化・受注に繋がるリードを効率的に獲得することを重視すべきです。
BtoBマーケティング施策の種類
BtoBマーケティングの施策は、その役割によって大きく3つに分類できます。リードジェネレーション(見込み客獲得)、リードナーチャリング(見込み客育成)、商談創出・クロージング支援です。それぞれの施策の特徴と活用方法を理解することで、自社に最適な施策の組み合わせを設計できるようになります。
リードジェネレーション(見込み客獲得)施策
リードジェネレーションとは、自社の製品やサービスに興味関心を持つ見込み客の情報を獲得するプロセスです。企業名、担当者名、連絡先などの情報を取得することで、顧客との最初の接点を作ります。
リード獲得の主な施策は、オンライン施策とオフライン施策に分けられます。
オンライン施策
| 施策 | 特徴 |
|---|---|
| コンテンツマーケティング・SEO | 検索エンジンからの継続的な集客。資産として蓄積される |
| ホワイトペーパー | 課題解決型の資料提供によるリード獲得。ダウンロード時に情報取得 |
| ウェビナー | オンラインセミナーによる幅広いリーチ。参加ハードルが低い |
| デジタル広告 | 即効性が高く、ターゲティング精度も高い |
| SNSマーケティング | 認知拡大と関係構築に有効 |
オフライン施策
| 施策 | 特徴 |
|---|---|
| 展示会 | 短期間で大量のリード獲得が可能。直接対話できる |
| セミナー・勉強会 | 信頼関係構築に効果的。質の高いリードを獲得しやすい |
| DM(ダイレクトメール) | ターゲットを絞った直接的なアプローチ |
| テレマーケティング | 即座に反応を確認できる。ニーズ把握に有効 |
リード獲得においては「数」と「質」のバランスが重要です。大量のリードを獲得しても、商談化や受注に繋がらなければ営業リソースの無駄遣いになります。一方で、質にこだわりすぎてリード数が不足すると、営業活動が十分に回りません。
弊社の経験では、リード獲得の成果を正しく評価するためには、リード数だけでなく商談化率や受注率まで含めた指標で見ることが不可欠です。月によってはインバウンドからのリードの案件化率が大幅に向上するケースもありますが、これはリード数という表面的な数字だけでは評価できない成果です。
サービスサイトの最適化が起点になる
リード獲得施策を実行する前に、まず「受け口」となるサービスサイトが適切に機能しているかを確認することが重要です。広告やコンテンツSEOでどれだけトラフィックを集めても、サービスサイトでリードの取りこぼしが発生していれば、他の施策を行っても成果に繋がりにくくなります。
ある企業では、デジタルマーケティングに苦戦する中で、まずサービスサイトの改修から着手しました。全チャネルの受け皿となるサービスサイトが成果へのインパクトが大きく、かつサイトでのリード獲得が機能していなければ他の施策の効果も限定的になると判断したためです。サービスサイトの最適化を優先した上で、デジタル広告やコンテンツSEOへと施策を展開し、最終的に約1年で国内市場No.1のシェアを獲得しています。
このように、施策の実行順序を戦略的に設計することが、限られたリソースで成果を最大化するポイントになります。
CVR改善によるリード獲得の最大化
リード獲得においては、集客施策だけでなくCVR(コンバージョン率)の改善も重要な要素です。検索上位を獲得してトラフィックを集めても、記事内のCTAやフォームが最適化されていなければ、リード獲得には繋がりません。
ある専門分野向けマッチングサービスでは、コンテンツSEOによって検索上位を獲得した後、ユーザーの状況・動機・ニーズに応じてCTA配置や訴求内容をチューニングしました。CTAクリックが増えると、今度はお問い合わせフォームでの離脱が課題化したため、フォーム項目の簡略化やUI見直しなどEFO施策も実施。キーワード獲得だけでなくCVR改善も徹底した結果、立ち上げ半年で月数十件、1年後には月100件を超えるお問い合わせが生まれるようになりました。
このように、リード獲得施策は「集客」と「転換」の両面で最適化することが成果を最大化するポイントです。
リードナーチャリング(見込み客育成)施策
リードナーチャリングとは、獲得した見込み客に対して継続的なコミュニケーションを行い、購買意欲を高めるプロセスです。BtoBでは検討期間が長いため、その間に見込み客の興味関心を維持・向上させることが重要になります。
主なナーチャリング施策は以下の通りです。
メールマーケティング
顧客の段階に合わせて適切な情報を配信し、購買意欲を高めます。同じ内容を一斉送信するのではなく、顧客属性や興味関心に応じてセグメント配信することが効果的です。メルマガやステップメールを活用し、継続的な接点を維持します。
BtoBにおいて、メールマーケティングはコストパフォーマンスの高い施策と言えます。一度獲得したリードに対して低コストでアプローチでき、適切なタイミングで商談機会を創出することが可能です。
導入事例・成功事例の提供
見込み客が持つ「本当に効果があるのか」という不安を解消するために、同業種や類似課題を持つ企業の導入事例を提供します。具体的な成果を示すことで、自社サービスの価値を伝えられます。
自社セミナー・ウェビナーの継続開催
特定テーマに関心のあるリードを集め、専門知識を提供することで信頼関係を構築します。参加者の反応や質問から購買意欲の高いリードを特定することもできます。
ナーチャリングを成功させるポイント
ナーチャリングを効果的に行うためには、以下の5つのステップで設計することが重要です。
- リードの管理・整理: 獲得したリードを一元管理し、属性情報や行動履歴を整理する
- セグメント分け: リードを属性や検討段階で分類する
- コンテンツ設計: 各セグメントに対して、態度変容を促すコンテンツを設計する
- シナリオ設計: いつ、どのような順番で、どのコンテンツを提供するかを設計する
- 効果測定・改善: メールの開封率、クリック率、商談化率などを測定し、継続的に改善する
適切なナーチャリングなしでは、せっかく獲得したリードが休眠化してしまいます。リード獲得施策とナーチャリング施策をセットで設計することが、BtoBマーケティングの成果を最大化するポイントです。
商談創出・クロージング支援施策
リードナーチャリングによって購買意欲が高まった見込み客を、実際の商談へと繋げるプロセスがリードクオリフィケーションです。購買確度の高い「ホットリード」を選別し、適切なタイミングで営業にトスアップすることで、商談化率と受注率を向上させます。
インサイドセールスの活用
インサイドセールスとは、電話やメールを活用して見込み客にアプローチし、商談機会を創出する役割です。リードの課題やニーズを直接ヒアリングし、購買意欲を把握します。ホットリードを見極め、適切なタイミングでフィールドセールスに引き継ぐことで、営業の生産性を向上させます。
インサイドセールスには、問い合わせや資料請求に対応するSDR(Sales Development Representative)と、ターゲット企業に能動的にアプローチするBDR(Business Development Representative)の2つのタイプがあります。自社の商材やターゲットに応じて、適切な体制を構築することが重要です。
MAツールの活用
MA(マーケティングオートメーション)ツールは、リードの行動データを分析し、購買意欲の高いリードを自動的にスコアリングする仕組みを提供します。Webサイトの閲覧履歴、メールの開封・クリック状況、資料ダウンロード状況などを数値化し、ホットリードを可視化します。
MAツールを活用することで、以下のような効果が期待できます。
- リードの検討段階を可視化し、適切なアプローチが可能になる
- ホットリードを自動的に検知し、営業へのトスアップを効率化できる
- ナーチャリングシナリオを自動化し、運用工数を削減できる
ターゲットの解像度を上げることの重要性
商談創出において見落とされがちなのが、ターゲットの解像度を上げることです。対象ユーザー層が広く設定されていると、どの層が成果に直結しやすいかの可視化が不十分となり、ターゲティング精度の最適化が進まない状況が続くことがあります。
ある人材サービス企業では、CPA高騰と競争激化で成果が伸び悩む中、現場担当者への複数回のヒアリングを実施し、ペルソナとカスタマージャーニーを再作成しました。その結果、一般的な訴求軸に共感する層とは別に、「主体的に動きづらいため、効率的にサポートを受けたい」といったニーズを持つユーザーが一定数存在することが明らかになりました。
この発見をもとにターゲットのニーズに沿った訴求内容に変更したところ、指名検索からのCVRが倍以上に向上。スカウトメールのCVRも半数以上の媒体で倍増するという成果を得ています。
この事例からわかるように、施策を増やすだけでなく、ターゲットの解像度を上げて訴求を見直すことが、商談創出の効率を大きく改善する場合があります。特に、広告配信は別チームの管轄であっても、ターゲット軸や訴求内容を変更するだけで指名検索からのCVRが大幅に改善するケースがあり、マーケティング観点からの訴求見直しが事業収益に直結することを示しています。
営業との連携強化
商談創出において最も重要なのは、マーケティング部門と営業部門の連携です。リードの定義を統一し、どのような状態になったら営業にトスアップするかを明確にしておく必要があります。
連携を強化するためのポイントは以下の通りです。
- 共通のKGI・KPIを設定し、目標を共有する
- リードの定義(MQL、SQL)を明確化する
- 定期的なミーティングで情報共有を行う
- 営業からのフィードバックをマーケティング施策に反映する
弊社の支援事例では、マーケティング部門が「リード数」だけでなくインサイドセールスの「案件化数」も指標として持つことで、両部門のコミュニケーションが活性化し、リードの質が向上したケースがあります。
オンライン施策の詳細と活用方法
オンライン施策は、場所や時間を選ばずにアプローチできる点が大きなメリットです。デジタル上での接点を通じて、効率的にリード獲得・ナーチャリングを行うことができます。代表的なオンライン施策の詳細と活用方法を解説します。
コンテンツマーケティング・SEO
コンテンツマーケティングとは、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを制作・配信することで、見込み客との接点を作り、最終的に成果に繋げる施策です。BtoBにおいては、検索エンジンをタッチポイントとしたコンテンツSEOが中心となります。
コンテンツマーケティングの特徴
- 検索エンジンからの継続的な集客が可能
- 一度制作したコンテンツが資産として蓄積される
- 広告と比較して中長期的にCPAを下げられる
- ユーザーの検索意図に合わせたアプローチができる
BtoBでは、自社サービスの導入を検討しているユーザーが検索するキーワードでコンテンツを制作し、上位表示を獲得することで、質の高いリードを効率的に獲得できます。
コンテンツマーケティングを成功させるポイント
成果を出すためには、以下の点を押さえることが重要です。
- 目的の明確化: リード獲得なのか、認知拡大なのか、目的によってコンテンツ設計が異なる
- ペルソナ設計: ターゲットとなる読者像を具体的に設定する
- キーワード設計: 検討段階に応じたキーワードを選定する
- 継続的な改善: 公開して終わりではなく、データを見ながら改善を続ける
コンテンツマーケティングは成果が出るまでに時間がかかる施策です。検索エンジンに評価されるまでには数ヶ月から半年以上かかることが一般的です。短期的な成果を求める場合は、広告との併用を検討すべきです。
弊社の支援においても、コンテンツマーケティングは戦略設計を重視しています。コンテンツの価値は、コンテンツそのものではなく、コンテンツを通じて発生するコミュニケーションにあります。読み手の課題解決に寄り添ったコンテンツを制作することが成果創出の鍵となります。
キーワード選定の重要性
コンテンツSEOで成果を出すためには、検索ボリュームだけでなく、検討段階で検索されるキーワードに絞ることが重要です。ある企業では、業界特有の専門用語や機器名称との掛け合わせキーワードを設計し、最初は最重要な3つのキーワードに狙いを定めてスモールスタート。成功体験を作って運用を加速させる戦略を取りました。
このように、検索ボリュームの大きさではなく、「どのキーワードで上位表示すれば成果に繋がるか」という観点でキーワードを選定することが、限られたリソースで成果を出すポイントです。
ウェビナー・オンラインセミナー
ウェビナーは、オンライン上で行うセミナーで、場所を選ばず参加できるため広範囲のターゲットにアプローチできます。リード獲得とナーチャリングの両方に活用できる施策です。
ウェビナーの活用パターン
| パターン | 目的 | 特徴 |
|---|---|---|
| 自社単独開催 | リード獲得・ナーチャリング | 自社の専門性をアピールできる |
| 共催セミナー | リード獲得・リーチ拡大 | 他社の顧客基盤にアプローチできる |
| 製品デモ | 商談創出 | 具体的な機能紹介で購買意欲を高める |
| 成功事例紹介 | ナーチャリング | 導入効果を具体的に伝えられる |
ウェビナーを成功させるポイント
- テーマ設定: ターゲットの課題に刺さるテーマを選ぶ
- 集客: 自社リストへのメール配信、広告活用、共催先との協力
- コンテンツ設計: 一方的な説明ではなく、参加者が得られる価値を明確に
- フォローアップ: 参加者へのアンケート、資料送付、個別フォロー
ウェビナーは低ハードルでCV(コンバージョン)を獲得できる施策として位置づけられます。資料請求や問い合わせよりも心理的ハードルが低いため、比較的早い段階の見込み客にもアプローチできます。
また、録画を活用することで、継続的なリード獲得資産としても機能します。過去のウェビナー録画をアーカイブ配信することで、開催後も継続的にリードを獲得できます。
デジタル広告の活用
デジタル広告は、短期間で成果を出したい場合に有効な施策です。即効性が高く、ターゲティング精度も高いため、狙ったユーザーに効率的にアプローチできます。
BtoBで活用される主なデジタル広告
| 広告種類 | 特徴 | 適したシーン |
|---|---|---|
| リスティング広告 | 検索連動型。顕在層にアプローチ | 比較検討段階のユーザー獲得 |
| ディスプレイ広告 | バナー形式。認知拡大に有効 | ブランディング、リターゲティング |
| SNS広告 | ターゲティング精度が高い | 特定の属性へのアプローチ |
| 動画広告 | 製品理解を促進 | 認知拡大、サービス理解促進 |
BtoB広告運用のポイント
BtoB広告はBtoC広告と異なり、以下の点を意識する必要があります。
- 質を重視したKPI設計: CPA(獲得単価)だけでなく、商談化率や受注率を加味したKPIを設定する
- リードナーチャリングとの連携: 広告で獲得したリードをMAツールに連携し、適切なナーチャリングシナリオに乗せる
- ランディングページの最適化: ターゲットの課題に合わせたメッセージと明確なCTAを設計する
広告運用においては、「目の前に人がいたら、どう話すか」という視点が重要です。テクニックではなくコミュニケーションとして広告を捉えることで、ユーザーに届くメッセージを設計できます。
BtoB広告では、リスティング広告から始めることが推奨されます。比較検討段階のユーザーにアプローチでき、受注に繋がりやすいリードを獲得できるためです。その後、成果を見ながらディスプレイ広告やSNS広告に展開していくアプローチが一般的です。
オフライン施策の詳細と活用方法
オフライン施策は、対面でのコミュニケーションを通じて信頼関係を構築できる点が強みです。デジタル施策と組み合わせることで、より効果的なマーケティング活動を実現できます。
展示会・カンファレンスへの出展
展示会は、短期間で大量のリード獲得が可能な施策です。来場者と直接会話ができるため、ニーズの把握や関係構築に効果的です。
展示会出展のメリット
- 数百から数千という大量のリード獲得が可能
- 直接対話を通じてニーズを把握できる
- 製品やサービスを実際にデモンストレーションできる
- 競合他社の動向も把握できる
展示会を成功させるポイント
展示会の成果を最大化するためには、準備・当日・フォローアップを一体で設計することが重要です。
- 準備段階: ターゲット設定、ブース設計、集客施策、スタッフトレーニング
- 当日: 効率的な名刺交換、ニーズのヒアリング、フォローアップの約束
- フォロー: 迅速なお礼メール、資料送付、商談設定
注意すべき点として、展示会で獲得したリードのほとんどは「認知」段階にあることです。すぐに商談に繋がるケースは限られるため、ナーチャリング施策との連携が成果を左右します。
展示会はエンタープライズをターゲットとした企業では、ABM(アカウントベースドマーケティング)の手法と組み合わせることで効果を発揮します。あらかじめターゲット企業を特定し、展示会で接点を作り、個別最適化されたフォローアップを行うアプローチです。
セミナー・勉強会の開催
自社主催のセミナーや勉強会は、質の高いリードを獲得しやすい施策です。特定のテーマに関心を持つ参加者が集まるため、自社サービスへの関心度も高い傾向があります。
セミナーの種類と特徴
| 種類 | 特徴 | 適したシーン |
|---|---|---|
| ノウハウ型 | 業界知識や実践的なノウハウを提供 | 認知拡大、ナーチャリング |
| 事例紹介型 | 導入企業の成功事例を紹介 | 比較検討段階のリード育成 |
| 製品紹介型 | 自社製品の機能や特徴を紹介 | 商談創出、検討段階の後押し |
| パネルディスカッション型 | 複数の登壇者による議論 | 認知拡大、ブランディング |
セミナーを成功させるポイント
- 参加者にとっての価値を明確に: 何を得られるのかを具体的に伝える
- 自社の宣伝に偏らない: ノウハウ提供を中心に、自然な形でサービス紹介
- 参加しやすい環境づくり: 開催時間、場所、参加費用の配慮
- フォローアップの設計: アンケート、資料送付、個別相談の案内
セミナーは「認知・情報収集・比較検討」すべての段階のリードに対してアプローチできる施策です。参加者との直接的なコミュニケーションを通じて、自社のイメージアップや購買意欲の向上を図れます。
DM・テレマーケティング
DM(ダイレクトメール)やテレマーケティングは、ターゲットを絞った直接的なアプローチが可能な施策です。
DMの活用ポイント
DMを効果的に活用するためには、受け取る人と実際に中身を読む人が異なるケースを意識することが重要です。両者が「自社にとって有益」と思えるコンテンツやデザインを設計することが大切です。
- ターゲット企業の課題に合わせたメッセージ設計
- 開封率を高めるパッケージの工夫
- 資料請求や無料トライアルに繋がるQRコードの記載
- フォローコールとの連携
テレマーケティングの活用ポイント
テレマーケティングは、比較検討段階の見込み客にアプローチできれば商談・受注へと進められます。ただし、成功率を高めるためには、手当たり次第に架電するのではなく、ターゲットを絞ったアプローチが重要です。
- ターゲットリストの精査
- 架電タイミングの最適化
- トークスクリプトの準備
- ヒアリング内容の記録と活用
テレマーケティングは、インサイドセールス体制と組み合わせることで効果を発揮します。MAツールで検知したホットリードに対して優先的にアプローチすることで、成功率を高められます。
施策の優先順位を決める方法
BtoBマーケティングには多様な施策がありますが、すべてを同時に実行することは現実的ではありません。限られたリソースの中で成果を最大化するためには、施策の優先順位を適切に決めることが重要です。
受注に近い施策から始める理由
施策の優先順位を決める基本的な考え方は、「受注に近い順に施策を進める」ことです。この考え方には、以下のような理由があります。
タイムラグが短い
受注に近い施策は、実行から成果が出るまでの期間が短くなります。例えば、既存リードへのフォローアップは、新規コンテンツ制作よりも早く商談に繋がる可能性があります。
予算効率が良い
受注に近いプロセスを改善することで、同じリード数でも売上を増やすことができます。例えば、商談化率を向上させれば、リード獲得コストを増やさずに受注数を増やせます。
成功体験を得やすい
早期に成果が出ることで、社内の理解や予算獲得に繋がりやすくなります。マーケティング予算の好循環を生み出すためにも、まずは成果を出しやすい施策から始めることが有効です。
具体的な優先順位の考え方
一般的に、以下のような順序で施策を検討することが推奨されます。
- 既存リードの商談化促進: 休眠リードの掘り起こし、ナーチャリング強化
- CVR(コンバージョン率)の改善: LP最適化、フォーム改善
- 顕在層向け施策: リスティング広告、比較検討キーワードでのSEO
- 潜在層向け施策: コンテンツマーケティング、ウェビナー、展示会
この順序は絶対的なものではなく、自社の状況によって調整が必要です。重要なのは、施策を実行する前に「どのプロセスに課題があるか」を明確にすることです。
事例に学ぶ施策優先順位の決め方
施策の優先順位を適切に設計することで、短期間で成果を出した事例があります。
ある業務支援系クラウドサービス企業では、リファラル依存による案件獲得が主軸となっており、新規顧客の獲得が頭打ちになっていました。デジタルマーケティングの活用が不可欠でしたが、組織内には専門知識を持つ人材がおらず、何から始めるべきか指針が不足していた状況でした。
この企業では、ターゲットの言語化と見直しを実施した上で、解決すべき課題が多い中で「短期で成果を出すためにどうすれば良いか」という視点で、各施策の優先順位を決定しました。
具体的には、以下の優先順位で施策を展開しています。
- サービスサイトの改修: 全チャネルの受け皿となっており成果へのインパクトが大きい。他の施策を行ってもサービスサイトでリードの取りこぼしが起きると成果に繋がりにくい
- デジタル広告: リードの母数を最大化するため
- コンテンツSEO: 中長期的な資産形成のため
施策実行においては、スピードを常に意識しながら柔軟に対応を続けました。ベンチャー企業特有のやるべきことが多い状況下で、優先順位の変更が発生してもスピードを落とさないよう調整。施策実行に必要なスキルセットを棚卸しし、業務委託をアサインしてスピーディーに体制を構築しました。
その結果、約1年で国内市場No.1のシェアを獲得しています。
ポイントは、「やりたい施策」ではなく「成果に繋がりやすい施策」から着手したことです。サービスサイトの最適化という地味な施策を最優先にしたことで、その後の広告投資やSEO施策の効果を最大化できました。
顕在層向けと潜在層向けの施策分類
施策を選ぶ際には、アプローチするターゲットの検討段階を意識することが重要です。大きく分けると、顕在層向けの施策と潜在層向けの施策に分類できます。
顕在層向け施策
顕在層とは、すでに課題を認識し、解決策を探している層です。比較検討段階にいるため、受注に繋がりやすい特徴があります。
- リスティング広告
- 比較検討キーワードでのSEO(「〇〇 比較」「〇〇 おすすめ」など)
- 製品デモ、無料トライアル
- 導入事例コンテンツ
顕在層向け施策は、短期間で成果が出やすく、ROIも測定しやすい傾向があります。まずは顕在層へのアプローチを確立した上で、潜在層向け施策に拡大していくアプローチが一般的です。
潜在層向け施策
潜在層とは、まだ課題を明確に認識していない、または解決策を積極的に探していない層です。将来的な顧客候補であり、中長期的な関係構築が必要です。
- コンテンツマーケティング(情報収集キーワード)
- ウェビナー・セミナー
- 展示会
- SNSマーケティング
- ディスプレイ広告
潜在層向け施策は、成果が出るまでに時間がかかりますが、市場の拡大や競合との差別化に繋がります。顕在層向け施策だけでは獲得できるリード数に限りがあるため、中長期的には潜在層向け施策も必要になります。
自社の状況に応じた施策選定
施策の優先順位は、自社の状況によって大きく異なります。以下のような観点で、自社に最適な施策を選定することが重要です。
予算規模
予算が限られている場合は、広告よりもコンテンツマーケティングやメールマーケティングなど、低コストで始められる施策を優先します。逆に、短期間で成果を出す必要がある場合は、広告投資を検討します。
リソース
社内にコンテンツ制作のリソースがない場合は、外部パートナーの活用を検討します。逆に、社内に専門人材がいる場合は、その強みを活かした施策を優先します。
商材特性
商材単価が高い場合は、ABMのような個別最適化されたアプローチが有効です。商材単価が低い場合は、より効率的な大量リード獲得施策が適しています。
既存のアセット
すでに一定のリードリストがある場合は、ナーチャリング施策の強化が優先されます。リードが少ない場合は、まずリード獲得施策から始める必要があります。
施策選定のフレームワーク
施策を選定する際には、以下のような問いを自社に投げかけることが有効です。
- 現在のマーケティングプロセスで、最もボトルネックになっているのはどこか
- 投資対効果が最も高いと思われる施策はどれか
- 社内のリソースや知見で実行可能な施策はどれか
- 短期的な成果と中長期的な成果のバランスをどう取るか
施策の貢献度を評価する際には、ある時点での相対評価ではなく、施策単体の成長率(ビフォーアフター)で評価することが適切です。SEOと広告では効果の出方やタイミングが大きく異なるため、同じ基準で比較することは難しいためです。
KPIの設計
施策の成果を測定するためには、適切なKPI設計が不可欠です。KGI(最終目標)から逆算して、各施策のKPIを設定します。
KPIツリーを作成することで、以下のようなメリットが得られます。
- 目標達成に必要な要素を可視化できる
- ボトルネックを早期発見できる
- 具体的なアイデアを出しやすくなる
- 漏れや重複なくKPIを洗い出せる
例えば、「月間商談数50件」というKGIを達成するために、「リード獲得数」「商談化率」「インサイドセールスの架電数」といったKPIを設定し、それぞれの改善施策を検討します。
また、マーケティング部門が自部門ではコントロールできない指標(例:案件化率)を敢えて持つことで、営業部門との連携が促進されます。数字の間にどのようなアクションやコミュニケーションが隠れているのかを確認することで、プロセス全体の最適化に繋がります。
まとめ
BtoBマーケティングには多様な施策がありますが、すべてを同時に実行する必要はありません。重要なのは、自社の状況を正しく把握し、最適な施策を選んで優先順位を決めることです。
本記事のポイントを整理します。
- BtoBマーケティング施策は、リードジェネレーション、リードナーチャリング、商談創出の3つのプロセスに分類できる
- 施策単体ではなく、プロセス全体の中での役割を考えることが重要
- 優先順位は「受注に近い順」で決めることが基本
- サービスサイトの最適化など「受け口」の整備を優先することで、他の施策の効果を最大化できる
- 顕在層向け施策と潜在層向け施策のバランスを取る
- ターゲットの解像度を上げて訴求を見直すことで、CVRを大幅に改善できる場合がある
- KPIツリーを作成し、ボトルネックを特定して改善を進める
- マーケティング部門と営業部門の連携が成果を左右する
施策を実行する際には、リード数という表面的な数字だけでなく、商談化率や受注率まで含めた成果思考で評価することが大切です。また、施策の実行だけでなく、組織体制やKPI設計まで踏み込んで最適化することで、持続的な成果創出が可能になります。
BtoBマーケティングは、一朝一夕で成果が出るものではありません。戦略的な施策設計と継続的な改善を通じて、自社に最適なマーケティング体制を構築していくことが、事業成長への近道と言えます。
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